Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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高円宮杯(U-18) 福岡U18×名古屋U18 @西が丘サッカー場
 二年ぶりに名古屋U18が高円宮杯に帰って来た。今年のチームは、終盤戦でメンバーをシャッフして戦ったプリンスリーグでは首位の清水と得失点差僅かに1の2位、2トップが負傷欠場そしてU-17日本代表でもあった三鬼が退団という緊急事態に見舞われた夏のクラ選でもクラブ史上初のベスト4進出と、逆境に打ちかってしっかり成績を残して来ている。
 プリンスやクラ選の準決勝を観る限り、このチームは最高学年になって(MVPを獲得した昨年末のGO FOR 2014 CUPあたりから)そのポテンシャルを発揮できるようになった小幡を攻撃の軸として、ディフェンス面でも個々のプレーヤーの球際の強さだけでなく互いの意思疎通やラインの統率なども含めて随分と安定感が出て来ている印象。全治6ヶ月というエース高原はこの大会でも引き続き欠場(登録メンバーからも外れた)になってしまったが、クラ選でベスト4に入っているだけに、この高円宮杯でもかつては常連だった国立そして埼玉に戻ることは決して手が届かない目標ではない。

 この大会の名古屋は、前回王者の横浜FMユース、来シーズンからの名古屋入団が内定している田中輝希擁する三菱養和、そしてプリンス九州王者の福岡と同じグループに入った。高円宮杯に限って言えば横浜とは、四年前のグループリーグ二年前のグループリーグ同じく二年前の準々決勝で対戦しいずれも勝利を収めている。福岡とは五年前のグループリーグ三年前のベスト16で対戦しこちらも全勝。青山隼のいたチームが福岡を下したのがつい最近のことのようだが、今こうして振り返ると名古屋そして両チームからは多くのプロ選手が排出されていて隔世の感すら感じる。

 そんな名古屋がグループリーグ初戦の相手として迎えるのは福岡U18。上で書いた過去の対戦でも4-4-2でソリッドなチーム作りをしてくる印象があるが、今年のチームもその例外に漏れないようなチームだった。そして名古屋ファン的に言えば、プログラムで最も目を引いたのは「コーチ 宮原裕司」の表記。かつて高校サッカー選手権を沸かせ(膝をテーピングでぐるぐる巻きにし満身創痍で出場し続けていた宮原が決勝で決めたGKの頭越しループはもはや伝説)、鳴り物入りで名古屋入団が決まった後、プロ入り前にも関わらず名古屋の10番のユニフォームを着用してサッカーマガジンの表紙を飾り、当時10番を背負っていたピクシーを激怒させたという逸話を持つこのファンタジスタが、今度はコーチという立場からこのソリッドなチームにスパイスを加えられるだろうか。とは言え、グループリーグ突破のためにも名古屋としては負けられない相手だし、勝ち点3を確実に取りたい相手でもある。

 名古屋のスタメンはこんな感じ↓。クラ選の時のメンバーがベースとなっているが、登録メンバーから外れた高原の代わりに川村が「9」を背負う。

     川村    藤田

小幡   水野    近藤   加藤翼

都竹   川本    奥山   金編

        古川

 この試合について語る上で、まず前提として欠かせないのはこの日の西が丘の殺人的な暑さ。「猛暑」とひと言で片付けるのは簡単だが、これはほとんど「我慢大会」のノリ。40度近い気温だけでなく直射日光を真上から浴びるこの条件下で昼下がりに行えるスポーツは小学校のプールの授業ぐらいだろう。

