Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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第3節 対鹿島 0-0 (得点:なし) @スカパー
 不安だらけだった開幕戦を見事勝利で飾りながらも、続く前節の清水戦ではほとんど何も出来ないまま完敗を喫した名古屋。若い選手が多いだけに、変な形で連敗でもしようものならズルズル行きかねない大事な試合の相手が代表クラスの選手を何人も抱える鹿島といのは少々厳しいような気もするが、これが意外と俺の中ではホームでの鹿島戦というもに対して悪いイメージがない。確かに鹿島といえば、Jリーグ開幕戦でジーコにハットトリック決められたりしてすっかり苦手意識を植え付けられたのかしばらく勝てない時期があったり、未だに続くカシマスタジアム不勝神話もあるが、ことホームでの試合に関しては過去10年を遡っても大きく勝ち越しているのではないだろうか。

 この試合、怪我人が少しづつ復帰してきたことや前節のイヤな形での敗戦を払拭する意味あいもあってか、フェルフォーセンはメンバーを少しいじってきた。日本代表GK楢﨑の復帰こそ見送られたが、スタメンには本田や秋田といった昨シーズンまでの主力プレーヤーや開幕戦・第2節と途中交代で出場していたルーキーの阿部の名前が今シーズン初めて並んだ。

     玉田   杉本

本田   金    吉村  中村

阿部  古賀   秋田  大森

        川島

 前半の名古屋はこの試合でもかなり慎重な入り方をしている。ポジショニングひとつとってもそれは顕著で、4-4-2の布陣に合わせてポジションを取った選手達はFWの二人を除いて攻撃時においてもほとんどそのポジションバランスを崩さない。これがフェルフォーセンのサッカーのやり方(指示)でそれを選手達が忠実に守っているのか、はたまた選手達に応用力や思い切りが足りないだけなのか、それとも応用力を発揮する段階までこのやり方が成熟していないのかは分からないが、前線に絶対的な存在がいるわけでもない今のチームでは、もう少し変化をつけないと得点を奪うことは難しいかもしれない。

 そんな前半の名古屋にあっては、前節までのスタメンが丸ごと入れ替わった左サイド(片山、有村→本田、阿部)と開幕から不動の面子でやってきた右サイドで対照的な様相を呈していた。
 左サイドでは本田、阿部、金の三人が良い関係を作ってパスを回していこうとする意思が感じられるし、さらにそこから前方の玉田と杉本が左サイドに流れて絡み始めると、相手陣内深くまで入り込んでCKを獲得したり数こそ少ないがシュートまで辿り着いたりしているのに対し、右サイドから相手ゴールに近付く手段はSBの大森からのロングボールでDFラインの裏を狙うことにほぼ限定されていた。何度か左サイドの阿部や本田からサイドチェンジのパスが通たシーンもあったが、右SHの中村は完全に孤立している状態で、中村と大森やFWとのコンビネーションは悪く、同じ右サイドということで言えば、ボールを引き出したりサポートに行ったりして自ら攻撃に絡んでいこうという意思がさっぱり見られない吉村にも問題がありそうだ。
 逆に守備面になるとその様子は一変し、左サイド(鹿島にとっての右サイド)ではボランチ・青木のクロスオーバーしての上りやユース代表でもある右SBの内田(篤)の思い切ったオーバラップに阿部が再三振り切られて危険な折り返しのボールを入れられたりするのに対し、1対1に強い大森と中村が構える右サイド(鹿島にとっての左サイド)ではここを主戦場とする新井場に決定的な仕事を許さなかった。ただ、やや内寄りながら左を中心に中盤を縦横無尽に動いて仕事をする小笠原を捕まえ切れていなかったことは事実で、これに基本的に相対するはずの(というかその傍にいることが多かった)吉村の間合いが甘く小笠原には何度か決定的な仕事をされて(パスを通されて)いた。

