Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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J1 2009 第16節 名古屋×G大阪 @豊田スタジアム 
 ともに不振にあえぐ名古屋とG大阪の生き残りを賭けた戦い。しかしG大阪が徳俵に足を乗っけている一方で名古屋は既に死線に片足を突っ込んでいる状況であり、経験豊富な主力選手がいてチームとしての基盤もしっかりしているG大阪の方に一日の長があることに疑いの余地はない。まして名古屋は出場停止の増川に加えて吉田も負傷欠場と(無期限帰国中のバヤリッツァも含めて)レギュラー格のCBが一人もいない緊急事態。名古屋ファンからすればこれで楽観的になれという方が到底無理な話だ。

 そんなわけで少しでも希望を見出そうと俺もご多分に漏れずキックオフの8時間前(10:00)にはトヨスポにいた。目当てはもちろん愛知学院大学とのトレーニングマッチに出場する“ジーザス”ことオーストラリア代表FWケネディだ。残念ながら10分遅れてトヨスポに到着した俺はケネディのゴールを見逃した上、ケネディ自身も前半45分で交代してしまったのでそれほど長い時間そのプレーを拝めたわけではなかったが、194cmの高さというよりも足元でボールを収める上手さのようなものが印象に残った。まあまだトレーニングマッチなのでファール覚悟で当たって来るDFもいなければ、ケネディもチームメートもお互いに手探り状態とうこともあって、その力量をこの試合だけで測ることは到底出来ないわけだが。
 そしてそんなトレーニングマッチでは前日の18時から公式戦(プリンスリーグ)にスタメン出場していたユースの選手達が小幡とGKの三浦天を除いて全員出場していた。全員が上限45分の出場とそれなりに配慮はなされていたが、なかなかのハードスケジュールである。その中で目に付いた選手は後半にCBとして出場し落ち着いたつなぎを見せていた安藤。普段ユースでは左SBとしてプレーしているわけだが、左足の正確なキックでタテにヨコにとテンポ良くパスを捌いている様子を見ると、本職は多分ボランチなんだろうなという印象を受けた。
 それでもまだ試合までかなり時間があるので、その後は第二グラウンドに移動しプラチナ世代(U-14)のトレーニングマッチを二本目まで観戦。身体が大きくコンパクトな守備を見せる相手に対して一本目こそやや苦戦していた印象の名古屋だったが、二本目になるとボールを持ってもいきなりトップを狙うのではなく一旦中盤でポイントを作ってそこから相手DFの裏を狙うような作戦に切り替えて次々とチャンスを作り出し得点を重ねることが出来るようになった。このチームは今クラ選の東海大会を戦っているU-15に4人の選手を「飛び級」で派遣しているものの、丸ごと入れ替わった2トップをはじめ彼等の代わりに入った選手達が試合経験を重ねて随分と良いプレーを見せられるようになった。特に他のチームに行けば即エースというレベルの2トップなどは(もともと力はあったが)ここに来てさらに急成長を遂げているようでもある。

 と、かなり前置きが長くなってしまったが、ようやくG大阪戦。
 上にも書いたようにCBの一番手から三番手をごっそり欠いている名古屋は、ともに今シーズンは左右のSBの控えという位置付けにある竹内と佐藤がCBとして先発。もともとCBが本職の竹内はともかくとして、高卒二年目でプロになって攻撃的なポジションからSBに転向した佐藤は公式戦でCBを務めるのはおそらくこれが初めてだろう。ベンチ入りしているメンバーの中で唯一DF登録だった磯村とて本来は攻撃的なポジションの選手だし人手不足も甚だしい。かつて清商トリオを解雇した直後にCBが古賀とホミルドしかいなくなり平岡靖成を緊急補強した頃(騒動直後のナビスコカップでは山道高平がベンチ入りしていた)や、ネルシーニョ時代に角田が出場停止だったところに加えて翌節の試合中に秋田が鎖骨を骨折してCBが古賀しかいなくなり、本職はボランチの須藤右介と中島俊一(しかも中島は170cmそこそこだった)が古賀とともに3バックを形成していた時代を思い出す。カードトラブルと無縁ではいられないポジションだけに(バヤリッツァの復帰が見込めないことを考えても)中断期間中の補強は必須と思われ、もしそれが叶わないのであれば、現在ユニバ代表としてベオグラードで戦っている中京大学・森本良の特指なども視野に入れなければならないかもしれない。

