Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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J1 2009 第23節 G大阪×名古屋 @スカパー
 前節(この試合のつい四日前に)低迷している千葉を相手に2‐0と勝利を収めて連敗をストップしたものの、新加入選手が多い影響もあってコンビネーションが未完成で戦術的にも整理されていない印象を受ける名古屋のチーム状態は万全とは程遠い。その上この試合に向けては、7月のチーム加入後圧倒的なパフォーマンスでチームを牽引してきたケネディが負傷欠場となり、また対戦相手であるG大阪がチーム状態を回復してきていてある意味では大差での敗戦よりも屈辱的だった前回対戦のリベンジに燃えているであろうことを考えると、この試合が難しいものになることは間違いなかった。

 ケネディを欠く名古屋はその代役として普通に巻を使ってくるのかと思っていたら、玉田とブルザノビッチを前線に並べトップ下には前節ベンチを温めていたマギヌンが入るという、チームとしての機能性や戦術よりも能力が高く信頼出来る選手から順に使っていく方針が明確に反映された先発メンバーを組んできた。
 確かに単純な個の力の足し算ではこのメンバーがベストだろう。しかしこのメンバーで名古屋は一体どうやって攻撃を組み立てるつもりなのか。ボールを持った選手がまずどこを見るのか、誰にボールが入った時にどう攻撃のスイッチを入れるのか、素人の俺には皆目見当がつかない。なんとなく前の三人(と両サイド)にボールを預けておけば、後は能力の高い彼等が即興でコンビネーションを完成させて上手いことチャンスを作ってくれるということだろうか。

 だが残念ながらそんな行き当たりばったりなサッカーは好調なG大阪相手には全く通用しなかった。Wボランチに攻撃を組み立てる能力がない(二人合わせたとしても遠藤の足元にも及ばない)ことに加え、最初からサイドに張り付いている両WBと前線で動き出しの少ない2トップでは、名古屋はタテにボールを入れることすら出来ない。困った時のケネディの頭という選択肢も今日の試合では使えない。これでは名古屋がDFラインで横にボールを回すばかりで攻めの形を作れないのも道理だった。
 相変わらずマイペースな中村とは対照的に、吉村などは積極的に高い位置で攻撃に絡んでチャンスを増やそうという姿勢も見られたが、これにしても能力や特徴を考えれば限界がある。むしろそんな状況に業を煮やしたバヤリッツァが自らボールを運んで前線にボールを供給していた時の方が攻撃が良い形になりそうだったことを考えれば、最初から後ろは4バックにしてバヤリッツァをボランチで起用した方が良いのではないかと思えたほどだ。

 攻撃が上手く行かないと言っても、一方で川崎戦から比べると人を二人(ボランチに一人と最終ラインに一人)増やしている守備がより盤石になったかと言えば決してそんなわけでもない。守備専門のボランチを二枚並べたところで、動きの質を量でカバーするタイプの中村と吉村の組み合わせでは、中盤でボールを動かすことに長けたチームが相手だと途端に無力化してしまうのは去年から分かり切っているし、普段は二人で守っているペナルティエリアの幅に三人が入ることになった3バックでは、安心感からかそれともゾーンの概念が強すぎるのか、レアンドロ&ルーカスという名古屋からしてみれば思い出したくもないほど相性の悪い2トップの動き出しに対して対応(最初の一歩)が遅れていたのは紛れもない事実だった。
 そして名古屋は案の定G大阪にそこを突かれて前半のうちに二失点を喫してしまう。一失点目は横の揺さぶりに弱い吉村がバイタルエリアで遠藤に子供扱いされていなされると狙い澄ましたミドルシュートを決められたものだったし、二失点目はカウンターからレアンドロとルーカスの二人で速攻を決められて失ったものだった。

 前半を終えた時点では、このまま行けば7月のFC東京との二連戦に続くワンサイドゲームになってもおかしくないというのが正直な感想で、後半に向けてピクシーがどういった修正を施してくるのかには興味があったが、果たしてそしてそんな魔法が存在するのかという疑問も一方では燻ぶっていた。これまでの傾向からすれば先発メンバーの中で最も優先順位が低そうなマギヌンを外して、もう少し守備で貢献できそうな選手(例えば山口K)を入れるのだろうか。しかし実際のピクシーの選択はボランチの吉村を外して前線に巻を投入し、マギヌンを一列下げてボランチで起用するというものだった。正直これはかなり意外な起用方法。おそらくトレーニングでもしっかりと試したことはない形だろうし、守備の強くないマギヌンにボランチをやらせるなどという発想はこれまでのピクシーでは考えられなかった。ピクシーの中ではこの一方的な試合を引っ繰り返すためにはこれぐらいの刺激が必要だと考えたのか、それともご乱心でヤケになっているのか、はたまた戦術的に十分な勝算があったのか。

