Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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第21節 対浦和 0-2 (得点:なし) @瑞穂陸上競技場
 今シーズンここまでホームでの平日開催がすでに2試合(しかも前節のように「夏休み期間中」とかではなく普通に平日)という不運があったものの、観客動員で(決して多いとは言えなかった)前年を下回る数字を記録中の名古屋は、再開後初のホームゲームとなるこの浦和戦に向けてクラブをあげての観客動員アップ作戦を行っていた。
 名古屋の場合土地柄なのかどうかは分からないが「勝てば入る」のは昔から実証されているわけで、この試合はクラブとしてもなんとか優勝争いに踏みとどまって迎えたかったに違いないが、そんな思いを知ってか知らずか、チームはリーグ戦再開後最下位神戸相手にあっさり(自分達も欲しかった)勝ち点3を譲り渡すと、東京戦でも勝利を目前に勝ち点2をポロリ、優勝争いから「自力」で脱落するという体たらくぶりには毎度のことながら呆れるほかない。
 それでもこの日のスタジアムには――スタジアムに行く地下鉄の中でひとつの車両に10人位は確実にいた「赤いレプリカシャツを着た浦和サポ」に依存する部分は大きいとはいえ――今季最高である1万9千人弱(それでも2万人行かないんだな・・・)の観客が入っていたわけで、チームとしては目の前の勝ち点3と同じくらい、集まった観客に「また来たい」と思わせるような試合をしなきゃいけなかったんだが・・・。
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 地元マスコミの煽りもあっておそらくこの日スタジアムにやってきた(浦和サポを除く)観客の何割かが目当てにしていたであろう元ブラジル代表FWルイゾン。彼をチームにフィットさせるのに試行錯誤が続いている名古屋は、そのルイゾンの扱いも含めて前節までの教訓を活かしたのか、それとも浦和の戦い方をスカウティングした結果なのかは分からないが、この試合も日替わりスタメンで浦和に挑む。具体的には前節ベンチにも入っていなかった杉本を本田の代わりにFWに入れてルイゾンと2トップを組ませ、攻撃的な中盤を藤田と中村で構成するオーソドックスな4-4-2だ。

    ルイゾン  スギーニョ

  藤田         中村
     クライトン
           安

 中谷  増川  古賀  井川

        楢﨑

 試合が始まると、出場メンバーが1.7軍くらいだからか、それとも目標の「優勝」を見据え夏場を乗り切るための「クールビズ」戦術を採用しているのか、はたまた過去の相性の悪さや名古屋のスタメンに名を連ねる「元セレソン」や「J通算ゴール数第3位のMF」に気圧されたのか、浦和がエメルソンがいた頃のような前から勢いのあるサッカーを仕掛けてこない。
 これに対し名古屋は(決して良くはないが)悪くもない無難な立ち上がりを見せる。中盤では低い位置にポジションを取るクライトンが軸になってボールを動かしながら浦和の左サイドを突いていこうとする狙いを見せ、前線では杉本が自慢の快足(というよりはむしろ走力)を活かして浦和DFを撹乱しにかかる。相変わらずアタッキングサードと呼ばれるエリアでのパスミスや意思疎通の欠如により、攻撃は(可能性のある)シュートという形までは辿り着けないが、今はこういった流れの中から徐々にルイゾンがボールに触れる回数を増やしチームに馴染ませていく他ないかもしれない。

 しかしそんなペースで試合が進んでいく中、中谷が自陣のゴールライン付近で浦和の第二波が待ち構える真ん中に危険なクリアをしてピンチを迎えたあたりから、徐々に流れは浦和へと傾き出す。そして浦和が得たCK、ポンテの蹴ったストレート性のボールをボックス内の引いた位置にポツンと待ち構えていた闘莉王がダイレクトボレーというなんともドイツっぽいゴールで浦和が先制。ていうか、セットプレーなのに闘莉王のこと誰も見てなかったのか?
 まあこの失点自体は「事故」みたいなものだったのだが、図らずも先制点を奪取した浦和が一層引き気味になって浦和陣内にスペースがなくなったのと、先制点を入れられたことで焦りが出たのか、名古屋の攻撃は次第にロングボールで杉本を走らせるだけの単調で戦術もへったくれもないものになっていく。杉本はまるで飼い主によって無作為に放り投げられたフリスビーに反応する犬のように前線をひたすら走り回らなければならなかった。
 逆に名古屋がそんな攻撃に終始していることで引き立ったのが、前半杉本とマッチアップしていた坪井だ。いくら杉本が「名古屋のスピードキング」襲名間近だとはいえ、坪井とてその特徴(スピード)を武器に(ほぼそれだけで)日本代表まで昇りつめたDF、最近でこそ色々な穴も目立ち始め仕掛けようによっては崩せないDFではないことが明らかになってきたが、大学出のルーキーが「よーいドン」のスピード勝負で勝てるほど甘くはない。瑞穂のピッチはちょっとした坪井復活劇場といった趣になってきた。