 そんな名古屋に対して前線の豪華なタレントによる破壊的な攻撃力を誇るG大阪が前から圧力を掛けてきたら嫌だなと俺は思っていた。前から圧力と言ってもそれは決して前線からのディフェンスということだけではなくて、前線にそうした強力なアタッカーが並ぶだけで名古屋の急造DFにはかなりのプレッシャーとなるに違いないという意味で。
 しかしそんな一ファンの俺ですら半分腰が引けている状態であるにも関わらず、蓋を開けてみれば西野朗は何故かルーカス、播戸、山崎といったアタッカー達をベンチに温存し、あろうことか橋本を前線に起用するという奇想天外な策を打ち出してきた。大宮時代に記念すべきJ初ゴールを名古屋から記録しているレアンドロのスピードは依然脅威だが、これで気持ち的に少し楽になったのは俺だけだろうか。(逆に1-1で迎えた終盤にFC東京時代からの名古屋キラールーカスが交代で入って来た時は生きた心地がしなかったわけだが)

 とは言えG大阪の前線の迫力が少し薄れたからといって名古屋が試合のペースを握れるわけではもちろんない。人も新しければフォーメーションや戦術にも変更が加えられている名古屋はその新しいやり方が全くフィット(浸透)しておらず、むしろG大阪にゲームの支配を許す形となった。
 例えば守備面では後ろを楽にさせようという思いからか前半は二列目の中村が相手DFに対して積極的にプレッシャーを掛けに行くシーンが目立ち、逆に中盤とDFラインの間にスペースを空けてしまっていた。中村の激しいプレッシャーに対してG大阪が怖がって蹴ってくれれば楽なのだが、そこいらのインチキなパスサッカーとはモノが違うG大阪はそれぐらいはものともせずしっかりと中盤を経由してパスをつないで来る。そしてスカスカになった中盤で面白いようにトップにクサビを打ち込みながら二列目が絡んだ攻撃を組み立てて来るG大阪。先制ゴールもそうした展開から生まれている。
 また別の例を挙げれば、阿部が上がったスペースをG大阪が使おうとした時に、左CBの佐藤とワンボランチの山口がそのスペースを埋めようと同じ動きをしていたシーンもあった。もしこの戦い方を続けて行くのであれば、この辺りは戦術的にも整備が必要だろう。

 また名古屋にとってこの試合は前半からGKの楢﨑が足でボールを扱うことがとても多い試合だった。前線の動きがないためしっかりと組織を作って守られるとクサビのボールが入れられず途方に暮れてしまう名古屋はそのまま相手が前進して来るに連れて追い詰められてボールを後ろに戻すしかない手がなくなっていまう。G大阪のようにDFラインから中盤を経由してゲームを組み立てることが出来ない名古屋からしてみれば攻撃は前線のアタッカーの個人技が頼みの綱だが、彼等にボールを預けようにもなかなかそこまでボールが行き渡らなければ話にならない。中央(ダヴィ)がダメならサイドというわけで、大きな展開から左右に開いてポジションを取っていたマギヌンや玉田にボールを集めてそこから突破口を見出そうとしたり、チャンスと見るや二列目の中村や小川が思い切ってボックスに飛び込む姿も印象的だったが、そんな名古屋の攻撃もやはり単発な印象が拭えなかった。

