Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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クラセン(U-15) グループD 名古屋U-15×AC AZZURRI @Jヴィレッジ
 黄金世代がクラセンを制してから早や一年。ディフェンディング・チャンピオンの名古屋は愛知そして東海地区予選を圧倒的な強さで勝ち上がりこの全国大会へと駒を進めて来た。ただこのチームは今年になってから突然強くなったような印象で、俺が今年の6月になるまでチームとして一緒にプレーする彼等を観たことがなかったことを例に取るまでもなく、これまで全国の舞台とは無縁のチームだった。U-12からの昇格組が少ない年代であることもその一端を示しており、またこのJヴィレッジの芝を経験しているという観点から考えても、経験があるのは今年のGWのプレミアカップ(U-14)で(早生まれの)「オーバーエイジ」としてそこに加わっていたニッキと真柄、それに三年前の全少でこのピッチに立った松下(当時愛知FC)ぐらいだろうか。昨年のこの大会でも何人かの二年生はメンバー登録されていたが試合に出るまでには至っていない。そうした意味では、このクラセンは彼等にとって待ちに待った全国の舞台であり、彼等の存在を世のサッカーファンに知らしめる絶好の機会でもある。
 そうした要因もあるのだろうか。一方で監督以下のスタッフ達はこの大会に向けてかなり慎重な準備を行ってきた様子が伺える。予選で圧倒的な強さを見せたとは言ってもそれは所詮の東海のレベルに過ぎない。全国レベルの相手と試合をした経験が春に館山で行われた合同合宿ぐらいしかないこのチームを今月頭には関東遠征へと連れ出し、柏、浦和、横浜といったチームとトレーニングマッチを組んでいる。大会に向けて抜かりはない。あとは彼等が大舞台に臆することなく持てる力を存分に発揮するだけだ。決して関東にも引けを取らない力を持つ彼等がその力を発揮できれば自ずと結果は付いてくるだろう。

 東海地区予選の期間中から三年生とプレミア準優勝を飾った二年生の混成チームで戦っていた名古屋だったが、全国初戦となるこの試合ではスタメンをオール三年生で固めてきた。特に注目は左SHに入っているU-15日本代表候補でもある岩田。東海大会では負傷によって決勝トーナメントをはじめとする大会後半を棒に振っていて、先週の豊田国際ユース(韓国戦)では飛び級で招集されたものの前半途中で交代と不完全燃焼に終わっているだけに、この全国の舞台で一体どういったプレーを見せるのかとても楽しみ。

     中根   青山

岩田  真柄   富田  野崎

樫尾  ニッキ   大谷  宮越

        渕上

 試合は立ち上がりから名古屋の選手達の硬さが目立つ。それでもこれまで県大会や東海大会で戦ってきたレベルの相手であればこのチームの大きな武器のひとつであるフィジカルで圧倒してペースを掴むことも出来るのだろうが、170センチ台中盤から後半の選手が多いAC AZZURRIは当たりに強く球際の競り合いでも名古屋に負けていない。そして何よりそのしつこいマークとそのチーム名の由来(2002年のW杯日韓大会でイタリア代表の支援と交流を行っていたクラブから生まれたらしい)が示す通り中盤からのディフェンスが非常に忠実で組織だっている相手に対して、名古屋は焦りからか上手くゲームを組み立てることが出来ていなかった。

 そしてようやく前線やサイドのアタッカーにボールが収まり出したかなと思った10分過ぎ、コーナーキックのクリアボールを青山が拾って(左)サイドのスペースをタテにぶっちぎる。それによって得たコーナーキックから真柄が入れたボールをゴール正面でニッキが競ってそのこぼれ球(浮き球)を野崎が頭でプッシュ、さらにゴールライン際で相手にクリアされようかというところに中根がダイビングヘッドで飛び込み頭三つのつなぎから名古屋が先制に成功したのだった。

 これでようやく緊張も解けて本来の姿を取り戻すかなと思っていたが事態はそう簡単には好転してくれない。相手が中盤からタイトなディフェンスをしてきてまたDFラインが浅いこともあってか、この試合の名古屋は早目に前線の4人にボールを付けてそこからシンプルに裏を狙わせるようなタテに速い攻撃が目立っていた。しかし前を向いた選手がボールを持ち、いざ仕掛けてチーム全体もスピードアップしようかというタイミングで、なぜだか名古屋はその仕掛けた選手がボールの上に乗ってしまいバランスを崩して転倒しボールを失うというシーンが続出していた。これがコンデシィヨン的な問題なのか、動きの硬さから来るものなのか、それともこのJヴィレッジ特有の芝目の長い天然芝に選手達が慣れていないからなのかは分からないが、とにかく名古屋は攻め切るどころか攻撃のスイッチが入った瞬間にボールを失いカウンターを喰らうという展開を続けていた。

 しかしそんな展開でもポロッと追加点が入ってしまったりするのだからサッカーは分からない。ニッキがDFラインから大きくクリアしたボールをボックスの中で相手DFとGKの間に入り込んでマイボールにした中根がGKを背負ったままの状態で反転しながら背面のゴールマススに蹴り込んだのゴールは決して美しいゴールではなかったがチームにとってはまさしく値千金とも言える貴重なゴールだった。

