Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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J1 2009 第1節 名古屋×大分 @スカパー 
 名古屋にとってJリーグとACLという二つのビッグタイトルを目指すハードなシーズンがいよいよ幕開け。主力に二人の新戦力が加わった今シーズンは彼等をチームに慣らしながら徐々にチームとしてのコンディションを上げて行きたいところだが、3~5月にかけていきなりJリーグとACLの連戦が続き、しかもリーグ開幕戦の相手が昨シーズンナビスコカップ準決勝で敗れリーグ戦でも最後まで順位を争った大分という厳しいシチュエーションを考えると、ある程度ピークを開幕に合わせ昨シーズン同様のスタートダッシュを切ることが求められる。その意味ではこの大分戦は最低限勝ち点1が必要な試合。

 名古屋はクラブ史上初の“岡田ウイルス”感染者である阿部が未だ戻っていないものの、それ以外では新戦力のダヴィ、田中が期待通り先発に名を連らね、昨シーズン終盤に足首の故障で戦線離脱を余儀なくされた楢﨑が復帰を果たすという明るい材料が揃った。

          ダヴィ

          玉田
マギヌン                小川

        吉村  中村


竹内   増川   バヤリッツァ  田中

          楢﨑

 懸案の左SBに入ったのはプレシーズンマッチでテストされていた平木ではなく竹内だった。どことなく大森が負傷離脱した右SBにキャンプからずっと青山が試されながら直前で竹内に入れ替わった昨シーズンを思い出す。現時点で平木の左SBが厳しそうだというのは同感だが、俺がピクシーなら増川を左SBに回しCBに吉田を起用するだろう。名古屋の左SBとして阿部が担っていた役割はタッチライン際を駆け上がることよりもむしろその左足から繰り出される正確なキックによって前線にパスを供給することであり、そう考えると増川は効き足でない左足でもボールを扱えるし、(パワー任せになる傾向もあるが)鋭いフィードも蹴ることが出来る。そして俺の脳裏に焼き付いているのは二年前の横浜FC戦で左サイドを駆け上がって杉本のヘディングゴールをアシストした左足でのクロスボールだ。怪我が多い体質なのでSBのハードワークに耐えられるのかどうかが懸念材料だが名古屋の戦術的には竹内より増川の方がしっくり来る。

 前半の名古屋は、サイドからのクロスボールに対してダヴィはもとより玉田や逆サイドの選手がしっかりとボックス内まで詰めるような光景が見られるなど新しいチームとしての戦い方が意識付けられているような場面もあったが、玉田とダヴィが同じスペースに入ってしまったり、田中のオーバーラップもどこか様子を見ながらおそるおそるといった感じでぎこちなさのようなものが見て取れた。そしてピクシーの「戦い方は変えない」という言葉通り昨年同様サイドアタックを徹底するチームにあっては、小川からの決定的なラストパス(クロス)をダヴィが決め損なったシーンも含めてヨンセンの不在を感じさせるシーンも少なくなかった。実際ヨンセンがいたら前半に2点ぐらいは決めていたかもしれない。
 また良くも悪くも昨シーズンの戦い方を引きづるチームにあっては、相変わらずボランチ二人のゲームメイクそしてチャンスメイクへの関与の低さが目立つ。サイドが詰まったりスローインでスロアーが迷ったりしている時にサポートに入る(顔を出してボールを引き出す)というよりは(相手DFを引き付けてパスコースを作るために?)前のスペースへと入っていくことが多い彼等は、見ようによってはボールから逃げ回っているようにも見える。そしてボールを受けてもサイドチェンジの経由地点でしかない彼等が稀に見せるクサビのパスは大分にことごとくカットされていた。個人的には大分のような相手には守備組織の合間を縫って前線(ボックス)へと飛び出して行ける山口のような選手を使うべきだと思っていたが、そういったプレーもムラムラコンビには見られなかった。

 一方の守備では失点につながったシーンを見るまでもなく左サイドでフリーの相手を作ってそこからチャンスを作られるようなシーンが目立った。解説を務めていた名古屋暗黒時代のCB・藤川久孝は左SBである竹内の寄せが甘いと指摘していたが、この問題はもっと根本的な原因に目を向けなければならない。確かに左SBの竹内はこの試合極端なまでに内側に絞ったポジショニングを見せることも多く、先制点を奪われたシーンでは逆サイドから長いをサイドチェンジを決められたことで結果的に寄せが甘くなり楽にクロスボールを蹴らせていた。ではなぜ竹内はそこまで極端に内側に絞らなければならなかったのか。理由は明確だ。大分はウェズレイと高松の2トップに加えてその間隙を突くかのようにトップ下の金崎が(主に右サイド(名古屋にとっての左サイド)から)飛び出してくる攻撃を武器としている。どことなくネルシーニョ時代の中村直志を彷彿とさせる光景だが、名古屋にとってはある意味ウェズレイ以上にこの金崎が厄介で、これを阻止するためには竹内が増川との間にスペースを空けるわけにはいかなかったのだ。DFラインと二人のボランチとの間でマークの受け渡しを含めた連携がかなり怪しい名古屋ではDFラインの間の連携よってそのリスクに備えるしかない。そしてそんな状況では本来であれば相手のウイングバックの上がりに対してはSHがもっとケアしてあげなければならないのだが、守備になると中央付近をウロウロしていたマギヌンにそうした規律を求めるのも難しい話だった。
 また守備に関して言うならそんな組織的な問題とは別にボックス内での名古屋の守備が優し過ぎることも問題だ。ひょっとしたらDFライン間での連携が高まるに連れて個々の責任のようなものが曖昧になって来ているのかもしれないが、大分の3バックと比べてもそれは一目瞭然だった。なにも相手に抱き付いたりユニフォームを引っ張って引き倒したりする必要はないが、技術以前に大分のDFが見せるような執着心のようなものは名古屋DFにも是非とも見習って欲しいところ。相手の決定力不足にも助けられて結果的に目立たなくなってはいたが、昨シーズンから散見された(23節清水戦の一失点目など)こうした点を改善していかない限りこの先のハードな戦いを勝ち抜いて行くことは出来ないだろう。

