Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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第25節 対大宮 4-1 (得点:杉本×3、ヨンセン) @駒場サッカースタジアム
 オーソドックな4-4-2を基調としたソリッドな戦い方をしてくる大宮は名古屋にとっては比較的組みしやすい(対策を立てやすい)チームだ。名古屋は個々のプレーヤーの能力で大宮を上回っており、前々節の新潟戦と同じように3-4-3で相手とマッチアップさせるように戦えば大きな綻びが起こるとは思えない。

 しかし当日の中スポによれば、チームはこの大宮戦に向けて特別な準備(対策)を行っておらず、大宮に合わせた戦い方をするつもりもないという。大宮とは今シーズン既に二回対戦している(ナビスコ&リーグ)し、大宮はずっとシステムを固定して戦っているから、「相手が何をしてくるかはもう分かっている」というのがフェルフォーセンの本音だと思うが、前節横浜に合わせた戦い方をして結果的に後手に回った反省もあるのだろうか。ジェフ時代のオシムが記者会見で「相手に合わせてシステムを変えたのはなぜですか?」と問われて、「ジェフは自分たちのサッカーというもので戦えるほど強いチームではない」と語っていたことがあったが、今の名古屋は(チームとしての強さはともかく)個々の選手のレベルではリーグでも上位にランクされるのは確かで、中位~下位相手の試合では「自分たちのスタイル」に拘って試合をするというオプションがあっても不思議ではないのだが。
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 フェルフォーセンの言葉通り名古屋の先発は大宮云々よりも現状でのベストメンバーを11人チョイスして配置したような構成だった。どこかの国の元代表チームの「黄金の中盤」ではないが、フェルフォーセンの中でレベルの高い外国人とともに本田、藤田、中村、山口Kといった中盤のタレントに対する信頼が厚いのが分かる。

    杉本     ヨンセン

    金正友   山口K

本田     藤田     中村

  古賀  スピラール  大森

        楢﨑

 「自分たちのサッカーを」というフェルフォーセンが示したとされる方向性は、試合開始とともにアグレッシブな姿勢となってピッチ上に現れた。前節の横浜戦とは打って変わり試合開始から前へと出て行く選手たち。この方法論に一定の成果はあったというわけだ。
 だが大宮はそんな名古屋をさらに上回る試合の入り方をしていた。前からプレッシャーを掛けに来る大宮に名古屋の勢いはかき消され、試合序盤のペースはむしろ大宮に傾くことになった。

 大宮のプレッシャーに中盤からボールをつないでゲームを作れない名古屋は時間とともにヨンセンへのロングボールが増えていく。だが累積警告でトニーニョを欠く大宮のDFラインに対して序盤からヨンセンが圧倒的な高さ(強さ)を発揮しているにも関わらず、(2トップの杉本はともかく)中盤がそこに上手く絡めて行けない名古屋の攻撃はなかなかシュートまで辿り着けない。誰かがスペースを空ければ誰かがそこを使うのは当たり前のことで、この場合ヨンセンが下がって来て基点となるなら、ヨンセンが空けた裏のスペースを中盤のプレーヤーが狙うのも当然の流れだ。しかしこういう当たり前の動きが連動して出来ていない名古屋。俺はてっきりそうした戦術(動き)を徹底させるために3トップではなく2トップの下に2枚の攻撃的なMFを並べる形を取っていると思っていたんだが。

 ちっともコレクティブでない名古屋の攻撃は何も中盤とヨンセンとの連動性に限った話ではない。以前から基本的に中盤とFWのラインがクロスするようなことが少ない名古屋の攻撃では、中盤の選手が大きく動きながらボールを受けるシーンが少ない。特に両サイドでは足元でボールを受けてもそこからの仕掛け(主にカットインしてのドリブルや一発のパス)で局面を変えられる左サイドの本田はともかく、前のスペースに出てナンボの右サイド・中村までもが足元でボールを要求してそこからのラストパスを意識したプレーに終始している。お前はデビッド・ベッカムかと。ビルドアップの段階で一度下がってボールを受けるのは良いのだが、その後にサイドに張り付いたりフラフラ中に入って来たりといった小さな横の動きはあっても、前への動きが全くないのでは中村の良さも出ないし、中村のいる右サイドからは大宮のディフェンスを崩せないのも道理。オシムはそんな中村のプレー(ボールのもらい方をはじめとした動き)を見て一体どう思っただろうか。サイドというポジションが本望ではないのかもしれないが、同じくサイドが本職ではない本田がまがりなりにもそこで自分の良さを発揮する術を身に付けたように、中村も早くそうした方法を自分の中で確立しなければならない。
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 名古屋が相手に合わせた戦い方をしない以上、守備面でシステム的なアンマッチが生じて、結果的にそれがマークだけでなく選手間の連携にも空白を生み出すであろうことは十分に想定される事態だった。しかしそれらの問題をなんとかクリア出来たのは、中盤の最後尾から戦況を見つめるアンカー・藤田俊哉の「声」の存在が大きかった。藤田の声に導かれながら局面局面でポジションとマークを修正していく名古屋は、W小林(大悟&慶行)を中心とした大宮の中盤にゲームを支配されかねない展開をなんとか凌いでいた。
 だが名古屋の最終ラインのバタつきはちょっと予想以上。特に酷かったのがGKの楢﨑で、前節(横浜戦)に続いてのオシム御前試合になった影響なのか、安定感が売りのGKのはずがどこかの国の代表の正GKかデビューしたてのルーキーかと思うぐらいの気負いっぷりと落ち着きのなさを露呈してしまった。日本最高のGKをここまで狂わせるオシムのじらし(おあずけ)作戦恐るべし。中でも乱れが出ていたのはキックの精度で、一度古賀のバックパスをキックミスしてからはDFがボールを持っても「絶対に俺には下げるなよ」と言わんばかりのオーラを漂わせているような有様。スタンドからは見えない部分でピッチが荒れていたりしたのであれば話は別だが、そうでなければオランダ人の監督の下で戦う名古屋のGKが、雨も強風もないコンディションの下であのプレースタイルなのはちょっと寂しい。
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 24分名古屋に初めてのビッグチャンス。ヨンセンと入れ替わるように前のスペースに飛び出した金正友が、こぼれ球を拾った杉本からの折り返しをゴール前フリーでシュート。惜しくもヒットしなかったが、この試合で名古屋がするべき攻撃の形がようやく形になった。