 浦和の狙いはそんな名古屋の攻撃を跳ね返してのカウンター。そして名古屋のパスが回らなくなりどんどんリズムを失っていくのとは対称的に、やっと浦和も(左サイドの平川が右に流れたりと)人とボールが動き出したな・・・と思った最初の攻撃で、名古屋はアッサリと追加点を奪われてしまう。よそ見してたんで浦和の左サイドから右サイドにボールが回ったところまでしか分からないんだけど(笑)、会場が「ワーッ」となって名古屋のゴール見たら、ボー然と立ち尽くす名古屋DF陣と喜び爆発のマリッチ。そしてマウスの中ではボールを拾った楢﨑が誰にともなく怒りをぶつけている。どうやら浦和の右からのクロスに対して名古屋のCBがマリッチをフリーにしてしまったようだ。
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 完全に浦和のゲームプランに嵌り、相変らず攻め手の見出せない名古屋はますます窮地に立たされた。こうなると頼りは「あの男」しかいない。全国区での知名度は一向に上昇する気配を見せないものの、去年の浦和との対戦では3試合で2ゴール1アシストと「浦和キラー」ぶりを発揮して浦和サポの間では多少認知されたらしく、今シーズン開幕前に一部浦和サポの間では山瀬退団後のトップ下の「ベンチ要因に」(笑)と言われていたとかいないとかいう中村直志だ。
 しかしリーグ戦再開直後からなぜかいきなり疲労困憊気味で、開幕直後は攻撃に守備にと鬼のように走り回っていた運動量がまるで一時の夢だったかのように消え失せてしまった中村のパフォーマンスはこの試合でも低調だった。
 最初にも書いたように、この試合の名古屋は、単純に杉本をDFラインの裏へ走らせるロングボールを除けば、クライトンが起点となって右に展開し、そこから杉本、井川、中村のトライアングルによって浦和陣内への侵入を図る攻撃が目立っていた。ひょっとしたら「三都主のサイド(裏)」をチームとしての「狙い所」としてこの試合に向けて準備して来たのかもしれない。しかしそのトライアングルにおいて要となるべき中村が往年のペップ・グァルディオラのようにたっぷり後ろ足に重心の乗ったキックで井川や杉本を動かすことに終始して、パスを出した後は彼等に対するフォローの動きが全くないため、三角形はいい距離感を保つどころか常にいびつな形態をしており、最後はそれぞれの独力による突破を強いられていた。そしてそんな杉本や井川にとってひとりで挑むには浦和の壁はあまりにも厚かった。時間とともに井川がサイドを駆け上がる姿が見られなくなってしまったのも無理もない話だ。

 そしてなんとも言えない停滞感から諦めと怒りが漂う(浦和サポを除く)スタジアムの空気をさらに深い谷へと突き落とす出来事が起こる。ペナルティエリアに突進してきたマリッチを井川がブロックしこの判定がなんとPKを取られてしまった。これまで浦和のペナルティエリアで起こった接触プレーには一切の反応を示さなかったレフェリーがなぜ今更?ひょっとして浦和のゴール裏の雰囲気に飲まれちゃったか?

 呆れるやら怒るやらでなんかもう段々どうでもよくなってきた俺は、マリッチが蹴ったPKを楢﨑が前節の借りを返すかのようなビッグセーブでストップしても回りの観客のように握り拳を振り上げて「オーッ!」と歓喜する気分にはとてもなれなかった。得点の匂いがしない攻撃、PKの判定はともかく大事なところでマークがグダグダな守備。この調子じゃPK防いだところでまたやられるのは時間の問題だ。せめて楢﨑のこのビッグセーブにチームが奮い立ってくれればいいが・・・。

 そして試合は2-0のまま前半終了。
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 後半、ネルシーニョは頭から藤田とクライトンに代えて、秋田、本田を投入するというギャンブルに出る。前半のままではにっちもさっちもいかなかったのは事実で、システム変更も含めて荒療治が必要だったことは確かだが、これは交代選手の人選といいかなり思い切った決断だった。
 藤田は確かに前半のチームの攻撃が右サイドに偏っていたことでいつもの試合に比べればボールに触る回数が少なかったが、中村が「不動」を貫いているのとは対称的に、クライトンがボールを持った時にはバイタルエリアで何度も動き直してボールを受けようとしていたし、守備でも危険なシーンでは最前線からフルスピードで戻ってディフェンスに加わっていた。代えるなら中村にすべきだと俺は思った。そもそもプレーのクオリティや実効性を考えれば、少なくとも俺の中では藤田の交代はよっぽどのコンディション不良や怪我でもない限り有り得ない話だ。そう言えば前半終了とともに藤田は全力ダッシュでベンチに戻っていたが、あれはいつものことなんだろうか。
 そしてクライトン。今の名古屋の中盤で彼を経由しないボールはないというほど絶大な存在感を発揮するクライトンを外すのもかなりのギャンブルだ。攻撃がさらにロングボール一辺倒の単調なものになってしまいやしないか。
 しかもここで二人同時に代えてしまったことで、勝負どころで使える駒が1枚になってしまった。後半途中でのルイゾン→中山の交代が規定路線であるならば、サイドの井川は不変ということか・・・杉本をサイドで使うオプションがなくなってしまったな。
 俺とネルシーニョでは信頼の優先順位が違うと言えばそれまでだが、俺にはあまりいい交代には思えなかったというのが正直なところ。

