Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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2004年シーズンを振り返る その3
 その3は、「トップ下」にスポットを当てつつ、チームとしてのコンビネーションの熟成とその中で見えてきた攻撃の形について。

■岡山から直志へ
 先シーズンまで名古屋のトップ下のレギュラーは岡山だった。今シーズントップ下のレギュラーとして定着した直志と比べても、個人としての能力は直志より劣るものの、チーム最大の売りである2トップとの絡みや昨シーズン最大の発見だった右サイドの幸治郎とのコンビネーションを考えた場合、岡山の方が直志よりも優れていて、チームとしても岡山が入った時の方が上手く回っていた。
 今シーズントップ下のレギュラーとして開幕を迎えたのは岩本だ。守備面では不満が残ったが(1st磐田戦のカウンターに対する対応とか)、その左足から繰り出されるDFラインの裏への柔らかいパスに2トップが反応する様はそれはそれでなかなか面白い組み合わせではあった。しかしそんな岩本が怪我で戦線を離脱すると、第3節からスタメンに定着したのは中村直志だった。今シーズンのチームの攻撃面での成長、それは直志がスタメンを維持し続けたことと同時進行系である。
 直志が今期初めてトップ下として先発出場した第3節鹿島戦。右サイドをえぐってマルケスの得点をアシストしたものの、その右サイドでの幸治郎との被りっぷりは正直酷かった。お互いがお互いを消し合ってて、お互いのタイミングも全くつかめていない、そんな状態。しかしシーズンが進むに連れ右サイドは名古屋の大きな武器のひとつになる。幸治郎のパワフルな上下動の勢いを殺さないように直志が右サイドの幸治郎の前のスペースにパスを出す。直志が右に開いて外に張ったポジションを取れば幸治郎が中に切り込む。1st浦和戦の3点目のように直志が右サイドのDFラインの裏のスペースを狙うのに合わせて、それを押し出すように幸治郎が後ろからスルーパスを出す。バリエーションも出来たし息もピッタリだ。こうして直志は幸治郎のベストパートナーになった。
 幸治郎の次は外国人2トップとのコンビネーション。第3節の鹿島戦では右サイドをえぐってマルケスのアシストを決め、第4節の柏戦ではネルシーニョの指示通り「2トップを追い越して前に飛び出す動き」でペナルティエリアの中に入って良いゴールを決めた。出足は上々。しかしそれ以降はなかなか2トップに上手く絡んで行けない感じだった。ぶっちゃけ2トップに置いてかれていた。まああの2トップの間に入ってプレーのペースと感性を合わせてやれと言われたってそうそう簡単には行かない。それでもトップ下に定着して試合をこなすうちに、中村と2トップのコンビネーションは徐々に向上しいくつかの「形」と呼べるものも見えてきた。
 例えばいいポジションでボールを奪って攻撃(カウンター)に移った時に中村が右サイドのスペースに流れて3トップ気味の布陣となる形。中村にボールが出るとマルケスとウェズレイがボックス内でクロスする形で動いて、ボックスの外側をタテにえぐった中村のグラウンダーの折り返しをニアサイド(もしくはゴール正面)でマルケスが決める。このパターンでチームは幾度もゴールを陥れた。トップ下の選手がサイドのスペースに出てくるんだから、今や世界で一つの潮流となりつつある通常の3トップよりも対応は難しいかもしれない。この形は左サイドに流れてのプレーが得意なマルケス、右サイドに流れてのプレーが得意な中村という選手の特徴にも上手くマッチしている。つまりこのワイドに広がる変形3トップは名古屋の選手達の特性を生かしたオリジナルだ。
 マルケスが左サイドに流れることが多いため、直志の流れる右サイドでは特にウェズレイとの阿吽の呼吸が必要だ。ウェズレイがサイドに流れれば直志が中のスペースを使い、ウェズレイが下がって来て楔のボールを受ければ入れ替わりに中村が前に出る。この辺のオートマテックな動きもシーズン終盤にはかなり出来るようになってきた。ウェズレイは引いてきても必ずマーカーが付いてくるからそのスペースを使う直志の動きは特に有効。それが2ndの大一番・浦和戦での先制点にも出てた。まあ岡山なんかは第11節の横浜戦で見せたようにその辺のことがサクッと出来てたんだけどね。中盤にいいパッサーがいれば下がってきたウェズレイを囮にしてその頭を越して直志を使うっていうのも出来る。それが第3節の柏戦のゴール。そこではパッサーとしての大野のセンスと技術も光っていたけど。
 それでもまだまだ俺は直志のトップ下のプレーには不満だ。改善点のもちろんある。岡山とは違い一発のある選手だから、「ラストパス」とか「ミドル(強い)シュート」とかプレーイメージが一発狙いに偏ることが多くて判断が遅れたり、パス出した後足が止まったり、自分が関わっていない(ボールに触っていない)攻撃に対してアクションが鈍い。これは守備に関しても同じ。よく見てると直志はペナルティエリアの周りでのファールが結構多い。そこまで戻ってディフェンスすることであったり、ボールを奪いに行く気持ちは賞賛に値するけど、それがファールになるのは判断が遅いからであり、フィジカルコンタクトの強さを生かして強引にでも一発でボールを奪いに行こうとするからだ。もちろん一発があるのが直志の最大の魅力だと俺は思うし、そこを生かすために、もっと判断の速さや、今みたいな動くか止まるかじゃなく勝負するところと簡単にプレーするところみたいな意味でメリハリの付け方を考える必要がありそうだ。そして直志にはもっとボックスに入って仕事をして欲しいし、全てのプレーに関与するような貪欲さが欲しい。
 俺がフロントなら、去年だったかG大阪の西野が二川に対して課したノルマじゃないが「年間10ゴール」を目標にさせるけどね。それを個人としての数字目標として、クリアしたらインセンティブ付けるとか。まあとにかく直志のポジションの選手がそれぐらい数字として表れる結果残さないと優勝なんて夢でしかない。

