Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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JFAプレミアカップ2009 大会第2日 @Jヴィレッジ
 大会二日目はグループリーグ最終戦と決勝トーナメント一回戦。もちろんグループリーグで敗退すれば即大会は終了となる。名古屋は昨日の二試合で勝ち点6を稼いでいるので引き分け以上なら決勝トーナメント進出確定。仮に負けたとしても得失点差を考えれば大敗でもしない限りトーナメントに進める有利な状況にある。ただ昨日も書いたように、名古屋は狙って引き分けに持ち込めるほど器用な戦い方の出来るチームではない(むしろ下手に引き分けを意識すれば自滅する可能性の方が高い)ので、いつも通りアグレッシブに攻めて勝ち点3と首位通過を狙って行って欲しいところ。

 名古屋の先発はベストメンバー。

     曽雌    北川

伊藤   金    真柄   石川

中島   松田  ニッキ  後藤

        板倉

 試合は開始早々に動く。右サイド後藤からのダイアゴナルなパスを受けた曽雌がトラップ一発でスペースへとボールを運びマーカーを置き去りにするとそのまま飛び出して来た相手GKの脇を抜くように右足でシュートを決めた。名古屋はキックオフからこの試合を通じてトップに当てるボールが正直過ぎて(強引過ぎて)ことごとく相手DFに引っ掛かっていたのだが、このシーンでは珍しく後藤から曽雌にキレイにボールが入った。こうしてボールを受けられれば個人能力の高い名古屋は確実にシュートまで持って行ける。

 しかし幸先良く先制したところまでは良かったものの、その後ゲームの主導権を握っていたのはどちらかと言えばアカデミーの方だった。アカデミーはやはりアカデミーで、現代日本サッカーの教科書のようなパスのつなぎそしてディフェンスをするチーム。そしてそのプレースタイルは強引なまでに野性的な名古屋を相手にするととても洗練されたものに見えてきた。
 クサビのパスがことごとく相手に引っ掛かる名古屋は次第に攻撃がスペースを狙ったロングボール一辺倒になってきた。もしかしたらそれは選手達の判断でアカデミーの浅い相手DFの裏を突くパスを執拗に狙っていたのかもしれないが、それにしても対照的な両チームの戦い方は、ひと言で表現するならば、「フリーの味方を見つけてつないでくるアカデミーと、空いているスペースを見つけて蹴ってくる名古屋」といった感じ。個々の能力が高い名古屋からしてみれば、スペースに蹴って前線のアタッカーに拾わせ個人技で勝負を掛けるのは確かに効率的かもしれないが、常にボールロストの可能性の少ない方を選択するアカデミーの支配率が次第に高まっていったのもまた必然の結果だった。

 守備についても、しっかりと連動してボールを追い込み最後のところでは一人が抜かれてもすぐにカバーリングがやって来るアカデミーに対して、組織というよりは「頑張る」「1対1で負けない」そして「(最終ラインは)セーフティー」がキーワードな名古屋は、前からプレッシャーを掛けに行っても上手くパスで逃げられてしまい(むしろ一発で取りに行って交わされピンチを招くことの方が多かった)、また最終ラインもラインを揃えたりコントロールしたりといったことをしないので簡単にギャップを作ってそこに走り込まれたりDFとDFの間に斜めに走られると対処のしようがなかった。アカデミーの攻撃陣からしてみたら、普段の(攻撃の)トレーニングの成果を実感しながら試合を進められていたのではないだろうか。

 とは言え、ゲームのコントロールと決定機の数や勝敗ではまた別の話であるのも確かで、アカデミーがなかなかフィニッシュまで辿り着けないのに対して、名古屋は単発ながらも前半には前線に出て行ってペナルティエリアでボールを受けた金が軽やかなステップでGKまで交わしてシュートを放ったり(戻ってきたDFがゴールライン上でクリア)、後半開始後も裏へのシンプルなタテパスから北川や曽雌が抜け出して、曽雌がGKとの1対1を二度迎えるなど決定的なチャンスを作り出していた。決まっていればもっと良かったがこのあたりはさすがとしか言いようがない。

