Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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高円宮杯(U-18) 静岡学園×名古屋U18 @藤枝市総合運動公園サッカー場
 グループリーグ最終節で横浜と引き分けなんとか決勝トーナメント進出を決めた名古屋。中一日で迎える決勝トーナメント・Round16の相手はプリンスリーグ東海でも戦った静岡学園だ。高円宮杯は、夏のクラ選や高校総体、冬の高校サッカー選手権のように二日続けての連戦はなく選手のコンディションに配慮している(炎天下での試合は除く)し、トーナメント進出を賭けたグループリーグ最終節は同グループ同時間キックオフの原則が守られて公平性も確保されているが、なにぶん一ヶ月の長丁場ともなれば、決勝トーナメントが佳境を迎える頃には、毎週関東と地元を行ったり来たりする地方のチームと関東のチームとの間でコンディションに明らかな差が出てくることも少なくない。もっともこうした大会を行う以上どこかがそういったホームアドバンテージの恩恵を受けることになるのだが、関東以外で最もそれに授かっているのが静岡勢で、例えばこの静岡学園はグループリーグ三試合をいずれも今日の試合会場でもある藤枝で行っている。自宅(もしくは寮)から現地集合で試合会場へと出向けて、試合が終われば夕食の頃には自宅で食卓にありつけるような環境は、特にこの中一日での試合では大きくものをいうだろう。逆に言えば、俺が東京から電車で観戦に出向いて帰って来ただけで翌日までグッタリしてしまった前橋で二日前に試合を行ったばかりの名古屋にとって、これは大きなハンディキャップとも言える。ただ今更それを嘆いても仕方ないので、名古屋とすれば、グループリーグで三菱養和や横浜FMといった関東の強豪チームと対戦してきた経験、そして苦しい試合を覆して来た強いメンタリティをもってそれを埋めていくしかない。

 名古屋の先発はこんな↓感じ。

    足立  川村

小幡  水野  近藤  加藤翼

渡辺  川本  奥山  金編

      古川

 大学受験で前節を欠場した10番の小幡、そして正GKの古川がスタメンに帰還。FWの一角と左SBには前節に引き続き足立と渡辺が入っている。前節は足立と大西という185cm超級の2トップだったが、ベンチとしては特別な破壊力を持つ大西を「切り札」としてベンチに持っておきたいのだろう。

 そして試合は序盤、そんな名古屋のペースで進む。高い位置でボールを奪えている名古屋は、そこからのショートカウンターで度々静学ゴールを脅かす。その中心にいるのはもちろんキャプテンの近藤で、中盤でボールを刈り取ったかと思えば、積極的に前線へと飛び出して行って小幡とのコンビネーションでシュートへと結びつける。
 さらにこの立ち上がりでは右サイドから加藤翼がキレのあるドリブルでチャンスを作り出すシーンが目立った。この試合ではワイドに張るというよりも内側から静学ディフェンスへと切れ込んで行く場面が多く見られた加藤だが、この良い時間帯に見られた、右サイドから走り込んだ加藤翼にパスが通って加藤の放ったシュートが相手DFに当たってコースが変わりポストをに弾かれたシーンなどは立ち上がりのクライマックスと言ってもよかっただろう。
 ただ試合を終えて振り返ってみれば、名古屋にとって唯一このキックオフ直後の時間帯だけが思い通りのプレーを出来た時間帯であり、彼等が残された体力の中でかろうじて気持ちと身体のバランスを保ってプレー出来る時間帯だったのかもしれない。その意味では名古屋からしてみればこの時間帯にゴールを奪えなかったことが致命傷となってしまった。

 対していつの間にかFC岐阜っぽいユニフォームになっていた静学は、序盤こそ名古屋の出方を伺っていたものの、中盤から後ろでボールを持つと常に2~3人(多い時は誇張抜きで4~5人)が名古屋DFラインの裏を狙って走り出しそこに縦パスを送り込むダイレクトプレーでチャンスを作り流れを引き寄せる。この大会で一本の縦パスによってDFとDFの間(特にSBとCBの間)を抜かれてしまう場面が目立つ名古屋は、やはりこの試合でもそこを狙われているようだった。これは例え相手が名古屋を研究していなくとも試合が始まれば誰の目にもギャップが出来ていることは明らかなので、静学もおそらく試合の中で意識・無意識を問わず見付けることが出来たのだろう。そしてそのギャップを狙って飛び込んでくる相手に対して名古屋はCBの奥山を筆頭にボックス内(或いは近辺)で難しい対処を迫られていたが、粘り強い守備でなんとか水際でこれを喰い止めていた。しかしSBが出て行く出て行かないの判断や、(SBが)出て行くなら出て行くでカバーリング(やDFライン全体のスライド)をもっと速くしてやらないと、これではいつやられてもおかしくない。

 そして20分過ぎにコーナーキックからニアサイドに飛び込んだ選手のドンピシャヘッドをゴールライン上で渡辺がクリアしてほっとしているのも束の間、名古屋は静岡学園に先制点を献上してしまう。左SBの渡辺がヘディングでクリアしたボールがそのまま相手に渡ると、その選手が渡辺の裏(すなわち渡辺と川本のギャップ)にボールを流し込む。川本がカバーに行こうとするも間に合わず、これをもらった選手がドリブルで中央へと切れ込んで行くと後から追走した渡辺がペナルティエリア内でこれを倒してしまいPKを与えてしまった。

