Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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高円宮杯 グループF 対水橋高校 3-0 (得点:花井、吉田、安藤) @秋津サッカー場
 7月のクラブユースに行けなかったので駒澤大学とのトレーニングマッチ(関東遠征)以来となるユース観戦。あいにく神戸総監督はシンガポールに出張中のようだが、春先からどれぐらいチーム(そして個々のプレーヤーが)が成長しているか楽しみだ。

 先発メンバーはこんな感じ↓

          久保(10)
 新川(19)            花井(7)

     福島(20)    西山(8)

          吉田(13)

後藤(12) 津田(4) 三宅(6) 酒井(11)

          長谷川(1)

 3年生を中心とした主力が一昨年・昨年とこの大会を経験している名古屋は、まさにひとつの集大成を迎えようとしている感じだが、特に俺の中での注目はU-19日本代表として先の仙台カップに出場していた長谷川。仙台カップではフランス戦で3失点を喫したものの素晴らしいパフォーマンスだったという某サイトでの情報もあるし、一年前の決勝トーナメント一回戦(対滝川第二)この秋津のピッチで流した涙のリベンジを果たす時がやって来た。
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 前半名古屋は風下に立つ。そう言えば一年前もこのピッチには(正面から見て)右から左にやや強い風が吹いていて、追い風を背に圧倒的にゲームを支配していた前半から一転、風下に立った後半一気に試合を決められてしまった苦い思い出がある。コンディション的にも今日は相当日差しが強くて暑いし、前半抑え目にして後半勝負というのもありかな・・・などと思っていると、キックオフから名古屋がいきなりの攻勢を仕掛けた。
 緊張からか選手達の足取りが重い水橋は中盤での寄せもかなり甘い。そんな水橋に対し中盤で自由にプレーさせてもらっている名古屋は、中でも福島がDFラインからボールを受けると簡単に前を向いてボールを運ぶようなシーンがやたらと目立った。そうなると必然的に名古屋の攻撃は左サイドが中心となり、開始2分で新川のドリブル突破から得たFKを花井が惜しくもゴール右に外したのを皮切りに名古屋は左サイドから次々とチャンスを作り出していった。福島自らが切れ込んでのミドルシュート、新川のドリブル突破からのチャンスメイク、さらには後藤のオーバーラップと左サイドからの攻撃はかなり分厚い。

