Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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J1 2008 第17節 vs磐田 @スカパー
 W杯アジア三次予選にともなうリーグ戦中断期間中、他のチームがミニキャンプなどを行う中たっぷりと休養を取った名古屋。しかし夏場にリーグ戦の過密日程がピークを迎えるという世界的にも稀な日程の影響か、名古屋のコンディションは再開後一カ月と経っていないにも関わらず早くも下降線を辿っている。いや厳密に言えば、名古屋は休養明け再開直後から既にコンディションの低迷が際立っていた。果たしてこんな状態で名古屋は夏場を乗り切れるのだろうか。モウリーニョが「プレシーズンにビーチやゴルフ場で走り込みをするのは古典的なやり方」と言い切るように、中断前の名古屋のチーム状態を考えれば敢えてそうした古典的なフィジカルトレーニングを行う必要はなかったのだろうが、なにかと言えば「休養」が多い名古屋に対して勤勉な日本人は一抹の不安を感じずにはいられないのではないだろうか。

 この試合での名古屋のパフォーマンスは選手たちの出足ひとつ取っても明らかに磐田より劣っていた。もはやこれは戦術や(この試合に向けて準備された新しい)フォーメーションの問題ではない。立ち上がりこそ試合に良い入り方をして、(相手のミスというややラッキーな要素が絡んだものの)相手のペナルティエリア内でボールを拾った小川が開始4分で先制ゴールを奪った名古屋だったが、その後は試合の主導権は終始磐田に握られたままだった。名古屋がボールを持っても選手たちの動き出しに乏しく磐田の前線からのプレッシャーに遭ってボールを失う展開が続いたのに対し、磐田はお家芸でもある前線の選手のダイアゴナルなランニングをはじめとした選手たちの動き出しの良さによってパスをつなげ、その攻撃は名古屋ゴールまで到達していた。
 コンディションの差は個々の1対1の局面でも明らかだった。磐田がジウシーニョを筆頭に果てはデビュー戦となった松浦までもが1対1で名古屋の選手を振り切って局面を打開していたのに対し、名古屋で同じレベルのキレを見せていたのはマギヌンと(時々)小川ぐらいしかいなかった。ただこの試合でのジウシーニョによるピッチ全体を牛耳らんばかりのパフォーマンスを考えると、そのプレーには名古屋でなくても苦労しただろう。かつて名古屋に在籍していたブラジル人選手たちのことを思い返してみても、彼等は夏場になるとパフォーマンスが上がって来る傾向にあり、今後対戦するチームにとっても彼の存在は脅威となるに違いない。

