Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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J1 2009 第4節 川崎×名古屋 @等々力 
 なぜだかこのところ三シーズン連続で真夏のナイター開催が続いていた川崎でのAWAYゲーム。麗らかな春の午後に名古屋が等々力で試合を試合をするのは川崎がJ1復帰を果たした4年前のシーズン以来で、その時はジュニーニョが欠場した川崎(ジュニーニョの代役はブラジルから来日したばかりのフッキだった)を相手にJ1の貫禄を見せた名古屋が中村の鮮やかな直接FKなどで2-0と完勝を収めている。そしてその時以来名古屋は川崎に勝っていない。その年の10月にホーム(瑞穂)で対戦した時にはジュニーニョにハットトリックを決められるなど散々なやられっぷりで既に立場はすっかり逆転していたが、「加減」というものを知らず、ハリケーンのように相手DFを蹂躙していく川崎の攻撃陣はその時以来名古屋にとって脅威であり続けている。

 かくいう俺もこと川崎戦となると全く勝てる気がしないどころか恐怖感の方が上回っている始末だ。川崎の攻撃を止めるためにはボールの出どころであるWボランチ(中村憲剛)を潰すことというのはもはや鉄則で、俺も4シーズン前の大敗後のレヴューの中でそれについて触れているのだが、そもそも相手の○○を潰して・・・という発想こそが相手に対して気後れしている証拠。いつまでもプロビンチャ気取りでいてもらっては困る名古屋には、今回の試合前にピクシーが表明していた“真っ向勝負”はいつかは立ち向かわなければならない壁でもある。

 試合から二日前の中スポには川崎戦を控えた名古屋のトレーニングの模様がレポートされていた。文中のトレーニング内容だけ読むと、「サイドバックが上がったスペースをWボランチがカバーする動きの確認」という単なる守備のトレーニングのようだが、実はここにこそピクシーの川崎戦に対する考え方のヒントが埋め込まれている。サイドバックが攻め上がった後のスペースのケアがテーマということは、ピクシーがサイドバックを攻撃に参加させる気でいることの裏返しでもある。すなわちピクシーは川崎相手に攻める気でいるのだ。ボランチがサイドバックの空けたスペースをケアするというのはそのためのリスクヘッジでしかない。
 俺は川崎戦に限っては、フェルフォーセンが二シーズン前の等々力で見せたような、自分達を「格下」と認めオールコートでのマンツーマンで相手の良さを消す大分のような戦い方が良いのではないかと思っていた。実際ニシーズン前の名古屋は局面の1対1で「格上」の川崎を上回るファイティングスピリットを見せ、理解不能な本田の退場とロスタイムでのジュニーニョの同点弾さえなければ・・・というところまで川崎を追い込んだ。またフェルフォーセンの細かなポジショニング指導によって頭がバーストしすっかり不調をかこっていた中村直志が、戦術理解が高くないプレーヤーに向いているとされるマンマークによって中村憲剛の担当を任されそのシーズン一番パフォーマンスを見せていたのだった。
 しかしピクシーは「私はマンマークディフェンスが嫌いだ」とこうした戦い方を拒否。そこには開幕からリーグ戦、ACLを通じて無敗と好調なチームに対する手応えも伺える。真っ向勝負で川崎を打ち破ればチームにとって自信は本物になるだろうし、少なくとも俺の中でのピクシーに対する評価が数ランクアップすることも間違いない。

 そうして迎えたキックオフ。立ち上がりこそ前からプレッシャーを掛けに来た川崎に押され気味だった名古屋だったが、奪ったボールを素早く川崎DFの裏に送り込むシンプルなカウンターで徐々に盛り返し、左サイド小川の突破からゴール前マギヌンが飛び込んで先制ゴールを奪うことに成功する。昨シーズン名古屋躍進のメインキャストだった両サイドハーフが絡んでの鮮やかなゴールは、二人のDFの間を割って入って振り切った小川のドリブルも、しっかりとファーサイドからゴール前に詰めて怖がらずに飛び込んだマギヌンも秀逸だった。こういうゴールを見せられると小川のCH起用を推奨している俺にも心の迷いが生じてしまう。やはりこのチーム(の戦術)では最も能力の高いMFはサイドに置いておくのが優先事項なのかもしれない。

