Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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J1 2008 第15節 vs新潟 @スカパー
 世の中に完璧な戦術やシステムはない。あらゆる戦術・システムにはストロングポイントとウィークポイントが存在し、チームがどの戦術・システムを選択するかは、チーム抱えている選手の特徴であったり、監督の信念や経験であったりによって決定される。そんなわけで戦術やシステムに優劣があるとすれば、それがどれぐらい選手の質とマッチしているかどれぐらいチームに浸透しているかであって、おそらく考え方そのものにあるわけではない。まずこれが前提。

 今シーズンの名古屋は「DFラインの裏を取られないこと」を意図した守り方をしている。そしてこれまで相手アタッカーに裏を取られて独走を許すようなシーンがないところを見るとこの狙いは達せられている。しかし相手にボールが渡った段階でDFラインを下げる今のスタイルは、逆にバイタルエリアを空けてしまうという構造的な欠陥も内包している。上で書いたように、これはどちらを取るかという話で仕方のない部分ではあるのだが、このスペースを狙われることが最近の試合では増えてきたように感じる。

 この試合の立ち上がり、前の試合から中二日で湿度が異常に高いという過酷なコンディションにも関わらず名古屋はとてもハイテンポな試合への入り方をしていた。それはサイドバックの上がりひとつとっても明らかだった。コンディションやアウェーゲームということを考えれば、水曜日の千葉戦のように前半はもう少し落ち着いてボールを動かしても良いのではないかとも思えたが、千葉戦にしても後半には足が止まっていたし、むしろスタミナ面での不安が前半のオーバーペースなまでのプレーを引き出していたのかもしれない。
 しかしそんな前半に下手をすれば名古屋の一方的なペースになっていたかもしれない流れを新潟に引き戻したのは、新潟によるまさしくバイタルエリアに狙いを定めた攻撃だった。2トップがこのスペースでボールを受けて前を向いて仕掛けたり、中盤の攻撃的なプレーヤーが内側に絞ってプレーしたり、ミドルシュートを多用したりといった新潟の攻撃は常にこのスペースが意識されており、その効率の良い攻撃は(迫力やダイナミックさといった点では名古屋の方が上回っていたものの)前半だけで名古屋の倍以上に当たる12本のシュートを放つことに成功した。そして前後半通じてこのスペースでの後追いディフェンスによって名古屋が新潟に与えたFKの数もまた計り知れなかった。
 後半に新潟が名古屋から奪った二点もやはりバイタルエリアが深く関わってのもの。一点目はこのスペースでのルーズボールに対して堪らずDFラインから飛び出してきたバヤリッツァのクリアが新潟の右SB内田の元へと転がり、内田が狙い澄まして上げたクロスボールにファーサイドで松下に合わせられてしまった。センターが圧倒的な高さで制空権を握っている名古屋のDFラインはクロスボールから簡単に失点するケースというのは殆どないが、この場面ではバヤリッツァが引っ張り出されたことで最終ラインのマークとバランスが崩れてしまった。(まあそれとともに、サイドからのクロスボールに対する新潟のボックス内への人数の掛け方は、名古屋のそれと比べても大したものだったが)
 二失点目は矢野がペナルティエリアの外から放ったシュートがバヤリッツァの足に当たって楢﨑が逆を突かれるという不運もあったが、シュートに至る形としては前節の鹿島戦でダニーロに決められたミドルシュートと酷似していた。サイドの深い位置からマイナスのボールを受けた矢野に対して、(判断が遅れて仕方なくシュートを打ったような)あのタイミング、(最初ゴールに背を向けていた)あの体勢でシュートまで持っていかれたこと自体、名古屋がこのスペースのケアが出来ていないこと、またそこでのディフェンスに問題を抱えていることは明白だった。

 ただ、この試合について言えば、名古屋のDFラインの前にスペースが空いてしまったのは戦術やシステム的な問題というだけでなく、選手のコンディションも大きく影響していた。特に中盤の選手達の疲労は激しく、失点シーンに関しても、一失点目については小川が戻り切れずに内田に狙い澄ましたクロスを上げさせてしまっていたし、二失点目にしても人数は足りているのにそれぞれ寄せが足りず新潟に自由にパスを回されてしまった。正直なところ、ピッチ上で(特に後半)動けていない選手を見るにつけ、サブも含めてあえて水曜日と同じメンバーで試合に臨んだことに対する疑問がないわけではないが、もしクラブがこの先アジアそして世界で戦うことを目標としているのであれば、厳しい(相手よりも不利な)コンディションを言い訳にせずに戦う「勝者のメンタリティ」を身に付けるための試練という意味でこういった経験も必要かもしれないと思ったりもする。今回は残念ながら勝ち点3を獲得出来なかったが、出場していた選手達には勝者のメンタリティとこうした戦いを切り抜ける術を身に付けていって欲しい。

 個々のプレーヤーでは、反町監督の御前試合で欠場することとなってしてしまった吉田麻也はまた腰痛などが再発してやしないかと心配になるが、吉田の欠場により水曜日の千葉戦で再開後初出場を果たした竹内は、水曜日の段階ではまだ試合勘を含めてフィットしていない印象を受けたが、この試合では(主に攻撃面で)すっかりパフォーマンスを取り戻していた。それは他の選手達についても同様で、一週間前に鹿島に大敗を喫した状態から選手達はコンディション的にもメンタル的にも上向いてきており、今鹿島と試合をすれば全く違う結果が出るだろう。しかしそんな中にあって杉本だけは中断前までのキレを未だ取り戻せずにいるのが気掛かりだ。今シーズン途中交代多い杉本にとっては、クラブがもっぱらリフレッシュに費やしたオフ期間はむしろ余計なものだったのかもしれない。
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by tknr0326g8 | 2008-07-05 23:53 | Game Review
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