 そんな、期待よりも不安の方が遥かに大きかったマギヌンのボランチ起用だったが、いざ後半が始まってみると意外と悪くなかったというのが正直な感想だった。というより、前半G大阪のワンサイドだった試合の流れを名古屋に引っ張って来る上で、より効果を発揮していたのは前線に投入された巻よりもむしろマギヌンの方だったとすら言える。基本的にボールに触りたがり、またボールに触ってなんぼのプレーヤーであるマギヌンは、DFラインでボールを持っている時にもそれを受けられる位置へと顔を出すし、それを受けると自らボールを前に運んだり逆サイドへと展開したりして名古屋にリズムをもたらしていた。そしてこうしたマギヌンのプレーは単にリズムを生み出すだけでなく、攻撃の過程においてDFラインからのビルドアップによって名古屋がボールを失う確率を半減させていたと言っても過言ではない。これはムラムラコンビに最も欠けている特徴でもある。もちろん守備においては関与度の低いマギヌンがムラムラコンビのようにハードワークで際立つことはないが、それでもそのナチュラルなポジショニングが隣にいる中村のそれよりも有効だった場面も決して少なくなかった。
 惜しむらくはそんなマギヌンがヨーロッパを経由せず日本にやって来てしまったこと。得意だろうが苦手だろうがやりたかろうがやりたくなかろうが攻撃でも守備でも100%やらないとレギュラーを獲れないであろうヨ―ロッパと比べれば、Jのレベルなら少しぐらい手を抜いても許されてしまうぐらい実力は抜けているからこうした場面での守備力や本当の意味での献身性は身に付かない。もしマギヌンがヨーロッパを経由してそうしたプレーや意識をすり込まれていれば、万能型MFとして(少なくともJのチームの中では)もっと絶対的な存在になっていたかもしれない。

 マギヌンの配置転換や巻投入の効果に加えG大阪の動きが落ちてきたこともあって徐々に試合を盛り返してきた名古屋は、往年のウリダ→ウェズレイラインを彷彿とさせるようなパスがマギヌンから玉田へと渡り一発でG大阪ディフェンスの裏を取ると、その折り返しを走り込んできた巻が身体ごと押し込んで1点を返すことに成功する。
 そしてここでピクシーは早くもこの試合三枚目のカードとして津田を準備していた。連戦による疲労の影響か明らかにプレーに精彩を欠いていたブルザノビッチを下げて津田を投入するのだろうと誰もが思ったに違いない。マギヌンが中盤の底に入ったことで形が出来始めている名古屋に必要なのは最後にそれをゴールへと流し込める人間をボックス内に配置することでもある。
 しかしそんな予想に反して津田と交代したのは右サイドの小川。正直有り得ない采配だと思った。本来ストライカーである津田をサイドプレーヤーとして起用して良かった試しなど数えるほどしかない。ピクシーには学習能力がないのか、それとも背後から残留争いの足音が聞こえて来ている中で冷静な判断を下せなくなっているのか。だがそんな俺の浅はかな読みとは全く別次元でこの日のピクシーの勘は冴え渡っていた。動きの落ちたG大阪を相手に積極的なプレーを見せる津田は右サイドから何度となくチャンスを作り出し、同点そして逆転に大きく貢献することになる。

 最後はまたしてもG大阪GK松代のミスもあってロスタイムに劇的な勝利を飾った名古屋は、前回対戦と合わせて勝ち点4を拾った計算になる。もしこの世に勝負の神様の気まぐれがあるのだとしたら、大分での大惨事分はこれでチャラだ。後になって「あの試合(大分戦)で勝ち点3が取れていれば・・・」という言い訳はもはや通用しない。あとは前を向いて進んで行くのみ。
 ただひとつ言えるとすれば、この試合ではことごとく当たったピクシーの采配だが、マギヌンのボランチや津田の右サイドなどは常に成功するものではないということは理解しておかなくてはならない。そしてようやくインターバルが1週間空く次節・新潟戦ではもう少しチームとして整理されてまとまった状態での試合が観たい。
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by tknr0326g8 | 2009-08-24 03:28 | Game Review
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