Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
カテゴリ
最新の記事
以前の記事
J1 2009 第6節 柏×名古屋 @日立台  →→→ 東京×千葉 @国立競技場 
 2週間前川崎相手に真っ向勝負を挑んで玉砕してからというもの見る見るチーム状態が悪くなっている名古屋はここのところ試合の内容も悪く結果も残せていない。今週のトレーニングではピクシーが青空ミーティングを開いて改めてハードワークの必要性を説いたということだが、この柏戦を皮切りにGWまで週二試合のペースで消化しなければならない7連戦を考えると、とてもじゃないがチームに修正を施しているような余裕はなく、その行く末は大いに思いやられる。それにこんな時には経験豊富なベテランやチームに勢いをもたらすニュースターの登場が起爆剤となったりするものだが、名古屋は昨オフに藤田や米山、大森といったベテランを切ってしまったし、なかなか冒険を冒そうとしないピクシーの選手起用の下では(プロとは言えまだ精神的にも未熟であろう)若手選手達がしっかりとモチベーションを保てているのかむしろ不安なぐらいだ。

 そんな名古屋に追い打ちをかけるように今節は玉田が負傷欠場。個人的には(バックアップの面子を含めて)ダヴィやマギヌンが欠けるよりもチームとしての傷は浅いと思ってはいるが、それでも玉田は今の名古屋にとって不可欠なパーツのひとつであり、名古屋がチームとしての機能を維持するためには、ただ単に玉田のポジションに代役(筆頭は杉本)をあてがうだけでは十分でなく、何らかのコーディネーションが必要となるだろう。
 この危機的状況に際してピクシーが選んだのはフォーメーションをダヴィの1トップに変更するオプションだった。清水戦で思いのほか機能した4-1-4-1が良い印象としてピクシーの中にも残っていたのだろうか。前半に先制しながらも清水の猛烈な追い上げに遭っていた第3節、名古屋は試合終盤にフォーメーションを4-1-4-1に変更することで清水の勢いを止めるとともにそこから2点を奪って最終スコア3-1の勝利を収めた。俺も4-1-4-1がこんなに機能するとは思ってもいなかったが、左サイドで珍しく真面目に守備していた玉田も含めてこの新布陣の出来栄えは正直想像以上だった。ちなみにその成功例の一端である吉村の二点目について、「吉村がよく走り込んでいた」的な評価をよく目にするが、あれは(確かに素晴らしいゴールではあったが)吉村個人のファインプレーというよりも、中村がアンカーに入ったことで一列繰り上がった(言うなればトップ下的なポジションになった)吉村がボックスに顔を出すには必然であり、(ほとんどやらないので意外と見落とされがちな)前線への飛び出しと正確なキック(ミート)の技術を持つ吉村をあのポジションで起用したシステムの勝利(成果)だった。
 と、そんな4-1-4-1で今回はさらに吉村がアンカーの位置に入りトップ下を中村と山口が務める形にマイナーチェンジが施されていた。そして玉田欠場によりチャンスをもらう形になった山口がキックオフから気持ちを前面に出したアグレッシブなプレーを見せていたのが印象的だった。チームを鼓舞するかのごとく激しい当たりを見せる山口のプレーはやや空回り気味な感すらあったが、俺はああいうプレーが嫌いではない。フェアプレーを「言い訳」としてお上品に省エネスタイルでプレーしていたのではチームは今の泥沼から足を抜き出すことは出来ないだろう。むしろこの苦境から脱しようと思えばチーム全員にこれぐらいの気持ちを見せて欲しいぐらいだった。