 藤田とクライトンに代えて本田とDFの秋田を入れた後半の布陣はこんな↓感じの3バック。

    スギーニョ  ルイゾン

     本田   中村  
                井川
         安
中谷
   増川  秋田  古賀  

        楢﨑

 ネルシーニョの意を汲むとすれば、これは中スポの嫌いな(笑)「相手に合わせた」布陣だ。2トップを古賀と増川がマークして秋田が余る。両サイドは当然井川と中谷がケア。ポンテに対しては前半に引き続き安が、両ボランチには本田と中村がマークにつく。役割分担はとても明確。「相手に合わせた」って騒ぐけど、これぐらいしてやらないと名古屋の選手達は前半のようにマークもグダグダになってしまうということですよ。>中スポの中の人。
 そして攻撃面では前線で杉本とルイゾンが微妙にポジションチェンジ。杉本のスピードを坪井ではなく堀之内に当てていこうという狙いか。そしてもうひとつの狙いがサイドアタックの活性化。後ろを3枚にして両SBを一列挙げることで、サイドからの攻撃をより積極的に再構築していこうという狙いがあったようだ。

 かくして俺の中ではどちらかと言えば不安が先行して始まった後半、試合は意外な展開を見せる。ハーフタイムに「キッチリ守ってカウンター」というゲームプランを再確認したのか、浦和が省エネモードを強化させたこともあって、名古屋が見違えるような・・・とまでは行かないまでもそこそこ積極的なサッカーを展開する。前半の最後1/3くらいは死んでいた井川がネルシーニョの意図通り復活してサイドを駆け上がれば、こちらもロッカールームでネルシーニョに相当ハッパをかけたのか、中村がプレーするポジションをより前に移して攻守ともに積極的にプレーに絡み始める。そして「おまけ」と言っては失礼だが、普段は持ち場の半径20mを離れない古賀までもが右サイドを大外からオーバーラップする。さすがにあのままじゃ終われないよな。
 そしてそんな名古屋にあってひと際目を引くのが本田と安だ。交代で入った本田は随所でその積極性とクリエイティビティを発揮して惜しいシュートを放てば、安はポンテをマークしながらも折を見た積極的な攻撃参加(押し上げ)で名古屋の攻撃に厚みを持たせる。安の攻撃参加には他の誰もが持ち得ないようなスケールと迫力がある。とにかくこの二人の存在感は後半の名古屋にあって際立っていた。安もようやく復調してきたと言っていいだろう。

 しかし個人個人が頑張っているだけでユニットとしてはバラバラな上、変化に乏しく最後の場面で精度を欠く名古屋の攻撃は、結果的にどれも浦和の「想定の範囲」を越えるものではなかった。さらに言うならルイゾンを絡めた攻撃の形は未だに見えて来てはいない。逆に浦和は前掛かりになった名古屋のディフェンスを突いて、カウンターから永井のドリブル突破を中心にいとも簡単に名古屋のゴールを脅かすんだから全く困ったもんだ。

 そんな展開の無限ループのまま時間は流れ、浦和は終了間際になると怪我からの復帰となる田中達也やコンディション不良の(?)の三都主を調整のように使ってくる余裕の采配を披露。ルイゾンに代えて中山を投入した名古屋は交代枠を使い切り既に打つ手なし。そのまま終了のホイッスルを聞くより他なかった。
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 前半の戦い方だとかルイゾンがフィットしてないとかいった根本的な理由はもちろんあるが、名古屋が勝てなかった理由には細かい要因もいくつか存在していると俺は思う。例えばプレースキッカーの差。名古屋が浦和より明らかに上回っていたもののひとつが「高さ」だったが、浦和はそれでもポンテの絶妙なキックからワンチャンスをものにしてセットプレーから得点を奪ったのに対して、名古屋は後半何度もあったセットプレーのチャンスを活かせなかった。
 そして最後の時間帯、浦和は前線に田中達也を残して全員が引いていた。それでも名古屋は田中一人に対し3バックがそのまま後ろに残っていたし、さらに言えば左サイドの中谷も一向に前のスペースに出て行こうとする姿勢を見せなかった。これでは得点なんて奪えるはずもない。

 観客動員upのキャンペーンに乗って、初めてもしくは久しぶりにスタジムに足を運んだ人達はこの試合を見て「またスタジアムに来たい」と思っただろうか。クラブが頑張って集めた観客が、試合を見て「やっぱりグランパスの試合はもういいや」と思ってしまったとしたら、それは皮肉というか笑えないジョークにしかならない。
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by tknr0326g8 | 2005-08-30 01:08 | Game Review
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