Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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第23節 対柏 4-0 (得点:ルイゾン×2、杉本、豊田) @BS
 予定では瑞穂まで「遠征」に行く予定だったのが、諸事情によりあえなくBS(録画)観戦になりました。

 名古屋は前節の試合終了間際に不可解な判定で退場を喰らった古賀の出場停止にともない秋田をリベロに据えた3バックでこの試合に臨む。単純に考えれば古賀の代わりが秋田ということになるのだが、ネルシーニョの頭の中には「(スピードのない)秋田を4バックのセンターで起用する」という考えは全くないようだ。チームのベースとなるのは4バックだが、ネルシーニョは常々「状況に応じて3バックと4バックを(試合の中でも)使い分ける」をことを要求しているしこれは「想定内」の対応だと言えるだろう。
 むしろ今シーズンの名古屋を見てきたものであれば「違和感」とも言えなくもない大きな変化を感じるのは前線で、ネルシーニョの絶大な信頼のもと今シーズン全試合に先発出場してきた中村が、「疲労」を理由についにスタメンから外されることになった。別に俺は中村がスタメンから外れることを待ち望んでいたわけではないが、8月のリーグ戦再開以降明らかな疲労とそれに起因する(と思われる)パフォーマンスの低下が見られる中村について、俺は一貫してコンディション不良を指摘してきたし、それどころか「オーバートレーニング症候群」の疑いすら感じているくらいなのでこの判断は遅すぎたくらいだと思う。
 今シーズン開幕から中村は攻守に渡りとてもアグレッシブにPSV時代の朴智星ばりの鬼運動量でチームを牽引してきたが、ここ数試合のパフォーマンスを見る限りでは図らずも俺が今年2月のプレシーズンマッチ・大連戦のレヴューの中で書いた「夏ぐらいには燃え尽きるんじゃないか」という不安が的中しそうな勢いだ。

 かくして、新シーズンを迎えるにあたり攻・守それぞれにおいて新生名古屋の核になると目されていた古賀と中村が何の因果か同時に外れることになった試合がスタートする。ちなみにこの二人を欠いたスタメンはこんな↓感じだ。

       ルイゾン スギーニョ
  藤田
          クライトン
中谷     安      山口

  増川  秋田  角田

       楢﨑

 試合は開始直後から名古屋の選手達がここ数試合とは見違えるような動きを見せる。何が彼等を駆り立てたのかは分からないが、ボールへの反応も玉際の激しさも比べものにならない。攻撃ではサポートの動きも含めてしっかりパスをつなぎながら、前線のルイゾン、杉本までボールが渡っているし、守備でも(最初の時間帯でこそマークの混乱があったものの)3人のバックが柏の2トップ(レイナウド、玉田)に入るボールに対して鋭い出足と激しくチェックでこれを潰せば、中盤でも戻りが早く玉際に激しい守備でひとりひとりが孤立気味の柏からことごとくボールを奪取することに成功している。チーム全体がかなり「気持ち」が入っている感じがする。
 名古屋の選手達とは対称的に柏の選手達は前節FC東京に圧勝(逆転勝ち)したのが本当かと疑いたくなるぐらい全員の動きが悪い。みんなして変なものでも食べたのか、それとも気候条件などの影響だろうか――秋田が名古屋に移籍してきたばかりの頃、名古屋の印象を聞かれ、「夏場にやる瑞穂での試合は名古屋の暑さにいつもやられていた」と答えていたがそれなんだろうか。象徴的なのはDFラインで、名古屋の3バックがしっかりと柏の2トップを捕まえているのに対し、柏の4バックはマークがルーズ(曖昧)でルイゾンと杉本を全く捕まえられていない。ルイゾンには(中央の楔あるいはサイドで)かつてないほどボールが入り、杉本は凸凹なラインのギャップを突いて自由に走り回った。これだけ杉本が自由にやれれば、チームとしても「困ったら杉本」で柏DFラインの裏にロングボールを放り込んでおけばいいので楽だ。柏は最終ラインだけでなく3ラインも完全に間延びしてしまっている上ボールへの反応も鈍いから、こぼれ球もことごとく名古屋に拾われてしまっている。

