Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
カテゴリ
最新の記事
以前の記事
第31節 対G大阪 2-1 (得点:鴨川、クライトン) @NHK
 今シーズン第2節の磐田戦、磐田の左アウトサイドを務めていたのは藤田俊哉だった。攻撃時に内へ内へと絞ってくる藤田は守備に回れば磐田の左サイドに大きなスペースを空ける結果となり、名古屋はカウンターから右SBの角田が抜け目なくそこを突いて次々得点に絡むチャンスを作り出していた。その試合は俺の中では、前年のリーグ戦終盤に海本幸治郎の怪我とともに右アウトサイドに定着した角田のサイドアタッカーとしての資質が開花しつつある確かな感触と、藤田俊哉の落陽を感じさせる試合となった。そしてそれから8ヶ月あまりの時間が過ぎ、迎えたこのG大阪戦。何の因果か名古屋の左アウトサイドには藤田俊哉が、そして右では角田が、おそらく第19節神戸戦以来(さらにその前は怪我により途中で退場した第13節大宮戦)となるサイドでの先発を果たしたのだった。

 藤田俊哉を3-5-2のアウトサイドで起用することに関して俺はかなり疑問だった。理由は単純に「もったいない」からで、今の名古屋において最も試合を決められる力を持つ彼を、相手ゴールから遠い位置で、しかもおそらく今の名古屋にあって(ポジショニングの流動性もなく)ボールに触れる機会も限られるであろうアウトサイドに起用することは、チームの可能性を矮小化することになりはしないかと考えたからだ。
 しかし結論から言えば、左サイドの藤田俊哉は――ネルシーニョ時代のベストゲームほどボールに触れる回数もそのクリエイティビティを発揮する機会もないものの――これまで名古屋の左アウトサイドを務めてきた誰よりも攻守に効果的な動き(絡み)を見せ、攻撃面だけでなく守備面でも時にはDFラインに入ってそのタスクを忠実に実行しつつ後ろからの指示でゲーム(ディフェンス)を引き締めた。その姿は「名古屋のベッケンバウアー」襲名間近を思わせるものであり、もし秋田の身に何かがあれば、ひと昔前のドイツみたいに10番をつけて中盤でバリバリ鳴らしたプレーヤーが晩年にポジションを下げて3バックの真ん中でリベロに収まるような、そんなこともあるのだろうかとの妄想が頭によぎるほど。もっともこの試合に限って言えば、対面する相手にもそこにポイントを置かない相手チームの戦術にも助けられた面があり、藤田のこのポジションでの起用が今後あらゆる試合で当てはまるベストポジションであるとは言えないと思うが。

 そんな名古屋のスタメンはこんな感じ↓

          鴨川
       クライトン

     本田     中村

藤田                角田
         ヨンハッ

   井川   秋田    大森

         楢﨑

 前節初出場初ゴールを決めた鴨川をはじめ、中田体制では初となる本田のスタメン起用、上で書いた藤田と角田のアウトサイド起用にヨンハッの1ボランチとくれば、ちょっとしたサプライズのようだが、これは簡単に言えばガンバのやり方に合わせたシステム。3バック+1ボランチのヨンハッでガンバが誇る前線のトライアングルをマークし、両アウトサイドには角田と藤田が、そして遠藤と二川のWボランチには本田と中村が当たる。もちろん試合の中で状況に応じた流動性というものはあるが基本はガチンコ勝負だ。

     (遠藤)     (二川)
      本田      中村
(渡辺)                (家長)
 藤田    (フェルナンジーニョ)    角田
           ヨンハッ
   (三木)         (アラウージョ)  
    井川    秋田    大森

 俺はチームとして全く一体感のなかった最近の名古屋が残り試合で少しでも多くの勝ち点を稼ぐ可能性があるとしたら、常に相手チームのやり方(システム)に合わせたガチンコ勝負で(例えば前節の大宮戦だったら4-4-2の相手に対して4-4-2で対抗)個々のプレーヤーの能力勝負に賭けるしかないだろうなと考えていた。その意味ではこの試合での名古屋の戦い方はまさしくそれに沿ったものではある。しかし俺は同時にその戦い方では個々のプレーヤーの質が名古屋と同等かそれ以上のガンバ相手には難しいものになるだろうとも考えていた。そんなガンバに勝つ術は果たして名古屋にあるのか。日本代表FW大黒が怪我により欠場し代わりにプロでは殆ど実績のない三木が先発、ボランチ橋本の出場停止のあおりで右アウトサイドに渡辺が入るという、名古屋にとってのプラス材料はあったものの、前節、出場停止でトゥットを、欠きさらには負傷退場でエース桜井を前半のうちに欠くことになった大宮に惨敗を喫している前例がある上、これまで散々「(リーグ戦)初ゴールをプロデュース」してきた名古屋が三木の初ゴールをプロデュースしないという保証はどこにもない。試合前の俺は全く希望を持てないままテレビの前に座るしかなかった。