 後半になると大分の足が止まり始めたことと、マギヌンのポジションも含めて守備における中盤のバランスが良くなったことで試合は名古屋ペースになっていった。阿部の不在による構成力の欠如もマイボールの時にはバヤリッツァが一列上がって組み立てへと参加することである程度解消することが出来ている。もちろんバヤリッツァが持ち上がった時には中村は一列下がって空いたスペースをカバーしているのだが、こうなるとムラムラコンビの存在意義は一体どこにあるのかという話になる。前からは玉田、後ろからはバヤリッツァがゲームメークに加わり、一試合の中でボックス近辺へと攻め上がる機会がほとんどない彼等はもはやフォア・ストッパーと思った方が良いのかもしれない。
 そして名古屋にとって良いリズムの中スローインからダヴィの単独突破によって名古屋は同点に追い付くことに成功する。上本をなぎ倒し森重にユニフォームを引っ張られながらも豪快に蹴り込んだダヴィのゴールは個人の能力による部分が大きいが、これはある意味ピクシーが望んでいたであろうことであり、昨シーズンの一連の大分との試合に代表されるように手間を掛けてボールを回しても真ん中でヨンセンが徹底マークを受け、サイドに蓋をされた時にどうするのかという課題に対するピクシーの回答でもある。
 マギヌン→中村→玉田と右サイドから鮮やかにパスがつながった二点目は半年に一回出るか出ないかという中村のランニングとともにマギヌンの個人技で勝負あった感じだった。自陣深くでボールを受けたマギヌンは対面する鈴木慎吾を引きづりながらタッチライン際を持ち上がるとセンターラインを越えたあたりでスピードアップしてあっという間に鈴木を置き去りにした。そして一気にアタッキングサードまで持ち込むと中央を上がって来た中村にパス、さらに中村がワンタッチで流したボールを玉田もワンタッチでゴールへと流し込んだのだった。マギヌンが抜け出した時点で大分は森重がその対応に引っ張りされており、さらに中村が後ろから飛び出してきたことで小林による玉田のマークにもズレが生じていた。それにしても先制点となった金崎のゴールといい、目の覚めるような中村の飛び出しからのアシストで玉田が決めた展開といい、去年の瑞穂での大分戦のデジャブのよなシーンが続く。

 その後は(前半開始早々に高橋に受けたチャージのお返しで?)竹内が高橋を後ろからケズると激昂した高橋が竹内を突き飛ばして退場を喰らい試合の趨勢は決まってしまった。竹内が高橋をケズったシーン、名古屋はリトリートから「戦術はダヴィ」を発動すれば良かったにも関わらず、大分のストッパー(上本)が持ったボールに対してマギヌンが前からプレッシャーに行ってしまい、オイオイ・・・と思っていると案の定左サイド(大分にとって右サイド)で空いた高橋にボールが渡ってしまった。そしてそこに対して遅れて対応に行った竹内がファールをおかしていただけに名古屋としてはラッキーだったが、かわいい顔をして意外とラフなプレーが多い高橋にとってみれば因果応報かもしれない。そしてこの高橋の穴は大分にとっては致命傷で、このスキを見逃さなかった名古屋は左サイドから大外を回るように玉田のスルーパスに抜け出したダヴィがまたしても上本をなぎ倒して決定的な三点目を獲得した。

 ただ名古屋としてはいくつかの課題も見えた試合だった。実際楢﨑のビッグセーブがなければ結果はどうなっていたか分からない。中でも深刻なのがセットプレー。一向に入る気がしないセットプレーはこれからの長く過密なシーズンを考えると先が思いやられる。疲労で身体が動かない時、名古屋はどうやって得点を積み重ねるのだろう。セットプレーから面白いように点を取っていたベンゲル時代と違いがあるとすれば、ピクシーという希代のキッカーの存在もさることながら、当時は「点」ではなく「線」で合わせるようなプレーをしていた。先日届いたイヤーDVDに収められている練習風景ではピクシーが蹴り込むボールに対して中の選手達が「線」で合わせに行くイメージが出来ているようにも見えたが、キッカーにはその意識が定着していないのだろうか。
 またその割には相手が一人少なくなった状態からセットプレーでアッサリと献上してしまった2失点目もいただけない。現象だけ見れば、竹内と田中の間に立っていたウェズレイが斜めに走り込み7年連続の開幕戦ゴールを決めたわけだが、ラインを作ってゾーンで守っているチームにあって後方へのボールに対し一人だけその場に棒立ちになっていた竹内の集中力の欠如は深刻だ。昨シーズンのヴェルディ戦、天皇杯のG大阪戦に続く致命的なミスでもあり、これではレギュラーどころかいつピクシーに見切りをつけられても不思議ではない。
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by tknr0326g8 | 2009-03-08 16:26 | Game Review
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