 もし名古屋が個人技を生かしつつチームとしてゲームをコントロールするような戦い方をするチームであったならば、俺はこの試合をもっと安心して観ることが出来ただろう。去年のクラ選で同じくJFAアカデミーと対戦した黄金世代の時と同じく「相手は良いサッカーをしているけど怖さがない」とかなんとか言いながら。しかしどちらかと言えばゲームをコントロールしているのがアカデミーの方という状況では、そんな余裕を持つこと自体不可能だった。
 そしてなんとかこのまま頑張って試合が終わってくれれば良いなと思っていると、左サイドでボールホルダーに対して二人行ってしまった隙を突かれて裏のスペースを使われサイドをエグられると、そこから上げられたクロスボールをファーサイドでフリー(頭)で合わされて同点に追い付かれてしまった。アカデミーとしては快心の崩しで、彼等が喜びを爆発させていたのは決してこれで決勝トーナメントが近付いたからだとか格上の名古屋に対して後半のこの時間帯にイーブンスコアに持ち込んだからだけではなく、その崩しが動画に撮ってテキストに出来るほど鮮やかだったからに違いない。

 パスを回されることでプレスが無力化してしまい流れの悪い名古屋は石川に代えて森を投入し、さらに曽雌に代えて加藤を投入すると、森をトップ下に動かし4-2-3-1のような形になる。そしてベンチからはトップ下に入った森に対して相手のボランチを見るようにという指示が飛んだ。さすがにここまで自由にボールを動かされては反撃もままならないとベンチも踏んだのだろう。もともとリトリートして守るようなチームではないので、4+4でブロックを作るよりもこの方が理に適っている。
 というか、そもそも俺はこのチームの特徴を考えるならばバルセロナ風の4-3-3にするのが良いのではないかとずっと思っていた。最近のチームは大抵4バックなので、前から本気でプレッシャーを掛けて追い込んで行く今のスタイルは3トップの方がずっと効率もバランスも良く、バランスが改善されれば前掛かりになり過ぎてカウンターを喰らう機会も減るに違いない。攻撃面を考えても局面での個人技による仕掛けを重視するのであればこのシステムは最適だ。

 とまあそんな余談は置いておいて、システム変更によっていくらか名古屋の守備もバランスが改善され、その後は一進一退の潰し合いとなりゲームはそのまま1-1で終了となった。そして得失点差により名古屋は二位で決勝トーナメント進出を決めた。

 決勝トーナメント初戦の相手は清水。言わずと知れた東海大会の決勝で敗れた相手だが、この大会も絶好調らしい清水はグループリーグを唯一全勝で勝ち抜いている。手の内を知られてるという意味でも決して「隙がない戦い方」ではない名古屋にとっては難しい戦いになるだろう。実際試合前のベンチでは清水は戦術ボードを使って念入りに確認を行っていた。
 名古屋のスタメンはこんな↓感じ。右サイドで今大会これまであまり見せ場のない石川を外して絶好調の森を投入している。

     曽雌    北川

伊藤   金    真柄   森

中島   松田  ニッキ  後藤

        板倉

 キックオフ前になってピッチには突然やや強い風が吹き始めた。それは試合に影響を及ぼすレベルのものだったが、選手が入場しコイントスの場面になって俺に名古屋の勝利を確信させる出来事が起こる。コートの選択権を得たのは清水だったが、清水のキャプテンはベンチの方に向き直って(風上か風下)どっちにしたら良いのか聞いていたのだ。そんなことも自分達で決められないようなチームに名古屋が負けるはずはない。そして東海大会決勝の雪辱に燃える名古屋はいつになく気合が入っている。この試合イケると俺が思った瞬間だった。

