Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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ACL 準々決勝 2ndレグ 名古屋×川崎 @BS朝日
 パーフェクトとは言えないが名古屋にとってはいくつかの課題が改善されていることが確認出来た試合だった。例えば1stレグのレビューの中で書いたサイドからのクロスボールに対して中央で合わせるバリエーションという意味では、鹿島戦での先制点(ブルザノビッチ)や3点目(杉本)といい、名古屋をACL準決勝に導いたと言っても過言ではないマギヌンのシュートといい、ケネディをオトリとしてその裏に飛び込む形がこのところよく見られる。特に逆サイドのSHがクロスに対してファーに入って来る形はSHの得点力によって苦しい試合をモノにしてきた昨シーズンを彷彿とさせるものだ。個々のプレーヤーを見ても、(雨の影響もあってか)相変わらず広野のキックが安定しないところは気掛かりだが、国立とカシマでは同じような位置から中途半端な(右足に付けるのか左足に付けるのかすら曖昧な)パスを出して自ら攻撃の芽を摘んでいた小川が迷いを吹っ切るように放ったミドルシュートを決めたことは彼自身にとっても光明となるに違いない。

 1stレグから一週間。ともに間にAWAYでのリーグ戦を挟んでいるのでこの試合に向けた特別な何かをトレーニングするような余裕はなかっただろう。実際、1stレグに2‐1で勝利を収めこの試合は引き分けでも準決勝に進める川崎はまずは失点をしないことに念頭にやや引き気味な布陣からカウンターを狙う形を徹底してはいたものの、中村憲剛とレナチーニョを両SHに配置する4-4-2のフォーメーションも名古屋のボールの出所と受ける先に対してマッチアップするように人を立てる守り方も前回対戦のままだった。
 対する名古屋も先に失点を喫すると(AWAYゴールもあって)苦しくなることからかなり慎重な試合への入り方をしていた。川崎が前から来れば(勝算の低い)撃ち合いに応じるしかないが、川崎が出て来ないのであればむしろそれを利用して0-0の時間帯を長引かせると同時にどこかで得点を奪いに行き、最終的に1-0のスコアで試合を終えるのが準決勝進出に向けては最も現実的なシナリオだからだ。名古屋は自陣へと引いた川崎が網を張る外のエリアで出来るだけボールを失わないようにバックラインでボールを回していたが、そんな光景もこの試合に限っては全くストレスに感じなかった。

 川崎にとって厄介だったのは三都主の存在だろう。一週間前に対戦した時には見られなかった形を名古屋は試合(公式戦)という最高のトレーニング環境で試運転しその上好感触を得ている。川崎はこれに対する対策をほとんど試合の中で考えながら行わなければならなかった。川崎の対名古屋用戦術は名古屋がDFラインでボールを動かしながら前の4人(2トップと両SH)にボールを入れてくるスタイルを想定しているので、三都主がボランチに入ってそのパス回しに積極的に関与することで予想とは違うボールの動きに対応しなければならない上、狙い目のひとつと踏んでいたはずのDFラインでのパスミスもこれによって確率が低下してしまう。三都主のボランチは守備においてもSBでのプレー経験が生きているのかDFラインとの距離感に気を払えるので中村や吉村と比べてもチームとしてブロックを作って守ることを可能にし、また隣でプレーするマギヌンが同胞の先輩の監視下に置かれて比較的真面目に守備に戻って来るようになったりといった副産物をもたらしていたりもする。

 川崎が土曜日のG大阪戦でどういった戦い方をしていたのかは分からないが、1stレグのレヴューの中でも書いたように名古屋対策を意識し過ぎているような川崎は自分達の良い部分を少なからず殺している部分もあり、またそのシステムには明らかなエアポケットが生じていたのも事実だった。名古屋のビルドアップにおいてパスの出し手(起点)となるのはDFラインであり、そこから時に中盤まで落ちてくる2トップにクサビのボール入れるか両SHに預けるかからしか攻撃が始まらないと見切っていた川崎は、名古屋の4バックに対して2トップ+両SHがそれぞれマッチアップするようにプレッシャーを掛け、パスの出先に対してはWボランチが2トップへのパス(クサビの)コースを消し、両SHがボールを受けようとする時にはSBが後ろから密着マークで付いて行って自由にボールを受けさせない(前を向かせない)ような対応をしていた。これだけで名古屋の攻撃(ビルドアップ)は機能不全を引き起こすと踏んでいたのだろう。あとはそこからボールを奪ってカウンターに持ち込めばいい。
 しかし、名古屋のSBにプレッシャーに行くSH、名古屋のSHに付いて行くSB、中央を固めているWボランチの三者の間にはポッカリとスペースが出来ていた。1stレグではレヴューでも書いたように名古屋のSBが川崎のSHとSBの間を上手く使っているシーンが目立ったが、この試合の小川の先制ゴールは小川がまるで導かれるようにこのスペースへとドリブルで入って行き、目の前に拡がる大きな空白に対して迷うことなく右足を振り抜いたことによって決まったものだった。また(二試合を通じた)決勝ゴールの呼び水となった田中のクロスも、マンマーク的な要素を多分に含むこの川崎の守り方に対して、相手のSBを引き付けながら小川が下がって来たことによって出来たスペースにタテのポジションチェンジによって田中が侵入したことがキッカケだ。こうなると川崎はSHがSBと入れ替わるようにそのまま田中を後ろから追走しているような状態で、中央を固めているボランチやCBのカバーも当然間に合わない。

 図らずも相手の弱点を突く形で得点を叩き出した名古屋だったが、その中でもここ数試合出色のパフォーマンスを続けているのがマギヌンだ。どこにでも顔を出して攻撃に絡み相手のプレッシャーを受けても独特なリズムを持つドリブルでなんなくボールを前に運んでしまう。好機を決して逃すことのない左足も秀逸だ。さらに今では上でも書いたように守備面でも周りと連携して十分にタスクを遂行出来るようになっている。このスーパー・マギヌンが消えてしまう前に名古屋はひとつでも多くの勝ち点を稼いでおかなくてはならない。
 チーム状態が良いとは言っても、プロのリーグ戦は戦術のイタチごっこ。名古屋がケネディをオトリにその裏を狙っていることも、ボランチに三都主を起用してビルドアップに一枚噛ませるようにしたことも、いずれ相手チームは対策を立ててくるだろう。現にこの試合の中においてすら、川崎は三都主にボールが渡った瞬間を狙って速い寄せからボールを奪いカウンターにつなげるような形を何度か見せていた。その意味では本当のチーム力が試されるのはこれからなのかもしれない。
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by tknr0326g8 | 2009-09-30 23:59 | Game Review
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