 オフサイドトラップの網をかいくぐって左サイドをフルスピードで抜け出した青山が丁寧に折り返したセンタリングを、ゴール正面でどフリーだった中根がワンタッチで合わせてゴール右に外してしまうというシーンで幕を開けた後半は、まるでそれが予兆であったかのようにいくつかのミラクルが起きる。
 最初のミラクルは、交代の札を出されてラストプレーとなった野崎の(枠内)シュートを中根がブロックしてしまったシーン。スピード溢れる突破で左サイドを抜け出した岩田がGKとDFの間に流し込んだグランウンダーの速いクロスボールに対して、ファーサイドで身体ごと突っ込んできた中根は一歩届かずボールは抜けてしまったが、大外から詰めて来た野崎がこれを拾って冷静にコースを見極めシュート。これが態勢を立て直して起き上がろうとしていた中根に直撃し、野崎は得点を逃しそのまま曽雌と交代する羽目になってしまった。
 二つ目のミラクルはそんな野崎に代わって右SHに入った曽雌のゴールの場面だ。ボールを持った右SB宮越とのアイコンタクトによって、引いてボールを受ける振りをしてウェーブの動きから一気に裏を取った(そのスペースに宮越がピタリとボールを落とした)曽雌が前を向いてドリブルを始めると、慌ててバックステップを切ったGKのシューズが脱げてしまう。そして何を思ったかGKが残されたシューズのところに戻ってそれを拾い上げている間に、曽雌が右サイドからゴールへと向かって一気にスピードアップして入って来るとそのまま冷静に無人のゴールにシュートを流し込んだのだった。
 それにしても曽雌の足腰の強さ(体幹の強さ)は素晴らしい。一つ上の学年の選手達が所々で滑っている中で、このチームで一,二を争う小柄な曽雌がボディバランスを全くブレさせることなくボールを落ち着けドリブルでボールを前に運んでいるのだから恐れ入る。と、こう書くとなんだか曽雌が重心の低いドリブラーのようだが、実際は全く逆でスピード溢れる突破を武器とする曽雌のドリブルは弾むようであり、まるで浮力が働いて地上から浮いているかのような錯覚を覚えるほどイメージ的にはアンリみたいな感じ。日本では長身でスラッとしていてスピードのあるアタッカーならなんでもかんでも“和製・アンリ”にされてしまうが、俺は162センチと小柄な曽雌の方がそのイメージに近いような気がする。

 その後名古屋は岩田に代え北川、樫尾に代え河合、そしてヘディングの競り合いで(着地の時?)足を痛めたニッキに代えて社本と次々に選手交代を行う。突破の破壊力という点では交代で入ったU-14組の曽雌や北川よりも野崎や岩田の方がサイズもあって強いかもしれないが、この試合では彼等のところでなかなかボールが収まらなかった(失うことの方が多かった)ことを考えると、曽雌や北川の方がボールも収まっていたし遜色ない働きが出来ていたと思う。まあ岩田の場合は怪我明けということもあってかゲーム勘が戻っていないように見える場面も散見されたので、今は焦らずこの先の決勝トーナメントでピークを迎えられるようにしていって欲しいところではある。

 試合終盤になると名古屋はこの試合まだ無得点のエース・青山に得点を取らせようという雰囲気がピッチ上に漂い始めていた。全員がチームメート思いなのか、それとも裏へのボールが流れたところで身体ごと相手GKに当たって行って相手GKを負傷退場させてしまったようにまだメンタル的に不安定な面がある青山をケアしているのかは分からないが、明らかにそんな感じの空気。
 だが結局こうした試みは上手く行かず、試合終盤には前線の選手達が無理に仕掛けてボールを奪われてはカウンターを喰らい続けるというシーンが見られた。相手の攻撃が比較的中央からで単調だったので守りやすかった部分はあったにせよ、名古屋は最終ラインが良くこれに耐えて凌いでいたと思う。地味ではあるが、チームが攻撃に掛かってボランチの二人も出払ってしまっているようなシーンでは相手の攻撃(カウンター)をまともに受ける形になっていて、こうした慌ててもおかしくないような場面でも大谷を中心としたDFラインは落ち着いてて対処していた。

 そしてそんな試合を締め括ったのはやはり中根。左サイドで得たセットプレーからキッカーの富田がニアに落としたボールをキープした北川が後ろ向きのままでセンタリングを送る。これをゴール正面で中根がプッシュしたのだ。東海地区予選ではなかなかゴールという結果が出せず、一つ下の学年の北川にポジションを奪われそうになるなど苦戦していた印象の中根だったが、見事ハットトリックを達成し上々の全国デビューを飾った。前からのディフェンスも労を惜しまず行いゴール前では危険を顧みないで身体を張る中根は、もし高校卒業後にトップチーム(プロ)に昇格出来なかったら是非とも駒澤大学をお勧めしたい。そのプレーはかつて「駒大スタイルを体現する男」と言われた筑城(名古屋から徳島にレンタル移籍中)ですらも驚くに違いない。

 明日の試合は青山も爆発してくれるだろう。
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by tknr0326g8 | 2009-08-15 21:26 | Youth
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