Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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高円宮杯(U-18) 横浜FMユース×名古屋U18 @群馬県立サッカー・ラグビー場
 二年ぶりとなる高円宮杯で、ここまでグループリーグ1勝1敗と後がない名古屋。そんな状況で迎える相手が昨年のこの大会のチャンピオンで、ここまでグループリーグ2連勝を飾っている横浜FMユースというのは巡り合わせとして良いのか悪いのか微妙なところだ。単純に考えれば名古屋にとって横浜はこの上ない強敵だが、グループリーグ突破を既に決めている横浜にとって二日後のラウンド16を意識するなというのは土台無理な話であり、そこにこそ名古屋の突け入るスキがあるかもしれない。グループ2位でも決勝トーナメントに進めない確率の方が高いクラ選と違って、グループ3位でも決勝トーナメントに進める高円宮杯のレギュレーションを考えれば、名古屋にもまだ可能性はあるし、この試合でそれを引き寄せられるかどうかは彼等自身の手(足)に懸っている。

 ただそんな名古屋にとって一番の懸念材料はこのチームで背番号10を背負う小幡が大学受験によりこの試合を欠場するということ。欠場するのが負傷中のエースストライカー高原だけなら、まあ相手の横浜も小野がいないわけだし…と無理矢理納得するところだが、それに加えて小幡まで欠くとあってはチームにとっての一大事。横浜で言ったら、小野に加えて松本と後藤を欠くぐらいのインパクトがこの小幡欠場にはあるかもしれない。

 名古屋の先発は下に書いたような感じの並び。小幡のポジションに入るのはここまで二試合とも加藤翼と途中交代で入っていた加藤凱。前節退場を喰らった都竹の代わりには渡辺がそのポジションに入っている。そして小幡欠場を考慮してか、それともどうしても勝たなければいけない状況を意識してか、2トップを前節までの藤田&川村から大西&足立という二人にまるごと入れ替えていた。ともに185cmを越える大型の二人が最前線に並ぶことによって間違いなく攻撃の迫力は増すだろう。
 それにしても足立の大きさはどうだ。彼の公式戦でのプレーを観るのは(昨年の豊田国際ユースと新潟国体を除けば)初めてだが、昨年よりさらにひと回り大きくなったような印象の彼の隣では、大西が普通の(サイズの)プレーヤーに見えてしまう。

     足立  大西

加藤凱  水野  近藤  加藤翼

 渡辺  川本  奥山  金編

       伊藤

 立ち上がりから名古屋はアグレッシブで気持ちも出ている。前からプレッシャーを掛け、ボールを奪ったらタテに速い攻撃を繰り出す名古屋は、ディフェンスでもよく声が出ていたり、危ない場面は一切無理せずタッチに逃げるなど、勝利という一点に向けて自分達がするべきことが明確になっているようだ。

 しかしそんな名古屋に対しても横浜は落ち着いた対応を見せていた。ボランチの位置にいる熊谷アンドリューを中心にピッチを広く使ってしっかりとボールを動かし、簡単には名古屋に的を絞らせない。特に熊谷アンドリューは足元に一度ボールが収まると名古屋は複数でチャレンジに行ってもそこから奪うのが難しい状況だった。そうして左右に名古屋DFを拡げておいて、DFラインをナナメに走り抜けるFWの動きに合わせるように狙い澄ましたタテパスがズバッと出てくるのだから名古屋としては全く安心出来ない。

 ここまでを見ても両チームの間には少なからず力の差があるように感じられたが、名古屋はボールを持つと素早くサイドの裏のスペースにボールを流し込んでそこに基点を作るようなリスクの少ない戦い方をベースにすることでその差を出来る限り顕在化させないようにしていたし、時々近藤が中心となって中盤で上手くボールを奪えた時にはショートカウンターからチャンスを作り出したりもしていた。
 そしてその近藤が主役となるショートカウンターはが最大の決定機を迎えたのが35分過ぎ。近藤が相手ペナルティエリア手前でパスカットしてそのままDFラインを抜け出すとGKと1対1の場面を作り出す。近藤が放ったシュートは惜しくもGKのセーブに遭い、そのこぼれ球を狙った加藤凱のシュートもポストに嫌われはしたが、名古屋にとってこれはゴールへのイメージ(道筋)が一つ明確になったシーンだった。

