Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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第15節 対大宮 2-0 (得点:中村、金正友) @Jsports録画
 現地で観た千葉戦と観る順序が入れ替わってしまったがとりあえずレヴューを。リーグ戦再開後連敗を喫した名古屋は、この試合を迎えるにあたってのチーム状態はかなりナーバスな状態であったと予想される。しかも相手は去年三試合戦って一度も勝っていない大宮、簡単には行かないだろう。

 ガンバ戦で大敗を喫したことでフェルフォーセンには「何かを変える」という決断が求められていた。降格の二文字がチラついてきた状況では悠長に将来を見据えて我慢している場合ではない。そしてそんな中でフェルフォーセンが出した結論が楢﨑と藤田という二人のベテランプレーヤーの起用だった。これはフェルフォーセンが語るように決して(前節までの)選手達に責任を押し付けるとかではなく、今のチーム状態を立て直すには彼等のような経験のあるプレーヤーが必要だったということ。そして最終ラインでは怪我の癒えた古賀も増川に代わってスタメンに戻ってきた。

     玉田   杉本

    金正友   山口K

本田              中村
        藤田

  古賀  スピラール   大森

        楢﨑

 アンカーというポジションでの起用の是非はともかくとして、俺としては藤田スタメン復帰は歓迎。広島戦までこのポジションでレギュラーに固定されていた吉村のプレーに対して個人的に消化不良を感じていたこともあり、藤田がそこに入ることで名古屋の攻撃(試合運び)がどう変わるのかに注目して立ち上がりを見守ることにした。しかしそんな俺の期待とは裏腹に名古屋は試合開始から相手のDFラインの裏を目掛けてロングボールを蹴り込むシーンがやけに目立つ。確かに藤田は吉村と比べればDFラインでボールを回している時でもこまめに顔を出してボールを引き出すような場面が多かったが、そこから藤田が前を向いてボールを運ぶ(前にボールを入れる)ようなシーンはほとんどなく、4人×2列で作られた大宮の守備ブロックの手前で最終ラインの三人とパス交換するシーンがほとんどだった。見た目的にはこれまで最終ラインの三人が後ろでボールを回していたのが、それに藤田を加えた四人でボールを回しているみたいな、そんな感じ。そして藤田からリターンを受けた最終ラインから大宮DFの裏目掛けてロングボールが蹴り出される。
 今シーズン二勝目を挙げた3月の福岡戦で、相手のコンパクトで組織立ったディフェンスを警戒したフェルホーセンの指示によりやたらとロングボール放り込んでいたことがあったが、なんとなくそれを思い起こさせる試合展開だ。大宮も当時の福岡同様守備ブロックは組織されており、今の名古屋がむやみにドリブルやパスをつないで攻めて行くことは相手の守備の網に引っ掛かるリスクが伴う。それであればロングボールを放り込むことでそのリスクを回避するという超現実的な判断だろうか。この日の名古屋ではその福岡戦で先発していた長身FWの豊田がベンチスタートだったが、フェルホーセンはおそらく大宮のDFラインがラインを設定してくる高さを計算した上で、ロングボールで玉田と杉本というスピードのある2トップにその裏を狙わせようと考えていたのだろう。
 そう言えば晩年の中田英寿はロングボールの意義についてよく語っていて、ロングボールを蹴ることは決して悪いことではなく、ロングボールを蹴ることで相手DFラインを下げることも出来るし、そうする(相手DFを下げさせる)ことで日本が得意とするパス回しが出来るスペースが生まれるというようなことを語っていたが――W杯に関しては、あのクソ暑い中で中田がその論理に基いてロングボールでDFラインの裏を狙ってFWをガンガン走らせたこと、その中田のロングボールに往年のキレや精度がなくFWにとってそこに走り込む行為が殆ど徒労に終わったことで、明らかにFWは疲弊し肝心の場面で力を出せなかったという部分も多分にあるだろうから、その中田の判断(選択肢)の是非は微妙だと俺は感じるが――このロングボールによって高く設定されたDFラインの裏を快速FW二人に狙わせるという作戦は大宮にとってボディーブローのように徐々に効いていたし、結果的にそれが大宮の守備ブロックのバランスを崩させる一助となったと俺は思っている。

