Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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ACL 第6節 北京×名古屋 @BS朝日
 シーズン序盤のホームゲームでややもたつきを見せたものの過密日程期間に予想以上の健闘を見せたことで一試合を残してグループ首位を確定させた名古屋にとってこの北京との試合は言わば消化試合だった。となると必然的に試合の結果はおろか内容についても関心は薄れるわけだが、主力の疲労や怪我の回避また経験を積ませる目的で若手を起用するとなれば話は別で、普段お目にかかる機会が殆どなくまたユース出身者が多く燻っているセカンドチームの面々がこの国際舞台でどういったプレーを見せるのかはある意味でトップチームのそれよりも遥かに興味深い。あとは前日の鹿島と上海の試合を見るまでもなくサッカーだか格闘技だか分からない試合になりやすいAWAYでの中国のチームとの試合で彼等に怪我がないことを願うのみだ。唯一それだけが俺が今回の若手起用に対して消極的になっていることで、「大人」のプレーヤーであれば経験によってある程度は回避できるかもしれないアクシデントを若いプレーやがどこまで未然に防ぎながらプレー出来るのか。マスコミからはほとんど葬り去られているが、柏の比嘉のような悲劇が繰り返されることだけはあってはならない。

 名古屋のスタメンのうちトップチームでコンスタントに出場機会を得ているのはDFの吉田とMF山口のみで残りは普段のサブメンバーとセカンドチームの若手によって構成されていた。かつて日本のチームにとってアジアのカップ戦の位置付けが低く、著しくレベルの低いチームが大会への参加を認められていた頃、名古屋は初めて天皇杯を制した翌年のアジアカップウィナーズカップのグループリーグでは森山や中西といった普段の交代要員を主軸にしたメンバ-構成で監督もコーチだった田中孝司が務めていたことを思い出す。
 この試合のメンバー構成について言うなら、人材が不足しているCBの吉田はともかくとして中堅と呼んで良い山口をこの試合で敢えて使う必要があるのかという点だけが個人的には疑問だったが、山口のようないわゆる「兄貴分」的なプレーヤーを混ぜておくことはこうした若いチームを機能させる上で必要なことだとピクシーも判断したのだろう。実際にゲームの中で山口が経験に見合った圧倒的にな存在感を見せたかと言えば決してそういうわけではなかったが、この試合で彼が巻いていたキャプテンマークにそうした期待がヒシヒシと感じられた。

 試合は名古屋の若手が積極的なプレーを見せる展開でスタート。若手特有のペース配分を無視したプレーに若干の不安は覚えたものの、普段トップチームのスロースターターぶりを見せらている身からすればかなり新鮮な光景だった。選手起用について(例えばベンゲルのような)冒険は好まないピクシーの前で、普段なかなかチャンスが巡って来ない若手にとってこれはまたとないアピールの場でもある。それを生かそうとする選手達の前向きな姿勢は観ていても微笑ましい。

 しかし積極的なプレーとは裏腹にサッカーのクオリティ自体は決して高いものではなかった。最前線に巻を据えその下に(右から)津田、花井、新川というアタッカーを並べる名古屋だが、北京の前からのプレッシャーが厳しいこともあってか攻撃の組み立てはロングボール主体で、そのロングボール自体もかなりアバウトな状態。吉田と増川の間で頻繁にボールを動かしながら最後は阿部が長短のパスを織り交ぜてゲームを組み立てていくトップチームのスタイルと比べると、それはひどく成り行き任せなもの映った。最終ラインでしっかりとつなげるのが吉田一人ではさすがに厳しい。ゲームメークという面で阿部と佐藤では比べるべくもないが、CBに入った竹内が(何度か前線に良いクサビのボールを入れたりもしていたが)全くビルドアップに貢献出来ていなかったのは少し意外だった。以前フェルフォーセンがエルゴラか何かのインタビューで「竹内はタッチラインを背負うと上手くパスを出せなくなってしまう(だから自分はSBでは起用しなかった)」と語っていたことがあったが、どうやらそれはCBでも同じだったようだ。入団時の触れ込みでは確か大森のようなプレースタイルというのがあったはずだが、すっかりパワー(SBではパワフルなアップダウン)が売りのプレーヤーになってしまったのだろうか。
 こうなると名古屋は花井がもっとゲームメークに絡んで来ないと攻撃が形にならない。確かに花井のポジションは巻と縦関係の2トップにも見えるようなトップ下でそこでの仕事は過不足なくこなそうとしていたが、普段のトップチームで玉田がやっているようにもっと下がって来てボールに触るような仕事を積極的にこなしても良かったようにも思えた。新川のゴールへとつながった直接FK(春先の愛知学院大との試合でも同じような位置から決めていたので十中八九決めるぐらいの精度があるのだろう)をはじめトップチームと比べても遥かに可能性を感じさせたセットとプレーのキッカーとしては十分すぎる存在感を示していただけに、花井はゲームの中でもっとボールに触って自己主張を感じさせても良いと思うし、チームにおける絶対的なプレーヤーになるべく次なるステップを意識してプレーして欲しい。

