Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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第33回全日本少年サッカー大会 準決勝 川崎U-12×名古屋U-12 @西が丘
 チームとして二度目の全国大会出場にして準優勝という快挙を成し遂げた昨夏から一年。名古屋U-12が昨年以上の攻撃力を携えて西が丘のピッチに帰って来た。Jヴィレッジで行われていたこれまでの試合はグループリーグから準々決勝までの7試合を6勝1分と無敗。仙台ジュニアにダノンネーションズカップの借りを返し損ねた(1-1の引き分け)ものの、31得点2失点という圧倒的なスコアは噂通りの強さを裏付けている。

 そんな名古屋が全少初戴冠に向けて準決勝を戦うのが川崎U-12だ。川崎は昨年・今年とダノンネーションズカップを連覇しているこの年代の新興勢力で、名古屋とは昨年の全少でもベスト8で対戦している(名古屋がPK戦の末に辛くも勝利)。事実上の決勝戦と言っていいこのカードは、破壊的な攻撃力で快進撃を続ける名古屋にとっても厳しい戦いになることは間違いない。ちなみに会場では朴&広瀬コンビも見掛けたが名古屋の応援だろうか。

 名古屋のフォーメーションはオーソドックスな4-4-2。去年のチームと比べると全体的に少し小柄な感じもする。

     7   10

4    6    8    9

18   16   15   2

        1

 キックオフから攻勢に出たのは川崎。トップにクサビのボールを入れてポイントを作りそこからサイドに展開して攻撃を組み立てる川崎のサッカーはジュニアというよりも、ユースやジュニアユースのサッカーを観ているような感覚。そしてそのクサビのボールがすんなりと収まることで自信を持った川崎はどんどんタテにボールを入れて名古屋を押し込むことに成功したのだった。

 そんな川崎の猛攻に対して名古屋は序盤こそカウンターに活路を見出すしかない状況だったが、川崎の攻撃に慣れてくると次第に自分達の持ち味を発揮し始めた。このチームの特徴は前線の2トップを中心とした1対1での仕掛けにある。比較的シンプルにロングボールを蹴って前線へとボールを出し、アタッキングサードでの個人技勝負に持ち込むのがこのチームのパターン。もちろん2トップやSH以外でも選手達はポジションを問わず前を向いてスペースがあればどんどんドリブルで仕掛けてボールを前へと運んで行くし、そこにはボールを動かすだとかサイドを使うというような発想は全くと言っていいほどなく、前半途中に名古屋がピッチを広く使い始めた時間帯もあったがむしろその時間帯の方が違和感を感じたぐらいだった。
 普段大人(やユース)のサッカーを見慣れている俺なんかが突然こんな試合を見ると、(DFが相手からボールを奪った後とか)もっと落ち着いてボールを回せばいいのにとか、技術が高い選手が多いのだからしっかりと中盤を作って相手を崩せばいいのにとか、一旦横や後ろにハタいて相手のプレスをイナせばいいのにとかついつい思ってしまうのだが、森川監督は春先のダノンネーションズカップの時から首尾一貫してこうしたサッカーを展開し、またそのための選手起用を行っているようだ。

 選手起用という部分ではその最たる例が左SBに入っている18だ。チーム最長身で足元もしっかりしている18のような選手は本来であればセンターラインで使いたいところだが、森川監督は彼を左SBで起用している。もちろんそこにはパワフルな突破を見せる18の攻撃力を見越してということもあるのだろうが、それ以上にこの試合を観ていて感じたのは、左足での強く正確なキックを持っている彼を相手のプレッシャーが弱いSBに置いて前線へのパスの供給役を担わせる狙いだった。トップチームの阿部や昨年のU-18の西部や本多といったプレーヤーと近いイメージかもしれないが、彼等と比べるとフィードに組み立て色が薄く(ターゲットを狙うというよりスペースに落とすイメージ)、その代わりにボールを持った時に前が空いていれば一気にドリブルで攻め上がってシュートまで持って行ってしまうようなアグレッシブさがこのチームの特徴だ。