 名古屋は相手に合わせたガチンコマークを敷きつつも、やはり怖いのはアラウージョとフェルナンジーニョだ。そしてそここそが俺が考えるマッチアップ上最も不利な部分でもあった。しかし名古屋の守備陣は二人のパスワークやドリブル突破に振り回されつつも最後の所でなんとかこれを止めることに成功した。そのポイントはガンバの攻撃のやり方にある。ガンバはアラウージョとフェルナンジーニョにボールが入れば、彼等は間違いなくそこからゴールに向って勝負を仕掛けてくるから、そうなれば名古屋は対面する3バックが我慢して耐えている間に中盤の選手達が自分達のマークを放り出して戻って来て挟み(囲い)込むような守備をすればいい。もしここで相手のサイドからの押し上げ(サポート)があって一旦そこにはたかれたり、遠藤と二川のWボランチがそれを追い越してボックス内に飛び込んでくるような動きをされていたら名古屋のディフェンスも苦しかったかもしれないが、メンバー的な問題なのかコンディション的な問題なのかもともとこんな感じなのか、ガンバにはほとんどそうした動きがなかった。二年前清水への移籍が決まった時、当時のJ得点王だったウェズレイが「本当にアイツが日本に来るのか?」とガクブル状態だったとか違ったとかいう「ゴイアスの至宝」といえども3人、4人の選手に囲まれれば少々分が悪い。
 こうして名古屋は前三人を水際で食い止めることが出来ている。しかしこのとっておきのガチンコ戦術は意外なところから危機を迎えていた。キレまくりの家長を対面する角田を中心とした名古屋ディフェンスが全く止められない。そしてそこから何度となく突破を許し決定機を作られる名古屋。

 一方の攻撃面では、奪ったボールはFW目掛けてタテ1本蹴り出すシンプルかつ相変らずな戦術。しかし、怪我上がりでコンディション(接触プレー)に不安でもあるのか、それともデビュー二戦目の大卒ルーキーFWをナメているのか、そこにボールが収まったところでフォーローがなく孤立無援な最近の名古屋のチーム状態を見透かしているのか、鴨川に対するガンバのディフェンス陣のプレッシャーがえらく甘い。鴨川がやすやすとボールを受けてそれを捌くようなシーンが立ち上がりから何度か見られた。そしてまさしくそこを突いた大森の鋭いタテパスから名古屋に先制点が生まれる。

 この試合、俺にとって「?」と思うシーンがいくつかあり、そのうち二つが結果的に良い方へと転んだわけだが、先制点はその1だ。大森がボールを持ってタテに蹴り出した時、もちろんTV画面にはその先の鴨川の姿なんか映ってやしないから、俺は「慌てなくていいのに」とTVの前で思った。しかしそのフィードは真っすぐにノープレッシャーの鴨川の足元へと渡ると、そのまま前を向いた鴨川が遅れて対応に来た山口智、宮本を次々と交わして最後の砦シジクレイがカバーに来る直前に倒れ込みながらガンバゴールへと蹴り込んだ。決してテクニックがあるわけじゃないが、ゴールへと向う勢いの中で二人のDFを置き去りにし、半分スライディングのような形でシュートをねじ込む様は「元祖15番」を彷彿とさせなくもない。

 先制点を取ったからといって今の名古屋には全くアドバンテージにはならないが、この試合での名古屋は前節の教訓を生かしてか、主にディフェンスで積極性や玉際での厳しさといったものを失わずにプレーしていた。ピッチコンディションも悪かったし、あれだけ激しく当たられるとガンバの選手達も怪我が心配だったのではないだろうか。優勝に向けてまだ三試合(この試合を入れて四試合)を残し、ただでさえ怪我人が続出している状況だけになおさらだ。が、そんな怪我のアクシデントは逆に名古屋を襲う。おそらくフェルナンジーニョを止めに行ったシーンでヨンハッと交錯した大森が足を痛めて退場してしまったのだ。名古屋はアラウージョとフェルナンジーニョが前を向いてボールを持ったら、とにかく人数を掛けて時には警告覚悟の?激しい当たりで止めに行っていたが、このシーンではヨンハッのタックルがヒョイと交わされて大森に誤爆。なんだか雰囲気的には狭い部屋で激しくチャンバラやってて味方を斬っちゃったみたいな感じだった。

