Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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高円宮杯(U-15) 準決勝 名古屋U15×神戸U15 @西が丘サッカー場
 名古屋の下部組織史上でも最高レベルのタレントを揃えている今年の名古屋U15。しかし今年はここまでその能力に見合った結果を残せているとは言い難い。この大会の東海地区予選でも準決勝で名古屋FCにまさかの敗戦を喫し、三位決定戦で今シーズン二敗している磐田を振り切ってなんとか本大会へとコマを進めてきた。
 しかしこの結果により全国大会の開幕戦をホーム(名古屋)で戦えるというアドバンテージを手放すことになってしまった名古屋U15だったが、負けた方が全国の切符を逃すというシビアな戦いを勝ち抜いたことで、逆にチームとしては失いかけていた自信を取り戻したのか、全国大会が始まると怒涛の快進撃。遂には優勝した99年以来となる西が丘(準決勝)の舞台へと辿り着いた。

 対する神戸は昨年のチームがスーパーなチームで、名古屋もクラ選の準決勝や高円宮杯のグループリーグで対戦しているが二度に渡ってその壁にはね返された。その意味ではこの試合はメンバーこそ違えど昨年のリベンジマッチとも言えなくもない。

 11年ぶりに西が丘のピッチへと姿を現した名古屋U15のスタメンは↓のような感じ。

       北川

        森
伊藤            桜井
     金    石川

松田  後藤   中島  若園

       板倉

 この大会から高田監督はU14のエース・桜井を飛び級で右SHのスタメンに抜擢している。もともとこのポジションにいたのが、去年の夏のクラ選(U15)などでは逆にU14(当時)から飛び級でスタメン入りしていた曽雌だったということを考えれば、いかにこのチームの競争が激しいかが分かるというもの。そうでなくてもこのチームでずっと試合に出続けているのは、北川、中島、松田、板倉ぐらいで、去年のプレミアカップの頃には早生まれの真柄やニッキに押し出される形で石川と森が右SHのポジションをめぐって争っていたり、後藤と若園が右SBのポジションをめぐって争っていたりしていたし、今年に入ってからも伊藤と宮市の左SHや金と石田のボランチ、若園と加藤のSBといったところで抜きつ抜かれつの激しいポジション争いが発生していた。そしてそれ以外にも児玉、直江、濱田といった他のチームであれば中心選手としてプレー出来る選手が控える陣容は層が厚く、桜井を筆頭に赤塚、笹沼といったU14からの突き上げもある。

 と少し話は逸れたが、この桜井の右SH起用(というよりかは北川との併用)は興味深い試みだ。今シーズンは北川が代表やU18の試合でチームを空けることも多く、そうした時にはよく一つ下のカテゴリーから桜井が飛び級で参加して北川の代役を務めていた。北川とはまた違った特徴を持つ桜井は、同年代ではサイズにも恵まれているもののフィジカルでゴリゴリといくタイプではなく、浮き球のコントロールが上手く独特のリズムで相手の間合いを外すようなドリブル突破が特徴のテクニシャン。得点感覚はもちろんのこと周りを使うのも上手いのでポストプレーも出来るし、ひょっとしたら1トップとしてなら北川より機能するかもしれない。実際、この桜井を1トップに据えた関東遠征でこの年代の最強チームのひとつと言われる東京Vやこの大会の準々決勝でも対戦した横浜FMを一蹴したりもしている。初戦の愛媛FC戦でスタメン表に北川と桜井の名前を同時に見かけた時は、北川との2トップや北川のトップ下や右サイドへの配置転換なども想像したが、桜井の右SH起用が正解。そして右SHとして起用されていた桜井は、依然と比べると随分とフィジカルレベルが上がっている印象で、攻撃に守備にと力強いプレーを披露していたのが印象的だった。

 試合はキックオフから1分と経たないうちに神戸のDFが負傷しそのまま交代を余儀なくされる波乱の幕開け。そして両チームともにどことなく落ち着かない雰囲気の中、北川が神戸CBの間でパスを呼び込むようにして抜け出し左足で放ったミドルシュートがバーをかすめるというプレーがキッカケとなりようやく熱戦の火蓋が切って落とされた感じだった。
 この年代では既に特別なプレーヤーであるとは言え、まだ本調子ではない北川の挨拶代わりの一撃だったが、もしあれを(効き足でない)左足でコントロールしてねじ込めるようなことにでもなれば、北川はU18を飛び越えてすぐにでもトップチームに合流した方がいい。