 そんな展開の中名古屋が千載一遇のチャンスを掴んだのは前半ロスタイムに入ってからのこと。相手セットプレーの流れから一気のカウンターを発動し、ボールが左サイドライン際いっぱいに張る小川に渡ると、小川はG大阪DFラインの裏に飛び出したダヴィにスルーパス。完全に抜け出したダヴィがボックスまでボールを持ち込むと松代に引っ掛かって倒れてPKを獲得しこれをダヴィ自身が決めたのだった。確かこの間観たACL(水原三星戦)ではキックオフ直後に同じようなシチュエーションでシンプルにダヴィを使わなかった小川について言及した記憶があるが、このシーンでは何ら迷うことなくスムーズにパスが出ていた。とは言っても、後半に訪れた3対2ぐらいのカウンターの場面で、去年までなら相手DFの間にスルーパスを通して杉本のゴールを御膳立てしていたはずだが、ボールを持ち過ぎた末に敢えて安全なプレーを選択してチャンスをフイにしてしまった辺りはまだ思い切りが足りなかったり、自分が何とかしようとする気負いが大き過ぎるように感じてしまう。

 またキックオフから目立ったのはG大阪の選手達がマギヌンに対して思いっ切り削りに来ていたこと。川崎時代からの因縁が尾を引いているのか、それとも新潟戦のようにマギヌンがカッとなって報復に出る(そしてマギヌンをピッチ外に追い出す)のを期待しているのか、G大阪はクリーなイメージが強いチームだったがさすがにここは相手も必死だった。そしてそれに耐えたマギヌンには成長の証が感じられる。プレー自体にはまだ完全にフィットしていないように感じる場面もあったマギヌンだが、(新潟戦は早々に退場してしまったので)実質これが復帰第一戦目ということを考えればこれからどんどん上がって来るだろう。ブラジル人が得意とする夏に向けてダヴィとともに期待が集まる。 

 後半になると試合は体力の落ちた両チームの攻め合いの様相を呈してきたが、名古屋はベンチからの指示があったのか、それとも体力的な問題による必然的な流れか、自陣のペナルティエリア手前ぐらいでブロックを作って守り、前線の選手達が少ない人数で攻めるカウンタースタイルへと変化した。
 そしてそんな試合は一ファンとしての意見を言わせてもらうならば純粋に楽しめた試合だった。赤いチームと青いチーム、名古屋のチームと大阪のチームが互いの意地を懸けてなりふり構わず戦う姿はボクシングで言うところの足を止めた打ち合いで、攻守交代に伴って双方のスタンドから沸き上がる歓声の興奮といい、終了のゴング間際に劇的なノックアウト勝ちを飾ったのが仮にG大阪であったとしても俺はかなり満足することが出来たに違いない。

 逆転ゴールはG大阪のGK松代にとっては悪夢のようなシーンだったが、実はこのプレーには伏線があり、その少し前のシーンにおいてメインスタンド側(右サイド)で名古屋の選手に詰められた松代は、右足で直接タッチを割るように大きく蹴り出してクリアしている。これに対して松代の目線の先(ほぼ正面)にいたベンチの西野監督は「Why?」といった感じのゼスチャーで応えていた。ひょっとしたら松代にはこのシーンの残像が残っていたのかもしれない。そのすぐ後に訪れた問題のシーンでは左SBの下平からの横パスを受けた松代は丁寧に(無理に)つなごうとして巻にボールを奪われる羽目になってしまった。
 松代の股間を抜けたシュートは点々とゴールに向かって転がって行ったわけだが、ゴール裏のサポーターからしてみたらゴールに転がり込むまでの軌道を追う時間が長かった分、楽しみや喜びも増大したに違いない。そしてゴールを奪った巻は再開と同時にDFラインの中央へと陣取り、G大阪が蹴り込んできたロングボールをその頭でクリアしたところで主審は終了のホイッスルを鳴らしたのだった。まさに縦横無尽。出場時間僅か一分で攻守に決定的な仕事をやってのける巻のポテンシャルを垣間見た試合だった。
 ケネディの加入によって再び冬の時代へと突入することが濃厚となった巻だが、俺は例えケネディが上手く機能しなかったとしても、その刺激によって巻が育ってくれれば良いぐらいに割り切っている。かつてネルシーニョ監督時代に中山悟志の加入によって豊田陽平が(プチ)覚醒したように、ライバルの加入は思いもよらぬ化学反応を示すことは少なくない。刺激を受けた巻がこれで覚醒でもしてくれたらケネディ加入の元は十分取れる。
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by tknr0326g8 | 2009-07-08 01:52 | Game Review
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