Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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J1 2008 第34節 vs大分 @スカパー
 シーズンのレヴューは改めて書くとして、リーグ3位そしてACL出場権獲得という最終成績はピクシーの監督初年度としては十分な合格ラインだと俺は思う。ただこのチームが抱える課題はまだまだ多く、来シーズンの名古屋が今シーズンと同じことをしていたら同じ成績を残せないこともまた明らかで、それは勝ち点3が必要だった状況で勝ち点1を確保するのが精一杯だったこの大分戦が如実に物語っている。

 名古屋は優勝するためには勝つことが最低条件だった。そして相手が大分ということ考えれば、この試合のカギを握るのはセットプレーだと俺は踏んでいた。今シーズン、リーグ戦とナビスコカップ・準決勝で都合三度対戦している大分については、堅守が売りと言いながらも上本や森重にファールまがいのラフプレーが多いことや、簡単に切り返しに引っ掛かった藤田が相手に抱き付いてくること、またそれ以外の選手でも抜かれそうになったら露骨にユニフォームを引っ張って止めようとすることなども分かり切っている。何の躊躇いもなく(むしろ一部の選手はニヤニヤしながら)そうしたプレーを繰り返す様を見ていると、大分にはチームとしてそういうプレーを許容する雰囲気(姿勢)があるのだろうと思えてくる。当然そこには良心の呵責や羞恥心といった類のものが存在するはずもなく、それはチームの顔とも言える日本代表GK西川が恥じらいもなくい「故意にイエローカードをもらった」と語った例のブログが象徴している。
 と少し話が逸れたが、とにもかくにもそんな大分に対しては(審判がまもともであれば)名古屋にセットプレーの機会が増えるのは自明の理だった。だが名古屋はそれを生かすことが出来なかったし、それを生かすための準備もまた十分ではなかったと言えるだろう。ナビスコカップで敗退した後小川が人一倍悔しさを露にしたのは、この試合でも同じシーンが繰り返されたように藤田の抱き付かれ被害に最も遭っていたのが小川だったからで、その気持ちは察するに余りあるが、それでもやはり現役時代のピクシーを知っている人間からすれば、小川にも更なる進歩を促したい気持ちも同時に存在する。単なるキックの技術や戦術眼の問題でもあるが、現役時代のピクシーは汚いファールで倒されて激昂しながらも、ボールをセットする瞬間には恐ろしいまでの冷静さを取り戻し鋭く美しい軌道のボールをゴール前へと送り込んでいた。98年のフランスW杯決勝トーナメント一回戦(対オランダ)でコムリエノビッチの頭にピタリと合わせた正真正銘のワールドクラスであるピクシーのセットプレーと比較するのも酷な話だが、それでも小川(そして名古屋)には「ファールで止めに来たらセットプレーでチャンスが拡大する」ぐらいのプレッシャーを大分(やその他の対戦相手)に対して与えるぐらいにその精度を上げて欲しいところ。大分に「ファールで止めておけばOK」と思われているうちはまだまだ名古屋も未熟だし、むしろこれだけの長身選手を揃えながらセットプレーからの得点が数えるほどというのも情けない話だ。

 試合の流れを見ると前半は大分のペースだった。名古屋は大分のカウンターを警戒してかサイドバックが全く上がれず攻撃が単発なものに終始していたし、ヨンセンが潰されてさらに両サイドに蓋をされてしまうと、セントラルMFの二人が高い位置で上手く攻撃絡めない現在の名古屋はお手上げだ。と、ここまではナビスコカップのアウェーゲームでも辿った道だが、その時に誰もが抱いた「玉田がいれば・・・」という幻想も、この試合ではエジミウソンの攻守に渡る運動量と絶妙なポジショニングによってすっかり封印されてしまっていた。玉田が前後左右のスペースに動いてボールを受けて基点となり、セントラルMFの二人が高い位置で攻撃に絡むことが大分の守備ブロックを崩すために欠かせないことは、吉村がポスト直撃のシュートを放ったシーンを見るまでもなく明らかだが、大分のカウンターが怖い名古屋はなかなかそうした攻撃を行うことが出来なかった。
 しかし全体的に慎重だったからと言って名古屋の守備が盤石だったかと言えば、決してそう言うわけでもない。大分の攻撃の起点となるエジミウソンを潰すことに意識を集中していた名古屋のWボランチは自分たちの背後のことには全く無関心で、中盤とDFラインとの間にポジションを取る大分のアタッカー三人(ウェズレイ、高松、金崎)にボールが渡ると、当然の如く名古屋のDFラインは対応に苦慮していた。中でも驚かされたのが高松で、怪我の影響からかアクロバチックなゴールを連発していた往年の姿は見る影もないが、こと「高さ」に関しては安心して見ていられる名古屋ディフェンスが明らかに劣勢を強いられていた。そう言えば、ナビスコのホームゲームでも(阿部とGKとの連携ミスがあったとは言え)高松がヘディングで競り勝ったことがゴールにつながっていた。

 後半になると事態は少し好転する。サイドバックが積極的な上がりを見せてサイドで数的優位を作ろうとすれば、確か前回のリーグ戦(瑞穂でのゲーム)でも同じような形でセンタリングを上げて玉田のゴールをアシストしていた中村がサイドに気を取られた大分DFの裏をかく形で内側からタテに抜けてヨンセンにドンピシャのセンタリングを送ったりと名古屋の攻撃にもようやく躍動感が見え始めた。ただこうしたチャレンジが続かないのも中村が中村たる所以。かつてミスターグランパスと呼ばれた岡山哲也は「10回飛び込んで一回チャンスがあるかないかだから10回飛び込む」タイプだった。それとは対照的に中村は「10回同じ動きを繰り返したら相手に読まれるから決定的な一回に全てを賭ける」タイプ。だから中村は滅多にペナルティエリアの中に入らない。一試合の中で一度あるかないかというレベル。守備では献身的に走りチャレンジを繰り返す中村がどうして攻撃ではそれをする気にならないのかは分からないが、このポジションの中村が(二桁とは言わないまでも)ゴールを重ねるようにならなければ名古屋というチームにネクスト・ステップはない。そしてそうならなければこうした膠着したゲームを勝ち切ることは出来ないだろう。
 そんな中村を外して山口Kを投入したことはピクシーの英断だった。個人的には一発のある中村を残して吉村を外す方が有効かと思っていたが、常に横並びで運動量の割には攻守に二人で1.5人分ぐらいの機能しか果たしていなかったムラムラコンビのどちらかを外すことは、時間とともに攻撃面でも存在感を発揮し始めたエジミウソンを封じるためには必要な判断だった。ただエジミウソンの攻撃に掛かる時間が多くなったということは、すなわち名古屋でも玉田が中盤に下がってボールを受けられるようになったことを意味し、名古屋にもそして玉田自身にもよくやくリズムが出始めていた。そしてピクシーがそんな玉田に代えて杉本を投入し、シャムスカが杉本へのマンツーマンでDFの山崎を投入した時点で、この試合はクローズしたのだった。
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by tknr0326g8 | 2008-12-10 03:02 | Game Review
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