Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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第29節 対清水 1-2 (得点:角田) @スカパー録画
 このブログを始めた頃から書いていることだが、俺はシステム論者ではないし、相手(チーム)がいて、ボールを中心に常に人が動くボールゲームであるサッカーでは、試合の中で選手のポジショニングも変わっていくものだから、システムに拘って話をするのはナンセンスだと俺は思っている。もちろんシステムが象徴的にそのチームの戦術的な方向性やコンセプトを表していたり、システムによってその一端を窺い知ることはあるが、システムに則って選手を並べることが戦術では決してないし、(観念的な言い方だが)むしろ「システムを壊すこと(崩すこと)」こそが戦術だと俺は思っている。よく「これで行け!」的に選手名を並べたシステムを書く人がいるが、システムに則って選手をただ並べただけでは――それは絵に描いた餅と同様で――選手は(ゲームは)動き出さない。

 とまあ昔から書いている話をなぜ今さらまた書いたのかと言うと、こと名古屋の今のメンバーに限って言えば、オーソドックスな(日本サッカーに定着している、杉山某ライター風に言うなら3-4-1-2の)3バックシステムというのは名古屋の持つ悪い部分を引き立たせるだけのような気がするからだ。大森がシーズン前のキャンプで負傷し長期間の離脱を余儀なくされたという事情はあったが、今シーズン、ネルシーニョは古賀か増川が出られない試合で秋田を起用せざるを得ない状況を除いては4バックをベースとして戦ってきた。そのネルシーニョ路線を踏襲すると宣言した中田監督が、なぜこのシステムに拘り続けるのか俺には分からないが、このシステムを採用した戦い方(もしくはそのベースとなる考え方)が、チームとして前へ進む力を減退させているような気がしてならない。

 秋田が出場停止の名古屋は、そのポジションに角田が入り後は固まりつつメンバー。ベテランを中心にメンバーを固定して戦うことで来季に向けたチームのベースを作ろうと中田監督は考えているのだろうか。基本的なポジショニングはこんな↓感じ。

       豊田   中村

         藤田
                   杉本
 大森   ヨンハッ  クライトン

     増川  角田  古賀

          楢﨑

 怪我や出場停止で主力メンバーの何人かを欠く清水は、残留争いの最中大胆にも(というかそれしか手がないのか?)サテライトに毛が生えた程度のメンバー構成。そんな清水に対して名古屋はキックオフのホイッスルと同時に(いつもの試合よりは)積極的な立ち上がりを見せた。スコアとスポーツニュース等によるダイジェストを見ただけの段階では、システム論的に4-4-2の清水に対して3-5-2の名古屋がサイドで数的優位を作られてマークが大混乱し攻められまくる杉山某ライターが見たら大喜びしそうな展開だったのかと思いきや、システム的なズレにも動じずまがりなりにもマークは付いて行っている。例えば、システム的に数的不利が発生すると言われるサイドで、右WBの杉本が相手左SBの山西にプレッシャーに行けばWHの兵働に対してはボランチのクライトンがマークに付く、左サイドに大きく大田が開けば大森がマークに行きSBの市川に対しては藤田がマークに行くといった具合。ただ悲しいかなこのマークも「アリバイ」とまでは言わないが、受け渡してマークしてますよという程度でしかなく、局面におけるマークはとても緩く後手に回っている感は拭えない。
 清水は、良く言えば「拘り」、悪く言えば「馬●のひとつ覚え」のようなサイドアタック一辺倒でサイドに基点を作ってそこからのクロスという形を徹底して(固執して)いる。まあその分相手チームからしてみたら対策は立てやすいんじゃないかと思うんだけど、名古屋の緩いマークを前にすればそれは「迷いのなさ」という強みとなって出ていた部分が多々あった。例えばネルシーニョはよく「(試合ごとに)システムをいじり過ぎだ」と批判されていたが、もしこの試合に清水を潰すことを第一に考えて、1対1でガチンコにぶつかるポジショニング(システムor戦い方)を採用していたなら、個々の能力に勝る名古屋は局面での戦いを制し結果的に清水は成す術をなくしていたのではないだろうか。そうなれば怖い(予測不能な)のはマルキーニョスぐらいだ。