 試合はキックオフ直後は初戦の緊張感からかどちらもセーフティーにロングボールを蹴り合う展開だった。名古屋も相手に合わせていたが、どちらかと言えばそうした戦い方が堂に入っている感じがするのは福岡の方で、福岡が先に落ち着いたように見えたのは自然の流れだったかもしれない。
 だが時間の経過とともに名古屋も少しづつ落ち着きを取り戻し始める。攻撃で基点となったのはやはり小幡だ。小幡が左SHの位置からやや中に入ってボールを触ることでようやく名古屋は攻撃が形になり始め、小幡のスルーパスに抜け出した藤田が外に流れながらキープしてその戻しから左SBの都竹が左足で惜しいシュートを放ったり、小幡のボールキープから右サイドへと展開してそれを受けた加藤翼がスピード溢れるドリブルでゴールライン際をエグってゴール前まで迫ったりとようやくその攻撃に得点の予感が漂ってきた。

 またこんなコンディションでこそ求められる守→攻の切り替えについて言えば、名古屋はボランチの二人が前を向いた状態でディフェンスに入るとプレスの効きが良く、組織的なボール奪取から逆サイドへと展開するスピーディーなサッカーを実践していた。これはベンゲル時代の名古屋を彷彿とさせるリアクションフットボールそのもので、いかにもベンゲル時代にその薫陶を受けレギュラーとして活躍した小川誠一(監督)、そして控えGKとして初の天皇杯制覇に貢献した石川研(GKコーチ)の作ったチームという感じがする。

 ただそんな名古屋に足りなかったのは、アタッキングサードでのアイデアや意思の疎通といったところだろう。「裏」を強く意識した組み立てやパス出しそして前線の選手の動き出し(まずはタテ1本で裏を狙い、難しそうならボールをポゼッションし相手DFを横に拡げておいた上でバイタルエリアから往年の宮原ばりのスルーパスで裏を狙う)の中でチーム全員がより強く共通のイメージを描けていた印象の福岡に対して、名古屋はアタッキングサードにおいては選手個々の自由な発想にかなり任されている感じがあり、FWがパスと逆の動きをしてしまったり、クサビに対して前線の二人が落ちて来てしまったり、動き出し自体もパスの受け手というよりは出し手主体のものになるのでどうしても相手DFに読まれたり、パス出しとともに「よーいドン」でスタートしても先回りされてしまうシーンが目立つ。また肝心のイマジネーションについても、それをピッチ上で如何なく発揮できているのは小幡ぐらいで、名古屋の攻撃はその分小幡頼りな印象が強まっていた。

 一方で守備に目を向ければ、名古屋はボランチの二人が後ろを向いてディフェンスしなければならない場面(福岡がシンプルにトップに当てたそのセカンドボール)では後手に回ることが多く、そうした状況で相手に寄せ切れない場面も目立っていた。また攻撃の時には小幡が中に入ることで左SBの都竹がその外側から(途中このチームが3バックかと見間違うほど)高いポジションを取って積極的なオーバーラップを仕掛けるわけだが、逆に守備面ではこれによって川本との間にギャップが出来やすくなり、そのサイドから福岡に裏を取られるようなシーンが頻発していた。給水タイム後のファーストプレーで奪われた失点シーンもまさにこのサイドから裏に抜け出されてのもので、ちょっと左サイドに流れ気味に裏へと抜け出した相手のアタッカーを川本が捉まえ切れず、その折り返しから中央を経由して大外でフリーだった選手に渡って決められてしまった。
 そんなシーンがこの場面だけでなく何度か見られた名古屋は、もし福岡のゴール前での甘さとGK古川のビッグセーブ連発がなければ、前半だけであと3点ぐらい決められていてもおかしくはなかった。

 前半終了間際には名古屋にも決定機。近藤のインターセプトからスルーパスを受けた小幡が左寄りのポジションから放った鋭いシュートを福岡GKが弾いたところで、その跳ね返りを待ち構えていた藤田が右足ボレーで合わせたがシュートは惜しくもポストを叩いた。だが得点に向けた具体的なイメージをチームが持てたことは後半に向けて間違いなくプラスになったのではないだろうか。