 10分過ぎぐらいに初シュートを放った水橋はようやくゲームに馴染んできた。そして20分過ぎには津田の所の(高さの)ミスマッチを突いてDFラインを抜け出すとGKと1対1のビッグチャンスを作り出す。しかしこのピンチはタイミング良く飛び出した名古屋GK長谷川がシュートを身体に当ててゴールを死守。相変らず1対1は強いな。
 名古屋のCBは言わずと知れた186cmの三宅と、170cmでスピードのある津田の二年生凸凹コンビだが、今後この津田の高さを狙われることは十分に予想される。そういった場合チームとしてはどう対処していくのかは興味深いところだ。この試合ではその後津田もカンナバーロよろしくスピードを生かして相手よりも先に触るプレーを心掛けてなんとか対応していたが。相手がワンランク上になった場合にどうだろうか。
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 名古屋は左サイドを中心として何度も水橋陣内深くまで良い形で攻め込みながらもラストパスが雑だったりしてなかなかゴールへは結び付かないもどかしい展開が続く。そしてフィニッシュはともかくとしてそんな活況を呈する左サイドとは対照的に右サイドからの攻撃が壊滅的なのがとても気になる。
 春に見た時(駒澤大学とのトレーニングマッチ)にはFWからSBにコンバートされたばかりで何をしていいのか分からないといった感じだった右SBの酒井は、相変らずやるべきことが整理されていない様子。このチームは後ろから前線にロングボールを蹴り込むようなことはせず、DFラインでボールを持ってもボールを動かしながら空いた中盤の選手に入れてるかSBにボールを入れてビルドアップしていくスタイルを採っているが、DFラインでボールを回して酒井のところにボールが入っても上手く前にボールを運べないシーンが目立った。そして元々スピードのあるFWのプレーヤーということで積極的な攻撃参加(オーバーラップ)を期待されているのかと思いきや、前半に限って言えばそういったシーンも全くと言っていいほど見られなかった。逆サイドの前線まで一発で正確にサイドチェンジ出来るキックを持ち、しばしば迫力のあるオーバーラップで攻撃に絡んでいた去年までの根津と比べると正直かなり見劣りしてしまうなぁというのが試合を見た感想。守備面でも酒井のサイドからのクロスはほとんど中に上げられてしまっていたし、こうなるとDFラインに高さを加える(180cm台の選手を置いておく)こと以外に、酒井をこのポジションで起用する意味はあるのだろうかと思ってしまう。チーム事情として前線には絶対的な存在である久保がいるし、酒井自身の将来のことを考えても色々なポジションを経験させることは無意味だとは言わないが、酒井のような選手は前線で使った方が生きると思うけどな。そして現状ではその方が彼のためのような気もする。例えば右のウイングで酒井を使うことは出来ないのだろうか。
 そんな右のウイングのようなポジションで使われていた花井もコンディションでも悪いのかなと思うぐらい(特に前半は)低調なパフォーマンスだった。軽いプレーで度々ボールを失う(20分過ぎに1対1を作られたシーンも花井がボールを奪われたところから始まっていた)だけでなく、とにかく走れていない(走らない?)。俺は誰でも彼でもなんでもかんでもやたら走れ走れ言うつもりはないが、正直これはちょっとひどい。ディフェンスに戻るべき場面でもそう(一度吉田の怒られていた)だが、攻撃でも右サイドのスペースに出たボールに対して緩慢な走りでそのままタッチを割らせてしまったりと、湯浅健二が見たらブチ切れること間違いなし。(笑) そう言えば去年の高円宮杯のグループリーグ初戦(浦和東戦)で代表帰りの疲れからかかったるいプレーをしていた青山に対して朴コーチ(当時)がライン際まで出てきて怒鳴りつけ、それでも改善されないと見るや前半終了を待たずに交代させてしまったことがあったが、この試合で朴監督が花井に対して激しく叱責していた様子はない。花井は青山とは逆の育て方をするんだろうか。猪木と馬場みたいな。それとも花井が走れないことを見越した上で敢えて守備面でのリスクが少ない高い位置(FW)で使っているのだろうか。だがいくらそういった高い位置(ポジション)で使っているとは言え、さすがにここまで走れないと花井の将来が心配になってくる。ただここでも酒井と同じく花井に同情せざるを得ないユース特有の事情はあって、後半終了間際に見せたオンザボールでの数々の素晴らしいプレー(技術)を例に出すまでもなく花井は例えて言うならジダンだ。育成のためとは言え、ジダンをウイングで起用するコーチがいますか?という話。
 酒井にしろ花井にしろまだユース年代とは言え、ハッキリ言って適正に合わない「経験」というのは、結局どれぐらい選手のためになっているのだろうか。そしてそんな選手達が並んだ右サイドからの攻撃が停滞してしまったのは果たして偶然だろうか。
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 試合(スコア)は30分過ぎに動く。
 それまで相手に当たられては露骨に嫌がり、軽いプレーで簡単にボールを奪われていた花井が左サイドからのクロスのこぼれ球を拾うと、中央へと切れ込んできて強引なまでの突破でゴールに向って突進していく。水橋はたまらずこれをファールで止める。花井の気持ちが表れた見応えのあるプレーだった。そしてゴール正面やや左で得たFKを花井自らがゴール右隅にグランダーで突き刺し1-0。

 その後名古屋は何度かチャンスを作り、前半終了直前には久保のポストから左に抜け出した福島のクロスを中央で再び久保がヘッドというような惜しいシーンも作ったが、結局1-0のまま前半を終了した。
 この試合でも安定したポストを見せていた久保は高さ・ボールキープといった面でこのレベルの相手には負ける気がせず、さらに危ない場面では最前線からスーッと下がってきて献身的にディフェンスもこなす。その様はまさにヨンセンそのもの。体系もどことなく似ているし個人的にはポスト・ヨンセンとしてぜひトップチーム昇格を果たして欲しい人材だが、もしその願いが叶わなかったとしても今の彼なら関東(大学リーグ)で十分通用するだろう。まあ久保の場合春先の駒澤大学戦で大学チャンピオン相手に既に対等にプレーしていたし、これぐらいは出来て当然か。
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 後半、今度は名古屋が風上に立ったことでどういった試合展開になるのかと注目していると、意外にも水橋が前から前からプレッシャーを掛けてアグレッシブな試合の入り方をしてきた。対する名古屋はこれを受け止めて中盤からのスルーパスで前の3人に水橋DFの裏を狙わせるカウンター(攻撃)で応戦する。前半の名古屋は久保のポストを意識した攻撃でDFラインの裏を狙うような形が少なかっただけに戦い方としては少し方向転換した感じ。

