Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
カテゴリ
最新の記事
以前の記事
選手紹介#16 新 “名古屋のプリンス” 花井聖
 気が付けば二年前の青山隼入団時から更新していない選手紹介。
 実は昨シーズンの開幕前に「最もブレークが予想される選手」として金正友篇を書き始めていたのだが、書き切らないうちにシーズンが始まり、その金正友が開幕からいきなり2試合連続ゴールとスタートダッシュを切ってしまったことで、なんだか後出しジャンケンみたいで嫌だな・・・というわけで中断、その金正友が退団したことで完全にお蔵入りしてしまった。
 代わりに誰かと考えると、やはりはこの選手しかいない。今シーズンユースから唯一の昇格が決まり昨日入団発表行った、新 “名古屋のプリンス” 花井聖だ。一昨年まで同じくユース出身の平林(現刈谷)を「名古屋のプリンス」と呼んでいたことを考えると、なんだか節操がない気がしないでもないが、ローマで言うところのジャンニーニが平林で、トッティが花井に当たるとでも弁明しておこう。

 中学生の時からその名前をしばしば見聞きする存在だった花井を俺が初めて目にしたのは、花井が高校一年になってから。青山や根津といった三年生をベースとして、足りないポジションを吉田、新川といった二年生のタレントで補う形で構成していた当時のユースチームにあって、花井は一年生から公式戦にちょくちょく出場していた。当時のポジションは前の方だったりボランチだったり、中盤のバックアップ的な意味合いが強いユーティリティだった。
 俺はどちらかと言えば攻撃的なプレーヤーをイメージしていたのだが、実際のプレーを見る中で強く印象に残ったのはむしろボランチの方だった。いわゆるアンカーの位置に入ってボールをさばく彼は先のCWCで来日していたACミランでいうところのピルロのような役割。そのポジションでの彼のプレーは単なるバックアップの意味合いを超えて、彼がそのポジションでプレーすることによってチームのサッカーが変わってしまうぐらいのインパクトがあった。例えばその年の高円宮杯グループリーグ初戦となった浦和東戦。リアクションスタイルでありながら前線から激しくプレッシャーを掛けて来る浦和東を前に、名古屋はチームが意図するつなぎが出来ず苦しんでいた。しかし青山のコンディション不良もあって前半途中から花井がアンカーの位置に投入されると、その卓越したテクニックで浦和東のプレッシャーをスイスイとかい潜り味方へとパスの供給を見せ始めた。そしてそれをキッカケとして名古屋の攻撃にはようやくリズムが生まれていった。

 翌年春、新チームになっての関東遠征で駒澤大との試合を観た時の花井は、ポジションを一列上げ中央で攻撃的な中盤のポジションを担っていた。バルセロナでいうところのデコやシャビのようなポジション。その後はプリンスリーグ・磐田戦で3トップの一角を担っていた中田健太郎が負傷離脱した影響もあってかポジションをさらに一列上げ、高円宮杯を迎える頃にはすっかり中田健太郎の欠けた右ウイングに定着していた。
 高円宮杯で最初に花井の右ウイングを見た時は愕然とした。グループリーグ初戦となった水橋高校戦、直接FKからゴールこそ決めたものの、そのプレーは明らかに精彩を欠いており動きの量も際立って少なかったからだ。それがコンディション的な問題だったのかメンタル的な問題だったのかは分からない。だが俺には右ウイングというポジションが彼の良さを奪っているように思えた。花井はボールに触れてこそ真価を発揮するプレーヤー。そんな彼をサイドに配置するのは彼の良さを消すことになっているのではないかと。
 だが花井は第二戦以降、驚異的な順応性でそのポジションへと馴染み、そして自らの特徴を発揮し結果を積み重ねていく。花井はこの大会で(名古屋にとっての)オープニングゴールから始まり、準決勝・初芝橋本戦での決勝ゴールに至るまで5つのゴールを決めているが、このどれもが重要なゴールだった。花井は試合を決められる選手であることを自らのプレーによって証明したのだった。

 三年生になった花井はトップチームへと二種登録されプロに交じってトレーニングを積むようになる。ユースの主要なタイトルをかけた試合には出場予定だったとも聞くが、トップチームでのトレーニング中に負った負傷の影響もあって、結局今年は彼が全国の舞台に姿を現すことはなかった。花井の二種登録が良かったのか悪かったのか、現時点では結論を出すことが出来ない。ただトップチーム同様に一ユースファンの立場から言わせてもらうならば、全国の舞台で彼を見てみたかった。三年間でほとんど見られなかった中田健太郎とコンビを、アルベスや磯村、安藤といった才能溢れる二年生達との絡みを、俺は見てみたかった。そして三年生にはキャプテンの西山や三宅といったチームを引っ張っていくリーダーシップを携えた選手がいたが、花井がプレー面で文字通り中心選手としてチームを牽引することによって得られたであろうものは主にメンタル面でも大きかったはずで、それはトップチームの練習に合流して得られたものと比べても決して小さくはなかったような気がするからだ。

 プレーヤーとしての花井を敢えて誰かに例えるとするならば、トッティと梶山を足して2で割ったみたいな感じだろうか。花井の特徴はまずはその卓越したテクニック。二年生の時の高円宮杯だったか、試合前のアップ時にピッチ脇でボールにスピンを掛けながらリフティングをしていた花井を見てスタンドにいた中学生が思わず感嘆の声を挙げていたことを思い出す。ボールコントロールは一級品だ。背筋を伸ばした姿勢でピッチ全体を俯瞰できるのも彼の特徴。そして意外と身体能力も高い。ムチのようにしなる右足から放たれるシュートは強烈だし、少なくとも高校レベルにおいては競り合いで転げ回るようなシーンはなかった。
 以前花井の昇格を取り上げた中スポにあった「これといった欠点がない」というのは言い過ぎだとは思うが、俺は一日も早い花井のトップチーム出場を期待している。というよりそうしなければ一年早くトップチームに合流した意味がない。試合経験を捨ててまで取り組んだこの一年に意味合いを与えるとすれば、それはプロとして試合に出られる準備を一年早く始めたということしかない。それに(90分を走り切るスタミナはともかく)花井に必要なメンタリティはセカンドチームでトレーニングマッチをこなしている中で身に付くものではないと思うからだ。
 プロとしての花井はおそらく攻撃的なポジションで起用されていくことになるだろうが、本田の去就が微妙な現在、中盤でボールを収め、攻撃に変化を付け、そして試合を決められる選手は今の名古屋には見当たらない。ピクシーとの巡り合わせも花井にとってはラッキーだ。「スーパーハードワーク」にどこまで対応できるかは微妙だが、こういうプレーヤーにはこういうプレーヤーの接し方がある。花井がデビューし名古屋にとって不可欠な戦力となるのはそう遠い話ではないかもしれない。
[PR]
by tknr0326g8 | 2008-01-14 17:17 | Player's Profile
<< フェルフォーセンの二年間、そし... インカレ決勝 法政vs早稲田 >>