Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30
カテゴリ
最新の記事
以前の記事
プリンスリーグ東海2009 第5節 名古屋U-18×藤枝明誠 @藤枝
 GWユースの旅の締めくくりは藤枝。もちろん名古屋U-18が6年連続の高円宮杯出場を賭けて戦っているプリンスリーグ東海・第5節の観戦。名古屋は昨年の高円宮杯準優勝の副賞として4月にドイツで開催されたSBCカップに出場していたので他のチームより消化試合数が二試合少なくこれが三試合目となるが、前節の四日市中央工業との試合ではチームにとってこの大会では二年ぶりとなるまさかの黒星を喫している。全9試合という短い行程においてこういった取りこぼしは致命傷になるが、幸いなのは今年のプリンス東海が例年になく混戦の様相を呈していることと、過去の全国大会(高円宮杯)で名古屋が頑張って結果を残したことにより東海地区には「3枠」が与えられていることだろうか。

 というわけで、名古屋にとっては気を取り直して臨まなければならないリーグ三戦目。相手となるのは今年のプリンス東海に波乱を引き起こしている台風の目・藤枝明誠だ。シーズン前は今年も名古屋、磐田、静学の三強を中心にリーグ戦が回るものだとばかり思っていた(その中でも磐田が少し抜けているかなという感じ)が、藤枝明誠は開幕戦で藤枝東を3-0と退けると第二節では三強の一角静学を3-2と振り切ってここまで破竹の4連勝を続けている。もちろん第四節終了時のリーグ首位であり現時点で高円宮杯に最も近いチームである。GW最終日ぐらいはのんびりと家でACLでも観戦しようかと考えていた俺の足を藤枝まで向かわせたのはそんな藤枝明誠を見てみたかったからというのもある。

 さっそく試合について書きたいところだが、その前に第一試合で観た清水と磐田の静岡ダービーを簡単にレヴュー。局面での1対1で優位に立ちキックオフからペースを握った磐田の今年のユースは個々のプレーヤーの能力がフィジカル面も含めて高いように感じられる。そして幸先よく先制した磐田に対して、清水はパスをつないで組み立てようとしているのだがミスもあってこれが全くとつながらない。磐田は最終ラインと中盤が4+4でキレイにラインを作りコンパクトに保っているので、清水はこの中に入って行こうとすると必ずと言っていいほどボールを失ってしまっていた。
 清水はちょっとこのままではシュートすらままならないなと思っていると、ハーフタイムを挟んだ後半からロングボールで磐田DFラインの裏を突く作戦に変更しこれを徹底的に続けてきた。最後のところでは磐田のDFラインがなんとか身体を張って防いでいたが、2トップがクロスしながら磐田DFの裏に走り込んだり、FWがクサビを受けるフリをして一旦下がって(磐田DFが喰い付いてきたところで)出来たギャップに2列目・3列目から勢いよく走り込んだりと随分手慣れた感じもするこの攻撃によって、後半の磐田は自陣に釘付けになっていたと言っても過言ではない。そして清水が諦めずに攻め続けた結果がロスタイムの劇的な同点ゴールにつながったのだった。
b0036243_21562331.jpg


 優勝候補の磐田が予想外のもたつきをみせていることで名古屋にも光が見えてきた。そしてそれはこの試合で首位(無敗)の藤枝明誠を叩くことによって確固たるものとなる。そしてそんな大事な試合を前に名古屋はスタメンに手を加えてきた。

      高原   奥村

小幡   矢田   近藤  三浦

安藤   岩田    岸   金編

         古川

 矢田のFW起用というのをちゃんと見たことがないのでそれ自体については何とも言えないが、個人的には(選手がベストコンディションという前提で)このチームでは2トップは奥村と高原の組み合わせがベストだと思っている。DFラインと駆け引きしながら裏を狙う高原と引いて来てクサビを受ける奥村という役割分担にすればバランスが良いし、何よりアタッキングエリアでドリブルで積極的に仕掛けられる高原はチームに勢いをもたらすことが出来る存在だ。2月から3月にかけてジャパンユースで見た時には、そのドリブルは高校レベルでも十分通用するどころかむしろファールでしか止められないようなシーンも少なくはなく、間違いなく相手チームにとっての脅威になるだろうと俺は確信していた。これを使わない手はない。
 金編のスタメン復帰もうれしい要素。そもそもなぜ金編がスタメンから外れていたのか(コンディションでも悪かったのか)俺には全く理解できないが、岸とともに昨年のクラブユース~高円宮杯で全国の舞台を踏んできた金編の貢献なくしてこのチームの躍進は有り得ない。昨年一年間で宇佐美(G大阪)や原口(浦和)といった同年代のスタープレーヤー達と公式戦でマッチアップした経験は今シーズン活かさなければならない。