 試合はどちらからともなくまったりしたペースになったが、小笠原からのパスと右サイドを中心に名古屋よりも明らかに多くの決定的なチャンスを作っていた鹿島優勢な状況に危機感を募らせたのか、前半のうちにこれに対処する策を打ち出して動いたのはフェルフォーセンだった。マスコミ風に煽れば「秘策」といったところだが(笑)、左サイドで本田と阿部のポジションを前後に入れ替えることでフェルフォーセンはひとまず前半この穴を塞ぐことに成功する。試合後のインタビューでこのポジション変更について聞かれたフェルフォーセンは「本田の(攻撃の時の)判断が遅かったから」といったようなことを語っていたようが、実際のところは守備のことを優先的に考えての策であったと見て間違いないだろう。実際阿部が前に移ったからといってそこで何かが出来たかといえばそういうわけでもなかった。

 あとは前半で目立った点といえば中村の集中が切れていたかのような低調なパフォーマンスだ。パスミスやトラップミスといったミスを続けたかと思えば、自らが起点となるべき右サイドの攻撃でもトップに出た(出した)ボールに対してサポートに入るタイミングが遅かったり、自陣ボックス内に入っての守備のシーンでは淡白なクリアを相手に拾われて波状攻撃を喰らい決定的なシーンを作られたりと、明らかに頭のスイッチが入っていない。ほぼ一年前のナビスコカップでもやり合った因縁の相手・新井場に対して最大限の注意を払っている感じは見て取れたが、昨シーズンの名古屋MVPの称号には似つかわしくないパフォーマンスだ。俺は中村を自由にやらせた方が力を出せる天才肌のプレーヤーだとか相変らずマスコミで濫用されている「ファンタジスタ」だとは全く思わないが、ポジショニングに縛られずにプレーした方が力が出せるタイプなのかもしれない。それとも単に現行のシステム(戦術)の中で自分がすべきことが頭の中で整理されていないのか。

 おそらくハーフタイムにフェルフォーセンからも多くの指示が行われたと思われる後半、しかしチームはいきなりそのプランを変更せざるを得ないアクシデントに見舞われる。この試合二枚目のイエローカードを受けた金正友が退場してしまったのだ。心配なのは(日本のサッカーに慣れないのか)開幕から1試合1枚のハイペースで警告を受けているという事実より、金正友がチームの中で孤立していないかということだ。TVで見る限り、二枚のカードを貰った時に金正友に近寄って声を掛けるような選手はほとんどいないように見えたし、前半1枚目のカードをもらった後にホイッスルが鳴った後でボールを蹴ってしまったシーンで、いつものごとく次から次へと審判を囲みに来る鹿島の選手に対し、多勢に無勢ではないが勢いで2枚目を出されてもおかしくなかった時でも彼とコミュニケーションを取ろうとする選手は皆無だった。まあ名古屋の選手達は鹿島のようにジーコの代から審判を取り囲むことを「教育」されているわけでもないだろうし、切り替えて次のプレーに集中していたというのならいいんだが。

 10人になった名古屋はしばらく玉田の1トップに杉本を右SH、中村をCHという形で乗り切り、アップの完了した須藤を杉本の代わりに投入する。これでCHに須藤を入れ、中村が右SHに戻ったわけだが、俺はネルシーニョのやっていた4-4-2ではなくこのフェルフォーセンの4-4-2にあっては中村はCHの方が現段階ではその能力を発揮できるような気がし始めている。ここでは随分前から中村のボランチ起用を訴えてきたが、現システムでのCHは俺の思い描いていたそれにかなり近い。

