Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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第32節 対C大阪 1-1 (得点:ヨンセン)  @Jsports1
 少しでも順位を上げるためそして天皇杯に向けて弾みをつけるためにも決して蔑ろには出来ない残り3試合。ただ既にJ1残留を確定し、前節浦和との「大一番」を終えているということもあって、主力4人(本田、金正友、中村、藤田)が欠場という緊急事態にも関わらず感じるのは焦りや不安というよりも普段見られない選手達を見られるという楽しみの方が大きい。欠場するメンバーが揃って中盤のプレーヤーなのになぜかFWの津田をプッシュする中スポの意図は俺の理解を超えているが、ひょっとしたら先のアジアユースから帰国して以来コンディションも良いらしい青山あたりのリーグ戦初出場などもあるかもしれない。

 名古屋は4-3-3を基本とした布陣。3-4-3にしようにも右アウトサイドを出来る人材が(そのパフォーマンスのレベルは別として)中村しかいないことを考えれば至極当然の成り行きだ。津田を前線に入れて杉本を右アウトサイドに回すとか、青山を右ストッパーに入れて大森を回すとかいう選択肢もないわけではないが、チームの骨子が固まり始め徐々に結果も伴ってきている現状では無理に前の3人と後ろの3人を動かす必要性は感じられない。

         ヨンセン
  杉本            玉田


   山口K  吉村   須藤

渡邊   増川   スピラール  大森

         楢﨑

 キックオフからボールが落ち着かない名古屋はさっそくヨンセン一辺倒の攻撃へと傾倒していく。山口K、吉村、須藤という、いつもの豪華な顔触れと比べるといささか地味な印象の中盤はどちらかと言えば守備的なプレーヤー達で、中盤で上手くゲームを作ることが出来ないし、いつも左サイドの低い位置で攻撃の起点となっていた本田の不在や、さらには大森やスピラールといったビルドアップの「眼」を持った選手たちが思いのほか前からプレッシャーを掛けに来たセレッソに対してなかなか自由にボールを持てないという要素が加わると、そんなヨンセン頼みも当然の成り行きだ。だがヨンセンがスーパーな選手であればあるほど、当然相手チームも徹底したマークをしいてくるわけで、そこから相手ゴールをこじ開けることは容易ではない。
 本来であればこんな時に頼りにしたいのは玉田。玉田は杉本と違ってプレーの幅も広いし、一旦中盤に下がってボールに触って再び前に出て行くようなプレースタイルを持ち味としている。そんな玉田が多くボールに触ることは玉田自身にとってもチームにとってもリズムを生み出すことになるはずだ。しかし時間が経過すれども玉田の仕事量は全く増えてこない。チームとして「まずはヨンセン」、そしてそこにポイントを作って玉田と杉本にはよりゴールに近い位置で(ゴールに向かった)仕事をしろという決まり事でもあったのだろうか。一度ヨンセンへのポストからボールを受けた玉田がディフェンスラインを突破に掛かったシーンはあったが玉田がした仕事らしい仕事はそれぐらいだった。

 逆に中盤に守備的なプレーヤーを3人並べていることで、4+3で作る名古屋の守備ブロックはかなりソリッドなものだった。セレッソは名古屋キラー・古橋を筆頭に名古屋にとってはどことなく印象の良くない選手を揃えているのだが、そんなイメージを払拭させるほどに名古屋のディフェンスはオーガナイズされており、最終ラインで抜群の存在感を放つスピラールを中心に見ている側にも一定の安心感をもたらすほどだった。
 しかしこのオーガナイズされた守備ブロックをセレッソは個の力によってこじ開けてしまう。左サイドでゼ・カルロスが対面の須藤をほとんど子供扱いしてアッサリ振り切ると、余裕を持って中へクロスを放り込む。これをファーサイドで待ち構えていた西澤が胸でトラップし、何度かのキックフェイントを織り交ぜながら目の前のGKとDFを交わしてシュート。ゴールに向けたパスのように左足から放たれたボールは名古屋ゴールに吸い込まれた。クロスが入ってきた時点で西澤のマークに付いていたのは増川だったが、サイドからのクロスに対してボールをすぐに見てしまい自分のマークを簡単に見失って(離して)しまうという増川の悪い面がこのシーンでは出てしまった。前節の浦和戦では集中した良いディフェンスを見せていたんだが。