 試合開始から藤田が入ったことによって期待していたような攻撃面での変化がなかなか起こらなかった名古屋だが、意外にもその藤田効果はまず守備面で現れた。これまでボランチタイプのCMF三人を中央に擁しながらも前からプレッシャーを掛けに行くのか相手ボールになったら三人が引いてDFラインの前のスペースを消すのかがハッキリしないまま対応が後手に回っていた中盤の守備で、アンカーの藤田が後ろから指示を出すことでとりあえずマークの受け渡しを機敏に行えている。そしてそのマーキングに関する指示は時にFWの玉田にまで及んだ。正直な話、吉村では玉田にこういった指示を出すことは不可能だと俺は思う。藤田のそんな姿はまさに中盤の将軍。ひと昔前のドイツで全盛期に中盤でプレーしていた「10番」が晩年にリベロでプレーしているような、そんなことをふと思い起こさせる光景だった。

 ロングボールによって少しづつ大宮の守備ブロックを押し広げてきた名古屋は、時間とともにそのすき間で中盤がボールを受けられるようになってきた。そしてそんな攻撃において基点となるのは、もちろん左サイドの本田だ。
 15分過ぎに生まれた名古屋の先制点もそんな本田が起点。下がった位置で古賀からパスを受けた本田は、サポートに寄って来た藤田とのパス交換から前でボールを受け直すと一気に加速。4枚のDFによって埋められたサイドのスペースに無理に突っ込むことなく、カットインして大宮のDFラインとMFのラインの間のスペースを縫うようにドリブルしはじめた。そして相手のマークを引きつけるや右サイドへと展開する。これが右前方へ上がってきた山口Kそして大外の中村と渡り、中村は対応に来るDFのタイミングを見計らって内側に切り返すとペナルティエリアの外から左足でニアサイドを打ち抜いた。
 動きが悪いとされていた最近の中村のプレーを見るにつけ、あるとしてもそれはシステムや戦術的な問題であってフィジカルコンディション自体は決して悪くはない(むしろ良い)と俺は見ていたが、このゴールはそれを証明するかのようなゴールだった。内側に切り返してから左足でシュートを放つまでの動作の速さは中村の良さが端的に現れたもので、あのタイミングで打たれたらキーパーはニアサイドと言えども簡単には反応できない。

 一点を先行した名古屋は慎重なまでに全体が引いて攻め込んでくる大宮の攻撃を受け止めることに終始し始める。先行したにもかかわらず攻撃的に行ってカウンターから逆転喰らった広島戦の反省だろうか。FWへのクサビ(タテ)のボールに対する3バックの激しいチェック、藤田を中心に声を掛け合ってマークを受け渡す中盤、前へ後ろへ果てはサイドのカバーへと半端ない運動量で守備に奔走する金正友と山口Kの二列目コンビ、と局面では頑張っているし良いプレーは見せている名古屋だが、組織として見ればそれはまだ機能しているとは言い難く、全体を見るとなんとなくまったりと見えてしまう。
 そんな名古屋に大宮は低調な攻撃でお付き合い。新生オシムジャパンで中核を担うと期待されている小林大悟も清商の大先輩・藤田に気圧されたわけではないだろうが、瑞穂のピッチ上ではすっかり影が薄くなっていた。大宮のサッカーはキレイでお上品だが、名古屋側から見て気になるのはDFラインと中盤の間のスペースに入り込んでフリーでウロウロしているグラウぐらいだろうか。

 そうした中から名古屋はこの試合異常なまでのキレを見せていた左サイドの本田を中心としながらシンプルな攻撃で攻め切る単発のカウンターをしばしば繰り出し、1-0のままなんとか前半を乗り切ることに成功した。

 後半、選手交代のない名古屋に対し大宮はボランチ二枚をチェンジ。
 かなり思い切った采配をした大宮だったが、後半が始まり時間が経過しても大宮の攻撃のテンポはなかなか上がって来なかった。笛吹けど踊らずとはまさにこのことか、大宮はまったりとした名古屋のペースに合わせてしまっている感すらある。かつての名古屋がそうだったように格下の相手と戦う場合に相手に合わせて自滅する典型的なパターンに大宮は嵌りつつあった。