 アラウージョ・キラーという大役を仰せつかっていた大森が負傷退場し、ベンチには代わりのDFもいない。俺なら角田を右ストッパーに入れ、右アウトサイドには山口Kを入れるかなと思って見ていると、ベンチが用意したのは意外にも吉村だった。そして吉村が入ったピッチ上では、ワンボランチだったヨンハッが右のストッパーに移った。今シーズンここまで(俺が勧めるリベロはおろか)一度もディフェンダーをやっていないヨンハッをいきなりDFラインに入れるか?これはただ単に監督の頭の中でのサブメンバーのファーストチョイスが吉村だったというだけで行われた交代じゃないのか?俺の中での第2の疑問。(しかし最終的にはこれがチームに勝負を決める2点目をもたらすことになるのだが・・・)

 早速、そのヨンハッのサイドに試合開始から散々名古屋の右を切り裂いていた家長がドリブルで進入してくる・・・そしてこれに対応しきれずペナルティエリアの中で家長を倒してPKを与えてしまうヨンハッ。このPKを遠藤が落ち着いて決めて1-1の同点、前節の嫌な記憶が蘇る。それにしても、楢﨑は代表及び横浜Fでのチームメートである遠藤のPKに対して早く動き過ぎではなかったか。ナビスコの決勝を観ていても、直前まで相手(GK)の動きを見て蹴るタイプの遠藤に対しては早く動いた方が負けだ。もう少し我慢出来なかったか。まあ遠藤は遠藤で試合後のコメントで「タイミングを変えた」と言っていたけど。

          鴨川
       クライトン

     本田     中村

藤田                角田
         吉村

   井川   秋田    ヨンハッ

         楢﨑

 後半、選手交代はなし。
 後半になると、相手の右サイド渡辺の力量を見切ったのか、藤田が左サイドで高い位置をキープし攻撃に絡みだす。藤田、本田、クライントンが互いにポジションを入れ替えながらパスを回しボールをキープする様は強豪チームのそれのようだ。そしてそこでたっぷりタメを作って右サイド大外を積極的にオーバーラップする角田にダイアゴナルなパスが通る、これがこの日一番よく見られた名古屋の攻撃の形。角田をアウトサイドから動かさなかった判断がここで生きた。チャンスと見たら後方から勢い良くオーバーラップしてボックスまで飛び込んでくるような思い切りの良さは中村には期待できないし、そのフィジカルの強さに裏打ちされた攻め上がりの迫力は山口Kにはないテイストだ。そしてオプションの豊富さでは杉本を上回る。守備では家長に振り回されることも多かったが、角田のサイドプレーヤーとしての資質は今の名古屋にあって最上位にランクされるべきものであることを再認識した試合。

 そしてそんな角田から追加点が生まれる。ボックスの角手前あたりで前を向いてボールをキープした角田の後方を、遅ればせながら中村がクロスオーバーするように右サイドのスペースへ出る、そして角田と対面するDFがその中村に意識を移した瞬間、内へ切り返した角田がそのまま左足でミドルシュート。ガンバGK藤ケ谷が弾いたところを詰めていたクライトンがプッシュした。角田の思い切った(効き足でない左足での)ミドルシュートも良かったが、こぼれ球に反応したクライトンと杉本の反応もまた早かった。

 その後当然のようにガンバは反撃に転じ、主に名古屋の右サイドに狙いを絞った攻撃でフェルナンジーニョや二川がそのスペースに出て行ってそこを基点に何度か決定的なチャンスを作る。左からのクロスにサイドネット(外)を揺すった三木のヘディングシュートなど、それに腰が引けたわけではないだろうが、名古屋のディフェンスが下がり始めると、今度は家長あたりがバイタルエリアでフリーとなり、ボックス内に決定的なスルーパスを通し始める。それを名古屋は楢﨑の抜群の飛び出しを中心になんとか凌ぐ。

 試合はそのまま名古屋がディフェンスを中心に集中を保ち2-1のまま終了した。名古屋ファンの俺ですら試合前はまさか勝てるとは思っていなかった試合――ガンバの西野は負けてなお「ここで勝ち星を落とすとは考えていなかった」と試合後のコメントで言っていた――で手にした勝ち点3。これは大きいし、下を見れば柏が清水に敗れたことで残留の可能性は高まった。だが、チームとしては次のヴェルディ戦、そしてその後に続く2試合でこそ真価が問われる。「気を引き締めて」などというのはまがりなりにもプロのプレーヤーに対しては陳腐な言葉だが、(来シーズンを含めた)今後につなげる意味でもチームとしてそして個人としてパフォーマンスを向上させていって欲しい。
[PR]
by tknr0326g8 | 2005-11-22 14:44 | Game Review
<< 第32節 対東京V 0-0 (... 第30節 対大宮 2-3 (得... >>