 先制したことで好きなようにプレーし始めた静岡学園とは対照的に、これぐらいの時間になると名古屋の攻撃には早くも沈黙の気配が漂い始めていた。攻撃を組み立てようにも前線にクサビのボールが収まらないので名古屋はゴールに近付くことが出来ない。これは何もクサビを受ける側だけの問題ではなく、出す方にもそのパスにズレが生じていたので、(「疲れ」という要因を差し引いたとしても)受ける側も出す側もまだまだ技術を磨いていく必要があるということだろう。ならばと現在のチームで最も機能しているボールを奪ってからの速攻を仕掛けようとすると、静学は攻→守の切り替えにおける危ない場面ではプロフェッショナルファールを使って上手くこれを寸断することに成功していた。静学にはどことなくブラジル的な上手さ・いやらしさがある。

 後半になると、静学はいつの間にか9番の鈴木と11番の廣渡がポジションチェンジしており、前半はメインスタンド側だった(静学にとっての)右サイドに大型FWの9番がいてトップに小柄な11番がいることにどことなく違和感があったが、鈴木(9番)がトップに入り廣渡(11番)が右サイドに配置転換されたことでこの違和感は解消。そして後半の名古屋ディフェンスは右サイドから切れ込んで来るこの廣渡のドリブルに悩まされることになる。

 一点を追いかける後半立ち上がり早々、名古屋はこの11番廣渡のドリブルによって左サイドを破られ、そのマイナスの折り返しから最後は7番の長谷川が洒落っ気のあるループシュートを狙った(シュートは枠を大きく外れる)ことで命拾いしたものの、いきなり出鼻を挫かれた感は否めなかった。そして静学のコーナーキックから渡辺が本日二回目のゴールライン上でのクリアを見せたものの、名古屋は選手達の集中も徐々に散漫になって行く。ナーバスな笛を吹く主審のジャッジに対してキャプテンの近藤が「やってられない」とばかりに両腕を拡げるようなジェスチャーをしていたぐらいだから、その程度が分かるというもの。そして選手達は自分がやらなければという気持ちだけが空回りし始めていた。

 その後、同点そして逆転に向けて前線で3人の選手交代を行った名古屋だったが、それもどこかチグハグな印象を受けた。名古屋の選手達にもはや多くの運動量が望めないことに加えて、静学が後半になるとDFライン4枚とそのすぐ前にポジションを取るWボランチで堅固なブロックを作っていたことを考えれば、名古屋のチャンスはDFラインの「裏」を狙って縦パスを蹴るか、小幡や近藤などのボールキープが出来る選手に喰い付かせて「裏」にスルーパスを狙うぐらいしかない。となれば、FWには当然機動力のある選手を入れる(残す)べきだが、名古屋ベンチは二人目の交代で川村を下げてしまった。大柄ながら走力のある大西の投入は良いにしても、ここで代えるなら足立ではなかったか。これは足立のプレーがどうこうという問題ではなく、例え足立に(頭であれ足元であれ)良いボールが入ったとしても名古屋の二列目の選手達には既にそれに絡んで行くだけの運動量が望めず、また例えばSBが相手陣内深くまでオーバーラップして足立の頭を目掛けたクロスを入れるというようなプレーも期待できなくなっていたからだ(金編が一度オーバーラップして抜け出したシーンがあったが、静学はなんと1トップの9番の選手が付いて来てイエローカードと引き換えの胴タックルで止めた)。であれば、前半の静学がそうしていたようにDFラインの裏目掛けてダイレクトに人とボールを送り込んだ方が得点の可能性は高い。川村の交代後、中盤でボールを持った小幡のスルーパスから足立が抜け出したシーンで、もしあそこに残っているのが川村だったら、結果は違ったものになっていたかもしれない。

 試合は当然の成り行きとして圧倒的な静学ペースになっていく。名古屋は静学の網に引っ掛かってボールを失っては、逆に完全にフィルター機能を失った中盤を通過してラストサードまで静学の攻撃を受け入れる繰り返し。シュートはなんとかGKの古川がセーブしていたが、気が付けば、「そう言えば後半名古屋シュート打ったっけ?」という状態。そして静学はそんな状態でも容赦なく前からプレッシャーを掛けボールを奪い返しに来る。彼等は勝負所をわきまえているし、体力的には当然キツイだろうがみすみす自陣に引き籠って手負いの名古屋の攻撃を自分達のゴールに近付けるような真似はしない。静学にとって唯一不安があるとすれば、これだけシュートを放ちながらゴールが決まらないことで、こうした場合得てして攻めている側に嫌な感じが漂い始めるものだが、彼等が肝を冷やしたのはロスタイムの小幡のミドルシュートぐらいで、ほとんど産みの苦しみを味わうことなく準々決勝への進出を決めたのだった。

 この試合について言えば、トーナメント戦の1点差ゲームでよく見られるような、終了のホイッスルとともに負けたチームの選手達がバタバタとピッチに倒れ込むようなシーンは皆無だった(唯一、結果的に決勝ゴールとなってしまったPKを献上した渡辺だけがピッチにしゃがみこんでいた。本文中でも書いたように彼はコーナーキックから二点を救っているのだが・・・)。これはおそらくは体力的な問題もあって、満足なパフォーマンスを発揮出来ないまま不完全燃焼で試合を終えてしまったためではないだろうか。彼等の中では、今日の時点で出来ることは最大限やりつつも、「もっと出来るはず」という思いがあったに違いない。だとすれば彼等が次にやるべきことはハッキリしている。このチームで最後の大会となるJユースカップで完全燃焼することだけだ。
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by tknr0326g8 | 2010-09-19 23:59 | Youth
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