 試合開始当初の時間帯こそ勢いと集中のあった名古屋だがそれは5分ほどで消失した。そして不用意に与えたCKを一度は増川が頭でクリアしたものの、そのこぼれを拾われて再び簡単にゴール前に放り込まれるとファーサイドで、高卒ルーキー青山にやすやすとヘディングを許し先制される。地元出身で去年本田とともに名古屋の特別指定選手だった青山がリーグ戦初出場すると聞いて嫌な予感はしてたんですよ。それにしても本当にやられるとは・・・名古屋のボランティア精神には恐れ入る。ここ2シーズンぐらい、俺が今思い出すだけでも、広島・田村、柏・大谷、東京・茂庭、C大阪・前田、G大阪・前田、そして清水・青山・・・名古屋相手に「筆下ろしゴール」を決める選手は後を絶たない。

 その後は自陣に引き篭もって守備陣形を整えそこからサイドを軸としたカウンターを狙う清水とそこに攻め入る名古屋という展開が続いたが、名古屋が一方的に押し込んでいたかと言えばそうではない。ただでさえ全体的に動きが少なく硬直気味なアタッカー陣に加え、名古屋はDFラインの3人が後ろに張り付いたままで、ボールを持っても引き出しに来たボランチにボールを預けるか、デタラメなフィードを前線に放り込むだけ。彼等は攻撃に関しては完全に思考停止している。これでは清水の守備陣形を揺さぶることは難しい。名古屋が3バックを採用する弊害その1。名古屋が3バックを採用すればこうなることは目に見えている。だから俺は名古屋に3バックは勧めない。

 3バックにしてズデンコの時代に戻ったと考えればそれでいいが、ひとりで何とかしてくれるアタッカーが存在するわけではない――確かに中村には「一発」があるがそれはウェズレイの比ではない――今の名古屋に当時と同じことを求めるのは無理だ。さらに言うなら守備においても当時ほど中盤からの忠実なチェーシングやマークはない。そして敢えて言うなら、俺はズデンコの時代の堅いイメージのある守備は、その半分をパナディッチ個人の能力に依っていたと今でも思っている。経験に裏打ちされた群を抜く危機察知能力とそれをベースとしたカバーリング、シュートコースに入るポジション取り。彼なくしてズデンコ時代の守備は成り立たなかった。それは日本を代表するDFとしてW杯出場や300試合以上のリーグ戦出場を積み重ねてきた秋田だろうが、サッカーエリートとしてUカテゴリーから国際経験を含め日本トップレベルの経験を積み重ねてきた将来有望な角田だろうが、簡単に補えるものではない。
 すなわち今の名古屋のサッカーは、攻守ともに中途半端なズデンコ時代のサッカーと言うことが出来る。そう、クラブ史上最低順位に沈んだ2002年の2ndステージよりさらに下のイメージ。当時よりも優れている点と言えば、中盤にクライトンというボールの収まりどころがあり、彼が起点となってゲームを組み立てられるところ――ズデンコであればクライトンのようなタイプの選手は使われないだろう。同じような理由で山口素がズデンコの構想から外れたぐらいだし。――と、サイドに杉本というチーム全体が明確に意識しているる武器があること。しかしこの杉本も一旦引かれて4人のバックでサイドのスペースを埋められているとなかなかそれを打ち破るまでにはいたらないのが現状だ。