 今年のチームでキャプテンを務めている近藤はその自覚からか今年に入ってかなり伸びた印象がある。一年生の頃からちょろちょろと試合に出場し(浦和に大敗したあの高円宮杯決勝にも途中出場していた)、昨年もプレシーズン(スーパーリーグの頃)は目を見張るようなプレーを見せていたが、上級生に対する遠慮があったのか、その後の公式戦ではチームの調子とも比例してあまり目立った活躍は出来なかった。
 しかし最高学年を迎えキャプテンマークを捲いた今シーズンは吹っ切れたかのようにディフェンス・オフェンスを問わず高いパフォーマンスを発揮している。福岡戦の後のエルゴラで「ピッチの狩人」と持ち上げられたのも当然のボール奪取ぶりに加えて、彼の持ち味である前線への飛び出しによって小幡とのコンビでチャンスを作り出すプレーは、エースストライカーの高原を欠くチームにあってはまさに生命線とも言えるものだ。

 ただそんな近藤が演出した決定機によって前半終了に向けて収束していくはずの試合のペースが上がってしまったことは名古屋にとっては誤算だったかもしれない。これで目が覚めた横浜がその直後から攻勢をかけコーナーキックを獲得すると、名古屋はせっかくクリアしてもDFラインを上げ切れず、またセカンドボールも拾えないので横浜の波状攻撃からコーナーキックを続けて受ける展開になってしまった。そして何度目かのコーナーキックの後で再びそのこぼれ球を拾われると(名古屋にとっての)右からのクロスを受けた横浜の9番高橋にワントラップで前へと持ち出される。この動きで名古屋DFを置き去りにした高橋は落ち着いて名古屋ゴールへとシュートを蹴り込んだのだった。名古屋からしてみれば、リードできないまでもせめて0-0で折り返したかったはずで、この時間帯に失った点はまりにも痛い。

 ハーフタイムを挟んで迎えた後半名古屋はメンバーチェンジなし。そして名古屋は前半終了間際の失点で気落ちするどころか、後半もかなりアグレッシブな入り方をしていた。加藤翼の突破から得たコーナーキックからファーで合わせた渡辺のヘディングシュートがバー(の内側)を叩いていきなりペースを掴んだ名古屋は、後半開始から5分も経たないうちに、右サイドで相手のボールを奪った近藤がクサビに当てるふりをしてライン際をそのまま持ち上がると、横浜のDFとGKの間のいやらしいところにクロスを落とす。そしてこれに詰めた足立との接触を避けたかったのか飛び出してきた横浜GK鈴木のクリアが中途半端になったところで、これを拾った加藤凱が左足で叩いてゴールへと流し込んだ。

 殊勲の同点ゴールを挙げた加藤凱はこれまであまり出場機会が多くなかったが、俺が観たクラ選・準決勝、そして高円宮杯・グループリーグ二試合ではいずれも加藤翼に代わって途中出場を果たしている。そして正直なところ、スピードのあるドリブルで相手DFをブッちぎる加藤翼の華やかなパフォーマンスと比べると、加藤凱は途中交代で試合の流れに入り切れずその特徴を発揮出来ていないという意味でかなり控え目な印象があったが、頭から出場のチャンスをもらったこの試合では(加藤翼のようなスピードはなくても)そのトリッキーなステップで対面のDFを幻惑してチャンスメークしたりとその持ち味を発揮できていた。ただこの予兆は実は前節・三菱養和戦の最中からあり、相手のマークを引き付けた小幡のパスを受け左足でグラウンダーの惜しいシュート(枠の右)を放ったり、試合終了間際にはボックスの中でゴールライン際を左サイドから侵入して相手を交わしゴールマウスへと近づいたりとあと一歩で決定的な仕事が出来そうな雰囲気はあった。そして今日の試合では遂に値千金のゴールを決めるなどそのパフォーマンスは試合を重ねる中で確実に上昇して来ている。

