Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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第7節 対京都 1-1 (得点:中村) @BS
 二週間前、大分に0-3というスコアで敗れた後のインタビューでフェルフォーセンが語った不満は大きくまとめれば二つ、「攻撃のテンポ」と「アグレッシブさ」(の欠如)だった。メンバーを落として臨んだナビスコカップの甲府戦や、現時点でのチーム状態ひとつ取ってもちょっと比較対象にならない前節の浦和戦はひとまず置いておいて、この京都戦は大分戦での課題がどれくらい修正されているかを試すのにもってこいの場と言える。

 藤田俊哉がスタメンに帰って来たものの体調不良のエース玉田を欠く名古屋は、4年目の平林を1トップに据え前節と同じ4-5-1(4-3-3)の布陣でこの試合に臨む。御用新聞の中スポを含む大方の人間が杉本の先発起用を予想していた中で、非公開練習を経てフェルフォーセンが平林を選択したのはちょっとしたサプライズだった。平林は地元(愛知県)出身にしてJrユースからの生え抜き、そしてそんな下部組織時代から常に「名古屋の10番」を背負ってきたというプロフィールがローマの「プリンチペ」トッティを連想させ、また世に言う「田島チルドレン」(笑)として臨んだU-17ワールドユース(@トリニダード・トバコ)にそんな平林とともに出場していた成岡翔(現磐田)がいつしか「プリンス」と呼ばれるようになっていたのに対抗して、俺が勝手に「名古屋のプリンス」と呼んでいるプレーヤーだが、怪我の豊田はともかく実績のある杉本をベンチに差し置いてまで起用するフェルフォーセンの意図はどこにあるのだろうか。そしてそれは深刻な得点力不足(ここ5試合で得点は僅かに1・・・しかもPK)に悩む名古屋にとって起死回生の策となり得るのだろうか。試合前にスタメンを確認した段階では正直言って俺の期待は薄かった。

       平林
 本田          中村
    金     藤田
       吉村
有村  増川  古賀  大森

       川島

 試合は玉田不在だとか慣れないシステムだとかいう以前の問題で、名古屋が試合開始から自滅のような感じで大きなピンチを何度も招く。京都は完全なリアクションスタイルからシンプルに(早いタイミングで)前線の外国人2トップを使ってくるというとても分かりやすいサッカーなのだが、前節J1復帰後初勝利を挙げて勢いに乗っているのか、最初からエンジン全開な感じで前から前からプレッシャーを掛けて来て、これに名古屋の(最終ラインを中心とした)選手達が慌ててしまい危ない位置でボールを奪われてシュートまで持ち込まれる展開が続出する。

 しかしそんな京都の攻勢をGK川島の好セーブなどもありなんとか凌いでいると名古屋も徐々にペースを掴んできた。そしてその中にあっては1トップの平林もその特徴を活かして溌剌としたプレーを見せている。平林はトリッキーなテクニックに目が行きがちだが、実は動きの量が多く幅広く動きながらボールを受けるのが特徴のプレーヤーで、チームが中盤でボールを動かしている時には自らもこまめにポジションを変えながらタイミングよく顔を出してボールを引き出し、そこでボールを失わずにキープしてまたボールを動かしていくことで名古屋の攻撃にリズムをもたらしている。これがもし豊田や杉本が先発だったとしたら、ロングボールで豊田の頭を狙ったりDFラインの裏を狙って杉本を走らせるだけの展開に陥っていたかもしれない。

 さらに普段の名古屋であれば1トップが一度ボールを受けに下がって来ると、仮にその後上手くサイドにボールを展開出来たとしても、大事な時にボックスの中には誰もいない(人が足りない)状態になってしまうのがお約束なのだが、この試合ではサイドの中村・本田、中央の藤田・金正友といった選手達がチャンスと見れば常にボックス内へと飛び込んで来る積極性を見せている。代表的なシーンは前半10分にボックス内の混戦から平林がシュートを放ったシーンで、大森と藤田の右サイドでのパス交換からボックスの中及びその近辺で吉村、藤田、中村、本田、金正友、平林が次々とボールに触れて最終的なシュートに結び付いていた。このシーンは極端にしても名古屋はサイドからのボールに対して常に二人以上の選手がボックス内に詰めている状態で、左の本田からのクロスボールを藤田がドンピシャのヘッドで合わせたシーン(京都のGK平井が横っ飛びで弾く)や大森のクロスに中央で金正友が合わせたシーンなどはこれまでの名古屋に見られなかったシーンだった。

 積極性という意味では前節までとは打って変わって前線からの守備も目についた。前節の浦和戦に限らず、今シーズンの名古屋は比較的低い位置から守備を始めるのが常で、FWのラインがセンターサークルのあたりで一度止まって相手が入ってくるのを待ち構えることがほとんどだった。しかしこの試合ではトップの位置に入った平林がしばしば身体を投げ出すような勢いで前線へのロングボールを狙う京都の最終ラインに対してチェックに行き確実にパスコースを限定することで、中盤やDFラインも追随するように押し上げて「前」を意識したディフェンスを実践することが出来ていた。もちろんここでは中盤で声を張り上げながら指揮を執り全体の統制とバランスに腐心していた藤田俊哉の存在も忘れてはならない。

 開始早々の数分間を除いては名古屋の一方的なペースと言っても過言ではなかった前半、しかし名古屋は肝心の得点を奪うことが出来ず0-0のままハーフタイムへ突入する。何が足りなかったかと言われれば絶対的なストライカーの存在という答えももちろんあるが、それでも後半に向けて得点への感触は確かに残した前半だった。

