Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
カテゴリ
最新の記事
以前の記事
第9節 対川崎 0-2 (得点:なし) @スカパー
 思えば一年前ジュニーニョを欠いた川崎に「J1の力」を見せ付けていた頃が名古屋にとっては最後に夢を見ていられた時期で、シーズン終盤に二度目の対戦を迎える頃にはこの川崎との力関係がすっかり入れ替わってしまっていた。川崎はそこからさらに積み上げて新シーズンを迎え開幕以来好調を持続しており、対する名古屋は新しい方向性が未だ完成には程遠いということで試合前から劣勢は予想されてはいたのだが、結論から言えば正直ここまで力の差を見せ付けられるとは思っていなかったというのがこの試合を見終わった今の素直な感想。

 金正友が出場停止から戻ってきたと思ったら最近調子を上げていた本田が負傷による欠場を余儀なくされてしまった名古屋は、阿部が本田のポジションに入り、さらに出場停止の有村の代役として渡邉が今シーズン初出場を果たした。渡邉については、本田欠場という事態を考えても前で使った方が生きると俺は思っているが他にSBを任せられる人材がいないというのなら仕方ない。大森を左SBに持ってくるという手もあると思うのだが、フェルフォーセンの中では左サイドには左利きを置いておきたいという思いがあるのだろうか。

        玉田

 阿部    藤田    中村

     金     吉村

渡邉   増川  古賀   角田

        楢﨑

 試合開始とともに吉村あたりがかなり前までつっかけて行きアグレッシブな試合の入り方をするかと思われた名古屋だったが、数分と経たないうちにスーッと波が引くに全体が下がってしまった。それは時として川崎の3~4人のアタッカーに対して自陣に9人でブロックを形成するようなかなり守備に重心を置いた戦い方で、これでソリッドな守備からボールを奪ってカウンターへとつなげられていればまだいいのだが、実際にはチーム全体が完全に受身に回っている感じで川崎に主導権を握られてしまった。
 「まずしっかり守る」というのが監督からの指示であること、全体が引いて守備に人数を割きスペースを埋めていること、そして同じ戦い方で浦和を完封したことでチームには妙な余裕や安心感のようなものが生まれてしまっているのだろうか、名古屋は最前線(玉田)からアクションを起こすことはほとんどないし、その結果やすやすと自陣へボールを運ばれてクサビのボールからの展開を許したり、ロングボールでDFラインの裏を狙われてバタついたりとやられたい放題。ゲームは前半途中にしてハーフコートの様相を呈してきた。

 ごく稀にボールを持って相手陣内に入ることを許される名古屋の攻撃はと言えば、最初から伸びきったゴムのようにポジショニングが悪い中盤で相変らずのパスミスオンパレード。加えてこのチームの代名詞であるサイドからの攻撃も、川崎が普段の3バックから4バック気味に変更してサイドのスペースを封鎖してきたことで封じられてしまった。右サイドに張り付き気味の中村はスペースを失って沈黙し、左サイドの阿部もプレーに焦りの色が感じられ全く基点になれていない。こういう試合展開では角田、渡邊という攻撃的な両SBも全く意味を成さない。大森よりも身体能力に優れる角田は右サイドでそのスピードを活かして何度か積極的にタテへの仕掛けを試みるがこれは半分ヤケの自爆行為に等しく、結果論だがこうなるとよりボールを持てて正確なフィードを武器にゲームを構成できる大森の方がこのゲームには向いているように感じた。同様に前半は左SBの渡邊が攻撃に参加してその良さを発揮するような場面が全くなかった左サイドについても、渡邊と阿部のポジションを入れ替えて阿部を後ろに持ってきた方がチームとしては機能したのではないだろうか。守備に目を瞑れば阿部には後方からビルドアップできるだけの技術と正確で強いキックがある。
 そしてこの試合意図的にかどうかは分からないが、金正友が後ろ気味に構え、どちらかと言えば吉村が前で攻撃に絡むようひたすら動き回っていた印象があるが、藤田のようにスペースを移動しながらボールを受ける(そして動かす)のではなく、もっぱら相手を混乱させたりマークを引き付けて味方にスペースを空けることに腐心したかのようにボールに触れずに動き回る吉村は、良く言えば献身的だが、悪く言えばボール(を受けること)から逃げているようにも見え――何もしないよりはもちろんマシだし、使われることよりも前のスペースへの飛び出しに秀でる吉村の特徴を考えれば、それを活かせないチームに問題があると言う話なるが――そんな吉村の動きがボランチとしてこの試合での名古屋に何かプラスもたらしていたとはとても言い難かった。ただでさえ中盤でボールを持てる本田がいない状況を考えれば、俺としてはボールを動かすことに長ける山口Kの早期起用を願って止まない。

