Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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第17節 対甲府 5-1 (得点:玉田、杉本、ヨンセン、中村、津田) @瑞穂陸上競技場
 ===このエントリーは実家のPC(共有)からダイヤルアップでお送りしています===

 ここのところすっかり3バックのイメージが定着してきた感のある名古屋だが、キープレーヤーの韓国代表・金正友がこの試合から二試合出場停止ということで、フェルフォーセンはあえて連勝中のチーム(システム)をいじり4-3-3へと変更を施してきた。
 俺は(守備を考えると)3バックで甲府に対抗することは難しいと思っていたのでこのシステム変更には賛成。相手の3トップに対しては4バックがスライドしてマーク受け渡しながら対応し、中盤では二人のOHに対しては山口・中村のダブルボランチが、そしてマエストロには藤田が、それぞれ人を見るような形で対応する。前線が3トップになったことで相手の最終ラインに対しても前からしっかりプレッシャーを掛けて行ける。「青写真」としては完璧だ。

           ●

 ●     ●     ●     ●
  杉本      ヨンセン    玉田

           ●
          藤田

       ●      ●
     山口K     中村

   ●      ●      ●
本田    古賀   スピラ-ル   大森

          楢﨑
(●が甲府)

 しかし試合が始まるやそんな俺の青写真が崩れ始める。机上のシステムだけでは守ることは出来ない(システムだけで全てを語ることは出来ない)ということの証明のような試合展開。甲府はエースのバレーを欠いているものの前線の5人が良く動き、動くことによって出来たスペース(ギャップ)を使うことが非常にシステマティックかつ上手く出来ている。試合とは全く関係ないが今年FC東京に入ったU-19日本代表の小澤がこのチームに入っていたら面白かっただろうなぁというアイデアがなぜだかふと俺の頭に浮かんだ。そんな甲府の攻撃陣に対し、スピラールを入れた形では初めての4バックということで成熟度の問題もあるのだろうが、普段は3バックの真ん中でクサビに入ってくるボールを前に出てガシガシ潰しているスピラールも裏を取られることに慎重になってかなかなか前で勝負することが出来なくなっていた。
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 一方名古屋の攻撃はと言えばこれが全く形にならない。その原因のひとつはこの日の4-3-3というシステムとそこにおける本田の使い方にあったと俺は見ている。いつもの(3-5-2の)名古屋は後ろでゆっくりと回しながら左アウトサイドの本田にボールが入った時点で攻撃のスイッチが入っていた感じだったが、この試合では本田が一列下がったことでチームとしてボールの収まりどころと攻撃の基点を失ってしまった。ならばチームとして本田が上がって行く時間を作れればいいのだが、藤田を頂点とした中盤のトライアングルは甲府の前からのプレッシャーが激しいことに加えガチンコの布陣を敷いてしまったことがアダになってボールをキープしたりパスを回したりするだけの時間的な余裕やスペースを見出すことが出来なかった。そしてウイングを配した3トップというよりはヨンセンの1トップに玉田と杉本の2シャドーが絡むような形を取っていた前線では、左利きの玉田が右に右利きの杉本が左にとそれぞれ利き足と逆のサイドにポジションを取ることが多かったため、本田の前に来るのはボールキープ力ある玉田ではなくむしろそれが苦手な杉本になってしまった。これが本田の攻め上がりを一層難しいものにしていた。実際左サイドに杉本が流れてボールを受けてその後ろを本田がオーバーラップしようとしたシーンは何度かあったが杉本が相手のプレッシャーに耐え切れずにボールを失ったり、本田をオトリに使って中に切れ込んだはいいが一向に間合いが改善される気配がない(相手の足元に向かって突っ込んで行くような)「自爆ドリブル」でボールを奪われ逆襲を喰らうことの方が多かった。
 こうなるとチームとしては「困ったらヨンセンの頭」というわけでロングボールを放り込んで行くしかないわけだが、前節いきなりの2ゴールで衝撃のJデビューを飾ったヨンセンには甲府も当然のごとく「警戒度5」で試合に臨んできているし、そもそもロングボールを放り込む展開では本田が上がって攻撃に絡む時間は作れるはずもない。
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 そんな攻守に渡り名古屋が甲府の後手に回る状態が続く中、得点シーンは唐突に訪れた。マエストロのパスをインターセプトした中村からヨンセンのクサビを経てボールは藤田へ。そして藤田俊哉会心のスルーパスを受けた玉田が飛び出してきたGKの上を冷静に浮かせてネットを揺らした。

