Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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J1 2009 第8節 名古屋×広島 @スカパー 
 名古屋にとってこの試合で最も危なかったシーンは75分に柏木のFKからファーサイドで森脇が抜け出しヘディングで合わせたシーンだった。この直前にピクシーは竹内から花井へとメンバー変更を行い「この試合を勝ちに行く」というメッセージをピッチにいる選手達に対して伝えていたわけだが、セットプレーの直前に選手交代を行うことの危険性は昨シーズン終盤の第31節・柏戦で学んでいるはずだし、何よりこのひとつ前の選手交代で巻を下げていた名古屋にとって、この場面でさらに竹内を下げることは飛び込んで来る相手と競り合う文字通りの「数」が絶対的に少なくなることを意味していた。案の定、中央で構える増川、吉田の二人の頭を越えて行ったボールはファーサイドをフリーで抜け出した森脇の頭ににピタリと照準が合い、たまたま当たりが浅かったから良かったものの、もしこれがしっかりと当たっていれば名古屋は失点を免れなかっただろう。この場面ではどう考えてもせめてこのセットプレーが終わるまで交代は待つのが妥当で、決して調子が良いわけではない広島に対して名古屋はベンチワークのミスによって危うく勝ち点3をプレゼントするところだった。

 正直なところ、俺は名古屋が広島のパス回しの前に晒されたらボールに触れないのではないかというぐらい過度な不安を試合前から抱いていた。しかしいざ蓋を開けて見れば、互いに前の試合から中二日という状況に変わりはないもののそのうち半日を移動に当てなければならなかった広島のコンディションは想像以上に悪く、また名古屋がマギヌンとバヤリッツァという両外国人を欠くのに合わせるかのように広島もミキッチとストヤノフを欠いていたこともあってかそのパフォーマンスにいつもの輝きは見られなかった。そんな状況でも広島は頑なにつなごうとする姿勢は見せていたわけだが、互いにコンディションが悪い中では、時にセイフティーファーストでスペースに蹴り出すドイツ的な一面を見せる名古屋の方が効率的な戦い方だったかもしれない。
 もちろん名古屋が広島相手に上手く戦っていたということもある。「相手に合わせた戦い方はしない」と公言するピクシーだが負傷者が続出していることもあって最近では試合ごとにフォーメーションを変更しており、ACLのニューカッスル戦(AWAY)ではついに“聖域”とも言える4バックにも手を付けた。そしてそこで好感触をつかんだピクシーはこの広島戦でも頭から3バックを採用しこれが広島の良さを消すことにつながった。
 第一のポイントは吉村をアンカーに据えてその前に中村と小川を並べる逆三角形の中盤。中村と小川を広島の攻撃の起点となるWボランチ(森崎と青山)にぶつけることでここから効果的なパスが出てくることを阻止し、あわよくばここでボールを奪ってショートカウンターにつなげる狙いだ。仮にここを抜け出されたとしても、名古屋は中村と小川を含めて一旦リトリートしてDFライン5枚+中盤3枚でブロックを作ってスペースを消し広島のパスワークを寸断してしまう。
 名古屋にとって最大の懸案材料であるバイタルエリアもこの新しいフォーメーション(3バック)では以前ほど気にならなくなってきている。ただそれは中盤の構成を変えてアンカーに吉村を置いたからではなく、DFラインが3枚(5枚)になったことで精神的に余裕が生まれた名古屋DFの「前」に対する意識が高まってきたからだろう。名古屋のDFラインは4バックの時には自分が食い付くことによって後ろにスペースを空けるリスクを背負うよりもラインを崩さず後退することを優先していたが、3バックになってからは自分が出ても後ろにカバーが2人いるという安心感で積極的にアプローチに行けているように感じる。

 こうした戦い方が出来るのならなぜ川崎戦でそれをやらなかったのかという話だが、一方で攻撃に目を転じてみるとこの新システムは必ずしも上手く行っていたとは言えず、本来の自分達の目指す戦い方という側面から見ればそれとは大きくかけ離れていたと言わざるを得ない。
 主力に怪我人が続いたこともあってか、ピクシーはこのところフォーメーション同様に日替わりで若手プレーヤーをピックアップして先発で起用している。そして前節の津田に続いてこの試合でチャンスを貰ったのは巻だった。巻にとっては待ちに待った今シーズンリーグ戦初先発であり、昨シーズンまで名古屋に在籍していた同タイプのヨンセンではなくダヴィとコンビを組みことでどういった化学反応が起きるのかに注目がが集まる。巻としてもそろそろ結果を出していかないと厳しいだろう。
 しかし結果から言えば、少なくとも現段階でダヴィとのコンビによって巻が生かされているとは言い切れず、2トップとしてのコンビネーションも皆無に近かった。またそれ以上に問題だったのはボックスの中で生きるタイプの巻が前線に張っていることで、トップ下に位置する小川や中村がボックスに飛び出す動きが制限されてしまったこと。中央に4人のアタッカーが集まる名古屋のアタッキングサードはちょっとした渋滞を引き起こしていた。阿部のクロスからバー直撃の惜しいヘディングシュートを放つなど、前節の津田と比べれば短い時間の中でも存在感を出した巻だったが、チームとしての機能性を求めるならばここには小川や中村と絡みながら攻撃に参加できるタイプのアタッカーが必要だろう。そしてもし巻がこのシステムで存在感を発揮しようと思うなら、そのためにはボールを持てばひたすらゴールを目指しシュートまで持って行くダヴィにもっと広範な(例えばチャンスメーカーとしての)仕事が求められることになるが、それにはまだ二人の信頼関係は十分ではないし、ただでさえチームとしての攻撃が上手く行かず「戦術はダヴィ」になりつつある現状の名古屋からしてみればこれは到底無理な相談かもしれない。

 この試合で圧倒的な存在感を放っていたのは言うまでもなくダヴィ。マークが一人二人ついていてもこれをものともしないで突破を図りシュートまで持って行くスケールはまさに桁違い。その凄さはサッカーを初めて観る人にも伝わったに違いない。お金を払って見る価値のあるプレーヤーだ。だからこそここにマークが集中する裏(スキ)を突けるようなアタッカーがいなかった(小川が稀にこれに絡んだ程度)ことは名古屋にとって大きな課題だし、おそらく玉田やマギヌンの離脱によって自分が何とかしなければならないと一層強く思っているに違いないダヴィの負担を軽減させられるような攻撃を名古屋が構成出来るようになることを期待したい。
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by tknr0326g8 | 2009-04-30 23:53 | Game Review
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