 新川のプロとしての公式戦初ゴールによって1-0で折り返し迎えた後半は(名古屋の)接触プレーのひとつひとつに対して厳しく笛を吹くレフェリーとの闘いでもあったが、前掛かりに出てくる北京に対して体力的にも厳しい戦いを強いられていた。北京がDFラインをかなり高く押し上げていたので、カウンターから北京DFラインの裏に広く広がるスペースを使えればチャンスは出来るだろうと思いながら見ていたのだが、最前線にいるのが巻ではそれもままならない。個人的にはキープ力とスピードがある選手(津田や新川)をピッチに残して彼等を前線に配置した方が良いと思ったし、杉本を投入するにしてもより前線(相手ゴール)に近い位置の方が良いだろうと思ったのだが、ゲーム自体がロングボールの多い展開だったためか最前線から高さのある巻が外されることはなく、また津田と代わって入った杉本も右サイドに張り付いてしまった。何度かカウンターのチャンスを迎えながらも名古屋が追加点を奪えなかったことはある意味必然であり、自らそれに蓋をしてしまっていた部分も少なからずあったと言えるだろう。

 後半の失点シーンはこの試合の名古屋を象徴しているような展開だった。最終ラインからつなげない名古屋はなんとか最終ラインで北京の攻撃を喰い止めてもパスが全部クリアになってしまう。そしてそれを拾われ波状攻撃を受ける苦しい展開の連続から最後は竹内がピッチに足を取られる不運もあり中央から豪快なシュートを決められてしまった。まあ竹内がピッチに足を取られたのはこの場面だけでなく、前半に決定的なピンチを招いた13分ぐらいのシーンで足を滑らせたことでクサビを受けた選手に対する寄せが甘くなり難なく前を向かれてスルーパスを通された(そこからのクロスに対してクサビを受けた選手が再びゴール前へと詰めた)シーンでも見られたし、それももっともとをただせばアッサリとクサビのボールを通されてバイタルエリアでフリーにさせるという(まさしくピクシーが試合前に語っていた通り)人が変わっても名古屋のサッカーは変わらないというわけで、組織的な欠点まで引き継いでしまったことに起因する。

 クサビのボールを当てて相手DFを中央へと引き寄せサイドから裏のスペースを使うのが狙いの北京に対して、名古屋は前半佐藤の裏のスペースを狙われるシーンが目立っていた。佐藤は相手の右SHに対して比較的早いタイミングから積極的にアプローチに行ってしまうのでこの試合でCBの左側に入った吉田との間にギャップを作りやすい。これに対して北京は2トップのうち一方がクサビを受け、もう一方(特にJ・グリフィス)がそのスペースに流れてチャンスを作りだしていたのだった。後半になるとDFライン全体がスライドしながら吉田が早いタイミングでカバーに入ってそのスペースを消せるようになっていたが、今度は(名古屋にとっての)右サイドから9番の選手が積極的に松尾との1対1を仕掛けたりと、北京の攻撃におけるサイドの使い方は同じくサイドアタックを売りにする名古屋のそれと比べてもこの試合ではそれを上回るものだったと言っても過言ではない。

 後半の名古屋に関して言えば、見所の一つは福島に代えて田口が入ったことで花井が一列下がってボランチに入ったこと。後ろに行くほど経験をベースとした信頼の置ける選手を使いたがるピクシーの中で、花井はまだトップチームではより負担の少ない攻撃的なポジションでしか起用されていない。しかしセカンドチームにおいては例えばこの田口との関係においてこの序列は逆転する。かくして田口が攻撃的なポジション、花井がボランチという夢のコラボが実現したわけだが、心なしかボールに触れる機会の多いボランチの方が花井のプレー(動き)に躍動感があったように感じたのは気のせいだろうか。花井が「名古屋ユースの最高傑作」と言われる由縁はなにもその優れたテクニックだけではない。見掛けによらず身体能力が高く守備での1対1もそこいらのボランチよりはよっぽど強い。花井ならトップチームでも十分にボランチとしてプレー出来るだろう。もちろん今のトップチームでのボランチの役割に花井をそのまま当てはめることは出来ないし、花井の能力を最大限に生かすためにはより守備に強い選手と組み合わせた方がベターではあるが。

 勝ち点3こそ逃したもののAWAYで勝ち点1を獲得したほぼセカンドチームと言っていい名古屋。この試合が彼等が今後少しづつ出場機会を増やしていくためのフックとなってくれたらうれしいが、W杯予選に伴う中断期間をOFFにして休養に充てるトップチームに合わせてセカンドチームまでOFFにしてしまうことには少し疑問も感じる。伸び盛りの彼等をみすみす休ませておく手はないし、かつて上田滋夢がやったように海外にでも遠征させる(しかもその時は「移動も含めて将来アジアで戦うことを想定して」行われていた)べきではないだろうか。昨シーズン開幕から絶好調だった杉本がナビスコカップの浦和戦でハットトリックを達成した直後中断に入りOFFを経て戻って来たらすっかり普通の選手になっていたことを忘れてはいけない。
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by tknr0326g8 | 2009-05-24 05:53 | Game Review
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