 先制点を奪い雰囲気だけは良くなった名古屋だが試合の流れ自体は一向に良くならない。中盤で甲府に名古屋の鼻先をかわすようにパスをつながれてはサイドに展開されゴール前に際どいクロスボールを送り込まれる展開が続く。

 とそんな矢先、またしても電光石火のスルーパスがピッチの中央を縦断する。スルーパスを出したのは玉田だ。相手に押し込まれることで必然的に自陣まで下がっての守備からスタートすることを強いられていた玉田が中盤でボールを拾うと上がっていた甲府DFラインの裏へ絶妙なスルーパスを送ったのだった。そのスルーパスにフルスピードで追いついた杉本はまたもや飛び出して来たGKを交わし(ポストに当てながらも)ゴールに流し込んだ。

 その後にも一度杉本はDFラインの裏へ走り込んで決定的なチャンスを迎え冷静にキーパーの頭上を浮かせたシュートを放ったりしていた(→キーパーがなんとか手で弾く)のだが、そんなシーンを見ているうちにフェルフォーセンがこの試合に向けてどのような攻撃のプランを練っていた(練習していた)のかがなんとなく透けて見えてきた。これまではロングボールを使ったりしながら相手DFラインを下げさせて中盤にスペースを作り、そこでボールをつなぎながらサイドを使って攻めるというのがお決まりのパターンだったが、おそらく甲府がDFラインを高く設定してくることもスカウティングした上で、ヨンセンのクサビを直接あるいは間接的に(オトリとして)使って甲府のDFラインにギャップを作り二人の快速FWにその裏を狙わせるという練習をこの試合に向けて繰り返し行って来たに違いない。本当であればもう少し中盤でボールをつなぎながらこうした攻撃をしたかったのだろうが、甲府の勢いの前には相手のミスからボールを奪ってリアクション的にこのスタイルを発動させるしかなかった。そしてそこにはこれまで拘ってきたサイド攻撃というものがなくなっていた。俺は最初に4-3-3と聞いた時、フェルフォーセンがシーズン当初から掲げていたスタイルがサイド攻撃にあったこと、そしてオランダ人のフェルフォーセンがアヤックスシステムと呼ばれる4-3-3を採用したことで、玉田と杉本という快速FWをウイング的に使ってサイドから崩すのかと思っていたがとんだ見当違いだった。

 積極的に仕掛けてくる甲府に内容的には圧倒されながらも、天から降ってきたチャンス(相手のミス)と練習してきた(意図していた)形、そして個人の能力(チカラ)がハマッて名古屋が2-0とリードを奪って前半は終了した。
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 後半開始から名古屋は積極的に前に出て早々に前半には一度もなかったCKを獲得するシーンなどもあったが、時間の経過とともに再び主導権は甲府へと移って行った。
相変わらず甲府の人の動きとパス回しに振り回される名古屋は、DFラインを下げてスピラールや古賀がゴール前を固めているが、バイタルエリアにスペースが空いてしまっていることでそこを使われて次々と危険な攻撃を繰り出されている。そしてそんな中にあって甲府は右から(名古屋から見て左から)の攻撃が目立つようになってきた。大木に狙いをつけられたのか本田が1対1で仕掛けられるシーンが多くなり、さらに後半に入ると玉田が3トップの左に持ち場を移したことで甲府の右SB杉山のオーバーラップを誘発してしまった。
 
