Grampus Diary from TOKYO
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J1 2009 第25節 名古屋×柏 @スカパー
 「今は内容よりも勝つこと」とまるで何かに取り付かれたかのように誰もが口を揃え、まさに崖っぷちだった22節の千葉戦から3連勝を飾った名古屋だったが、中身のない試合を続けてきたツケがこの試合ではついに回ってきてしまった。名古屋のベンチに座っているのがネルシーニョだったならばハーフタイムに控室で机の一つや二つ引っ繰り返していたとしても不思議ではないぐらい体たらくな出来だった前半を終えて、ピクシーが打った手はと言えば、阿部を左サイドに投入して三都主をボランチに回すこと。この采配に対する正直な感想を言えば、チームの不甲斐ないパフォーマンスの責任をホーム初先発となった一介の若手選手になすりつけるようなやり方への違和感もさることながら、ようやく自らの信頼に足る選手の頭数が揃ってきたことが逆説的にピクシーから目の前のチームが抱える問題の本質を見抜く眼を失わせてしまったのではないかという疑念だ。その意味ではチーム力だけを考えれば逆転するチャンスも十分にあったはずの試合でチームを立て直せず、残留争いの真っ只中にいる相手にみすみす勝ち点3をプレゼントしてしまったのはまさしく自業自得と言えるだろう。

 この試合に向けて三日間の非公開トレーニングを行ってきたという柏は、相手チームに合わせてやり方を変えてくるネルシーニョの色に早くも染まっている。そしてネルシーニョが一体どんなトレーニングを行って選手達にどんな策を授けたのかについては、試合を観ていればおおよその想像が付いた。柏がディフェンスから入って速攻を狙うという形をいきなり変更するとは思えないので、ネルシーニョが力を入れたのが守備から攻撃へというトランジッションの部分にあるのは間違いないが、どこでボールを奪うのかという部分でネルシーニョが目を付けたのはブルザノビッチのようだった。ここ何試合かの名古屋の試合のビデオを見たネルシーニョが「名古屋の攻撃(ビルドアップ)は無理にでもトップ下にいるブルザノビッチに入れて(経由して)くる」というような目星をつけていたとしても何ら不思議ではない。そして中央で奪ったボールを素早くつないで名古屋の3バック脇のスペースを狙って攻める形を柏は徹底していた。またスリッピーなピッチコンディションもあってか遠目からでも積極的にミドルを狙ってきた柏はその部分でも名古屋のウィークポイントを掴んでいたのかもしれない。

 対する名古屋は相変わらずのスロースターターぶりに加えて中断明けに弱いという悪癖をまたしても露呈してしまった。中断前まで3連勝と結果を残していたとは言え、チームとしてのパフォーマンスが決して良いとは言えなかったことを考えれば、この二週間の中断期間はチーム力を高める上でも絶好の機会だったはずだ。しかし今日瑞穂のピッチに現れた名古屋はこの二週間一体何をしていたのか?と問いただしたくなるぐらいチームとしてのクオリティが上がっていなかった。前線の三人(と機を見てそれに絡む両サイド)の能力に任せっきりの攻撃は、時々トッププレーヤー達ならではの個人技やシンクロしたイメージによる即興によってビッグチャンスを作り出すものの、それにだけではいかんせん単発の域を出ないし、相変わらずどこでボールを奪うのかがハッキリしない守備ももっとクオリティの高い攻撃をするチームと当たったらひとたまりもないだろう。

 一点をリードされて迎えた後半ピクシーは福島に代えて左サイドに阿部を投入し三都主をボランチに移動する。噂には聞いていたが、まさか本気で三都主をボランチで起用するアイデアをピクシーが持っている(捨てていない)とは思わなかった。そしてそんな三都主のボランチ起用が機能したのは後半開始から5分間だけ――すなわち俺と同様に「三都主がボランチ?」と半信半疑だったに違いない柏のベンチと選手達が様子を見ていた時間帯だけ――だったことを考えれば、0-1で終えた前半のスケープゴートにされた形の福島も浮かばれない。まあピクシーとすれば何度かパスミスをしてボールを失った福島のプレーが気に入らなかったのかもしれないが、そうした技術的な問題と同時にチームが抱える戦術的な問題についても追求しない限り根本的な解決にはつながらないだろう。なぜボールが上手く動かない時間帯が多いのか、なぜ簡単にボールを失ってしまうのか、なぜ相手に好き放題ミドルシュートを打たれてしまうのか。戦術、システム、選手起用・・・全てにおいて考え直す必要がある。