 試合は川崎のサイドからのクロスに真ん中でボールに釣られてマークを離してしまった(川崎の選手がゴール正面とファーで二人余っていた)名古屋が先制を許したものの、タテパスからのセカンドボールを拾った8のワンタッチでのスルーパスにオフサイドラインギリギリで抜け出した10がGKとの1対1から冷静にシュートを沈めて同点で前半折り返す。10は(特に後半)7が相手DFラインから徹底マークを受ける中、相手のDFラインとボランチの間の嫌らしいところでボールを受けることでチャンスを作り出していた。
 そして後半に入ると、立ち上がり早々に18がDFラインとGKの間に落としたフィードを飛び出して来たGKの鼻先で風のようにサラッた7がボックス内に戻って来た三人の川崎DFの間を抜くような上手いシュートを決めて名古屋が一度は逆転に成功したものの、セットプレーからドンピシャのヘッドを合わされて同点のまま終了。昨年同様、決着はPK戦へと持ち越しになった。
 PK戦は5人目まで両チームが全員成功して迎えた6人目に川崎の選手がポストに当ててこれまた昨年同様川崎が涙を飲むことになったわけだが、このPK戦勝利は名古屋にとってある意味必然だった。名古屋はPKの練習も相当積んできたと思われるぐらい、キッカーとなった全ての選手がGKの逆を突いて冷静にシュートを沈めていた。一方名古屋のGK(1)は一本目を完璧な読みとタイミングでセーブしたもののこれがファールと見なされやり直し(→今度は川崎の選手が成功)となる不運もあり、すっかりプレーのリズムを崩して(失って)しまった感じだったが、逆に相手が蹴ってから飛ぶという作戦に切り替えたことで川崎の選手達がキーパーの届かない上を狙い始め、それが最終的にはポスト直撃のシュートにつながった。

 名古屋のサッカーはひと言で言えば「前」にしか選択肢を持たないサッカーだ。確実性を取って後ろにボールを戻すこともなければ、「急がば回れ」で一旦横にボールを動かすこともない。自分の目の前にスペースがあればドリブルで持ち上がり、なければ前線へと大きく蹴り出すという繰り返し。これは選手達に1対1で積極的に仕掛ける意識を持たせるために、コーチングスタッフが「バックパス禁止」「横パス禁止」という規制(意識付け)を作っているのではないかと俺は踏んでいるのだが、結果的にはそうした狙い通り自分で仕掛ける意識は高いレベルで保たれているものの、ビルドアップという部分では(見る人によっては違和感が残るかもしれないほど)ロングボールが多用されている。
 また守備でも、例えば川崎が名古屋のエースである7のマークに枚数を残してDFライン全体で対応するような修正を行うことで後半はある程度封じ込むことに成功していたのとは対照的に、名古屋は鮮やかなやられっぷりが印象に残った二つの失点シーンなどを見るまでもなく組織や戦術面でまだまだ手付かずといった印象も受ける。
 しかし名古屋がこうした「野性的」なサッカーで勝ち上がってきたこと自体が既に驚異で、そんな名古屋U-12のサッカーは(特に攻撃の仕掛けの場面で)ある種の清々しさを伴っている。今後彼等が中学~高校~と歳を重ねて行くに連れて攻守に渡る戦術や試合の中での駆け引きを覚えて行けば、文字通り(クラブが創立当初から掲げているコンセプトでもある)「Noble Barbarian」としての完成形を迎えるのかもしれない。

 決勝の相手は新座片山FC。昨年決勝で敗れたFC浦和と同じ埼玉のチームという意味では格好のリベンジ相手になる。横河武蔵野FCとの試合を観た感じでは、コンパクトな守備からカウンターを狙うプレースタイルもFC浦和によく似ている。FC浦和ほど個々の能力は高くはなさそうだが、一試合を通じて途切れることがない複数の選手によるボールへの寄せなどは驚異的で、カウンターからゴールへの道筋にも迷いがない。常に声を出してこのディフェンス組織をまとめるのがテクニカルエリアの最前線に入れ替わり立ち替わり現れるコーチや監督などのスタッフというのが気にはなるが、これは攻撃力が売りの名古屋と言えどもそうやすやすとは突破を許してもらえないだろう。ただ名古屋は横河武蔵野FCと違い、相手のプレッシャーがキツイ中盤でパスをつないでゲームを組み立てるようなことはしないし、ゴール前でシュートを打つ角度がないフリーの味方にパスを回したりしない。それがどう出るかがポイントだ。
 名古屋としては出端を叩きたいところ。横河武蔵野FC戦でも新座片山FCはディフェンスが相手の攻撃に慣れて落ち着くまでに少し時間を要している。その時間帯に得点を奪うことが出来れば名古屋としてはゲーム展開がかなり楽になるに違いない。
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by tknr0326g8 | 2009-08-07 22:43 | Youth
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