 甲府は何度も名古屋陣内深くへと攻め入り決定的なチャンスを作りながらもシュートがことごとくゴールマウスを逸れて行く。とっくに逆転されていてもおかしくない場面で名古屋は何度も命拾いしていた。2点のリードで名古屋からしてみたら余裕を持った試合運びが出来るとは言え、これはもうワンサイドゲームと言っていい試合展開。そしてそんな中で右サイドからの崩しで甲府はかろうじて一点を返すことに成功した。
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 しかしその後に待っていたのは個々の選手の能力は高いと言われる名古屋の「個の力爆発・大カウンター祭り」。カウンターと言っても流行のショートカウンターではない。組織的に守れないから当然のようにマイボールに出来る位置は低い。自陣深くでやっとのことでボールを手に入れタテにパスを入れながら攻める距離の長いカウンター。
 まずはヨンセンだ。自陣深くからタテパスをつないでボールを受けた中村が右サイドをドリブルで疾走。これまた中で長い距離を走ってきたヨンセンに向けDFラインとGKの間にセンタリングを流し込んだ。これをヨンセンがファーサイドでキッチリと押し込んで3-1。この1点は大きい。
 それでも攻めてくる甲府。しかしそんなことはお構いなしに今度は中村。ヨンセンがクサビとなってタテパスを受けると、藤田out須藤inという選手交代に伴いトップ下にポジションを移していた中村がその横を走り抜ける。これに絶妙のタイミングでヨンセンがスルーパスを送りGKと1対1になった中村が冷静にGKを外して左足で流し込んだ。中村がFWを追い越す動きをするなんて・・・代表(オシム)効果か、それともヨンセンに対する信頼の高さか。そう言えばこの日の場内アナウンスは「ナオシ・ジャパン」を連呼していたが、これは「ナオシ」+「オシム」+「ジャパン」で「ナオシムジャパン」と引っ掛けていたのか?
 さらに攻めてくる甲府。やはり攻撃は右サイド。ガンバ戦の借金返済のためにも名古屋は一刻も早く玉田を下げて片山を投入すべきだと俺の気持ちは逸るがベンチを見てもフェルフォーセンに動く素振りはない。そして残り時間少なくなったところでやっと玉田に代え津田投入。
 その津田が魅せた。右サイドでウイングのような位置にポジションを取った津田はいきなり重戦車のごとき怒涛のドリブル突破でスタジアムを沸かせると、再びカウンターから中村のスルーパスで抜け出して中へと切れ込んでくる。そしてボックス内深くまで入った所でマイナス(ヨンセン)に戻すかと思われたが、そのまま切り返して左足を一閃した。津田の気持ちが伝わってくるような熱いゴール。その後にも一度津田は右サイドでボールを受けるシーンがあったが、この時スタジアムには確実にある種の期待感を伴った歓声が沸いていた。ボールを持つことでスタジアムに特別な空気を作れるような真のプロのプレーヤーに津田が成長した瞬間だった。この時点で俺の中でのMVPは確定だ。
 そして試合は5-1のままタイムアップ。
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 内容以上の大差での勝利。むしろサッカーに判定があれば、いくら名古屋が有効なパンチ(ゴール)を重ねたとは言え俺なら甲府の勝ちを支持するぐらい。しかし試合後大盛り上がりの名古屋ゴール裏とは対照的に甲府サポはブーイングの嵐だった。スコアと決定力不足(枠を捉えないシュート)を考えれば仕方ないかもしれないが、最後まで攻めの姿勢を貫いたチームには少しかわいそうな仕打ち。攻撃はもとより人数を減らしていく守備の中でも「スーパービジュ」が文字通りスーパーなプレーで頑張っていたんだが。

 名古屋にとっては課題の多い勝利。守備面ではボランチを中心とした早急な改善が必要だが、大量得点を奪った攻撃面でも課題はある。特に一部ではA代表入りも噂されていた本田がこのやり方では全く良さを発揮出来なかった。フェルフォーセンは今後4-3-3と4-4-2そして3-5-2を併用していくことを示唆しているが、この試合のようなやり方を継続するのであれば本田にとっては厳しい日々が続くかもしれない。
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by tknr0326g8 | 2006-08-15 02:40 | Game Review
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