 しかしいくら選手会長の山口がチームを引っ張り、以前良い感触を掴んだシステムを引き出しの奥から引っ張り出してきたところで、チーム(組織)としての機能が一朝一夕で改善されるほど話は単純ではない。キックオフと同時にアグレッシブに前からプレッシャーを掛けてくる柏に対して、この試合の名古屋は阿部を経由したビルドアップをさせてもらえず前線のダヴィを狙って大きくロングボールを蹴り出すシーンが目立っていた。もちろん柏のプレスは一試合を通じて続くものではないので、柏の勢いが小休止に入れば中盤でパスをつないでサイドを変えたりも出来るのだが、それでも攻撃は前線で仕掛けて強引にシュートまで持って行くダヴィと、2,3人に囲まれてもそれをくぐり抜けてボールを持ち出しラストパスを供給するマギヌンの両外国人に大きく依存したものであったことは否定出来ない。そして名古屋が良い形を作れている攻撃はほとんどがカウンターからというのも偽らざる事実だった。
 また名古屋は中盤の真ん中の枚数が二枚から三枚になっても、相変わらずここでパスをつないだりゲームを作ったりということが出来ない(しない)。ここでボールをキープして相手を食い付かせてからサイドに展開出来ればマギヌンや小川そして両SBの攻撃力ももっと生きてくるはずだし、攻撃もカウンター頼みにならなくても済むはずなのだが、真ん中が二人から三人に増えたところでオンザボールのアクションは相変わらずサイドチェンジの時にバケツリレーのごとくボールを右から左に受け渡す程度であり、あとはひたすらオフザボールでサイドのプレーヤーの(攻守に渡る)サポートに回っているだけだった。この試合ではボールを持った山口が出しどころがないまま(柏の早い寄せに対して)ボールを失っていた場面が何度かあったが、これは中央の3人の関係性を示す象徴的なシーン。3人のポジションバランス(角度)や距離感に違和感を覚えたのは、変貌を遂げつつある浦和の前節の試合での残像が残っていたからだろうか。
 良い意味での変更点を挙げるとすれば、真ん中の三人のうち一列前に繰り上がった山口と中村がサイドばかりではなく1トップのダヴィに対するサポートの意識を強く持っていたこと。特に(このブログでは再三力説しているように)ボックスの中でスペースを見つけることに秀でた能力を持っている山口は、二シーズン前にフェルフォーセンのもとで金正友とともに同じような役割を担って開幕からの連勝に貢献した時と同じようなイメージでプレーしていた。

 鮮やかなカウンターから幸先良く先制点を奪った名古屋だったがその戦い方はかなり危なっかしいもの。特にセットプレーでは綿密なスカウティングを行ってきたと思われる柏に対して名古屋は成す術がない。まるでトレーニングの続きででもあるかのようにノープレッシャーで名古屋ゴールへと迫って来る柏のセットプレーに対しては、もはや柏が勝手に外してくれるのを祈るしかなく、ただ突っ立っているぐらいしか出来ない名古屋のDFはゾーンディフェンスというよりコーンディフェンスといった趣き。またサイドバックが積極的に攻撃参加する柏に対しては、マギヌンがサイドを変えるたびにそのサイドからピンチを招いている状態で、DFがボールを奪った時にはそのマギヌンがカウンターの基点となるので一概に善し悪しは言い切れないが、イエローカードをもらった田中や阿部などサイドバックの負担が大きかったのは確かだ。

