Grampus Diary from TOKYO
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J1 2008 第29節 vs横浜 @日産スタジアム
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 シーズンも残すところ6試合となったこのタイミングで、残留争い中の下位チームを相手に二試合続けて最低のパフォーマンスを晒してしまった名古屋。特に前の試合から二週間の間が開いていたにも関わらず横浜相手に何もさせてもらえなかった今日の試合は、優勝争いのプレッシャーがどうとか怪我人がどうとか出場停止がどうだとか言う以前にあらゆる意味での準備不足が明らかで、それはプロのクラブそして選手として怠慢以外の何ものでもなかった。こんな試合を続けているようでは優勝はおろか、試合を決める力に欠けるチームを相手に引き分け持ち込むのが精一杯だろう。

 試合前半から圧倒的な横浜のペースだった。名古屋は横浜による前線からのプレスを前にパスをつなげることが出来ず、攻撃(ビルドアップ)はDFラインからいきなり行き詰ってしまう。それとは対照的に横浜はボールを奪ったらシンプルにロングボールを名古屋DFラインの裏へと蹴り込んで前線のアタッカーの機動力を活かそうとする狙いが功を奏していた。そして横浜はリズムを掴んでくると、名古屋ディフェンスの隙(後述)を突いてサイドからも積極的な攻め上がりが見られるようになり名古屋をハーフコートに押し込んでいった。
 こうなるとどちらが優勝争いをしているチームでどちらが残留争いをしているチームなのか分からないが、百歩譲ってここまでならよくある話ではある。相手が攻撃面ではレギュラークラスを何人も欠いているとは言え後ろには力のある選手が揃っている横浜であればなおさらだ。そもそもこれだけの戦力を抱えるビッグクラブが残留争いをしていること自体おかしな話。

 しかしそれでも俺が首を傾げざるを得ないシーンは試合を通じて続出していた。
 最初に気になったのはコーナーキックの守備。前節東京V戦で名古屋はゴールエリアの前方のスペースで後方から勢い良く飛び込んできた土屋にドンピシャでヘッドを合わされ失点を喫した。名古屋は長身選手が4人並んで(ニアサイドからヨンセン、バヤリッツァ、増川、吉田(いつもなら竹内)の順)ゴールエリア内のゾーンを分担し、その外側にも吉村と米山(いつもなら中村)の二人が立っているが、当然のことながら二人でこの前方のスペースを隈なくカバーすることは出来ない。もちろんゴールエリアで合わされたら即失点だがその外側であればよっぽどドンピシャで合わされない限りGKやゴールマウスの中に立つ二人のDF(小川と阿部)が反応出来る確率が高いという意味でこの守り方は理に適っている。だがそれはあくまでも確率の問題であって、一旦露になった欠点をそのまま放置しておいて良いわけがない。実際この試合で中澤を中心とした横浜が狙ってきていたのもこのスペースだった。最初のコーナーキックでは中澤のヘディングシュートがDFに当たって難を逃れたものの、名古屋がこれに対して対策を立てていないことは明らかだった。見ていると吉村も米山も全神経をキッカーに注目しているが、漏れなくスペースをカバーしているゴールエリアと違い、二人ではスペースをカバーしきれないゴールエリア前方では、特にファーサイドの選手がボールと選手を出来るだけ両方把握しなければならない。もしくは二人でカバー出来るスペースは限られているので、出来るだけニア~ゴール正面にかけてを空けないように二人で連動してポジションを取るべきだろう。