 名古屋は、二者間でならともかく三人目まで見れば意思疎通もへったくれもない単調で迫力のない攻撃で、清水のディフェンスを崩すどころかミスを連発しては清水にボールを明け渡し反撃を喰らう展開が続く。そしてサイド偏重のワンパターンな清水の攻撃はそれでも名古屋の緩いマークをかいくぐって中にクロスを送り込む。中ではマークと役割分担のハッキリしない3人のストッパーが再三に渡り清水のFWをフリーにしてシュートを許す。
 そんな流れの中、追加点を奪ったのは清水だった。左サイドに流れたマルキーニョスにボールが渡ると、マルキーニョスは目の前の古賀をまるでものともせず右足でゴールに向って曲がるクロスを放つ。中ではまたしてもチョ・ジェジンの動き出しに置いていかれた増川がチョ・ジェジンを前に行かせてしまう。結局チョ・ジェジンはボールに触れることは出来なかったが、これが良い囮となり楢﨑が反応できないままボールはそのままゴールへと吸い込まれた。それにしても古賀は、川崎戦のジュニーニョ、鹿島戦の深井、そしてマルキーニョスと三試合連続で同じような形からシュートを許してる(深井のシュートは楢﨑がファインセーブ)が、試合後なんの反省もしていないのだろうか。間合いを詰過ぎてフェイント一発で交わされて置いて行かれるのも困りもの(ましてそれでユニフォームを引っ張ってイエローといういつものパターンも論外)だが、古賀のこの対応が三試合連続で失点につながっている(もしくは大ピンチを招いている)ことについては考えてみる価値はあると思うが・・・。

 そして名古屋にとっては結局リズムが全く出ないまま前半が終了した。清水じゃなければあと1、2点取られてもおかしくない前半だった。逆に攻撃は清水じゃなくても点を取ることは出来なかっただろう。

 後半開始に当たって選手交代はなし。0-2で負けてる試合で選手交代を行わないということは、それだけスタメンに絶対的な信頼があるということか、それともメンバーを変えなくてもこの清水相手ならイケると思ったのか。そうであるならば前半の腑抜けたパフォーマンスはなんだったんだ、最初からそういう姿勢で試合に臨めるよう持ってくるのが監督の仕事だろうと俺は思うのだが。

 後半の名古屋は前半にも増してアグレッシブな姿勢が目立つようになった。前からディフェンスに行けるようになった事もそうだが、特に中村の動きの量が増え、豊田を中心に右へ左へと動いて前線でボールを引き出すようになった。逆に前に出てこられなくなった清水に対して、クライトンやヨンハッといったボランチのプレーヤーが押し上げることでセカンドボールもことごとく名古屋が拾う好循環が生まれていく。
 しかし名古屋はどう崩すのかという部分に関して互いの意思疎通がまだ十分ではなく、例えばせっかく豊田が身体を張ってボールをキープしてもそれを上手く活かせない。ならばとサイドへと展開し、杉本や大森がサイドからクロスを上げるが、中で名古屋の選手が重なっていたり、単純に上げるだけでは清水のDFに弾き出されてしまうのがオチだ。
 こうなるともう頼みはセットプレーで、後半開始早々古賀のファーサイドでのヘディングがポストを叩くシーンがあったが、その後も何度か得たCKの何本目かでニアで後ろにスラしたボールをファーサイド後方でフリーになっていた角田が右足でシュートし1点を返すことに成功した。

 反撃もほとんど出来なくなった清水に対し、名古屋はボランチのヨンハッに代え本田、そして前半から右サイドでかなり長い距離のアップダウンを繰り返していた杉本に代え中山を投入、中山がFWに入り中村が右サイドへと移った。