 後半名古屋は(福岡も)メンバー変更なし。課題があるとしたらフィニッシュの部分なので、ひょっとしたら後半頭から大西を入れてくるかなとも思っていたが、この気候条件などを考えれば小川監督は勝負どころはもう少し先にあると判断したのかもしれない。
 そして依然として炎天下の中で戦う後半の開始から5分ほど経過したところで名古屋はラッキーな形で同点ゴールを手に入れる。福岡DFラインの裏に出たボールに対して、福岡DFとGKの連携の問題かそれともGKが単に目測を誤ったのかGKがこれを空振り。これを拾った川村が無人のゴールへと流し込んだのだった。
 名古屋からしてみたらまだベンチに攻撃的なカード(大西、足立)も残しているし、なによりこのコンディション下で追いかける展開という厳しい条件を労を割くことなく覆せたのだから精神的な効果は計り知れない。実際ピッチ上の選手達からはそれまであまり出ていなかった声が現金なほどに出始めた。

 この後試合は思わぬ方向に向かう。まず後半開始から僅か10分で福岡GKが足を攣って倒れる。時間帯といいGKというポジションといいあまり見たことのない光景。不思議に思っていると、さらにその5分後には今度は名古屋GKの古川が足を攣ってピッチに倒れ込んだ。後半早々に両チームのGKが足を攣るというのは不思議と通り越してもはや異常でもある。
 だがそれに対する両チームの対処法は対象的で、名古屋がアッサリとGKを伊藤にスイッチしたのに対して、福岡はその後三度ぐらいGKの治療にトレーナーがピッチへと入っていった。名古屋の場合はサブの伊藤もこの年代では屈指のレベルを持つGKであり交代しやすかったという事情があったのかもしれないが、その後福岡GKのビッグセーブによって名古屋が追加点の機会を阻まれ続けたことを考えれば、福岡ベンチの判断も正しかったということだろう。水野のノールック気味のスルーパスに抜け出した藤田が左足で放ったシュート、ボックス内の混戦から最後は近藤が意外性のあるトーキックで放ったシュート、ショートコーナーから逆サイドへと展開したボールを都竹が左足で放ったミドルシュートと、名古屋がゴール前に人数を掛けた分厚い攻撃を福岡GKがいずれも(とてもさっきまで足を攣っていた人とは思えない)ビッグセーブで弾き出す。とは言えGKも三回ぐらい足を攣っているのだからCKからGKの前に入れば決まるのでは?と思ってもこれもなかなか決まらない。

 そしてそのまま試合は流れ迎えたアディショナルタイムは6分。このコンデシション下でさらに6分も試合を引っ張ることはほとんど拷問だが、福岡GKの三度に渡る蘇生や名古屋も古川の治療を踏まえればこれは決して無茶なロスタイムではないし、おそらくピッチ上の選手達も「早く試合を終えたい」よりも「決着をつけたい」と思っていたに違いないことを考えれば、正しい判断だったと俺は思う。
 そんなロスタイムに試合を決めたのは試合を決められる選手を擁していた名古屋だった。藤田が持ち出したボールを中央の小幡に託すと、小幡はボックスの手前を薄く左に流れながら左足一閃。小さな身体から放たれた豪快なシュートが逆サイドネットへと突き刺さった。福岡も後半終盤には何度か決定機を迎えながらオフサイドで取り消されていたことを考えれば、こうして試合を決める力を持つ選手がいることはやはり大きいと言わざるを得ない。

 このコンディション下では試合や選手のパフォーマンスについて語れるような素地は到底ないと思うが、それでも気になったのは最近名古屋の試合を観に行くとよく聞こえていた選手間の「声」が減っていたような気がしたこと。おそらくピッチ上は大声を張り上げるのも憚られるぐらいの状況だったのだろうが、これは上でも書いたポジショニングの問題とともにDFラインが揃わず簡単に裏を取られる原因のひとつになっていたはずで、これから先相手のレベル(ゴール前での決定力)が上がって来ることを考えると今のままでは少々心許ない。また攻撃面でも上で書いたようにアタッキングサードにおけるコンビネーションの精度をもっと上げて、小幡依存となっている現状を改善していく必要があるだろう。
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by tknr0326g8 | 2010-09-05 13:00 | Youth
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