        玉田


阿部  吉村   須藤  中村

本田  古賀   秋田  大森

        川島

 ここからの時間帯の名古屋はチームとしてすべきことが明確となり、守備面での意思統一が図れるようになってきた。そして二列目と三列目でキッチリとした守備ブロックを作り、それ以前よりもゾーンでの守りが徹底されてしまうのだから不思議と言う他ない。攻撃でもやるべきことがハッキリした。前線の絶対的な存在(エース)にひたすらボールを送りそこに基点を作る・・・図らずもこここ10年余りの名古屋が積み上げてきた得意の形、フェルフォーセンが特別な指示を飛ばさなくても名古屋の選手達が目を瞑っても出来るスタイル。そしてそこから名古屋は早速決定的な形を作る。ピクシーが、マルケスがいた左サイド前方のスペースで玉田がボールを受けてキープすると阿部、須藤が信じてオーバーラップ、玉田の挙げたクロスが中央で構える須藤の前に上手くこぼれると須藤がこれをシュート、プロ初ゴールかと思われたシュートはポストに当たってしまったが、この跳ね返りがさらに阿部の足元へ、そして阿部が左足で強烈に放ったシュートはキーパーの正面に行ってしまった。その後も攻めあぐむ鹿島を尻目に運動量が倍増した玉田が鹿島DFラインからボールをかっさらってキーパーと1対1になったり、右サイドで久しぶりにキレのある動きを見せた中村のクロスに玉田が中央で合わせたりと、名古屋は決定的なシーンをいくつも作り出した。

 対する鹿島は1トップの名古屋に対して両SBがかなりポジションを上げ、CB二人で玉田を見るような形になっていた。そして次々と攻撃的な策を打ってくる。中でも効いたのは中盤(ボランチ)の増田に代えてFWの深井を投入してきたことで、形式上は小笠原がボランチ下がり深井が右の攻撃的な中盤の位置に入る形になるのだが、深井は3トップのようにかなり前線に近い位置でポジションを取り始めた。ゾーンディフェンスの名古屋は本来であればこれを4バックで受け渡しながら見るのだろうが、実際には本田がほとんど深井に付いて行って対応するような形になり、深井が空けたスペースに後ろから何度も内田がオーラーバップを仕掛けてチャンスを作った。そして阿部にはもはやこれに付いて行くだけの体力は残されていなかった。これを見たフェルフォーセンは阿部に代え有村を投入、本田を再び中盤に戻す選択をする。

 そしてこの交代の直後、名古屋にとってのこの日最大の見せ場が訪れる。カウンターから玉田→本田→玉田と渡ったボールを持って玉田が独走。ボックス内で鹿島GK小澤との1対1から倒されPKを獲得する。このシーンに限らずかなり接触プレーに対しファールをアピールするシーンが多かった玉田には心情的にはもうひと頑張りして欲しいところだが、後半通常の倍ぐらいの距離を走っていた玉田が疲労からかこのPKを外して、名古屋はこのチャンスを潰してしまった。

 この後鹿島に、この試合の中でもすっかり自信をつけた様子の右SB内田からのクロスにファーで新井場がダイレクトボレーで合わせたシュートがバーを叩くなど危ないシーンは作られたが、名古屋がなんとか凌いで試合は0-0で終了した。攻撃の問題を中心にチームとしてはまだまだ改善の余地は大きいと思うが、玉田がフォームを取り戻して来ているのは好材料だ。これで卓越した技術と戦術眼を持つ藤田が復帰してチームとしてどれぐらいのことが出来るのかに注目したい。

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 最後に、この試合の朝(深夜)に交通事故で亡くなられたユース(三年)の佐々木健太郎さんのご冥福をお祈りいたします。彼を試合で見たのはほとんどがトレーニングマッチでしたが、出場していない試合でも試合前にいつも長谷川君とともに伊藤GKコーチのもとでアップを行っていた姿や、前半終了時には引き揚げて来る長谷川君とハイタッチして健闘を称えていた姿が強く印象に残っています。ユースももちろんですが、トップチームも天国の彼に恥じないチームになってもらいたいと心から願います。

 と同時に、最悪次回のホームゲームの時にでも、クラブには試合前の黙祷や喪章をつけてのプレーを強く求めたい。名古屋のユースチームが各種大会に参加する時のチーム名は「名古屋グランパスエイト」で、他のクラブのように「U-18○○(「U-15○○)」だとか「○○ユース(○○ジュニアユース)」とかいうチーム名での登録にはなっていない。俺は勝手にこれを下部組織までを含めてひとつのチームだという風に解釈していたんだけど、同じクラブの選手が亡くなったというのに何事もなかったように日程(試合)をこなすようなクラブにはなって欲しくはないと思うから。
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by tknr0326g8 | 2006-03-18 23:54 | Game Review
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