 そんな名古屋が0-0の同点のまま持ち堪えられたのは15分が限界だった。
 セットプレーのクリアから川崎が半ば苦し紛れにDFラインの裏へ蹴ってきたボールに対して、DFラインがコントロールに失敗し川崎のボランチ・中村に抜け出されシュートを放たれる。これはポストを直撃して難を逃れたがその跳ね返りを走り込んで来た谷口にプッシュされてしまった。クリアボールに対する中盤及びDFの緩慢な押し上げ、古賀、増川を中心としたDFラインの中途半端なラインコントロール、足を止めて経過を見てしまい自分より後ろから走り込む谷口を行かせてしまった角田、全てにおいてひどい集中力の切れっぷりだ。そしてなにより単純な(緩やかな)フィードボールに対してラインコントロールを失敗してギャップを作り、二列目からの飛び出しで失点するという新潟戦と全く同じ失点パターンに対して何の改善も反省もないところに俺は愕然としてしまった。

 その後30分過ぎに川崎がペースを落として引き気味になったことで名古屋が多少ボールをキープできる時間帯が来たが、ゴールに迫るようなチャンスらしいチャンスを作れないまま川崎の一方的なペースで前半は終了した。ただ前節の新潟戦で顕著であるように今シーズンの名古屋は前半をセーブ気味に入って後半からペースアップすることも多々あるので、その部分に一抹の期待はある。

 後半開始にあたってフェルフォーセンは角田に代えて大森を投入。前節も書いたように、この早いタイミングで(しかもリードされている状況で)DFラインの選手をそのまま入れ替えるのは少し微妙な気が俺はするが、上でも書いたように判断としてはまあ妥当だろう。そしてハーフタイムを挟んで名古屋は予想通りアグレッシブさ10%増しで臨んできた。個々のプレーヤーのポジショニング的にも中村が右から中央、左へとかなり自由にプレーするようになっており、フェルフォーセンの試合後のコメントを読むとどうやら中村を前にすることでFWの枚数を増やしたようだ。

 しかし個々のプレーヤーが攻撃(前)に対する意識を少し高めたとは言え、攻撃力が売りの川崎に腰が引けている様子は明らかで、後ろ足に重心の乗っかったポジショニングバランスの悪さはそのままパスミスやボールに対する反応の遅れに反映されてしまっている。そして開始後しばらくして訪れた良い時間帯もそうしたパスミスからあっけなく失ってしまった。
 例え実力差があっても必ず双方のチームに良い時間帯(流れ)が訪れるのがサッカーというスポーツだが、名古屋がなかば自滅のような形で引き寄せかけた流れを失うと、あとは現在のチーム力の差そのままに再び川崎のワンサイドになって行った。名古屋はいとも簡単にボールを失い、川崎はいとも簡単にボールをつなげる。とても同じJ1のチームとは思えないぐらいのレベルの差。名古屋はゾーンで守ってはいるが、誰も何もつかまえておらず川崎の攻撃は必ず名古屋ゴール前まで到達していた。その光景はあたかも川崎がボールを奪ってからパスをつなげてシュートで終わるまでの練習を繰り返し見せられているようだった。もっとも名古屋があのていたらくでは、川崎にとって名古屋の選手達は所々障害のなる所に置いてあるコーンに過ぎず、実戦経験にプラスになるような対人練習と成りえたかは定かではないが。
 そしてそんな流れを象徴するようにあきれるぐらい甘いプレッシャーで川崎にパスを回されるとバイタルエリアからマルクスに余裕を持ってスルーパスを出されDFラインの裏へ抜け出した我那覇に追加点を奪われてしまった。