 こうなるとゲームは一方的だ。

 そして前半9分。クライトンが下がってDFラインからボールを引き出すと→クライトンと入れ替わるように(サイドに張る形)で前に出た山口Kへパス→山口Kはタテに行くと見せかけてボックス手前中央でポジションを取るルイゾンにクロス気味のパスを送る→これをルイゾンがワンタッチ(ヒール)で前方にいた杉本に流すと→杉本がトラップしたボールを藤田にスイッチして藤田がスルーパス→ペナルティエリアの中で再び走り込んできたルイゾンが受ける→スライディングに来る土屋を冷静に交わして逆サイドのネットに狙い澄ましたシュート、という流れるようなコンビネーションで先制点を奪取する。一連の流れも綺麗だったが、ゴール前で冷静極まりないルイゾンのシュートもまた一流のストライカーの風格が漂っていた。それはまるでその瞬間ルイゾンの周りだけ一瞬時間が止まるような感じ。

 名古屋の攻撃は、クライトンと安が中盤の底からボールを動かしていく「起点」であるならば、前線で相手DFを背負って、或いはその数メートル手前あたりで上手くスペースを見つけてボールを受けるルイゾンや藤田が「基点」といった趣き。そしてその「基点」に対してニ列目以降の押し上げやサイドの選手がサポートに入って相手陣内に攻め入って行くのが基本的な「形」で、それに杉本のDFラインの裏を狙ったランニングが有機的に連鎖する。タテにヨコにとボールを動かしながら、静から動へ間隙を縫うかのごとく繰り出される杉本のスピード溢れる飛び出しは柏DFにとっても脅威となっていたに違いない。

 そんないいリズムで試合を支配するチームにあっても特に光っていたのは安だった。守備では危険なところに現れては文字通り「体を張った」ディフェンスで再三に渡り柏の攻撃をストップし、攻撃面でも中盤の底で精力的にボールを呼び込んでタテにワイドにとボールを動かしながら、必要とあらば前線のサポートにも積極的に顔を出す。今シーズン序盤に痛めた足首の怪我が再発して前節休養を取っていただけに、見ているこっちが心配になってしまうほどのプレーぶり。
 この日の安の全てのプレーはチームのパフォーマンスに好影響をもたらす実効性を伴っていた。守備能力の高い安が中盤の底にいることによる絶対的な安心感がチームの攻撃的な意識を高めさせていたのは言うに及ばず、例えばDFラインからボールを引き出して展開していくプレーにしても、吉村の場合だとこういう仕事は大抵クライトンに任せっきりで、ボールを受けられるようなポジションを取るどころか(味方から見たら)相手選手の影に隠れてしまっている場合も少なくない。つまりはクライトンがボールを動かす(運ぶ)のを傍観者の立場で見てしまっているわけだが、安が積極的にボールを呼び込み(そういうポジションを取り)クライトンとともにボールを動かす役割を担うことでチームはいつものようなクライトン頼み(クライトンのリズム一辺倒)から抜け出すと同時に、普段はボランチに近い位置まで下がって来ざるを得ない藤田を比較的高い位置、すなわち「ルイゾンの近く」でプレーすることを可能足らしめた。そして安の押し上げはチームの攻撃に厚みをもたらしていた。

 もう一人挙げるとすれば山口K。俺は一部の生え抜き選手を中心に名古屋の選手達の中で多々見受けられる、自分に都合がいいように曲解された「バランス」という言葉が好きではないが、おそらくクライトンとの「バランス」に気を遣ったプレーを主眼においていたであろう右サイドの山口Kは(何もしていなかったに等しい)前節と比べれ見違えるようなパフォーマンスを見せ、アグレッシブな守備で対面する矢野に何もさせないまま前半だけでベンチへと追いやった。それだけにとどまらず、クライトンが上がることによって空いたスペースのカバーから先制点につながったような機を見たオーバーラップなどまで幅広くこなす姿はユーテリティプレーヤーの面目躍如といったところか。この日は見られなかったが、能力はあるのになぜか時々弱気なって中途半端なプレーをしてしまう所さえ改善していけばまだまだパフォーマンスを上げていく事は出来るだろう。

 その後も名古屋は中盤でのつなぎと杉本のスピードを意識した攻撃を続け、30分過ぎに待望の追加点が生まれる。中盤でクライトンから引いて来たルイゾンに渡ったボールをルイゾンが大きく右サイド前方のスペースに展開すると、待ち構えていたかのようにスタートを切ったのは杉本だった。杉本はフルスピードでボールに追いつくと、タテに抜けると見せて内側への切り返し一発で対応に来た薩川を振り切る。そして内側へと切り込み、カバーに来た大谷、体勢を立て直した薩川を今度はタテに切り返してゴボウ抜きするとボックスの中右足を力強く振りぬいた。放たれたシュートはスライディングでブロックに来た土屋をかすめ柏ゴールに突き刺さった。

