Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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J1 2009 第20節 大分×名古屋 @スカパー
 モンテネグロ代表のブルザノビッチに続き(交渉が難航中と言われるものの)浦和の三都主獲得に動き出しているという名古屋。ダヴィに退団の可能性が生じた時点でオーストラリア代表のケネディ獲得に動くなどフロントの動きは迅速だし、このケネディの補強に関して言えば、仮にダヴィの慰留に成功していたとしてもダヴィとケネディという非常に噛み合わせの良い最強2トップが完成する隙の無さだ。残念ながらダヴィは退団してしまったが、そこで得た多額の移籍金によって他の選手を獲得出来るのであれば十分にお釣りが来る。
 そんな優秀なフロントに今最優先で求められている仕事は、三都主獲得を最低限の目標として、ピクシーが信頼出来る選手を年齢や特徴を問わず18人(出場停止や怪我を考えれば20人ぐらい)揃えることだろう。同じポジションのスタメンに退場や怪我などのアクシデントがあったり、チームが大量点でリードでもしない限り出場機会が巡って来そうもない頭数合わせのメンバー(この試合で言えば福島)はこのピクシーのチームには不要だし、彼等の出場を今か今かと待っている俺のような人間にとってこの状況はストレスでしかない。

 と、あくまでもピクシーの肩を持つならば、そんな感じで話はシンプルだ。(フロントも含め)チームとしてやるべきこともハッキリしている。だがこれは裏を返せばこの試合の最大の敗因がピクシー(の采配)にあることを意味しているし、みすみす勝ち点を2ポイント失った(勝てる試合w引き分けた)京都戦に続き、その選手交代のマズさによって名古屋がなかば自滅気味に勝ち点3を逃すことになったのは疑いようもない事実だと俺は思う。
 ピクシーはなぜ後半途中から足の止まっていた中村に代えて福島を投入しなかったのか。FW(玉田)を一枚削って中盤の枚数(吉村)を増やし、締めとして最終ラインにバヤリッツァを投入して逃げ切るという考え方は確かにある。しかし前線の枚数を増やして捨て身の総攻撃を仕掛ける大分に対し、ボックス内に人数だけ揃えてもその前でセカンドボールを拾えなければ、この試合のような結末(ロスタイムに2点を喰らっての逆転負け)になるのは必然とまでは言わなくても十分に起こり得る展開だ。中央に三枚の屈強なストッパー(増川、吉田、バヤリッツァ)を揃えながらも、その前のスペースがガラ空きで、そこからピンポイントクロスを上げたフェルナンジーニョに対して増川が当たりに行かなければならなかった一失点目や、ロングボールの競り合いにバヤリッツァと増川が重なってしまった二失点目など、終盤の名古屋は守備ブロックの機能不全が明らかで、名古屋に必要なのは最終ラインが余裕を持って対応を行えるような中盤のフィルターであり、それを行えるような運動量を持った選手を中盤に投入することだった。
 また守備の苦手な玉田やマギヌンといった選手を下げて守備固めを行うという発想や小川や阿部といったピクシーの「子供たち」を信頼する(期待する)気持ちは十分に理解出来るが、ミッドウィークのナビスコカップにフル出場を果たしたばかりの小川や阿部がディテールでのプレー精度に問題を抱えたままプレーを続ける一方で、ナビスコカップでベンチにすら入らず「全休」をもらっていた玉田やマギヌンがチームの一番苦しい時間帯にベンチへと下がってしまうのも、チーム全体のバランスからみればやはりどこかチグハグだ。

 試合を見ると、立ち上がりの名古屋は20分ぐらいまで大分のカウンターに晒されていた。これはすなわち玉田がピッチコンディションに慣れるまでの時間でもある。連勝中の勢いをそのままこの試合に持ち込むチームにあって、劣悪なピッチに対して一人露骨な嫌悪感を表し気持ちが乗っていなかった玉田は、前線でボールを収められずことごとくボールを失っては代名詞とも言えるかったるいディフェンスによって大分のカウンターの起点になっていた。玉田のところで奪った(拾った)ボールを逆サイドへと展開してサイドアタッカーを走らせるのが序盤における大分のカウンターの形だった。日本代表のエース候補ともあろう選手がピッチコンディションに左右されるこの有り様ではあまりにも情けないが、その後玉田のパフォーマンスは回復しそれに逆行するかのごとく大分の勢いも急激に減速していく。そして名古屋はピッチコンディションを全く鑑みないサッカーでゲームを支配してしまった。

 九石ドームのピッチは、来週コパ・スーダアメリカーナ王者のインテル・ナシオナウを迎えてスルガ銀行チャンピオンシップを行い、10月には日本代表の国際Aマッチを開催するスタジアムとはとても思えないほどに荒廃している。そしてこれはスタジアムやピッチ管理者の怠慢や技術不足というよりもむしろ大分というチームによる作為的なものを感じさせる。昨年のナビスコカップを制しリーグ戦も4位と躍進を遂げたシャムスカ時代から大分の狙いは「相手にサッカーをさせないこと」だった。相手が攻撃を仕掛けるスペースと相手の良さを消す戦術とともにそれに一役買っていたのが劣悪なピッチであり、昨シーズンも国体開催を良い口実としてピッチを適度に荒れた状態に保ち、相手から「サッカー」を奪い取ることに成功している。そうして大分はJリーグの年間最少失点記録を塗り替えた。そんなサッカーの持つ美しさを消し去る術に長けた大分は、名古屋にとっては昨シーズンのナビスコカップ制覇やリーグ優勝の野望を阻まれた相手という意味では天敵であり、(出来ているかどうかは別として)美しく攻撃的なサッカーを掲げる名古屋からしてみれば、大分との試合はアイデンティティを懸けた戦いでもある。

