Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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ACL 第3節 名古屋×ニューカッスル @BS朝日
 ACL初挑戦となった初戦でAWAYながら韓国の蔚山を相手に3-1と完勝を収めた名古屋はどうやらアジアを「こんな程度のもの」と思ってしまったようだ。前節では明らかに自分達より力が劣りディフェンシブな試合の入り方をしてきた北京を相手に(むしろ決定機の数では圧倒されて)スコアレスのドロー。そしてこのニューカッスル戦でも気の抜けたようなパフォーマンスでアッサリ先制を許すという醜態をあろうことかホーム瑞穂で晒してしまった。後半に入ると相手の動きが落ちたこともあり少しは積極的なプレーを見せるようになったものの、局面で身体を張らない選手達のプレーはナメているとしか言いようがない。まがりなりにもプロである選手達は「疲れ」を言い訳にすれば何でも許されるとでも思っているのだろうか。そして技術的に拙いミスを連発するだけでなく、ギコチナイ連携で選手の動きが被りまくる姿にはこれが本当にプロのチームなのかと疑いたくなるような有様だった。

 ゲーム形式のリカバリートレーニングという斬新なことでもしているかのような前半を見ながら、俺が不安に思っていたことはひとつ。ひょっとしたら後半頭から花井は玉田か杉本に代えられてしまうのではないかといういこと。この試合が公式戦初先発となった“名古屋のプリンス”花井聖はダヴィと縦の関係の2トップを組むような形で起用されていて、随所に才能の片鱗を感じさせるような鮮やかなボールコントロールを見せていたものの、いかんせんボールに触る機会が少なく、そのパフォーマンスに及第点以上のものを与えるまでに至っていなかったのは事実である。そしてピクシーのこれまでの采配を考えると、この悪い流れを断ち切るためにピクシーが最初にピックアップするであろう選手はベンチ入りしているメンバーの中で最も信頼が置ける選手=玉田であり、そんな玉田を花井に代えて後半頭から投入するというのは容易に予想できる事態だった。
 しかしこの試合の前半を見ていれば選手交代を行うべきポイントが他にあることは一目瞭然だ。コンディションを優先に考えるなら田中と小川に休息を与えるべきだし、ニューカッスルのディフェンスを崩すべく戦術的な意図を持った交代を行うなら中村か山口をベンチに下げこのポジションにゲームをコントロール出来るような選手を配置すべきだった。リードされた展開での玉田投入が既定路線であったとするならば、せめてその交代は中村とにして花井を一列下げてプレーさせるような選択肢を持って欲しかった。

 現実はどうなったかと言えば、やはりピクシーは花井の代わりに玉田を後半頭から起用してきた。この時点で“アマチュア”観戦者である俺のモチベーションは大幅ダウン。これでチームが帳尻合わせのように体よく逆転でもしてしまったら、若干19歳の“名古屋ユースが生んだ最高傑作”は前半に最低のパフォーマンスを晒していたチームのスケープゴートにされかねない。
 しかしそんな俺の思惑をよそに、玉田を2トップの一角に起用した名古屋は明らかに前半よりも攻撃面では好転を見せていた。代表との掛け持ちにより休みなしで稼働している玉田とフレッシュな花井という要素も考慮に入れて考えると二人の間に技術的な差はほとんどない。しかしこれは本人達というよりは周りのプレーヤーの意識として、玉田なら安心して預けられるボールも花井だとそこまでは信頼出来ていない(パスを出せない)といった心理的な問題があるのかもしれない。玉田の投入によって相手陣内でボールを動かすことが出来るようになった名古屋は相手陣内でプレーする機会が増えていった。
 また一度中盤まで引いて来てボールを引き出す玉田のプレースタイルはもはやこのチームに欠かせないものだ。玉田の登場は前半に全くゲームのリズムを作れなかったWボランチの欠陥も補っていた。上でも書いたように俺はこのボランチのポジションにこそ花井を起用してここでゲームをコントロールすべきだと思ったし、それはこれまでも名古屋のボランチに対する不満として散々このブログで書いてきたことだが、ピクシーはそんなことは全く望んでいないのだろう。Wボランチは2トップと攻撃的な両サイドハーフを生かすために(彼等の守備の負担を軽減するために)中盤の広大なスペースをひたすら犬のように走り回ってボールホルダーへのチャレンジを繰り返し、攻撃に参加するサイドバックの穴(スペース)埋めを行う(この試合では攻撃参加したCBバヤリッツァの穴埋めというオプションも加わった)。簡単に表現すれば「ショートパスをつなぎながらサイドチェンジを入れてサイドから崩す」名古屋のサッカーで、ボランチにチャンスメイクはおろかゲームを組み立てる役割すら求められないことに対して違和感を感じる人間は俺一人ではないだろうが、ベンゲル時代の両SBがこのチームではWボランチに入れ替わったのだと思えばこの歪な状態もなんとなく腑に落ちる。決して陽の目を浴びることがない徹底的な脇役。またそう考えると太陽のような花井をここに置くことに対する場違い感もよく理解できる。願わくば今のチームでそのポジションを担う中村がパスを受ける前にもう少し周りの状況を確認しておいて欲しいし、チームが行き詰った時には吉村はもっと顔を出してボールを引き出す意識を持って欲しい。またこの試合で吉村に代わって先発を任された山口には本来備えているはずのリーダーシップを発揮して前にいる選手へのディフェンスの指示やDFラインとの連携を図ってほしいところだ。