 いやマジで、シェフチェンコかと思った。(笑)

 それぐらいのスーパーゴールだったわけだが、このシーンに限らずこの日の杉本はこのところずっと課題とされていた相手DFとの間合いに修正の跡が見て取れた。この感覚を大事に長所をどんどん伸ばしていって欲しい。

 この後、左サイドを深くエグった中谷のマイナスの折り返しを走り込んできたクライトンがコースを狙ってシュートを放つもの枠の外など決定的なシーンを作りつつ前半終了。序盤以降は土屋がオーバーラップしたシーンを除けばほとんどピンチらしいピンチに至らない試合展開だったが、前半と後半で別のチームになるのが常の名古屋だけに後半柏に先に1点取られたら試合は分からない。決して油断は出来ない。

 後半、名古屋はこのところ2試合はやたらと忙しかったハーフタイムでの選手交代も当然のことながら発生せず前半と同じメンバーでスタート。一方流れを変えたい柏は左サイドで矢野に代えて谷澤が入った。
 しかし開始のホイッスルが始まっても試合に変化は全く起こらない。こういうのを見ると逆に普段のネルシーニョの「修正」がいかに優れているのかが分かる。もっともハーフタイムに指示(なんらかの修正)を行わない監督なんてものはいないわけで、この修正がピッチ上に反映されるためには、チームの問題点を探り当てる洞察力が必要なことは言うまでもないが、理論や戦術だけではない、監督として必要な何か別の資質が必要とされるのだろう。そしてその部分においてネルシーニョは他の監督よりも秀でているのだと考えることが出来る。まあそれでも優れた監督を一人有するチームよりも、試合の中で自分達で考えて修正できる選手達が11人揃っているチームのほうが強いのは自明の理ではあるんだけど。

 そして後半も名古屋のペースで進んでいく中、藤田得意の2列目から(ペナルティエリアへ)の飛び出しを波戸に倒されて得たPKをルイゾンが決めてチームとして欲しかった3点目を奪うことに成功する。藤田らしさの出たいいプレーだったが、実際のところはボールコントロールにやや失敗していたし、その意味では遅れて対応に来て足を出した波戸に助けられたとも言えるPKだった。

 この後も試合のペースは変わることなく名古屋にとっての危なげない戦いが続く中で、名古屋は試合終了に向けて交代枠をフルに使って、中谷に代え本田、足が攣った杉本に代え豊田、ルイゾンに代え中村という交代が行われた。GKを除けば吉村、本田、中村、豊田という偏ったベンチ入りメンバーの構成に対するそもそもの疑問はひとまず置いておくとしても、中谷→本田と杉本→豊田の交代までは納得がいくものだが、ルイゾン→中村の交代にはやや疑問が残った。そもそも中村をベンチに入れていること自体に疑問を感じるが、交代するならコンディションに不安がある安(→吉村)を優先させるべきではなかったか。試合後にルイゾンが右膝をアイシングしていたから、ひょっとしたらアクシデントがあったのかもしれないが・・・。

 終了間際には本田の入れた速いクサビのボールを、なぜかボックス内にポジションを取っていた安がトラップミスし、そのこぼれ球を交代で入った豊田が豪快に蹴り込んで4点目を奪う。前節の横浜戦のレヴューの中で豊田に関して「前線で体を張れるようになってきた」と書いたが、それに加えてこうした「結果」も残せるようになればレギュラーの座も近い。

 そして試合は4-0で終了。名古屋からしてみたら前後半一度づつあった土屋のオーバーラップと、プレーの特徴がどことなく中村直志を彷彿とさせるクレーベルのミドルシュート以外怖いと感じるシーンもないままの完勝だった。

 名古屋の試合展開を楽なものにした柏のチームとしての出来の悪さ、選手達の動きの悪さというのはあったが、選手ひとりひとりが自分の「領域」を限定しないで、ボールウッチャーにもならず集中して積極的に試合に参加した内容(姿勢)は十分満足の行くものだ。しかしその真価を問うのは、次節、前回の対戦で守り倒された大分相手にどう戦うのかによってにしたい。杉本に自由に走るスペースがなくてもチームは相手ゴールへと近付けるのか。クライトン、安といったあたりがボールを持てるのは当たり前のこととして、ルイゾンや藤田が孤立せず彼等を基点とした攻撃が引いてくる相手にも機能するのか。その答えを見るのが楽しみだ。
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by tknr0326g8 | 2005-09-11 20:30 | Game Review
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