 アクシデントの影響か今ひとつ乗り切れない神戸に対して序盤は試合を優位に進める名古屋だったが、その攻撃はかなり中央に偏った展開が目立った。トップにボールを付けるところまでは悪くないと思うのだが、そこから先も中央突破を狙って少し強引な印象も受ける。
 このチームは、北川、森といったスペシャルなタレントを配するFWや、石川、金といった優れたセントラルMFに目が行きがちだが、チームとしてのパフォーマンスのバロメーターは実はサイド攻撃(特に左サイドの伊藤)にある。往年のライアン・ギグスを彷彿とさせるようなスピード溢れるドリブルで伊藤が自在に敵陣を切り裂いている時の名古屋はまるで打ち出の小槌のようにそこを基点として得点を量産するが、そこが塞がれてしまうと意外と苦戦するパターンが多いというのが俺の中でのこのチームに対する印象。
 そしてこの試合では、右サイドからは桜井と若園との絡みで何度か攻撃を仕掛けるシーンがあったものの、左サイドから伊藤がドリブルを仕掛けるようなシーンは数えるほどしかなかった。特に前半開始から15~20分ぐらいの間にいたっては、伊藤はほとんどボールに触っていなかったのではないかというぐらい。そしてそれは、名古屋が強引な中央突破を試みる中から掴んだ絶好のチャンス――中央で森から北川へとパスが渡り、北川が右から中へと流れながら左足で出した絶妙なスルーパスに反応した伊藤が抜群のスピードで一気にGKまで抜き去り右足で放ったシュートがポストを直撃した――においても微妙な影響をもたらしていたかもしれない。

 その後20分を過ぎたあたりから神戸もようやく攻撃に人数を掛け始め徐々に攻勢を強めてきた。神戸は昨年のチームと同様にボランチのところでボールを落ち着かせて上手く左右に展開してくる。こうなると今度は名古屋の守備力が試される番だ。そしてそこでは東海予選の頃には一歩間違えば崩壊寸前と言えなくもなかった名古屋ディフェンスの再生を僅かながら見て取ることが出来た。まだまだDF同士が重なってしまったり、中盤でボールを奪いに行って入れ替わられてDFラインの前のスペースをポッカリと空けてしまうようなシーンが時々見られるものの、カバーリングの意識や(特に攻守の切り替えにおける)ポジショニングには彼等も十分気を遣ってプレーしている様子が伺える。

 そうした展開の中で迎えた前半終了間際、またしても中央突破から名古屋にとっては待望の先制ゴールが生まれる。中央で北川と森が重なりながらも森がボールをキープして前線に上がって来ていたフリーの石川へ。これを受けた石川は京都DFが寄せてくる前に豪快にニアサイドをブチ抜いた。最高の時間帯での先制ゴールにより名古屋は1-0とリードを奪って前半を折り返す。

 後半もリズム自体は前半とそれほど変わりはなく、なかなか上手くボールが回らないのなら、ともにボールを動かせるWボランチをもう少し使ってゲームを組み立てても良いのでは?と思うのだが、前線に北川、森というボールが収まる選手がいるためか、名古屋はどうしてもタテにタテにと急いでしまう。後半は北川がサイドに流れてボールを受けるような動きも見られるようになったが、神戸は方向を限定しつつボールホルダーに対して二人、三人とグループで囲んでくる上手いディフェンスをするので(北川の場合はそれを一人で突破してしまっていたが)、名古屋のアタッカーが少しでも判断に逡巡していると攻撃はすぐに行き詰ってしまう。こうなると名古屋に得点が入るとすれば、北川と森にボールが収まった後の即興によるコンビネーションか、高い位置でボールを奪ってからのショートカウンターしかない。

 そんな名古屋が残り10分を切ったところで待望の追加点を挙げたのもやはりショートカウンターから。神戸が攻撃に移ろうとしたところを石川が鋭い出足でブロックすると、そのボールがつながりこれを拾った伊藤が左足一閃。鮮やかなミドルシュートが神戸ゴールへと突き刺さった。試合を決める美しいゴール。
 このシーンで守→攻の切り替えの役割を担ったのは石川だったが、この試合では石川とともに金のパフォーマンスが素晴らしかった。前へ前へと詰めていくディフェンスで神戸の攻撃を寸断し、名古屋の攻撃に連続性をもたらしていたのは間違いなく金だ。前にも書いたが、去年のプレミアカップの頃にはまだ繊細なテクニシャンの印象が強かった(泥臭い役回りは真柄が担っていた)金だが、今では中盤での的確な散らしや前線への飛び出しといった攻撃面だけでなく、守備面でもすっかり闘えるボランチへと成長を遂げ頼もしい存在となった。

 その後、前半と同じような形で北川からDFラインの裏へ飛び出した伊藤へのスルーパスが通りあわやというシーンなども作った名古屋は、桜井、金と動きの良かった選手が次々と交代してしまって一抹の不安を感じさせたものの、残り時間が少なくなってロングボールを放り込んで来る神戸の攻撃を後藤が滞空時間の長いヘッドでことごとく迎撃し危なげなく試合をクローズ。12/29に国立競技場で行われる決勝戦へとコマを進めた。「ヘディングの強い人」特有のオーラを発している後藤は、京都のスタイルを見る限り、決勝戦のキーマンの一人になるだろう。

 11年振りの優勝まであと一勝。試合を見ていると彼等のポテンシャルはまだまだこんなものではないと思うし、彼等ならもっといいサッカーが出来るとも思うが、ここまで来たらもうそんなことは関係ない。誰もが踏めるわけではない夢の舞台・国立で伸び伸びと彼等らしいプレーを見せて栄冠を勝ち取って欲しい。
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by tknr0326g8 | 2010-12-28 07:03 | Youth
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