 そんなわけで、両チームの試合に臨む以前のコンディションの差を考えれば、この試合結果は至極真っ当なものなので、このレビューも早いとこ“名古屋のプリンス”花井聖のリーグ戦デビューに話題を移したいのだが、名古屋に敗戦を招いた二つの失点については振り返っておかなければならないだろう。
 一失点目のCKについては、後半立ち上がりからセットプレーの守備で配置転換を行っていたことが直接的な原因と考えることが妥当。相手のコーナーキックに対して名古屋は長身選手がゴールエリアの横の線に添ってラインを形成してゾーンで守り、それに加えてゴールマウスの中に二人(小川と阿部)と、ラインの前方のスペースに二人(この試合では中村がラインに入っていたので山口K一人)が立つのがデフォルトだ。しかし試合開始から磐田が徹底してショートコーナーやアウトスイング系のボールで揺さぶりを掛けてきたためか、後半に臨むにあたってピクシーは山口Kと阿部のポジションを入れ替えた。阿部は170cmと決して上背はないが驚異的なジャンプ力でヘディングの競り合いにも強い。そんな阿部をゴールマウスの中ではなくラインの前方のスペースで相手と競る役割を担わせたいということなのだろう。だが後半開始早々、慣れない(初の)ポジションを任せたマイナス面がいきなり出てしまった。まさしくその阿部の立っていたポジションに向かって飛んできたアウトスイング系のボールに対してラインを飛び出した増川がかぶり、その後ろにいた阿部は出るのを躊躇った。そしてそこに出来たギャップに茶野に飛び込まれての失点だった。
 二失点目は「成岡が決めたミドルシュート」という事前情報と中スポでコメンテーターの藤川が「DFラインが引きすぎてボランチとの間にスペースが・・・」云々と言っていたので、またいつもの形なのだろうと思っていたが、試合映像を見たらボールを奪われた直後に山口Kも中村も速やかに帰陣しておりスペースを埋めるだけの時間的・人数的な余裕は十分にあった。しかしだからこそ名古屋ディフェンスの抱える欠点が浮き彫りになったとも言える。ファーストコンタクトで中村がジウシーニョに軽くいなされたのはさておき、ジウシーニョからボールが渡った上田康太に対して山口Kがアプローチに行った段階で磐田の勢いは一旦止まった。その上田から中央を上がってきた成岡にボールが戻された段階でなぜ中村がそこに寄せ切れなかったのか。成岡のミドルシュートに対してブロックに入るのは当然として、むしろその成岡への横パスをインターセプトしてカウンターにつなげるぐらいの狙いがあってもよかったとすら俺は思っているが、中村の視界に成岡が入ったのは残念ながら上田からパスが出た後だった。
 中村が成岡に寄せ切れなかった原因は、中村自身のインテリジェンスそしてフィジカルコンディションという個人の問題、そしてボランチとDFラインの間・Wボランチの間でのコンビネーションという組織の問題の両面がある。このシーンで中村はDFラインの前のスペースでフラフラしている前田のマークに気を取られていた。すなわち前田のマークをDFラインとの間で受け渡せていなかったということになる。また山口Kとの間で連動してボールを奪うような狙いも見られなかった。この辺りのコンビネーションが組織として確立されない限り「バイタルエリア」という名古屋の弱点は解消されないだろう。そしてボランチとして不動の地位を確立している中村が、どちらかと言えばチーム戦術というより本能で動くタイプであることを考えると、その起用方法は今後の名古屋にとってのひとつの鍵になるような気が俺はしている。

 俺にとってこの試合最大のクライマックスはルーキー・花井聖の待望のリーグ戦初出場。二年前の高円宮杯決勝で見て以来だから、そのプレーを見るのはおよそ二年ぶりになる。中村に代わってボランチのポジションに入った花井は単純に中村と比較しても攻守両面において事前に首を振って周りの状況を把握することが出来るし、トラップひとつ取っても次のプレーを考えたコントロールをしていて、華麗で正確なテクニックの中にも非常にインテリジェンスを感じさせるプレーが目を引いた。そのプレースタイルは、もしもベンゲルが名古屋の監督をしていたら好んで使っていたに違いない。ただまだ遠慮があるのか、それとも途中からコンビを組んだ小川とのバランスを考えてか、しばしば守→攻の切り替えでアグレッシブさに欠けていた(アクションの遅さが目についた)のが気になった。あと自らドリブルで仕掛けてペナルティエリアの外側でもらったFKを花井本人に蹴って欲しかったというのは高望みし過ぎだろうか。結果論だがマギヌンの蹴ったボールが大きくゴールマウスを超えて行っただけにその思いは強い。まだまだこれからだが、このレベルでも十分にプレーしていけそうなことが分かったし、リーグ後半戦に向けてどれぐらい出場機会を増やしていけるか楽しみだ。

 そう言えば、今日の試合では花井のほかに、北京五輪代表に選ばれた吉田、そして山口K、津田と4人のユース出身プレーヤーが同時にピッチに立っていた時間帯があった。かつて誰かが語っていた「ピッチ上の選手の半分をユース出身のプレーヤーで占める」という目標もそう遠い話ではないのかもしれない。
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by tknr0326g8 | 2008-07-20 01:38 | Game Review
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