Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
カテゴリ
最新の記事
以前の記事
第5節 対大分 0-3 (得点:なし) @スカパー
 試合結果よりもむしろJ2から昇格してきたばかりの福岡を相手にロングボールを放り込むだけの攻撃に終始せざるを得なかった今の名古屋のチームとしての力にショックを受けてから中4日。週ニ試合の過密日程でホームに迎えるのは相手はシャムスカ率いる大分だ。昨シーズン終盤の大分の快進撃をフロックだと言うつもりは決してないが、名古屋ファンからしてみればジョアン・カルロスの時代にそれに匹敵するかもしかしたらそれ以上の奇跡(就任後負け無しの9連勝でリーグ戦を終えのまま勢いそのままに天皇杯制覇)と翌シーズンの崩壊を目撃しているだけに、シャムスカの真価が問われるのが実は今シーズンだということは痛いほど分かっている。ただそんなシーズンに向けシャムスカにとって気の毒なのはチームの財政難の煽りを受けマグノ・アウベスや吉田といった主力選手を失ったことだ。まあそれでこそシャムスカの本当の腕の見せ所だという見方が出来なくもないわけだが。
 
 名古屋は前節の福岡戦の布陣を基本に、出場停止空けの金正友をスタメンに戻して試合に臨む。金正友が戻ったことで果たして名古屋に中盤が復活するのだろうか。

     玉田   豊田

阿部   金   吉村  中村

本田  古賀   秋田  大森

        川島

 前半は予想に反して名古屋が落ちついた試合への入り方をしている。福岡戦のように盲目的に前線にロングボールを放り込むのではなく、フェルフォーセンがよくインタビューなどで語っているようにボールをつないでいってサイドから攻めるという意識が選手達の間に垣間見え、その中では復帰した金正友が頻繁にボールに絡んでいる姿が目立つ。ただ相変らずマイボールになった時やクサビのボールが入った時の中盤以降の押し上げが遅くなかなかチャンスを作り出せないでいることもまた事実だった。
 対する大分はエジミウソン、トゥーリオという二人のブラジル人で組むダブルボランチがボールを落ち着かせて基点となりつつも、名古屋が前線からはプレッシャーを掛けず中盤(の深い位置)に網を張っていると見るや、ノープレッシャーの最終ラインから前線に向かってどんどんロングボールを放り込んでくる。名古屋ももちろんそんな大分の攻撃は想定済みとばかりに秋田・古賀を中心としたDFラインが落ち着いた対応を見せるが、大分はしばしば高松が前線で身体を張ってこのボールをキープするとチャンスに結び付けていた。そしてそれがキッカケとなり名古屋は前半10分と経たないうちに先制点を失うことになる。ロングボールに対して高松と競り合った古賀が圧力に負けてCKに逃げると、そのCKに対して名古屋はDFとGKの明らかな連携ミスによりゴール正面から大分DFの深谷に決められ1点を失ってしまった。それにしても一回のセットプレーからいとも簡単にやられてしまった。

 先制点を失った名古屋だったがその後もやるサッカーは変わらない。守備を厚くする大分に対し、タテにはなかなかパスを入れることが出来ないが、ダブルボランチが左右に大きくボールを散らしながらサイドを基点に攻撃の糸口を模索する。そして前半20分には右サイドから吉村を経由して左に回ってきたボールを玉田→本田→玉田という大きなワンツーのような形で玉田が大分DFの裏へ抜け出してシュートを放ったり、同30分過ぎには大森と中村が絡んだ右サイドのパス交換から、吉村→(中村スルー)→玉田→豊田(ポスト)と渡ったボールを豊田がDFを背負いながら落とし、再び現れた吉村がダイレクトでシュートを放つ(シュートはサイドネットへ)というような決定的なチャンスも作り出すことに成功した。それ以外にも金正友が前線のスペースに飛び出て行ったり、SB起用の本田が前へ抜け出したりと大分DFを崩すためのチャレンジを名古屋は行っていた。しかしそんな名古屋の攻撃も大分最終ラインの身体を張ったディフェンスを前にゴールをこじ開けることが出来ず1点ビハインドのまま前半が終了。

 試合後のフェルフォーセンは特に前半を「ひどい内容」とコメントしていたが、俺が見た限りボールもゲームの流れ自体もどちらかと言えば名古屋が支配していたような印象を受けた。そしてその中でも名古屋は上で書いたように何度かチャンスを作ることにも成功していた。では何が名古屋に足りなかったのか?と問われれば、おそらくそれは相手ゴールに向うアグレッシブさということになるだろう。おそらく大分のDF陣にとっても怖いと感じさせるような名古屋の攻撃はそれほど多くはなかったはずだ。そして後半開始に当たりフェルフォーセンは左SBの本田を一列上げ、阿部の変わりに左SBに有村を投入する。本田は前半から何度か積極的に攻撃に絡む姿勢を見せていたし、それに比べると阿部はやや影が薄く攻撃面でもほとんどチームに貢献出来ていなかったのだから妥当な交代と言える。

 そんな名古屋は後半(前半同様)サイドにポイントを置きつつも、前線(豊田)へのロングボールからダイレクトにゴールを狙う回数が増え、チーム全体としてゴールへの意識が高まっているように見えた。しかし後半は大分もロングボールが前線の2トップ(特に高松)に納まる回数が目に見えて多くなっており、そこを基点に怒涛のような押し上げで大分はカウンターを仕掛けてくる。名古屋は大分に比べると明らかに攻守の切り換えやセカンドボールへの出足といった点で劣っており、それが集中力の欠如から来るものなのか個々の能力で上回る慢心から来るものなのかは分からないが、そこを突かれてやってはいけない追加点を早々に奪われてしまう。