 例えば福島でなくても、竹内が誰もいないところにロングボールを蹴ってはボールを失ってばかりいるのは、竹内個人の技術的な問題なのか、竹内個人の戦術眼の問題なのか、それともチームの戦術的な問題なのか。バイタルエリアに向かってフリーでボールを運ぶ相手選手を中村がいつも後ろから追っ掛けているのは、中村のポジショニングを含めた状況判断が悪いのか、Wボランチのコンビネーションが悪いのか、それともチーム全体の守り方に問題があるのか。小川が右サイドで全く勝負しなったのは、単に対面する小林のスピードに対して最初から腰が引けていたのか、システム的に後ろが気になっていたのか、それとも3‐5‐2のアウトサイドが根本的に合わないのか、4-4-2のSHの時のようにサポートが来ないことが問題なのか。問題を挙げれば切りがないが、ピクシーはこれらをひとつづつ解決していかなければならない。

 そして最大の懸念材料はブルザノビッチだろう。他クラブでは当たり前のように存在する「外れ外国人」。これは単純な能力だけの問題ではなくて環境への適応やプレースタイルがクラブや日本サッカーに合う合わないの問題もあるが、ピクシーを筆頭にこれまで数々の優良外国人を引き当ててきた名古屋にはあまり馴染みのない存在だった。リネカーというJリーグ史に燦然と輝く失敗(無駄遣い)例にしても怪我という不測の事態があったし、思い付くのはマルセロとホミルドぐらいだろうか。しかしピクシーの肝いりでレッドスター・ベオグラードから引っ張って来たブルザノビッチはこのままいけばチームの低迷とともに間違いなく彼等の仲間入りを果たすことになる。ピッチ上でその存在価値を何ひとつ示せていないブルザノビッチを見るにつけ、これなら花井を使った方がチームの将来を考えてもよっぽどマシと思わずにはいられないが、ピクシーはブルザノビッチに拘り続けている。我慢強く起用し続けて途中交代も許さず、チームのバランスを崩して(システムを変えて)までブルザノビッチにトップ下のポジションを用意するあたりは、かつて自分を窮地へと追い込んだミルンとリネカーの師弟関係を思い起こさせるのだから何とも皮肉な話だ。

 最後はお決まりのFW大集合という捨て身作戦で、ただでさえ不安定だったバランスを一層崩したディフェンスが与えるべくして(やらなくてもいい)3点目を献上し勝負を決められてしまった名古屋。確かにリスクをおかさないと得点は奪えないのかもしれないが、この采配はリスクの意味を履き違えているとしか思えなかったし、戦術がない(或いは機能していない)からそうしたバランスを無視した歪な交代によって個の力に頼らなければならない現状は、終了間際のゴールによってなんとか勝ち点を拾い続けていたダヴィのいた頃の(多分ピクシーにとっては)忌まわしい記憶となんら変わらない。

 今月末には名古屋にとって今シーズン最大の目標となったACLで川崎とのHOME&AWAYでの対戦が控える。ただでさえ苦手な相手に対してこのチーム状態では万が一にも勝ち目はない。いっそ川崎に対して“ベストメンバー”での戦いを呼び掛けてみてはどうだろうか。「ウチはケネディも玉田もブルザノビッチもマギヌンも三都主も小川も使うから、おたく(川崎)もジュニーニョとチョン・テセとレナチーニョとヴィトール・ジュニオールと中村憲剛を全員使って戦って欲しい」と。
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by tknr0326g8 | 2009-09-12 23:59 | Game Review
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