 だがその後名古屋は大宮に左サイドを突破され折り返しをファーサイドの久永にフリーで合わされて先制点を許してしまう。ディフェンスではほぼマンツーマンで久永をマークしていた中村がもっと絞って付いて行かなければならなかったが、左サイドを突破された場面では相手を囲んでボールを取れそうだったので油断したのかチーム全体の足が止まってしまった。しかも藤田が触ったボールがスペースに出たスルーパスのようになって、後ろからすごい勢いで走り込んできた大宮の(多分)サイドバックの選手に抜け出されてしまっただけにアンラッキーな部分もあった。

 気落ちしたようにも見えた選手に心配になるが、名古屋はすぐにこれを取り返して同点に追い付く。ヨンセンへのロングボール。今度は山口Kがヨンセンの空けた裏のスペースへと飛び出し、ヨンセンの競ったこぼれ球を拾うやワンタッチで右の杉本へ。これを杉本が右足で大宮ゴールに蹴り込んだ。もっと早くからこうした動きがキッチリ出来てれば、もう少し楽に試合を進められていたはず。

 大宮は速攻からキレイな形で先制点を奪ったと思ったら、ものの1分でアッサリと同点にされてしまい気落ちしたのだろうか、突然ラインが下がり始めた。それに対し名古屋は中盤で前を向いてボールを動かし始める。そして中央から左サイドへと展開し、本田のファーサイドを狙ったクロスからヨンセンが逆サイドをフワリと狙った教科書通りのヘディングシュート。あっという間の逆転劇だった。

 これで一気にヒートアップして点の取り合いになるかとも思われたが、思いのほか大宮のダメージは深く2-1のまま前半終了。
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 後半、名古屋は微修正。両サイドの本田、中村の後ろのスペースをセンターハーフの3人がカバーし両サイドがより前の位置で攻守ともにプレーし始めた。特に左サイドは金正友が本田の後ろのスペースに入ることが多くその傾向は顕著だ。

 そして試合の趨勢を決定付けるゴールが名古屋に生まれる。大森のスローインからヨンセンが頭で落としたボールに右サイドで走り込んだ中村が一気にドリブルで持ち上がりGKとDFの間に中村特有の速くて重いクロス。これをDF二人に挟まれながらゴール正面に詰めてきた杉本が飛び込みながらDFより半歩先に出て膝のあたりに当てながらゴールに流し込んだ。往年の森山を思い出させるような飛び込みっぷりとゴールシーンだった。
 
 この得点でチームとしても楽になったが、それとともに(いやそれ以上に)中村の動きが見違えるほど良くなった。中村は元々守備面では「仕事キッチリ」なタイプだが、アシスト以後は相手の左SBに対するチェックが速いこと速いこと。もちろんさっき書いたように後半は守備になるとセンターハーフがサイドのスペースをカバーしていたから中村も前に出られたというのはあるのだが、その集中力は前半を遥かに上回っていた。まああのひと仕事ぐらいで満足してもらっては困るのだが。
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 大宮のDFラインに対して、ヨンセン、杉本の2トップに中村、山口Kが加わって前からプレッシャーを掛けるアグレッシブな名古屋の守備に、大宮はミスを続発しなかなか攻撃の形を作ることが出来ない。そしてそのスキを見逃さず杉本が駄目押しとなる4点目。杉本のプロ入り初となるハットトリックだ。相手DFラインの裏に落ちたボールに後ろから走り込むとスピードでかっさらいそのまま持ち込んで粘り強く押し込んだ。それにしても土屋とのスピード勝負にはかなり見応えがあった。

 杉本は前線で絶えずディフェンスに走り回っていた。それもほぼ全速力で。あのスピードは攻撃だけでなく守備においても十分に相手に脅威を与えられる武器だ。あれだけの速度で追い込まれたら後ろからだってボールを持っている選手は怖い。戦術的な面ではまだまだレベルアップする余地は多いが、その「動きの質は量で補う」的なプレースタイルは去年のシーズン当初の中村を思い起こさせる。そんなプレースタイルではある意味必然なのだが、後半35分頃になると「杉本タイマー」が点滅しこの試合でも途中交代。ただ去年シーズン途中でガス欠した中村の二の舞にならないようなんとかシーズンを乗り切って欲しい。
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 試合はそのまま4-1で終了したが、大宮にとってはトニーニョ不在が大きかった。試合を振り返ればハットトリックの杉本のスピードがことのほか印象に残っているが、名古屋の得点4点のうち3点はヨンセンの頭を意識的に狙った攻撃で得られたものだ。そして結果的にゴールにつながらなかったが前述の前半24分の金正友のシュートや、後半に本田が抜け出してGKと1対1になったシーンもヨンセンが基点となっていた。大宮はどうにもヨンセンを押さえ切れなかった。せめて平岡靖成を起用してヨンセンの頭だけでも消してみれば面白かったかもしれないし、そうすれば試合はまた別の結果になっていたかもしれない。
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by tknr0326g8 | 2006-10-02 00:17 | Game Review
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