 後半になると名古屋はシステムはそのままで中村から杉本にメンバーチェンジ。おそらくアクシデントだろがなぜそこで杉本なのか。名古屋は構成も少し変え、マギヌンを中(中村がいたポジション)に入れ杉本が外に出たわけだが、中村の代わりに入れるなら福島が優先されるべきではなかったか。もちろん公式戦出場経験のない福島を起用することにリスクはあるが、福島の運動量でなければチームのバランスが崩れてしまうという思いが俺にはあった。しかし基本的に10代や20歳そこそこの選手をあまり信用していないピクシーは若い選手に対して試合の趨勢が決まった後で経験を積ませる程度の起用しか行わない。この試合でベンチ入りしていた福島もおそらくは経験を積ませるためであって戦術的な交代要員ではなかったなかったはずだ。福島にデビューの機会が訪れるのはいつになるのだろうか。
 そしてそんな杉本投入の“成果”はすぐに現れる。動きの質はともかくとして運動量とアグレッシブなチェーシングが売りの中村に代わって同じく質的な問題を抱えつついつの間にか省エネスタイルを習得した杉本を投入しその上マギヌンを真ん中に移したことで、名古屋は中盤のディフェンスはスカスカになり柏のパスワークに面白いように振り回されていた。柏の勢いがデフォルトとしてカラータイマー付きなのでなんとか助かったが、広島やG大阪のようなチーム相手に同じ戦い方をしたらきっと名古屋はボールに触ることが出来ないままゴールまでボールを運ばれていただろう。
 こうなると必然的にゲームはオープンになる。しかし対面する柏の右サイドバック蔵川がオーバーラップを繰り返しているにも関わらず守備に戻らずパワーを貯め込んでいるはずの杉本がボールが回って来ても稚拙なプレーで次々とボールを失っている間に、柏が名古屋の切り替えの遅さを突いた速いリスタートから菅沼が弾丸ミドルを名古屋ゴールに突き刺し同点に追いついてしまう。優勝争いを繰り広げていた昨シーズンの終盤の日立台でも同点ゴールを決めているこの万能型アタッカーをなんとか名古屋に引っ張ってこれないかというのは昨シーズンオフに俺が密かに抱いていた野望。もちろん柏のユース生え抜きの菅沼を引き抜くなどということは無理を承知での話だが、柏には二年前のシーズンオフに名古屋でバリバリの主力だった名古屋の笑いのバンディエラこと古賀正紘を引き抜かれた貸しがある。アジアを含めた強行スケジュールを戦い抜く上で層の薄いサイドハーフに右も左も出来る菅沼が加われば魅力的だし、いつまでも杉本のサイドハーフ起用などという余興に付き合わされなくて済んだはずだった。

 それにしても杉本はどうしてしまったのだろうか。およそ一年前、誰にも止められなかった杉本の姿はもはや微塵も感じ取ることが出来ない。その要因の一端は間違いなくヨンセンの移籍にある(ヨンセンがいた頃はとりあえず目の前のDFを抜いてアバウトでもクロスを上げておけばヨンセンが合わせてくれたが今はそうもいかない)のだろうが、その走りには速いだけではなく(主に守備面での)量も兼ね備えていたはずなのに、今やすっかり走りをセーブするようになってしまった(そもそもそのスピード自体も以前は小林といい勝負をしていたのにこの試合では小林に置いて行かれている有様だった)。三シーズン前だったか、プチブレイクを果たしてオシムの代表合宿に呼ばれたはいいものの、そこでの教えを曲解したのかすっかりサイドに張り付くようになってパフォーマンスが落ちたシーズンがあったが、今回もシーズンオフのポルトガル留学で変なことでも教えられたのだろうか。そんな杉本が普段のトレーニングで良いパフォーマンスを見せているなら話は別だが、もしそうでないのならば、オーストラリアでのACLに向けて今回の遠征に帯同している(試合前のアップは一緒に行っていた)津田や新川といった若いアタッカーにチャンスを与えるべきだと俺は思う。

 試合は同点のままオープンなゲーム展開でカウンターの打ち合いになっていたが、時間とともに疲れの色が濃くなる柏に対して名古屋は交代枠に余裕を残しつついくつかの策がハマっていた。その一つ目は小川とマギヌンのポジションを入れ替えたことだ。小川が真ん中に入ったことでボールが落ち着いた名古屋は中盤でのパス回しにテンポが生まれるようになっていた。そして二つ目は吉田を投入し最終ラインを3枚にし前線に人数を増やしたこと。この二つの策で名古屋の攻撃(カウンター)は随分スムーズにそして効果的になった。
 そして効果的な施策をもうひとつ上げるとすればピクシーがいつもやる阿部→巻という交代を我慢したこと。もし試合が同点のまま終わっていたら、交代枠を一つ残していたピクシーの采配は非難の対象になったかもしれない。しかし俺はここでは我慢したピクシーを評価したい。もちろん上でも書いたような杉本の投入を含め駒の有効活用という部分では不満な点が消えたわけではないが・・・。