 名古屋はキックオフから相手の出方を見るような試合の入り方をしていた。さすがに開幕4連勝中の相手ということで慎重になっていたのだろうか。そしてそんな展開の中、開始5分と経たないうちに名古屋は予想外の先制ゴールを許してしまう。明誠の右SHが持ったボールに対して名古屋は左SBの安藤を含む3人ぐらいでボールを奪いに行ったにも関わらずボールを獲り切れなかったことで、空けた左SBのスペースにボールを流し込まれ、ペナルティエリアの左側に掛かるか掛からないかといった場所でそこに流れてきた明誠のFW(11番)と岸が1対1でマッチアップするような状況になった。そして明誠の11番は軽くステップを踏んでフェイントを入れるや予備動作のほとんどないシュートを名古屋ゴールにねじ込んだのだった。角度がほとんどなかったこともあって最初は誰もがサイドネットに引っ掛かったのだと思ったシュートは、その強烈なパワーや振り足の速さと合わさって、リアクションとして表現するなら「はっ?!」という感じ。この時ようやく俺を含むスタンドの観客は「明誠の前線に何だか分からないけど凄い選手がいる」ことに気付いたのだった。

 その後もその11番は名古屋に脅威を与え続けていた。ロングボールの競り合いでは岸を寄せ付けないほどだったから身長もおそらく岸と同じがそれ以上あるのだろうが、身体の厚み(筋肉の付き方)やバネが全然違う感じがして、サイズやプレースタイルは異なるが雰囲気はどことなく指宿(ジローナ)に似ている感じがする。そして愛知県に生まれていたならば間違いなく今頃は高校球児(もちろんエースで四番)だったであろう彼の他にも、明誠はサイズがあり動ける選手を揃えている。先制点のシーンで11にパスを出した右サイドの選手や、ロングボールをことごとくはね返していた最終ラインもかなり大きい。そして左サイドハーフの9番は金編との1対1で何度かスピードで置き去りにしていたぐらいだから、(金編のコンディションがどうだったのかは不明だが)相当なスピードの持ち主なのだろう。
 そして明誠の攻撃は11番の高さ・強さから逆算してプログラミングされている。といっても単純に11番に向かって放り込むというのではなく、11番にクロスを上げるにはどうやって組み立てたら良いのか、またそれをオトリに使って周りの選手がゴールを奪うにはどうしたらいいのかがよく考えられている感じ。基本的にはフィジカルをベースとしたリアクションスタイルなのだが、今シーズン躍進を果たしたその強さの一端を垣間見ることが出来た。

 そんな明誠に対して名古屋はDFラインでゆっくりとパスを回しながら呼吸を整え少しづつ反撃を開始する。上でも書いたようにセンターバックがともに大柄な明誠にはロングボールを蹴っても簡単にはね返されてしまうので、名古屋はパスをつなぎながらアタッキングエリアに入ったところでスピードアップして攻撃を仕掛けるイメージだ。そして段々とリズムが出てきた名古屋はサイドに振ってのドリブル突破からチャンスを作り、高原や奥村が相次いでシュートを放った。特に高原はゴール前でクロスに対して二度の決定機を迎えるなど、消えている時間も多いが出てくるべきところは必ず出てくる頼もしいストライカーだ。そして明誠がすっかり守備モードに入ってしまったので前半のうちに追いつきたかった名古屋だったが得点を奪うまでには至らず前半を終了する。