 この得点に味をしめたわけではないだろうが、それ以降の名古屋はマイボールになって前を向いてボールが持てていたらとにかく横浜DFラインの裏にフィードを落とすような戦い方を徹底する。もちろん横浜のフォアチェックに前方を塞がれていればパスをつないで角度を変え前線にボールを入れる機会を探るのだが、後半になると横浜も体力が落ちたのかそれとも二日後に備えて体力を温存しようとしていたのかプレッシャーが甘くなり前線と二列目の連動性も薄れて来ていたので、名古屋は比較的容易にフィードを放り込むことが出来ていた。そしてこの形から名古屋は何度か横浜DFの裏に抜けることに成功する。こうした戦い方は抜ければ即決定機だ。スタンド悲鳴とも歓声ともつかない声を上げさえたのはひょっとしたら後半は名古屋の方が多かったかもしれない。

 そんな名古屋の攻撃とは対照的に、横浜はしっかりと中盤で組み立て、アタッキングゾーンでは運動量を生かした流動的なポジショニングから厚みのある攻撃を見せる。後半の決定機は、フィードに反応した松本が鋭いダッシュで名古屋DFラインを抜け出してGKと1対1になった時(伊藤がビッグセーブ)ぐらいだったが、横浜はボールを外側に押し出そうとする名古屋のディフェンスをむしろ逆手に取るように何度も真ん中からDFの裏へと抜け出しチャンスを作っていた。
 名古屋は守備に入ると4+4のブロックがそれぞれ均等にスペース(ピッチの横幅)を分担するのではなく、中盤の両サイド(この試合で言うとW加藤)がかなり内側に絞って来るのが特徴だ。中央からの縦パスを通されないように選手間の距離を縮め、そこに入って来てボールを受けようとする選手には両サイドから挟み込むような形でボール奪取を仕掛ける。しかし中盤の両サイドが内側に絞ることで必然的にスペースが空くサイドのケアにSB(金編や渡辺)が引っ張り出されてしまうと、今度は皮肉にも真ん中でSBとCBの間にギャップが生まれ、そこに走り込まれて縦パスを合わせれるシーンも多かった。

 その後名古屋は、川村、奥村、藤田と前線のプレーヤーを次々と投入して勝負を掛けたが結局得点は奪えないまま1-1で試合を終了した。結果的に決勝トーナメント進出を決めた名古屋にとってこの勝ち点1はとても価値のあるものだが、試合として見れば(そして横浜との比較で見れば)学ぶべきところも多かった試合だろう。
 横浜は止める・蹴るの正確な技術をベースに個々のプレーヤーがまるでローテーションのようにポジションを変えて流動性と厚みのある仕掛けてくる。対する名古屋はと言えば、トラップミスやキックミスによってボールを失ったり次の動作にすぐに移れなかったり、また基本的には前(タテ)に速いので中盤でボールを持っても周りの選手(例えばSB)がこのパスをもらえるような位置まではなかなか顔を出せないでいた。
 ただこのチームは、そんな選手個々やチームとしてのクオリティの差に対して、それを乗り越えられるだけの精神的な強さが身に付いている。ラウンド16の会場となる藤枝では、グループリーグ期間から(そして試合当日も)移動の必要がない静岡学園と対戦するとのことで、ずっとホームで戦っている静学にとってそのアドバンテージはメンタル面以上に体力面で計り知れないが、そこでも名古屋のこの精神的な強さは生きるかもしれない。
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by tknr0326g8 | 2010-09-19 01:10 | Youth
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