 しかし名古屋は前半のうちにアッサリと逆転を許してしまう。試合運びの拙さと言ってしまえばそれまでだが、二つの失点シーンはいずれも名古屋が抱える構造的な課題が露になっていた。
 一失点目は、楢﨑の目の前(すぐ隣)に立っていたチョン・テセがオフサイドだろう?とか、ゴール前に詰めてきたV・ジュニオールに気付かず前に入られてしまった田中のミスだろう?とか色々な見方はあるが、基本的にディフェンスを期待できないマギヌンが川崎の右SB森をアッサリと行かせてしまったのがそもそもの発端だ。相手のSHへの対応に加えてスピードに乗ったSBの相手までさせられてしまっている阿部を少々気の毒に思ったシーンはこの試合一度や二度ではなかった。だがこのマギヌンの微妙なポジショニングはターンオーバーした時にこの上ない武器になる。決して端から守備を放棄して前線に張り付いているわけではなく、かと言って積極的に守備に絡んでいるわけでもないマギヌンは、チームがボールを奪った時得てしてボールを受けやすい位置にフリーで立っていることが多い。そこがチームにとっては攻撃の基点となる。そして(DFを寄せ付けない超絶ドリブルや観客の感嘆を誘うようなパスを持っているわけではないが)独特の身のこなしから局面を切り開いてチャンスを作り出すマギヌンのプレーはスーパーで、こうなるともはやその存在はチームにとって諸刃の剣だ。
 二失点目はコーナーキックからファーサイドで折り返されたところを中央で谷口に頭で押し込まれたもの。ボールが飛んだコースが良かったのでGKの楢﨑やゴールポストの脇に立っていた小川はノーチャンスだったが、名古屋のDFはボールがファーサイドに流れた段階でホッっとしたのか集中が切れ足が止まってしまった。名古屋は長身選手の絶対数が減っても昨シーズンと同じゾーンディフェンスを続けている。そして最近では171cmの阿部が180cm超の選手達と並んでゾーン(ライン)を形成している。川崎は寺田が常に阿部のいるファーサイドに流れるなどそこを狙っていた節がある。確かに阿部は小柄な割にジャンプ力もありヘディングの競り合いでもそう簡単には負けないが、これからも相手チームの一番ヘディングの強い選手がここを狙ってきた時名古屋デイフェンスは耐えられるだろうか。とは言え、あくまでこの失点の責任は阿部というより足を止めてボールウォッチャーになってしまった中の選手にあるのだが。

 前半はその後リードを奪った川崎がかなりペースを落としたこともあり、名古屋がボールを持つ時間が多いまま終了。ただ名古屋の選手達は川崎のカウンターを警戒していたのかリスクを冒さないやや慎重なパス回しが目立っていた。

 後半になるとボールをキープする名古屋と網を張って守ってカウンターを狙う川崎という色合いが益々鮮明になる。ここで驚いたのは名古屋が「成す術なく」とはならずポゼッション志向で攻撃を組み立てて行こうとしていること。川崎が持たせているのだから当然と言えば当然だが、川崎の網に引っ掛かってカウンターを浴びながらも、名古屋は中央でパスをつないで相手を食い付かせてサイドへと展開するという狙いが観ている側にもハッキリと伝わって来た。ただ予想以上にボールが持てることで余計な欲を出してしまったのか、それとも単に技術がないだけなのか、はたまた慣れないプレーをしているしわ寄せなのかは分からないが、名古屋はゴールへとダイレクトに向かうプレーが少なくなってしまった。後半名古屋サポーターに背を向けていた川崎GKの川島がなかなかボールに触れずに少し寒そうに身体を擦っていたのが印象的なぐらい。そして相手を食い付かせたのはいいが、餌ごと持って行かれてしまうかのように、DFラインから出たボールを吉村がコントロールしようとしたところで相手のチャージを受けて奪われると、そのままゴールまで一直線に持って行かれダメ押しとなる追加点を奪われてしまう。

 その後試合は2点差となったことで意気消沈したのかすっかり覇気がなくなってしまった名古屋だったが、終盤には再び息を吹き返し最後まで攻撃する(得点を狙う)姿勢を見せたことは素晴らしかった。そしてそれは名古屋の「Never Give Up!」という言葉が単なる標語ではないことを十分に実感させるものでもあった。その意味ではピクシーが杉本や巻といった前線のプレーヤーを中盤や最終ラインの枚数を削って次々とピッチに送り込んだ交代策は、プレー面では(あろうことか田中の前に蓋をしていた杉本や何故かサイドに流れていることがあった巻など)完全に機能不全を起こしていたものの、明確な「メッセージ」として選手達に届いていたのかもしれない。

 またしても川崎の壁を破れず1-3というスコアで敗戦を喫した名古屋だったが、俺個人としてはそれほど悲観はしていない。川崎がこの先の連戦を睨んで(特にリードしてからは)省エネスタイルの戦い方をしていたという事実はあるが、川崎に対して名古屋がこうしたポゼッション志向の戦い方を実践して挑んで行けたことは(それが攻め切るという形においては全くもって完遂していなかったとしても)大きな収穫。むしろ(多少のメンバー変更は必要かもしれないが)長いボールを含めゴールに向かうダイレクトプレーを増やすなどもう少し攻撃に変化を付けられれば、次の対戦では川崎と真っ向勝負で打ち負かすことも不可能ではないという感触が俺の中には残った。ジュニーニョの衰えとともに少しづつ下降線を辿っている川崎に以前ほどの恐さは感じず、3年後に勝っても何の自慢にもならない。今日を含めこれまでの借りは8月の瑞穂でキッチリと返すべきだろう。

 選手個々では吉田と山口のプレーが印象に残った。吉田は今や東アジア屈指のストライカーであるチョン・テセとのマッチアップでは一歩も引かないどころかことごとくこれを抑え込んでいたし、二シーズン前の対戦ではボールを奪うことはおろか身体を当てることすらさせてもらえなかったジュニーニョにもよく付いて行っていた。最後のカードとして出てきた山口は出場時間こそ短かったが闘志を前面に出したプレーで中盤で出色のパフォーマンス。いびつな選手交代により4-2-4のような形なっていた試合終盤の名古屋で相手のマークをかいくぐり前線にパスを運んだり配給し続けていたマギヌンと相手のボールホルダーを潰しまくっていた山口という2枚の中盤が見せるプレーは文字通り鬼気迫るものだった。
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by tknr0326g8 | 2009-04-05 01:59 | Game Review
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