Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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ナビスコカップ2008  第6節 vs浦和 @埼玉スタジアム
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 前節の京都戦で劇的な逆転勝利を収め決勝トーナメント進出を決めた名古屋にとって、この試合は位置付けが非常に難しい試合だった。正直に言えば、俺もチケットを買った時には、浦和との真剣勝負というよりは久しぶりに(一昨年の高円宮杯決勝以来)花井が観られるかもしれないという期待の方が大きかったかもしれない。しかしピクシーがこの試合に向けて示した指針は「ベストメンバー」を揃えて勝ちに行くことだった。まさか前節の京都戦で大幅にメンバーを入れ替えたことでJリーグから注意があったわけではないだろうが、3週間の中断を挟んで再開されるリーグ戦に向けて良い感触を持ってオフを迎えたいということだろう。

 見方によっては消化試合で、相手はアジアチャンピオン、観客も3万人を超えるという環境は若手選手に経験を積ませるにはもってこいとも言える。逆に言えば、ここで若手を使わなくていつ使うのか?という意見があってもおかしくはないぐらいだ(実際俺も花井は見たかったし)。しかし去年のナビスコカップでの失敗を考えると、勝ちに拘ったピクシーの方針は正当性を帯びてくる。昨シーズンの名古屋は開幕から4連勝と好スタートを切ったものの、それとほぼ同時進行で試合が行われていたナビスコカップで若手を起用し、結局1勝も出来ないままグループリーグ敗退という憂き目に遭った。俺のような若手厨からすればそれはそれで見応えがあったわけだが、結局チームはここで「負け癖」を付けてしまった。スタッフ・サポーターを含め観ている側がモラトリアムというフィルターを通して試合を観ていることは確かだったし、チーム自体が負けることに対して慣れていったことは後のリーグ戦での波のある戦い方にも大きな影響を与えたような気が俺はしている。それらを教訓として考えれば、リーグ戦での上位進出を狙うチームにとってピクシーの判断は限りなく正しい。

 この試合の名古屋の注目のひとつはヨンセンとの2トップを誰が組むのかということ。杉本はもちろんのこと、巻も津田も二試合連続ゴールと結果を残している。誰が出ても遜色はないが、ピクシーがピックアップしたのは巻だった。俺の中ではプレシーズンマッチのFC岐阜戦を観る限り動きの被りまくっていたヨンセンと巻の2トップは有り得ないと思っていたのだが、まさしく伸び盛りの巻を使いたいというピクシーの気持ちも分からないでもない。
 結論から言えば、巻は巻で前線で身体を張って仕事をこなしていたし、2トップの動きが被る場面かなり減ったが、それでもこの2トップが(1+1が3や4になるような)相乗効果を生み出せていたかと言えば決してそうとは言えなかった。そして対浦和ということを考えれば、ヨンセンと巻を二枚前線に並べるよりも、3バックの脇のスペースを突けるようなタイプを起用した方が効果的であったことは、後半に交代出場で入ってハットトリックを達成した杉本が証明していた。

 試合の中で気になったのはセットプレー(コーナーキック)の守備。コーナーキックのディフェンスではいつもゴールエリアの横のラインに合わせて等間隔に人を配置しゾーンで守る名古屋が、この試合ではヨンセンがそこから離れてゴールエリアの縦のラインの上に立ちニアサイドをケアしていた。ここに人を立てることはヨーロッパなどでセットプレーをゾーンで守るチームではよく見られる光景だが、これが果たして、二週間前の浦和との試合でコーナーキックから内館にニアサイドに入られアッサリと失点を許したことに対する教訓から得られた策なのか、それともヨンセンと巻が2トップを組んだことでピッチ上にいつもよりもひとり高さのある選手が増えた影響なのかは非常に興味深い。普段大抵4人でラインを形成していることを考えると、この試合では巻、バキ、吉田、増川と4人がラインを形成していたので、余ったヨンセンがニアサイドに回ったと考えるのが妥当な気もするが。

 そんなディテールも含めてこの試合でもピクシーの采配は際立っていた。後半立ち上がりに浦和に同点とされた後さらに押し込まれていると見るや、すぐさまヨンセンに代えて杉本を投入し浦和のウィークポイントであるサイドのスペース(ウイングバックの裏)を突いて流れを押し戻す。そして杉本が狙い通りに勝ち越しゴールを決めると、今度は中盤で幅広いスペースをカバーできる山口Kを投入して守備を強化するとともにセカンドボールの回収に掛かる。さらにダメ押しは津田の投入。いつ戦意を喪失してもおかしくない浦和に対して、3バックにウイングをワイドに配した3トップをぶつけるという鬼采配。攻めなければいけないはずの浦和はあえなく4バックへとシステム変更を余儀なくされたのだった。

 あと阿部のゴールにはゴール裏から見ていて本気で鳥肌が立った。阿部の左足から放たれたボールはインパクトの直後無重力のようにフワリと浮き上がり、ゴールマウスの手前で下に滑るようにドライブしてゴールネットを揺らした。昨シーズン大きな成長を遂げた阿部だったが、俺がシーズン開幕当初から言っているように、同じ左サイドで決して相性が良いわけではなかった本田が移籍でチームを去った今シーズンこそが真の意味で飛躍のシーズンとなるだろう。既に名古屋にとって替えが利かないプレーヤーになっているが、阿部がゴールを決め始めた時こそが、名古屋が真の強者となる時に違いない。

 名古屋にとって残念な点があるとすれば、ポンテがまだすっかりリハビリ・モードだったこと。それは浦和(エンゲルス)がポンテを投入した時点で勝負を捨てていたのではないかと勘ぐりたくほどの低調なパフォーマンスだった。所々で繰り出す急所をエグるようなキックは正確だが、おぼつかない足元にキレを感じさせない身のこなしは、なんだか昨日の+1マッチを思い起こさせる。(エンゲルス以下浦和のスタッフが気付いているかどうかは別として)杉本やマギヌン、小川といった選手達が浦和の欠点を浮き彫りをしたように、俺はポンテこそが名古屋のウィークポイントを詳らかにしてくれる貴重な存在になるのではないかと密かに期待していた。本調子のポンテは中盤と最終ラインでキッチリと守備ブロックを作っていてもその合間合間に進入して来て決定的な仕事をやってのけてしまう。そんなポンテが簡単にバイタルエリアを空けてしまう名古屋と対戦した時に、守る側の名古屋の選手達が何を感じてどういったリアクションを起こすのか、個人的にも楽しみにしていたのだが。どうやらポンテの回復具合はまだそのレベルに達していなかったようだ。
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by tknr0326g8 | 2008-06-08 17:24 | Game Review
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