 そしていざ試合が始まると風上の名古屋が清水を一方的に押し込んで行く。この試合の名古屋のパフォーマンスはおそらく今大会(これまで)のベストパフォーマンスで、それは手の内がどうとか細かいことを言っている場合ではないぐらい気持の入った戦い方だった。清水がグループリーグでどいった相手とどういった戦い方をしていたのかは、残念ながら全ての試合が同時間キックオフだったので分からないが、名古屋はグループリーグで激しい当たりにもまれてきた経験が生きているように感じられた。名古屋がグループリーグで当たったチームと比べても清水はガツガツ来ないし明らかに“お上品”な感じがする。これが東海のスタンダードだとしたら、名古屋は大会を通してその上のレベルへとステップアップしたということだろう。
 バイタルエリアでクサビのボールを受けようとする北川へのプレッシャーがグループリーグからは信じられないぐらい緩い清水に対して、名古屋はそこを基点として次々と攻撃を組み立てて行く。そして相手を押し込んで獲得したコーナーキックから清水のGKがカブったところを北川が頭で押し込み名古屋は狙い通り先制。清水のGKは自らのゴールキックが押し戻されるほどの風に対して相当ナーバスになっており、これはセットプレーのたびに微妙にGKを外して蹴れば何かが起きるなと思っていると、またしてもコーナーキックから真柄がGKの頭越しに蹴ったボ―ルが風にも乗って直接反対側のサイドネットに突き刺さった。まさしく往年のピクシーのような軌道を描いたゴール。

 前半に風上で掴んだ名古屋の良いリズムは後半になっても途切れることはなかった。リズムが良いとこうもボールが動くのかというほどいつになくパスも回せているし、守備に回っても前線からのアグレッシブなチェイスからボールが出た先で相手の前に入ってカットすることが出来ている。名古屋らしい戦い方だ。そして守備面では二人の三年生、真柄とニッキがとてもよく効いていた。得点で気を良くしたというのもあるのだろう、中盤に出てくるボールは真柄が潰して潰して潰しまくる。そして相手が蹴って来る長いボールはニッキが圧倒的な高さでことごとくはね返す。二年生のチームに“オーバーエイジ”としてこの二人を選んだ理由はこうしたシーンを見ているとよく分かる。

 そして清水にペースを明け渡すことなく試合を進める名古屋は例によって清水DFラインの前でボールを受けた北川がキープして右サイド大外をもの凄い勢いで回ってDFラインの裏へ飛び出した右SB後藤にスルーパスを送る。これを受けた後藤は落ち着いてコントロールすると左足で豪快に蹴り込み試合を決定付ける三点目を獲得したのだった。

 その後ロスタイムにおまけのようなPK――確かに清水FWの足にGKが引っ掛かっていたかもしれないが、試合を通してあまり接触プレーを取らなかった基準からすれば流していても不思議ではなかった。むしろバランスを崩しても倒れなかった清水FWへのご褒美的なPKだった――で失点し、最終的には3-1というスコアになったが、内容的に見ても完勝で今大会ようやく名古屋らしさの出た試合だったと言えるだろう。

 決勝に向けて心配な要素があるとすれば、試合終盤に、後藤、伊藤、北川が相次いで足を痛め交代したこと。気持ちのこもったハードな試合をした代償だろうか。特に三点目を決めて勢いに乗っていた後藤の状態が最も深刻でおそらく捻挫だと思うが明日の試合の出場はまず難しいだろう(もちろん試合の大勢が決した後で交代枠も7つあるのでベンチが大事を取って交代させた可能性もある)。ただ控えにもそれぞれに個性的で能力の高い選手が揃っているこのチームは代わりの選手が出場したとしてもそれに負けないぐらいのパフォーマンスを見せてくれるに違いない。名古屋にはこの試合の良いイメージを持って明日の大舞台でも伸び伸びと戦い良い試合を見せて欲しい。
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by tknr0326g8 | 2009-05-04 22:50 | Youth
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