 この後さらなる悲劇が名古屋を襲う。出場停止の本田に代わって左SBで起用されていたU-21日本代表の渡邊が裏のスペースに抜け出そうとする相手を引っ張って二枚目の警告を貰い前半30分ほどしか経っていないにも関わらず何もしないまま退場させられてしまったのだ。田とはタイプが違い周りに使われて初めて生きるタイプの渡邊にとってこの日の一向にボールが収まる気配がない中盤はアンラッキーだったし、セレッソが左サイドのスペースを執拗に狙ってきたことで、セレッソの前の3人を4バックでスライドしながら対応しつつ右アウトサイドの山田の突破、さらにはサイドのスペースに飛び出してくる宮本をケアしなければならないという守備面での一人三役を担うには山口Kとのコンビネーションが未成熟だった感は否めない。しかしこの退場は渡邊自身の価値を大きく下げてしまったと言わざるを得ない。
 ただ俺は渡邊がこの程度のプレーヤーだとは思っていないし、最終節もし再びチャンスが訪れれば必ずリベンジを果たして欲しいと思う。

 一人少なくなったことで名古屋がどういった対応に出るのかは試合を分けるキーポイントになりそうだ。俺は選手交代推奨派で、先制こそ許したもののこと守備に関しては名古屋の4+3という守備ブロックが大きく崩されるような兆候はなかったし、逆に言えば仕事量の少ない前線の玉田を削って渡邊の欠けたところに誰かを入れてしまえば守備に関してはある程度目処が立つと考えていた。そしてヨンセンの高さ+杉本のスピード+山口Kのランニングでカウンターから少ないチャンスをモノにするのが賢明という考え。
 だが名古屋(ベンチ)は特に動く気配がない。そして左サイドのMFの山口Kが少しだけポジションを下げて最終ラインと中盤の間ぐらいで絶妙のバランスを取っている。これまで4+3のブロックで守っていたものを3+3のブロックで守るということだろうか。もともと攻撃は前3人に任せっきりのようになっているからこれで守り切れるのであれば渡邊の退場前と比べても大勢に影響はないことになる。
 そしてこの策がハマる。個の能力で勝るセレッソが往年の「イテマエサッカー」で攻撃の人数を掛けて来られたらひととまりもないなとヒヤヒヤしていたが、去年ぐらいからチームカラーが変わってしまったセレッソは完全に唄を忘れたカナリア状態。一点リードしていることもあってか臆病なぐらいに慎重な試合運びだ。これで名古屋は救われた。そしてこの場面でもうひとつ確認できたことが名古屋のヨンセン+玉田+杉本という3トップが相手に与える心理的なプレッシャーの大きさだった。この3人を前線に並べておくことはそれだけで相手の総攻撃に対する抑止力となるらしい。前節浦和がこの3トップを意識するあまり3バックから4バックへと変更して攻撃の迫力を半減させたように、セレッソもまた意識過剰で勢いを増すことは出来なかった。これは意外な発見。普通であれば、ヨンセン、杉本と比べても明らかに守備面での貢献度が低い玉田を下げることでチームの守備強化を図ろうとするのだろうが、3人を残すことがしての攻撃力を弱らせ結果的にそれが守備の強化につながるというトリック。

 セレッソがなかなか前に出てこないことで、3+3の守備ブロックでもそれまでとなんら変わらない試合運びを行えている名古屋は前半のうちにカウンターで同点に追い付くことに成功する。須藤のDFライン裏へのフィードに上手く抜け出した杉本がゴール前にボールを流し込むと、これがセレッソのGKとDFの間を上手い具合に抜けて行きファーサイドで詰めたヨンセンが蹴り込んだ。先制されたシーンではゼ・カルロスにアッサリと抜かれ俺の中での株を下げた須藤だったが、このシーンはワンタッチ、ツータッチでミドルレンジの大きな展開を行えるという須藤の良さが出たシーンだった。そして良い動き出しでDFラインを抜け出した杉本もGood job!!!だ。