 後半開始10分ほどで有村が大分の右サイド・梅田の突破にアッサリとファールを犯してセットプレーを与えると、あろうことかニアサイドでこの日二度目のどフリーを作り、西山にヘディングを決められる。マンマークに切り替えたらしいセットプレーの守備では西山のマークに吉村が付いていたが簡単に振り切られてしまった。一試合の中で二度もセットプレーでフリーの相手を作るその光景は、大分がDFなしでセットプレーの練習をしているような感じだった。
 これで集中が切れたのか、名古屋は強引な攻めからボールを奪われて次々と大分のカウンターを喰らうこととなる。相手のシュートミスに助けられたようなシーンもあったが、その5分後には中村の一発狙いのパスをカットした大分がまたカウンターを仕掛け、西山の放ったミドルシュートがバーに当たって跳ね返ったところを高松が持ち込んでシュート、これは体勢を立て直した川島が素晴らしい反応でセーブしたが、その跳ね返りをさらに根本に詰められて3点目を奪われてしまった。名古屋は大分のカウンターに対する全体の戻りも遅く、次々と浴びせられるシュートに対しても周りにいた選手達の足が止まって完全に「見て」しまっていた。

 ここで(というか試合後のコメントによれば追加点を奪われる前から準備していた)フェルフォーセンは思い切った策に出る。右サイドのコンビである中村と大森を下げ増川と杉本を投入。最終ラインを有村をリベロにした3バック、そして最前線に増川を張らせてターゲットとするシステムに変更してきた。

         増川
    豊田       玉田
         
本田              杉本
      金
           吉村

   古賀   有村   秋田

         川島

 これ以降名古屋の選手達が吹っ切れたのか、それとも3点取って大分の選手達がペースを大幅に緩めたのか名古屋はよりアグレッシブな攻めに打って出る。前線では増川という(豊田より)さらに明確なターゲットが出来たことで後ろからでもボールが入れやすくなり、下がりだした大分に対して本田を筆頭に中盤がいい形でボールを持つようなシーンが増えてきた。金正友も中央で左右へとボールを散らし時にはボールを持って迫力ある攻め上がりを見せる。前線では玉田が一度引いてボールに触って飛び出して行くという得意の形が出るようになったし、それまでターゲットとしての役割にばかり意識を奪われていた豊田がその呪縛から解き放たれて伸び伸びとプレーし始めた。豊田は確かに前線でターゲットとなれるだけの身体(の強さ)を持っているが、スピードもあるしこういうターゲットタイプと組ませた方がその持ち味を生かせるのかもしれない。

 この戦い方はフェルフォーセンの中でも緊急事態に備えた特別なオプションのひとつでしかないだろうが、これはこれでこの日の名古屋に対する特効薬とはなり得ていた。それは、どこかの御用新聞がよく監督批判の材料として使う「練習でやったことがない」やり方な分、(増川のポストに対して周りがどうサポートに入るかなどの基本的な部分も含めて)上手く機能しない部分合ったが、これでしっかりとトレーニングすればひょっとしてモノになるんじゃないかという期待すら抱かせるものだった。
 まあいつも書いているように、俺は単に「練習でやったことがない」とかいうのを理由にするのは同調しかねるが、トレーニングの中で身体に覚えさせることも出来るコンビネーション的な部分だけでなく、名古屋の選手達には個々の部分でやはり戦術理解であり技量でありといった部分が欠けていると感じる。チャンスらしきものを作っても前線で動きが被ってしまったり、誰もいないところにクロスを上げたり、ボールを前に運ばなければいけないところで下げてしまったりしている。個々の例で言えば、右アウトサイドに入ってしばしば良いボールのもらい方をしていた杉本が、相変らず相手DFとの勝負の間合いが近過ぎてそのスピードを活かし切れていないようなシーンはその代表だ。むしろあれでは自らボールを取られに行っているようなものだ。杉本は例えば去年のワールドユースで日本を前半チンチンにやっけたオランダのクインシー・オウス・アベイエがどういう間合いで勝負していたかを研究してみた方がいいような気がするんだが。

 前半よりはアグレッシブなゴールを意識した攻めがチーム全体として出来るようになった名古屋ではあったが、結局は大分の前に得点を奪うことが出来ず0-3の完敗。大分は前線の2トップからかなり激しくディフェンスをしてくるし、身体を張り粘り強い3バック、急所を心得ているブラジル人のボランチコンビ・トゥーリオとエジミウソンと守備はなかなか堅い。攻撃自体にはそれほど意外性はなく、集中してしっかり対応していけば防げるレベルだと思うのだが、いかんせんセットプレーでの二失点が痛過ぎた。誰かが語ったようにこれでは試合にならないのは事実だが、試合にならない状況を招いたのもまた自分達でしかない。ネルシーニョの頃も最初はセットプレーからの失点が多いと言われていた。監督が代わるたびにゼロどころかマイナスからのスタートとなる名古屋がチームとしてプロらしくなるのはいつのことか。
[PR]
by tknr0326g8 | 2006-03-26 23:59 | Game Review
<< 第6節 対浦和 0-0 (得点... 第4節 対福岡 1-0 (得点... >>