 後半開始に伴い、前半唯一足りなかった「得点」を奪いに行くためフェルフォーセンはさっそく手を打ってきた。左SBの有村に代えて中盤に須藤を投入し、DFラインは大森をリベロに据えた3バックを採用した。フェルフォーセンがオランダ人であるという先入観込みで考えると、どことなくそれはファンハール時代にヨーロッパとトヨタカップを制したアヤックスの3-4-3↓を連想してしまうが、

        クライファート
         (カヌー)
オフェルマルス           フィニディ
         リトマネン
  ダービッツ         セードロフ
         ライカールト

  ボハルデ   ブリント  ライツィハー

       フェン・デル・サール

本来はボランチに当たる中盤の両サイド(ダービッツとセードロフのところ=名古屋でいう金正友と須藤のところ)が、マッチアップ上相手の両SHに引っ張られるような形で3バックのサイドのスペースまで押し込まれてDFラインに入ることがしばしばあった実際の機能面を考えると、それはズデンコ時代に一度だけ試みて失敗に終わった3-3-3-1に近かった。

         平林

 本田     藤田    中村
           
 正友     吉村    須藤

   増川   大森   古賀

         川島

ただズデンコ時代と明らかに違う点は、ズデンコが守備面(人の配置によって相手の攻撃のスペースを消すこと)を意図していたのに対し、フェルフォーセンは最終ラインの枚数を一枚削って前に人数を増やすことを意図していた点だった。

 ともあれ3-4-3にしろ3-3-3-1にしろ(見て分かる通り)ピッチ全体に均等に人を分散させることが出来るシステムであり、逆に言えばこれらは攻守両面において1対1での強さのベースがないと成り立たないシステムだという点に変わりはない。おそらく前半を見たフェルフォーセンは京都の外国人2トップを除けば名古屋のプレーヤーが1対1で京都のプレーヤーに負けることはないと感じたのだろう。単にDFの枚数を減らして攻撃的にというだけでなく、そういった事象を踏まえた上でゴリ押しで点を奪ってしまおうというフェルフォーセンの強気な意図も感じられるシステム変更だった。

 そしてそんなフェルフォーセンの意図通り名古屋は後半開始5分で先制点を奪うことに成功する。前半から左サイドで何度も好機を演出していた本田が再びサイドを破りゴールキーパーの出られない位置に絶妙なクロスボールを送ると、京都ゴール前には二人の紅いユニフォームを着たアタッカーが待ち構えており、ファーサイドにいた中村がDFに挟まれながらもこのボールをコントロールしシュートを押し込んだ。中村は福岡戦あたりから少しづつ「前」(ボックス)への意識が高まってきており、この試合では前半から何度も(特に左サイドからのボールに対して)前線のスペースに飛び込んでいたのだが、その動きがやっと実ったゴールだった。俺は常々中村にはこうした動きが足りないと指摘し続けてきたわけだが、この得点シーンでも顕著だったように相手DFに寄せられてもバランスを崩さない身体の強さを持つ中村なら、今後もこのような動きを続けていくことでゴールを量産することも可能だと思う。

 しかし先制点を奪われたことで吹っ切れたのか京都が重い腰を上げるかのように積極的な攻撃を見せ始めると名古屋の急造システムは途端にその脆さを見せ始める。実は後半開始から京都は名古屋が最終ラインを4→3に変更したことに伴ってそのサイドのスペースに2トップが流れてそこにロングボールを入れる傾向を顕著にしていたが、失点後はそこにニ列目のSHが絡んで来るシーンが増え始めた。そして上でも書いたようにこのシステムの命綱でもある1対1で、京都の左SH美尾の突破に対してマッチアップする須藤が全く付いていけない。そして再三右サイド(京都にとっての左サイド)を突破されると、一度は完全に崩されたゴールをオフサイドに助けられたが、カウンターからクロスボールに対してファーサイドでパウリーニョをフリーにしてしまい同点ゴールを許してしまう。

 たまらずフェルフォーセンは後半25分に金正友に代えて角田を投入。角田を右に回して美尾への対応に当たらせ、須藤を左サイドへと移した。シーズン前には「オランダのスタイルは自分に合う」という希望的観測を語っていた角田もこの古巣・京都との第7節が今シーズン初出場だ。京都サポからのブーイングらしきものを浴びながら登場した角田は、これまで試合に出られなかったこととブーイングを浴びたことへのうっ憤を晴らすかのごとく美尾を抑え込み、さらには果敢な攻め上がりで京都に傾きかけていた流れを再び名古屋へと呼び戻した。

 その後名古屋は疲れの見える平林に代えて後半の切り札・杉本を投入。この辺の時間帯になると両チームとも中盤が空き始めていたこともあり、名古屋も自陣でボールを奪ったら手間をかけずにタテ(DFライン裏へ)のボールを使って杉本のスピードを活かそうという戦術に切り替えていた。そして名古屋はカウンターから何度かいい形を作るもののボールを奪う位置が深くなったこともあって、長い距離を走ってゴール前に辿り着く頃には詰めて来る選手もヘロヘロで、中村や吉村らが放った決定的なシュートはいずれも枠を逸れて行った。

 そして試合は1-1のままタイムアップを迎える。
 相手チームの力量を考えても勝たなくてはいけない試合だったが、収穫があるとすれば藤田の復帰した中盤には攻撃面でも守備面でも確固たる核が出来たことと、そして平林、角田という今シーズン初出場を果たした選手たちがこの機会にアピールしようと積極的なプレーを披露したことが挙げられる。その結果チームは大分戦で課題を残した「攻撃のテンポ」と「(攻守両面での)アグレッシブさ」の両面において大きな前進を見せた。まだまだ改善すべき課題や現時点ではいかんともしがたい戦力面での問題もあるが、この試合での感触を忘れずに得点と勝ち点3を積み重ねていって欲しい。
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by tknr0326g8 | 2006-04-08 23:54 | Game Review
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