Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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第1節 vsC大阪 3-2 (得点:古賀、杉本、豊田) @スカパー
 いよいよ迎えた2006年Jリーグ開幕戦。

 昨シーズンまでの、良くも悪くも個人能力に依る部分が大きく、その中心的な存在であった外国人プレーヤーが抜けると極端にチーム力が落ちてしまっていたスタイルへの反省からか、クラブは「組織的でスペクタクルなサッカー」を標榜してオランダからフェルフォーセンを招聘、名古屋ファンにとってはどこかノスタルジックな香りのするサイドアタックを基調とした4-4-2で再スタートを切ることになった。
 しかし始動~キャンプ~プレマッチといった流れの中でマスコミ等を通じて、「組織的」だとか「ヨーロッパスタイル」という日本のサッカーファンにとってはとても耳馴染みの良い言葉でオブラードに包まれながらもメディアを通してこちら側に伝わってくる情報は、主力の怪我や完成度合いの低さなど開幕を前にして深刻なものが多かった。実際にプレマッチ等で試合を見ていたわけではないのでなんとも言えないが、開幕戦を前にした正直な心境とすれば、不安9割・期待1割といったところか。今年は自分達だけでなんとかしてくれる外国人もいない。しかも相手は、昨シーズン最終節のロスタイムまで首位にいたセレッソ大阪。リヨンから目を付けられていたというファビーニョこそ退団したが、守備をベースとしてその上に伝統の強力な攻撃を上乗せしたかのようなチームはかなり厄介だ。

 名古屋の先発は柏から加入した玉田こそ怪我から復帰して先発に名を連ねたものの、楢崎や藤田、本田、増川、秋田、スピラールといったあたりの主力がこぞって出場できない異常事態で、本来藤田が入る左SHのポジションには今季国士舘大学から加入したルーキーの片山を入れざるを得なかった。そしてCBは古賀と水戸からのレンタルバックである深津のコンビ。これでどこまでセレッソ相手に戦えるだろうか。

     玉田   杉本

片山   金   吉村  中村

有村  古賀   深津  大森

        川島 

 新生名古屋の試合を見て、試合開始からまず感じられたのは各プレーヤーの守備への戻り(切り換え)の早さ。試合開始直後は連携不足かそれともゾーンディフェンスに慣れていないのか動きが被るシーンも見られたが、チーム全体がやや慎重なこともあってセレッソに自由にやらせるスペースを与えないスタート。ただ全体的にやや下がっているせいか、2トップが相手のボランチに主に相対するような形になり、セレッソの3バックの両ストッパーがボールを持った時に誰がプレッシャーに行くのかというような部分の迷いも見られた。セレッソは西澤を中心にロングボールでも十分に基点を作れるタレントを前線に置いているから、DFラインからとは言え自由にパスを出させるわけにもいかない。それで仕方なくなのか、勢い余ってなのか名古屋は時として両SHがこれにプレッシャーを掛けに行くのだが、そうすると今度はゼ・カルロス、ピンゴといったセレッソの両アウトサイドが空いてくる。そうしてプレッシャーを上手くかいくぐりながらボランチを経由した速いパス回しで両アウトサイドにボールが入ると、それはしばしば名古屋ゴールに迫る攻撃となって結実していた。右サイドでは大森が素晴らしい1対1の強さでゼ・カルロスをほぼ完封していたが、左サイドでは有村と片山の連携が上手く行っておらずポジショニングも良くないので、フリーのピンゴが攻め上がって危険な位置でのセットプレーを獲得したりしていた。ピンゴ自体が日本のサッカーやセレッソというチームに馴染んでいなかったことで助かったが、このピンゴがその能力をフルに発揮していたら勝敗は違ったものになっていたかもしれない。
 一方の攻撃では噂通りサイドを経由して攻めようという姿勢は見て取れるが、時計の針が10分、15分と過ぎてゲーム全体が落ち着いてくる中で、奪ったボールがSBやボランチを経由して素早くサイドの裏のスペースへと蹴り出されるようなシーンが目立ってきた。こちらもやはり慎重というかセーフティーな印象だ。ボールをつなぎながらも仕掛けのパスではロングボールを多用して相手DF(3バック)のサイドや裏のスペースを狙い走力自慢のFWの特徴を生かすスタイルは、どことなく一年前に杉本が衝撃的なデビューを果たした磐田戦を思い出すが、杉本がいい形でサイドや裏のスペースに出ても、全体的な押し上げが足りず真ん中に誰も詰めて来ていないといったようなシーンが多々見られた。
 20分過ぎ、そんな杉本が右サイドいい形でボールをもらい切れ込んで放ったシュートが枠を外れた(サイドネット外側)辺りから流れが変わって試合が動き始めた。大森が不用意なタックルを交わされてこの試合唯一ゼ・カルロスに独走を許したシーンに始まり、目下絶好調らしい西澤が基点となってゼ・カルロスに何度もボールが渡りそこから絶妙なクロスが供給される。名古屋は中盤からドリブルで入ってくる相手にはゾーンでしっかりと捕まえることが出来るが、そこを飛ばしてロングボールを放り込まれるとやや脆さも見せていた。特にセレッソのように前線に強いタレントがいる場合は今後も苦労しそうだ。