■岡山の新境地
 直志にポジションを奪われた形の岡山だが、岡山は岡山で今シーズン新境地を開拓していた。まあ先シーズンから少しづつ見え始めてはいたけど、今シーズンになってやっとハッキリと顕在化した感じだ。それはプレーメーカーとも言える役割で、これまではどちらかと言うと前線でスペースへ飛び出してゴールを陥れる役割が主な役割だったが、今シーズンは中盤でスペースからスペースへと動き回り、ボールを上手く引き出しながらまた自分が起点となってシンプルにボールを動かしていく。そんな岡山の投入によってチームは潤滑油を得たようにプレーに流れが出来た。開幕となったC大阪戦で後半から出場し逆転劇を演出すると、その後もスーパーサブとしてチームに欠かせない存在だったと言える。

■名古屋のプリンスJ初登場
 そんな岡山もシーズン終盤になるとベンチ入りすら出来なくなった。コンディションの問題もあったのかもしれないが、俺はその理由が「名古屋のプリンス」こと平林の成長とそれにともなう台頭だと思っている。地元愛知県出身でジュニアユースから10番を背負ってきた逸材。年代別の代表にも都度選出され世界大会も経験している。経歴だけ見ればローマのトッティを連想させる。というわけで「名古屋のプリンス」。そんな平林がJデビューを果たしたのが2nd第5節の東京V戦。プロの水に馴染むのにしばらく時間を要したが、実戦経験を積むごとに落ち着いてプレーできるようになってきた。テクニシャンとして鳴らしたユース年代と比べると、今の平林はどちらかと言えば動き出しの速さと質の高いオフザボールの動きという面で岡山の代わりが出来るチーム唯一の存在だ。もちろん前線ではそのテクニックを生かしてトリッキーな動きで積極的なトライも仕掛ける。シーズン終盤には、これじゃあ岡山の出番がなくなっても仕方ないかなというくらいの可能性を感じさせるプレーぶり。後は本人も言うように決定的な仕事が出来るかどうかと結果だ。戦術と技術を兼ね備えた「ニュー岡山」が来シーズンからも高い意識を持ってステップアップし続けていくことに期待したい。

 ウェズレイ、マルケスの2トップが出場すれば一定のパフォーマンスが計算できる以上、トップ下(2列目)はこの3人に加えて、本田を加えた競争が来シーズンは見ものだし、このポジションに名古屋の浮沈が懸かっている。
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by tknr0326g8 | 2004-12-31 17:57 | Topics & Issues
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