       豊田   中山

         藤田     中村
                   
 大森   本田  クライトン

     増川  角田  古賀

          楢﨑

 ほぼコンディションが戻ったと言っていい中村のアウトサイド起用は、今のチーム状況そしてその中での中村の動きを見る限り俺的にはありだと思う。そこで中村の特徴がフルに生かされるかどうかにはやや疑問は残るが、豊田とコンビ(2トップ)を組むならゴールへ向うタイプの方が俺はいいと思っている(その意味ではこの試合での中山には不満だ)。(ゴールへの)ダイレクトなプレーというより、むしろ曲線を描くようにそこ(ボックス)から外れていく動きが目立つ中村はトップよりもゴールから離れたポジションに置いておいた方がチームとしては無難だ。むしろそのポジションがゴールから離れれば離れるほど、逆にゴール(ボックス)への渇望が生まれてくるんじゃないかという期待すらある。事実中村はポジションを右アウトサイドに移してからペナルティエリア深いところへ進入し、決定的なシュートを放っている(シュートは枠の外へ)。それにどう考えても戦術に強いタイプではない中村は、「後ろに引いてくるな」だとか「積極的にシュートを打て」といった監督の指示を忠実に実行する、監督からしてみたらなんともかわいいプレーヤーだが、ゲームの中では比較的動きが限定されているアウトサイドの方がいいような気がする。もちろんチーム全体でコンビネーションが確立されてきて、中村の動きがチームの中でフィットしてくれば、アウトサイドに縛り付けておく必要はもないんだけど。

 本田が入ったことでタテに狙いを持った鋭いパスが入るようになり、ボールの動きにさらなるアクセントが出来たものの、名古屋がゴールへ向うような(シュートの)シーンはなかなか増えていかなかった。だがこれは、藤田以外にゴールに向けたダイレクトなプレーが出来る選手がいないんだからある意味必然的な結果とも言える。大森、本田、クライトン、中村・・・チームとして前後のポジションチェンジ、中盤から前線への飛び出しがない。俺が監督ならこういう場面でこそ吉村を投入するんだが・・・吉村の姿はベンチにもなし。吉村はボールを動かすことが得意ではないが、前線のスペースを見つけること、そしてその走力を生かしてそこへ飛び出すことに長けたプレーヤーだ。そういう変化を与えてやらないと、相手は1.5軍とは言え組織を整えた守備を崩すことはなかなか難しい。もしくは鴨川や津田のようなゴールへ向うタイプのストライカーを前線に入れたいところだが、そういったタイプもベンチにもいない。

 結局名古屋は清水の守備を崩しきることが出来ず、そのまま1-2で試合を終了した。交代枠をひとつ残したまま、後ろに3人のディフェンスを残したまま。どう考えたってここは後ろをひとり減らすべきでしょ。ホームで下位チーム相手にリードされているという現状、そして試合の流れから判断すれば当然取るべき処置。マルキーニョスがいなくなった後なんて絶対的なチャンスであり、例え交代枠は使わなくても、やり方を代えて後ろを2枚にすべきだ。もちろんリスクはあるが、それを恐れていては何も出来ない。

 後半はほとんど清水を押し込むことに成功していたが、名古屋の守備が改善されたかと言えば決してそうとは言えない。相変らずカウンターのピンチではクロスに対してマークを外しているし。
 監督は天皇杯のアローズ北陸戦に向けシステムを含めたやり方を変えることも示唆しているが、もしも今のやり方(3バック)に拘るのであれば、俺は苦肉の判断でヨンハッのリベロへのコンバートを提案する。あれだけの身体能力とミドルシュートを持ったプレーヤーを最終ラインに置いておくのは勿体無い気もするが、今の名古屋で最もチームとして危険なポジションを察知できる能力、人とスペースをケア出来る能力に優れたプレーヤーは他ならぬヨンハッだ。現在もボランチとしてしばしば最終ラインに入ってクロスへの対応をするシーンがあるが、他の誰よりも状況が見えているように思える。

 パナディッチの代わりを務められるのはアン・ヨンハッしかいない。

 まあ好みの問題から言えば、基本的に俺はこの3バックが名古屋にもたらす方向性が好きではないし、それが良い方向であるとは思えないんだけど。
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by tknr0326g8 | 2005-11-03 06:43 | Game Review
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