 と少し話が逸れたが、前々節の試合で闘莉王の負傷(そのおかげもあって名古屋は前節浦和相手に勝ち点3を獲得した)の原因にもなったこの大分の荒れ果てたピッチを考えると、俺は名古屋が立ち上がりからケネディへのロングボールを中心とした組み立てを行ってくるのではないかと思っていた。実際前節の浦和戦でも名古屋はケネディへのロングボールを多用して攻撃を組み立てていたし、それがハマった形で3-0の完勝を収めている。このやり方を継続するのは至って自然の流れだ。
 しかしこの試合での名古屋は愚直なまでにパスをつなぎながら攻撃を組み立てる方法を選択しこれをかなり高いレベルで実行に移していた。前節の浦和が前からプレッシャーを掛けてくるスタイルで大分がまずはしっかり守備ブロックを作ってカウンターを狙うスタイルだった(すなわち浦和と比べれば大分の方が中盤まではボールを運びやすかった)という面はあるだろうが、俺にとってこれは正直予想外でありまたその内容は予想以上のものだった。

 そして上にも書いた通り玉田がピッチコンディションに慣れ大分の勢いが収まった20分過ぎからゲームをコントロールした名古屋は、ケネディのリーグ戦3試合連続ゴールという願ってもない形で先制に成功する。日本代表の岡田監督によるリップサービスと煽り好きなマスコミによって一夜にして「賞金首」に仕立て上げられたケネディのゴールは、名古屋がそのまま順調に試合をクローズ出来ていれば今夜のスポーツニュースでも格好のネタとなっていたい違いない。
 しかし名古屋は快調なフライトを続けながらも軟着陸に失敗してしまった。そこで話は冒頭に戻るわけだ。
 シャムスカからポポビッチへという監督交代に踏み切った大分は確かに変わりつつある。ひと言で言うなら、勝つためにシャムスカが(相手もろとも)壊そうとしたサッカーをポポビッチが組み立て直そうとしている印象だろうか。しかしポポビッチが思い描くサッカーに近いプレーを大分が行えたのは最初の20分だけ。そのスタイルは完成にはまだ程遠かった。荒れたピッチに、ほとんど条件反射的に手が出る(相手のシャツを引っ張る)DF陣、もつれて倒れた後ケネディの足をわざと踏みつけて立ち上がった森重、どうやら知覚過敏らしい(ちょっとした接触プレーで大袈裟にピッチをのたうち回る光景が定番となった)22番などシャムスカの負の遺産も健在だ。この試合では出番がなかった33番も出てきて相手に置いて行かれそうになったら後ろから抱き付くんだろう。
 そういった意味ではロスタイムでの大分のミラクルな逆転劇は監督交代による戦術的な要素が影響しているわけではなく、このままズルズルとJ2に落ちるわけにはいかないという選手達の気持ちと、それを後押しするように攻撃的な選手を次々と投入したポポビッチ新監督のメンタリティや采配による部分が大きいと言える。そしてそれに屈した名古屋からしてみれば、「集中力の欠如」というひと言で片付けてしまうには余りにも選手達に気の毒なほど采配ミスによる影響は大きかった。

 かつての名古屋ではこういった情けないほどにアンビリーバブルなシーンを何度となく見せられて来たが、劣悪なピッチ条件やナビスコカップから中二日という厳しいなスケジュール、そして風の通らない蒸し暑い(想像)スタジアムという過酷なコンディションなどの様々なマイナス要素を乗り越え名古屋が見せた予想以上のパフォーマンスを考えると、俺は過去の名古屋が見せて来た絶望的なシーンの数々と同列でこの試合を語ることは出来ない。

 チーム状態が良い感じで上向いてきている中でちょっとしたトラウマになりそうな酷い敗戦だが、幸い次節まで二週間空くこともあり、選手達にはなんとか気持ちを切り替えてチーム状態を建て直しこれまた苦手の川崎戦に臨んで欲しいところだ。そしてフロントは三都主の獲得に全力を傾けて欲しい。ピッチが悪いとはいえこんなにミスをする阿部を見るのは(昨シーズンの彼のパフォーマンスからしても)しのびないし、いつまた負傷するか分からない(そしてそれがチームに多大な(マイナスの)影響を与える)マギヌンをこんなピッチそして相手にプレーさせるのは怖すぎる。大卒の即戦力ルーキーとして獲得した平木や橋本をピクシーが全く使う気がなく、彼等が「頭数」にも入っていない現状を考えると多少値は張っても三都主の半年間レンタルぐらいは安い買い物だ。
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by tknr0326g8 | 2009-08-01 23:59 | Game Review
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