 そしてそんな大宮を尻目に名古屋が待望の追加点を奪う。DFラインからボールを受けた藤田が囲まれながらも前方の金正友にタテのボールを入れる。それを金正友がワンタッチでハタいて玉田と大きなワンツー。玉田のリターンを受けて大宮DFラインの裏へ抜け出すとアタックに来る土屋を冷静に切り返しで外して右足で豪快にネットを揺らした。それにしても土屋はよく滑る。前半にも一度本田のスルーパスから抜け出した玉田の切り返しをモノの見事に喰らっているし、なんか俺の記憶の中でそのイメージが強いなと思ったら、当ブログ認定の昨シーズンの名古屋のベストゴールだったルイゾンの柏戦のゴールで、最後ルイゾンの切り返しに思いっきり滑っていたのが確か土屋だった。
 まあそんな相手(土屋)のことよりも、このゴールシーンでは俺として注目したい点がいくつかあった。まずは囲まれそうになりながらもタテに有効なパスを送ってみせた藤田で、藤田の技術の高さがアンカーのポジションで発揮された顕著なシーンだった。そしてトップスピードの中でボールをコントロールして強烈なシュートを放った金正友の技術とフィジカルの強さ。前半途中から左サイドでは本田、藤田、金正友によるパス交換が行われるようになったが、これに玉田が加わって、玉田が空けたスペースに金正友や本田が飛び出すといったプレーがオートマチックに出来るようになってくれば名古屋の攻撃の幅は益々広がりそうだ。

 その後フェルホーセンは2点をリードしているにも関わらずFW二人に交代枠を使うという采配を振るう。しかもFWを削って守備を厚くするとかではなく単純にFWとFWの交代だ。まずは二点を奪って程なくした段階で玉田に代え津田を投入。実は追加点を奪う前の段階からフェルフォーセンは津田をスタンバイしていたようだが、玉田の前線からのディフェンスに対して不満を持っていたようだ。それを実証するかのようにフェルフォーセンから綿密な指示を受けて投入された津田はロングボールへの走り込み(&キープ)だけでなく、相手ボールになるとよく戻って来てディフェンスを頑張っているシーンが目に付いた。さらに間をおいてフェルフォーセンは杉本に代え豊田を投入。これは長身の豊田をターゲットにしてロングボールを放り込む作戦を徹底したというよりは、体力面で不安が残る杉本の運動量が落ちてきたことと、ロングボールに対して前線でのキープ力に難がある杉本に代えて豊田を投入したと見るのが妥当だろう。豊田は身体が強くそしてその身体の割には足元も強い。試合も終わりに近付きチームの体力が落ちてくる中で、前にキープできるプレーヤーがいるかいないかは意外と大きい。
 俺はずっと先発で使うなら豊田のようなタイプで、杉本のようなタイプは後半の勝負を賭ける時間帯で使うべきだと思っていたが、意外とこの逆のパターンもアリなのかもしれない。前半から杉本を使いひたすらロングボールをDFラインの裏へ放り込んで狙わせ相手を疲弊させる。そしてその間に上手くリードすることが出来れば、よりボールキープに優れたプレーヤーを前線に投入しチームに休む時間を与える。なかなか面白い考え方だ。

 得点後やや気落ちした大宮に対して名古屋は相手陣内深くまで攻め入るようなシーンを多く作った。二列の金正友や山口Kはもとよりアンカーの藤田までもがその本来の持ち味である飛び出しでボックス内へと雪崩れ込んでくる。残念ながら更なる追加点を奪うことは出来なかったが、この時間帯が名古屋にとってはこの試合で一番良い時間帯だった。
 だが追加点を奪えぬまま試合も終わりぐらいになると、油断したのかそれとも単に疲れたのか、藤田を中心に中盤の運動量が激減してきて、大宮にDFラインと中盤のラインの間にあるスペースを好きに使われ始める。名古屋にとっては危ないシーンもあったが大宮の攻撃を最終ラインが何とか持ちこたえ試合は2-0のまま終了した。

 本当に長かった勝ち点3への道のり。そして個々のプレーヤーのメンタル的には改善の兆しも見える。選手達は本当に集中してプレーしていた。それが藤田効果なのかどうなのか分からないが、もともとメンタル面に課題を残すチームだけにオランダキャンプから帰国後まさかの連敗で選手達の気持ちが切れてチームが空中分解しなくて本当に良かった。チームとしてやるべきことはまだまだあると感じるが、これでひとつ肩の荷が降りたことだろうし、新加入のヨンセンとともにこれからチームの完成度を高めて勝ち点を積み重ねて言って欲しい。とは言えポジション的には相変らず厳しい立場に立たされているのに変わりはないが。
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by tknr0326g8 | 2006-08-05 18:55 | Game Review
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