 ダヴィによるロスタイムの決勝ゴールは低迷していたチームにひと筋の光明を見出すような劇的なゴールだった。菅野によって何度も行く手を阻まれていたにも関わらず、チームは再びピクシーの言う「Never Give up!」のスピリットを体現し勝ち点3を手繰り寄せたのは評価出来る。
 またしても2ゴールとチームを救ったダヴィは決して器用な選手ではないし技術的なアラを探せばいくつも出てくるだろう。正直言って今のレベルではヨーロッパで活躍するのは難しいかもしれない。しかし前を向いて仕掛ける時の迫力と一瞬のタイミングで相手を振り切るプレーは規格外で年齢的にもまだまだ成長の余地を残す。小手先のプレー(演技とか)に走らずもっと相手DFとの駆け引きが上手くなって行けば、この先さらに成長して行けるに違いない。俺はその成長が名古屋とともにあることを願っている。
b0036243_22334053.jpg




 というわけで、前節に引き続きFC東京をフックに他のJチームの試合を観戦。今日の対戦相手は今シーズン未勝利の千葉だ。バックスタンドのAWAY寄りに座ったので試合前のアップも千葉が目の前だったのだが、それひとつ取ってもなかなか特徴が出ていて面白い。名古屋だと(他のチームでも)大抵締めは各自が適当にパートナーを見つけて思い思いにシュート練習したりパス練習したりしているのだが、千葉は何人かの選手が絡んだ(守備も置いた)コーディネーション系のトレーニングを行っている。試合に向けてイメージの最終確認を行っているのだろうか。

 試合は前節(鹿島戦)では特に前半流れの中からアタッキングサードにボールを運べなかった(得点シーンはアタッキングサードでのスローインからだった)東京だが、この試合では近藤とカボレに面白いようにクサビのボールが入り、そこを基点として後ろの選手が追い越して攻撃の形を作れている。そして前節でもキレのある動きを見せていた石川がPAの外で一人二人と外してミドルシュートを叩き込んで先制に成功した。
 一方の千葉を見ていて思ったことはDFラインからゲームの組み立てていくスタイルがどことなく名古屋と似ているなということ。起点(パスの出し手)という部分では千葉がセンターバックのボスナーであるのに対して名古屋がサイドバックの阿部であったり、もちろん守備ではよりスペースを空けないことを意識してソリッドなスタイルの千葉に対して、名古屋はWボランチがアグレッシブに動き回り(一方でDFラインは下がりながら対応するので)バイタルエリアを開けていたりするなどの違いはあるが、どことなく親しみを感じてしまう。
 それではなぜここまで(5節終了時で)千葉が未勝利なのに対し名古屋が2勝しているのかと言えば、それは個の力に他ならない。中盤の真ん中に構え10番を背負う工藤は悪くない(むしろ名古屋にはいない=欠けているタイプだ)が、巻とダヴィ、アレックスとマギヌンを比べればいずれも前者の劣勢は否めず、米倉と小川に至っては比べる次元にない。そしてそう考えるとなぜ谷澤が使われていないのかとういう疑問が生じてくる。ピクシーが千葉の監督だったら良くも悪くもこういう起用は絶対にしないだろう。
 そして試合は実際に途中出場したその谷澤が起点となり残り4分で千葉が大逆転劇を見せる。昨シーズンの最終節といい千葉にはアレックス・ミラーが持ち込んだリヴァプールのメンタリティが根付いているのだろうか。後半は確かに千葉が攻める時間帯が長かったが、巻が佐原に完全に抑え込まれていて対佐原意識過剰な状態(前線でロングボールを受ける時に今野の方に寄っていたが、常に首を振って怯えるように佐原の位置を確認していた)になっているようでは千葉に勝ち目はないと思っていた。しかし谷澤の登場によって千葉はそこに風穴を空けたのだった。対する東京は明らかに闘えていない選手がいてその選手が集中を切らしていたのが致命傷だった。
b0036243_23234133.jpg
 
[PR]
by tknr0326g8 | 2009-04-19 23:26 | Game Review
<< 関東大学リーグ 第2節 @駒沢 J2 第8節 栃木×徳島 @西が丘 >>