 後半は、小雨が降り注ぐ中名古屋がピッチ上に揃っているにも関わらず5分近くも控室から出てこないというとんだ“ホームアドバンテージ”ぶりを発揮した明誠に対して選手達が集中を切らしてしまったのか、名古屋はミスを連発してどことなくバタバタした立ち上がりとなったが、時間とともに再び名古屋が主導権を握ることに成功する。中盤が前を向いてボールを持てればビッグチャンスを作れる名古屋は、相手に当たり負けすることも少なくなり精力的に中盤でボールを拾って前線あるいはサイドにボールを配給出来ていた。そして最終ラインでも明誠の攻撃の核である11番に対して後半は岸からマークをスイッチした岩田が競り負けず堂々渡り合う。このチームのキャプテンでもある岩田の意地と身体能力の高さが垣間見られた場面でもある。

 そしてそんな展開の中、名古屋はサイドチェンジのボールを受けた小幡の後ろを安藤が回って2対1の状況を作ると、小幡のパスを受けた安藤が目の前のDFをフェイントで幻惑し一瞬マークが離れたところで中にクロスボールを入れる。するとこのクロスボールがキックミスとなり明誠GKの頭上を越えゴールへと吸い込まれた。蹴った安藤本人もビックリのゴールはどことなくベンゲルのお別れゲームを思い出させるものだった。

 その後も猛攻を仕掛ける名古屋に対して動きの鈍ってきた明誠は危なくなればファールで止める状態になっており、後半の名古屋にはセットプレーからいくつものチャンスが訪れることになる。残念ながらそのどれもがゴールには結びつかなかったが、メインスタンドに座っていると「入った」と思えるシュートがいくつもあったことは事実で、またその中では右サイドからのキックを担当する矢田のキックの質と精度も光っていた。そう言えば去年の高円宮杯・Round16で同じここ藤枝でジュビロを粉砕したのはセットプレーから矢田の蹴ったボールに反応したアルベスだった。このコンビはベスト4でもコーナーキックからヘディングを叩き込んでいたわけだが、矢田のキックは当時からスピード・コースともに問題ないところに正確に送り込まれており、トップチームの右サイドからのキックカーにこのまま連れて帰りたいぐらいだ。

 そして試合はその後スコアも動くことはなく1-1のまま終了。名古屋としては決めるチャンスがいくつもあっただけに(後半、中盤でボールを拾った明誠の11番がループ気味に放ったミドルシュートがバーを直撃したシーンなどもあったが・・・)勝てる試合だったし勝ちたい試合だった。こういう相手に対してキチッと勝ち点3を奪えるようなそんな勝負強さと粘り強さをこのチームには持って欲しい。この1ポイントが後になって効いてくるのかそれとも-2となって足を引っ張るのかは、名古屋にとっては週末の清水商業戦、来週の清水戦に掛かってくるだろう。ここで勝ち点6を取り切って中断に入れるかどうかは今後に向けた大きな分岐点に違いない。

 気になった点があるとすれば、まず奥村へのクサビのボールが入った後のサポートが遅いこと。以前(2月頃の勝てていた試合)は両SHはもとより近藤あたりももっとそれに絡んでいく動きを見せていた。あとはどちらかと言えばタテ(あるいは前方の小幡)に入ったボールに対してすぐにサポートに入りますよというようなポジショニングを取っている左SBの安藤が、もう少し後ろでボールを回している時(あるいはGKがボールを持った時)ボールを引き出せるようなポジションを取ってあげられればチームももっと楽になるのではないかということ。前にボールが入ったらすぐにサポートに入ってサイドで数的優位を作ること自体は良いのだが、ついついそういうことも考えてしまうのは、トップチームの阿部であったり二年前の中田健太郎であったり昨年の本多であったりといった攻撃(ビルドアップ)の起点としての左SBのイメージが強過ぎるからだろうか。

 一方藤枝明誠にとっては、昨年の覇者名古屋と引き分けたことで高円宮杯出場に向けてまた一歩近づいた。確かに今の彼等は手堅いがこれが全国で通用するのかと言えばまだ難しいであろうことも事実。万が一名古屋が3位以内に入れなかった時には彼等に総体でファイナリストになってもらわないと困るので、中断期間中を利用して更なる強化に取り組んでくれることを陰ながら応援したい。
b0036243_026161.jpg

[PR]
by tknr0326g8 | 2009-05-07 00:27 | Youth
<< 関東大学リーグ 第6節 流経×... JFAプレミアカップ2009 ... >>