 次に気になったのは中盤のディフェンス。これは「中村不在の穴」というひと言で片付けてしまえばそれまでだが、そんなことは二週間も前から分かっていたことであって、プロチームが今更それを言い訳にすることなど恥ずかしくて出来るはずもない。ナビスコカップ準決勝1stレグ(大分戦)において中盤の底でWボランチを組んだ米山と吉村を、俺は「コンビとしては最悪」と書いた。戦術理解が高くボールを裁ける米山と運動量と前線のスペースへの飛び出しに特徴がある吉村のコンビは一見良い組み合わせのように思える。しかしお互いにベテランと呼んでも差し支えない二人の間にはコンビネーション(コミュニケーション)のようなものが微塵も感じられず、互いが互いをカバーしあうような補完関係が全く成立していなかった。そして今日の試合を観て改めて感じたのは、今の名古屋においてWボランチはやはり“ムラムラ・コンビ”しか務まらないということ。俺がいつも彼らを中心とした中盤の守備を疑問視していることからも分かる通りこれは決してポジティブな意味ではないが、それが名古屋の現実でありハッキリした解答だ。
 よく4-4-2で組織的とかヨーロッパスタイルとか言われる名古屋のディフェンスだが、実際は最終ラインと中盤がそれぞれに分離してしまっており、中盤の守備は中村と吉村の半端ない運動量によって支えられている部分が大きい。両SHが攻撃に力点を置き、また最終ラインは相手にボールが渡ればラインを維持したまま後退してしまうから、Wボランチは前後左右360度に渡ってひたすらボール目掛けて走り続けなければならない。よく後半になると中村が腰に手を当てて呆然としているシーンがあるが無理もない話だ。もちろん前線からのディフェンスや両SHの素早い守備への切り替えなどがあってチーム(組織)としての守備が機能している時もあるが、名古屋の中盤での守備のベースはWボランチによるハードワークを越えたハードワークすなわち“スーパーハードワーク”にある。これが監督就任当初ピクシーが標榜した“スーパーハードワーク”の真実なのかもしれない。これが戦術だと言われればそれまでだが、もはや質より量で支える中盤の守備には限界が来ている。
 この試合では中村に代わって起用された米山が中村と同じ役割を担わされていた。そもそも米山に中村と同じ走りまくって相手を潰す仕事を任せること自体無理がある。どうしても米山を起用するのであれば、中村の時とはやり方を変えて、米山をアンカーに据えてその前に吉村と小川を置く4-3-3のような布陣にするなどのマイナーチェンジが必要だったのではないだろうか。案の定、「中村の代役」としての米山は全くと言っていいほど役に立っていなかった。この試合でよく見られたシーンは、右サイドで小川が行かせてしまったサイドの選手に対して米山が対応に出て、その裏を吉村がカバーしているのならまだしも吉村は吉村で独自のポジションを取っているので、ズレることによって出来たスペース出来たスペースへとボールを回され、中盤の底から上がってきた松田や河合にミドルシュートを打たれたり、逆サイドの田中隼へと展開されて左サイドを崩されたりといったシーンだった。中村不在のシミュレーションをチームはちゃんと行っていたのだろうか。

 ハッキリ言ってほとんど収穫のなかったこの試合で唯一希望があるとすれば、先発に復帰した吉田をはじめ、津田や花井といった若手プレーヤーがトップチームの実戦の場へと戻ってきたこと。まあ津田にSHをやらせるのであればまずはどう考えたって渡邉圭二を試すべきだろうという思いはありつつも、(怪我や出場停止による不在メンバーがいるとは言え)ピクシーのこの人選には驚いた。もちろんチームのパフォーマンスと歩調を合わせるかのようにほとんど何も出来ないまま後半途中で交代してしまった津田や、ところどころ良い狙いはあったものの全体的にやや硬さの見られた花井など、パフォーマンスとしては決して満足いくものではなかったが、こればっかりは使い続けていくほかない。ただスタートが左SHと自分の持ち場から離れたポジションだった津田と比べれば、花井は4-2-3-1のトップ下というピクシーによる最大限の配慮がなされていた。ここで花井がヒーローになっていれば(チームに付くであろう勢いを考えても)最高だったが、世の中そうそう上手くはいかない。
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by tknr0326g8 | 2008-10-19 18:25 | Game Review
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