 試合開始前、密かに俺の中では左サイドがポイントになるのではないかと思っていた。川崎の右アウトサイドはあの森勇介だ。最近はどうなのか知らないが(そう言えば去年サテライトの名古屋戦でプレーしていた)、カードコレクターとしての輝かしい過去を持つ森は――移籍と解雇を繰り返し数々のチームを渡り歩いてなお現在もJ1でプレーしているということはそれだけ能力が高いということでもあるのだろうが――川崎と言うチームにとっての唯一のウィークポイントに成り得るのではないかと俺は踏んでいた。対峙するのが調子の上がってきた本田ということもあったし、そして森と言えばヴェルディ時代のデビュー戦が確か名古屋戦で、ピクシーにチンチンにされていた印象が俺の中には強く残っている。しかしいざ試合が始まってみれば本田は欠場し、代役の阿部が森にチンチンにされ右サイド(名古屋にとっての左サイド)から再三チャンスを作られていた。そもそも森が阿部を全く怖がっておらず、攻撃でも守備でも自信を持って1対1を仕掛けて来ている。調子に乗せては一番いけないタイプを名古屋(阿部)は調子に乗せてしまった。
 そしてそんな左サイドでは今シーズン初出場の渡邊が65分で早くも足を攣ってしまった。解説の川本治が「情けない」と思わずつぶやいていたが、今シーズンの初先発初出場ということを差し引いてもプロの試合でこれははいただけない。スピードとテクニックを兼ね備えたドリブルで勝負できる名古屋には少ないタイプのこのアウトサイドプレーヤーは、平野→森山、中谷→福田に続く渡邊→豊田といったホットラインで名古屋伝統の左サイドを担う人材として俺の中では期待が高いが、昨シーズンも中谷とのポジション争いの最中に怪我による離脱を余儀なくされるなど、このままでは「ガラスのレフティ2世」を襲名しかなねい。

 仕方なくフェルフォーセンは渡邊を諦め杉本を投入。結果的に攻撃的な選手交代となったが、フェルフォーセンが代えたかったのはむしろ阿部の方だっただろう。そしてこの杉本に80分過ぎ奇跡的にチャンスが巡ってきたが、ゴール前フリーの杉本はシュートを決めることが出来ず、名古屋は今シーズン5度目の完封を喫することになった。名古屋ファンとしてはその場所にいたのが杉本で佐藤寿人ではなかったことを悔やむ他ない。

 これ以上ないほど力の差を見せ付けられての完敗。そして実力差と同時に、これまでの試合では名古屋も良い時間帯はサイドからの攻撃を一試合の中で何度か仕掛けることが出来たが、相手チームに研究されてくるとそれすらも出来なくなってきた。名古屋がチームの攻撃のコンセプトであるサイド攻撃というとっかかりを作ってそれを礎に更なるバリエーションを増やして進化する前に相手チームが進化してしまっているという現実。名古屋にとってこの先は決して楽な道のりではないだろうが、幸いにもあと3試合でW杯の中断期間に入ることだし何とか乗り切って欲しいと思う。
[PR]
by tknr0326g8 | 2006-04-22 23:59 | Game Review
<< 第10節 対FC東京 1-2 ... 第8節 対新潟 1-2 (得点... >>