 それにしても名古屋はロングボールを蹴らない。それは名古屋の選手達の足が止まりがちになり判断のスピードも鈍ってきて水橋の追い込みに危ない場面を作られそうになっても決してブレない信念だった。もちろん名古屋の選手達は水橋のプレッシャーに対してもそれを交わしてパスを回すだけの能力を十分に持っているのだが、これはリスクを冒さないために多少アバウトでもとりあえず前線に蹴っておいてあとはフィジカルでゴリ押しするような(高体連で主流の)サッカーに対するアンチテーゼという意味合いもあるのだろうか。
 だが俺にはひとつ引っ掛かることがあった。確かに「とりあえず(ロングボールを)蹴っておけばOK」で終わってしまっては思考力は身に付かない。だがこの日の名古屋はロングボールを蹴らずにDFラインからボールを動かしてつないで行こうとは言っても、例えば三宅だったら左から来たボールは右SBの酒井へ、酒井から来たボールは津田かひとり飛ばして後藤へ、そうやってボールを動かしながら中盤が空いてフリーな選手がボールを引き出しに来ればそこに入れるといったことをほぼオートマチックにこなしているだけで、ボールを持ってもルックアップして前線を見ることはほとんどなかった。やっているサッカーは立派だしチームの戦術としては間違っていないが、じゃあ三宅は隙あらばタテを狙うといった抜け目のなさや敵の急所を突くようなフィードの勘(タイミング)や技術を一体いつ身に付けるのだろうか。技術的な部分はともかく、感覚的な部分は実戦の中でしか養えないと思うんだが。
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 時間の経過と共に水橋の勢いが止んでくると、名古屋は冷静かつしたたかに水橋を仕留めに掛かる。暑さのせいで若干動きが鈍ってはいたものの高い個人技を誇る名古屋のアタッカー陣の仕掛けを前にして、水橋にはもはやファールなしでこれを止める術を持ち合わせていなかった。増えていく水橋のファール。そして10分が経過した頃に得たセットプレーのチャンスから、一度はクリアされたボールを拾った名古屋の選手が再びボックス内へと放り込むとこれを周りのDFを押しのけるように胸でトラップした吉田がそのまま反転しながらジャンピングボレーシュート。これがゴール右隅に決まって待望の追加点が生まれた。
 DFに足を釣る選手が続出する水橋に対し、名古屋はほとんどワンサイドのような形でゲームを支配する。前半イマイチだった花井もバイタルエリアで存分にテクニックを発揮している。そして試合終了に向けて選手交代も続々と。まずは太股裏を気にしていた後藤に代えて負傷明けの森本を投入。津田を右に出し、酒井を左に回す。これで酒井が水を得た魚のように生き返った。左サイドをグイグイとドリブルで持ち上がるシーンが増える。さらには西山に代えて豊田国際ユースで活躍した安藤を投入。安藤は花井が空けた右サイドに積極的に飛び出して行き右サイドを活性化させた。全てが上手く回っている名古屋。その後お役御免で新川に代えて桐山を投入し、ロスタイムには途中出場の安藤が切り返しから左足でミドルシュートを決めて3-0と突き放した。
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 試合は結局3-0で終了したが、実力差を考えればもっと点差が開いてもいいような試合だった。ただ去年のこの大会、そして今年のクラブユースといずれもグループリーグ初戦を落としてその後厳しい戦いを強いられているだけに、まずは幸先の良いスタートを切ったことを素直に喜びたい。
 注目の長谷川は前半に1対1を防いだのと、後半に水橋が放った無回転系のミドルシュートを弾き出したのが大きな仕事でそれ以外は焦るようなシーンはなかった。いつもと比べれば声が出ていなかった気がするのもそれだけ危ないシーンがなかったということだろう。
 それ以外では新川に好印象。得点にこそ絡まなかったが以前に比べて明らかに簡単に転ばなくなった。一時期はプレーヤーとして少し危険な兆候もあっただけにこれは将来に向けて良いベクトルに違いない。
 MVPを挙げるとすれば吉田&福島。吉田は危ない所をことごとく体を張って潰し、攻撃面でも大きな展開に確実に成長の跡が見られた。追加点はお見事。得点シーンでの吉田と水橋の選手達はほとんど大人と子供のようだった。一年前に高円宮杯に向けた調整として行った国士舘大学との練習試合で、俺は「このチームは青山のチームではなく吉田のチームになった」と書いたが、今これを書くとすれば名古屋は「福島のチーム」になりつつある。ボールに触れる回数も多いし、とにかく攻守における実効性がハンパない。色々なポジションもこなせるしこの選手もぜひトップチームで見てみたいひとりで、オシム好みな選手でもあるだけに将来が非常に楽しみだ。
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by tknr0326g8 | 2006-09-11 04:25 | Youth
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