Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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天皇杯四回戦 名古屋vs岐阜 @豊田スタジアム
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 阿部のいない名古屋は遠藤のいないガンバやポンテのいない浦和みたいなものではないかというのが今シーズンの名古屋の試合を観ながら俺が常々考えていた仮説だった。しかし岐阜の守備ブロックを前に全く攻撃を組み立てられない名古屋を見ていると、どうやらその仮説は大幅な下方修正を迫られそうだ。プラン通りに試合を進めていた岐阜に対し名古屋が「どちらがJ1か分からない」ほどゲームを支配されていたわけではない。ただ名古屋の何人かの選手達はJ1はおろかひとつ下のディビジョン(J2)ですら通用するかのかどうか疑わしく思えるほどFC岐阜に完封されてしまっていたのもまた確かだった。

 日本代表の玉田を筆頭に阿部、増川、吉村といったリーグ戦のレギュラー組が多く欠場したこの試合でピクシーが採用したのはヨンセンの1トップ+トップ下に中村を置いた4-2-3-1。ペナルティエリアの中に入ろうとしない中村のトップ下というのは正直微妙だが、右利きで内側に切れ込むのが得意な小川とタテに抜けてからのクロスを持ち味とする渡邊が組む左サイドや広大なスペースを得て活きるスピードが武器の杉本とディフェンスに重きを置いた三木が組む右サイドという組み合わせはなかなか相性が良さそうだというのが最初に抱いた俺の感想。そして前の4人が攻撃に掛かる分、DFラインの手前に山口Kと米山という守備的な選手を並べてもう一枚壁を作るというのも悪くはない。
 しかしこれらのイメージは所詮机上の空論でしかないことが時間の経過とともに徐々に明らかになっていく。キックオフ直後こそ岐阜DFがワールドクラスのヨンセンの高さに慣れていないところを突いて良い形を作りかけていた名古屋だったが、岐阜DFがヨンセンの高さに慣れてくると次第に攻撃は手詰まりとなりパスの出し手であったりゲームを作れる選手がいないという問題が顕在化してきた。しっかりとした守備ブロックを作ってヨンセンに対するクサビを遮断している岐阜に対して、名古屋は前にボールを進めることが出来なくなり、前の5枚と後ろの5枚とが完全に分断され始めていた。欠場している試合でパスの出し手としての阿部であったりパスの受け手としての玉田の存在がクローズアップされる皮肉な展開だ。

 これではいつまで経っても埒が明かないとピクシーも判断したのだろう。25分過ぎに中村の位置を下げて杉本をFWに出し山口Kを右SHに張らせた4-4-2にフォーメーションを変更。慣れ親しんだ形で局面の打開を狙った。しかしフォーメーションを変えてすぐのタイミングでは岐阜DFが少し混乱したのか杉本がビッグチャンスを迎えたものの、これを決め切れずにいると名古屋は再び失速してしまう。それもそのはずでサイドアタックが売りの名古屋の4-4-2にあって右サイドで山口K+三木という守備的なタイプの組み合わせは有り得ない。また左SBに起用された渡邊にしても前線にボールが収まらないことにはオーバーラップのタイミングが掴めるはずもなく、ロングボールで岐阜DFの裏を取るぐらいしか手立てがない中では全く存在感を発揮できないまま90分を過ごしてしまった。結局この試合で渡邊が上げたクロスボールはゼロだったのではないだろうか。もしこれで渡邉の評価が決してしまうのであれば、渡邉にとっては少々気の毒ではある。

 後半開始とともにピクシーはやはり山口Kのところに手をつけてきた。個人的な考えを言うなら、中村とWボランチを組ませるなら米山よりも山口Kを残すという手はあったようにも思うが、ピクシーの中でのボランチの序列は米山>山口Kなのだろう。そんな山口Kに代えて投入されたのは先週の試合でJリーグデビューを果たしたばかりの新川。ポジションは新川が左で小川が右に回った。俺なら二列目に投入するなら新川ではなく花井を選択しただろうし、新川を投入するなら前線に入れてヨンセンと2トップを組ませ杉本を二列目に戻していただろう。プロのレベルではフィジカル的なひ弱さを見せることが多いセカンドトップタイプの新川には二列目はまだ少し荷が重い。実際先週の試合と比べれば自分から仕掛けていく姿勢が見えるようになっていた新川だったが、中盤からドリブルを始めて奪われたり相手に難なく囲まれて潰されたりはたまたフィジカル的な要素に起因すると思われるミスをしたりとその特徴を発揮できているとは言い難かった。
 また新川にとって不運だったのはポジションをサイドに固定されたことと、前方(FW)にスペースを必要とする杉本がいたこと。新川も決して杉本に遠慮していたわけではないだろうが、杉本の存在は新川のプレーエリアを狭める結果につながっていた。その杉本自体もキッチリと組織を固めて守る岐阜を相手に得意のスピードを活かせないでいたし、俺なら杉本を下げて花井を入れるのになぁ(新川を前に出して花井を二列目)と思いながら見ていると、ピッチ脇に31番のユニフォームが現れた。さすがはピクシー・・・と言いたいところだが、花井と交代したのは杉本ではなく米山で、フォーメーションは4-4-2から中村をアンカーに据え新川と杉本が両ウイングを務める4-3-3へと変化したのだった。確かに得点を奪わなければ次のラウンドに進めないノックアウト方式のトーナメントということを考えれば、守備的なプレーヤーに代えて攻撃的なプレーヤーを投入するのは十分に有り得る選択肢だ。しかし残念ながらこのやり方もやはり機能することはなかった。
 そもそも動きの質を量で補うタイプの中村にアンカー(ワンボランチ)を任せること自体リスクが大きい。案の定広大なスペースを走りまくって一人で守らなければならなくなった中村は後追いでのディフェンスとそれに伴うファールが増えイエローカードをもらってしまった。このお土産は後々効いてくるかもしれない。やり方が正しいかどうかは別として中村がいないと(中村の運動量がないと)名古屋の中盤が機能不全に陥ってしまうのはリーグ戦を観ていても明白だ。そしてこのフォーメーションにおいては攻撃面で決定的な役割を担うはずの両ウイングも、スペースと時間的な猶予を得られないとテンパって出鱈目なプレーを連発する悪癖を曝け出していた杉本と相手に完全に体力負けしている新川では好機を作り出すことすらままならなかった。

 最後はややラッキーな形で得られたセットプレーのチャンスから、蹴った瞬間その弾道から決まると分かった花井のプレースキックが勝敗を決したわけだが、選手の動きもベンチワークも全てにおいてチグハグな名古屋のパフォーマンスは優勝争いをしているリーグ戦に向けて不安を残すものだった。終了間際の劇的なゴールがチームに勢いを付ける特効薬とはならないことは東京V戦を見ても明らかだ。そんな名古屋にとって救いがあるとすれば、花井が「将来の名古屋」とかそんな曖昧なものではなく今リーグ戦の優勝争いをこのチームにとってもプラスαをもたらす戦力として使えることが証明されたことではないだろうか。
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by tknr0326g8 | 2008-11-02 15:55 | Game Review
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