 とは言え、名古屋がそれでやられっ放しだったかといえばそういうわけでもなく、金正友がボランチの位置で上手くボールを引き出したり、チーム自体が苦しくなると玉田が少しい引いて来てボールを動かしたりしてリズムを作ろうとしている。そして忘れてはならないのが右SBの大森だ。以前にも書いたが、大森はペップに憧れているだけあってかフィードといいタテに通す楔やスルーパスのセンス(勘)がとても良い。それが、ネルシーニョが04年に試した「大森ボランチ起用」を俺が支持する理由のひとつなのだが、それが改めて証明されたような感じで、この試合名古屋の右サイドでゲーム(攻撃)を牛耳っていたのは間違いなく中村ではなく大森だった。
 そして少しラッキーな形で得たCKから名古屋が先制ゴールを奪う。アシストを決めたのはルーキーながら左SHの先発に抜擢された片山で、右サイドからのゴールに向って巻いてくるクロスを古賀が頭で叩き込んだシーンは、一年前に同じくルーキーの本田が初出場初アシストを決めたシーンを彷彿とさせた。それまで有村との連携も含めややバタついていて良いところを発揮できていなかった片山だったが、これにより落ち着きを取り戻したようにも見えた。

 そのまま1-0で前半終了。

 後半開始。いきなり与えたセットプレーに今シーズンの名古屋の(セフ・フェルフォーセンの)新しいスタイルのひとつが明らかになる。前半はTVカメラの角度的に気付かなかったのだが、どうやらセットプレーに対してもゾーンによる守備を採用しているらしい。しかしこれにまだ選手が慣れていないのか、昨シーズン瑞穂でのセレッソ戦でプロ初ゴールを献上した前田にこれ以上ないドンピシャヘッドを決められて1-1。ゾーンでのセットプレーに対する守備の弱点が出たシーンとは言え、それにしてもいとも簡単にやられた印象は拭えない。あれぐらいのボールで簡単にフリーでシュートを打たれてしまうようなら、今シーズンこの先セットプレーから何点失うことになるのか・・・。おそらくこれを見たほかのチームもそこを突こうと徹底的に対策を立ててくるだろう。

 開始5分も経たないうちにアドバンテージを失ってしまった名古屋は落ち着きを失う。DFラインは怖がってズルズルと下がり、それに伴い、どうやら守備では前に出るというよりDFラインの前のスペースを埋める役割を一義的に担っているらしいボランチ二人のポジションも低くなる。そうして名古屋のFWと二列目のラインが間延びして生まれたギャップでセレッソのボランチ(河村)が自由にボールを扱い始める。こうなるとゲームは一方的だ。

 しかしここで玉田や金正友という普通の一プレーヤーとしてではなく+αを期待して獲得された新戦力がその力を発揮する。マイボールになると金正友が積極的に前に絡んできて攻撃に厚みを加えるとともにポイントとなり、最前線で常に相手DFラインのサイドや裏のスペースを狙っていた杉本に対して少し下がった位置でプレーしていた玉田が決定的なやってのけた。杉本からのパスを受けた玉田がボックスに向ってドリブルで突っかけて相手DFを3人ぐらい引きつけると、その横を走り抜ける杉本に絶妙なタイミングでスルーパス。これにオフサイドギリギリでDFラインをすり抜けた杉本が放ったシュートはキーパーに当たりながらもゴールに吸い込まれ、名古屋は再びリードを奪うことに成功する。

 この後名古屋は足を攣るプレーヤーが続出。後半途中、おそらく戦術的な意図で有村→阿部というカードを切ったフェルフォーセンだったが、その後の状況を見ればこれは交代を早まったかなと思ったのではないだろうか。まずは試合開始から最前線でひたすら走り回っていた杉本が限界を超えて豊田と交代。そして相手のロングボールをクリアし損なった際に深津が足を攣ってタンカでピッチの外に運び出される。ここで下手に相手ボールになると正直危険な状況だったが、GK川島の蹴ったいつものように大きな弧を描いたキックが相手陣内深くまで到達すると、これをセレッソ守備陣が集中を欠いたプレーでバウンドさせ、それを競り合いながらものにした豊田が上手く密集から抜け出して豪快にセレッソゴールに突き刺した。去年ぐらいからその潜在能力を発揮し始めた豊田の真骨頂のようなゴール。大きく強靭な身体とスピードを併せ持つ豊田が自信を持って仕掛けてきたら相手DFにとっては脅威なはずだ。

 決して安全圏とまでは行かないまでも2点をリードしたことで気持ち的にゆとりの出来た名古屋は、左サイドを中心に若いプレーヤー達が溌剌としたプレーを見せる。先制点をアシストした片山はプレーに自信が感じれるようになり、そんなライバルに負けじと途中出場の阿部も積極的に攻撃に絡んで武器である繊細にして鋭い左足をアピールしようとしている。これに個の力を伴った玉田、金正友が絡み、さらには今後故障から藤田や本田が帰ってくる名古屋の左サイドは今シーズンの見所になりそうだ。

 終了間際またしてもセットプレーから一度は川島がビックセーブを見せながらも西澤にアクロバチックなシュートを決められた名古屋だったが、なんとか逃げ切りに成功して3-2で試合終了。「優勝候補」セレッソをホームに迎えた開幕戦で、ひとつ間違えれば自信を喪失させられ長いシーズンを通してズルズルと尾を引いてしまいそうな試合だっただけに、若手中心のメンバーで勝利したことは思いのほか大きい。試合自体もまだまだ未完成ながらやろうとしている方向や、それを理解し実践しようとしている選手たちの姿勢も見えた試合だった。

 まあ勝ったからこその贅沢を言うならば、瑞穂でのセレッソ戦というかつてのお得意様相手に、「チャレンジャー」として立ち向かって接戦をものにしたことに満足するのもどことなく寂しい気はしないでもないが、今シーズンはこんな試合が増えるのだろう。
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by tknr0326g8 | 2006-03-05 23:59 | Game Review
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