 前半を1-1の同点で折り返した名古屋は後半から玉田に代えて秋田を投入。増川を左サイドに回し4+3の守備ブロック、そして攻撃を前線のヨンセン+杉本の凸凹コンビに託す形に切り替えた。前半確かに3+3でも余裕を持って守れてはいたが、ビハインドの状況ではないし、より手堅く行こうということなのだろう。まあ納得できる策だ。
 しかしハーフタイムにセレッソが意識面も含めて何かしらの攻撃に関する指示があったと思われること、名古屋が前に人数を減らしたことで、セレッソが後ろから積極的に前に出てくるようになってしまった。特に目立ったのは両サイドで、空いている側のDFが積極的に前のスペースに出て行くことで名古屋は数的優位を作られ始め押し込まれ始める。

 名古屋はセレッソの放り込み中心ながら波状攻撃のように繰り返される攻撃を丹念に中央で弾き返し続ける。そしてチャンスを見つけてカウンターを狙う。クサビとなってボールを受けたヨンセンのスルーパスから杉本が独走したシーンなどは決定的だったが、GKまで交わした杉本のシュートはヒットせずゴールを割るには至らなかった。
 そして後半20分過ぎ、いつもより早く杉本に代えて津田を投入。確かに杉本のスピードは相手にとっても脅威だが、これだけ押しこまれて波状攻撃を喰らっている状況では足元も強い津田の方が杉本よりもボールを持てるしチームとしても楽だ。それに津田は杉本ほどでないにしてもスピードもあるしディフェンスも(たまにボーッとしていることもあるが)真面目にこなす。

 その後名古屋は足の攣った須藤に代えてリーグ戦初出場となる青山を投入。青山がピッチ脇で指示を受けながら準備している時に神戸さんがまるで我が子を見るような顔でなにやら声を掛けていたのが印象的だったが、ピッチに入った青山は堂々たるプレー振りを披露した。アジアユース準優勝の自信は青山の中でも財産となって息づいているようだ。古橋にDFラインの裏を取られた危ない場面でしっかりと古橋に付いて行ってそれを防いだところなどを見ても、危険なところを察知する目は例えば吉村のそれと比べても上回るものを持っていると思うし、攻撃でも果敢に攻め上がってボールを呼び込みクロスを上げるようなシーンなどゲームへの積極的な関与も見せた。もちろん現時点ではプレーの精度や安定感といったところでレギュラーや吉村との間には差があるが、まだまだ大きな伸びシロを持った選手だと思うので、来年のU-20W杯に向けても着実に成長して行ってくれることを願って止まない。

 そう言えば吉村といえば、後半玉田がベンチに下がったことでプレースキックを担当していた。一人少ない中でリスクを冒してDFを上げているにも関わらずGKにそのままキャッチされる(収まる)ボールを蹴った一度目(左サイドから)の時にはオイオイと思わず突っ込みを入れたくなったが、二度目(右サイドから)の時には二アサイドで飛び込んできたスピラールの頭にピタリと合って、ここ十数試合ぐらいの名古屋のセットプレーの中では最も際どいシーンを演出した。吉村は元来正確で強いキックを持った選手だし、そうでなくても名古屋は他のどのJチームと比べても引けを取らない高さを持っているだけに、「キックの自己主張」が強過ぎる本田や玉田、スランプかなにかかと思うぐらい何(どこ)を狙っているのか分からない中村と比べてもクセがなくて良いかもの知れない。

 試合はその後名古屋が「守り切った」印象で1-1の引き分け。後半は結局杉本の決定的なシーン以降は大きなチャンスを作ることは出来なかった。一人少ない中でよく戦ったというべきか、中盤に攻撃的な駒がいない状況では仕方ないのかもしれない。最終ラインからではなく中盤から杉本や津田を走らせるようなパスを出せる選手がいればまた違ったかもしれない。

 第32節を終えての順位は9位。今節主審に対する意義により通算四枚目のイエローカードをもらったヨンセンが次節出場停止な上、中位は団子で負ければ順位を大きく落とす可能性もある厳しい戦いは続くが、可能性がある7位に向けて残り二試合戦って欲しい。
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by tknr0326g8 | 2006-11-23 11:59 | Game Review
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