 玉田の投入によって後半になって少しは改善された名古屋の攻撃だったが、玉田ひとりによって全ての事態が好転するほどニューカッスルも甘くはない。今書いたようにWボランチが攻撃の組み立てに参加しない(出来ない)分、名古屋はDFラインにビルドアップの能力が求められているわけだが、そのキープレーヤーである阿部を休ませてそのポジションに竹内を入れていることに加えて、明らかにコンディション不良の田中がアマチュアレベルのパスミスを連発して次々とピンチを招いているようではどうしようもなかった。相手がオーストラリアのチームということもあるので、セットプレー対策として竹内が起用されることは事前に十分予測できたが、「結果論」としてこれなら竹内を右、左に佐藤を入れた方がよっぽど良かった。ビルドアップの出来るSBとして阿部のバックアップにと期待されていた流通経済大学出身のルーキー平木がまだセカンドチームで修行中であることを考えると、消去法で代役は竹内か佐藤しかいないが、どちらもビルドアップでは大きな期待は出来ないので、いずれにしてもサイドハーフにボールを預けてそこにオーバーラップを掛けて数的優位を作るような攻撃を考えるしかない。そうなるとユーテリティを名乗る割には左サイドで攻め上がった後のプレーが特に雑になる竹内よりも、蔚山との試合でマギヌンと良いコンビネーションを見せスピード溢れる突破を披露していた左利きの佐藤の方がいい。そして竹内は田中の代わりに右SBとして使えばベストだった。

 頼みのダヴィも相手のマークがキツくなりまたコンディション的にも開幕当初のようなキレがなくなりつつある中で少しづつパフォーマンスが落ちてきている。このチームで最も替えの効かないパーツであるダヴィは一手にこのチームの浮沈を握る存在となってしまった。個人で替えが効かなければチームとして補うしかないが、ここはピクシーの手腕が問われるところで、清水戦では4-1-4-1だったりこの試合では田中を右、小川を左のウイングに張らせた3バックと新たなオプションをチームに加えてはいるものの、どうもこのところさらにマギヌンへの負担が大きくなっているのが気になる。試合終盤になると決まって中央に移りボールを受け一人二人と交わしてボールを前に運んで行く“スーパー”マギヌンなくして今の名古屋は成り立たなくなりつつある。そしてそこには誰が出ても同じようなプレーが出来ると語ったベンゲルのコレクティブ・フットボールの原型はない。

 玉田の個人技(鮮やかな直接FK)によって悪い流れながらもなんとか引き分けに持ち込んだ名古屋。とりあえずは勝ち点1を獲得できたこと(相手に3を与えなかったこと)と怪我人が出なかったことを前向きに捉えて週末の大一番・浦和戦そしてACL残りの3試合と戦い続けて行くしかない。
 それにしても嫌なタイミングでの浦和戦である。結局今日の試合で休めたのは増川と吉村と阿部だけ。田中や小川はコンディションに大きな不安を残し、田中の代わりは竹内でも何とかなるが小川の代わりが見付からない。これは橋本を筆頭とした中盤のアタッカーをこれまで使ってこなかったツケでもあるが、それでも小川を外すとなれば、ピクシーはヨンセンなき今サイドハーフとしては全く機能していない杉本を選択するだろう。杉本としては去年のナビスコカップで浦和相手にハットトリックを達成するなど良いイメージを持っているかもしれないが、去年の浦和戦で杉本が活躍できたのは昨シーズンの浦和が3バックの脇に致命的な欠点を抱えていたからであり、今シーズンの浦和にはそんなものはない。ここはやはり小川を強行出場させるのか悩みどころだ。そして両チームのチーム状態を考えれば、プロ初ゴールをプレゼントするのが大好きな名古屋だけに今度は山田直樹あたりにやられそうな気がプンプンする。ただ名古屋にとってラッキーなのはシーズンがまだ始まったばかりということもあり浦和のパスサッカーが完成形に至っていないということ。広い中盤を二人のボランチがカバーして守る名古屋は昨シーズンの例を見ても中盤でしっかりとボールを動かせるチームには常にお手上げだった。浦和の発展途上のパスワークに振り回されつつも(最終ラインが辛抱強く耐えて)相手のミスを待ってカウンターというのが名古屋にとっては勝利への道筋となるのではないだろうか。そして浦和がパス回しに気を取られるあまりポッカリと空いたバイタルエリアからミドルシュートを打つことを忘れてくれることを願いたい。
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by tknr0326g8 | 2009-04-08 03:02 | Game Review
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