Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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J1 2008 第31節 vs柏 @日立台
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 去年のGWにも天狗になっていた鼻をへし折られているここ日立台での柏戦が名古屋にとって間違いなく厳しい試合になるだろうという俺の読みとは裏腹に、柏は試合開始から拍子抜けするほど迫力も怖さも感じさせなかった。名古屋を研究してきたであろうことは節々で感じられたし、玉際ではガツガツ当たって遠慮なく削りに来てはいたものの、柏がチームとしてまとっている雰囲気は中位そのもので、優勝を狙うのであればもう一敗も出来ない名古屋にとってこれはひと足早いクリスマスプレゼント以外の何物でもなかった。
 しかし名古屋は自らの手でみすみすこの天からの贈り物を放棄してしまった。そして試合の中での良い流れを断ち切り優勝争いに終止符を打ったのが、万年中位(を維持することすら難しくなりつつあった)のチームに劇的な意識改革をもたらし優勝争いへと導いてきたピクシーであったことは皮肉としか言いようがない。この試合のターニングポイントが米山の投入だったことは明らかで、セットプレーの直前に焦って選手交代を行って一瞬の空白を作って同点ゴールを許し、真ん中に人だけが増えた中盤は混乱したままさらにその直後逆転ゴールを叩き込まれた。
 リーグ戦残り3試合、チームに求められるのはACL圏内からの一刻も早い撤退だろう。采配にミスがあったとは言え、誰もがその重要性を理解していたはずの試合で、同点にされたぐらいで気落ちして直後に逆転を喰らう(しかもこれは千葉戦でのミスの繰り返しだ)ような脆弱なメンタルしか持ち合わせていないチームがアジアのハードスケジュールを戦い抜けるはずはなく、そんな環境に身をさらしたらこのチームの崩壊は必至だ。そして何より(今のように目の前の試合に全力を尽くすのは当たり前として)どうしても優勝したいとかアジアや世界で戦いたいというような一サッカー選手としての向上心がチームそして選手から感じられないまま中途半端に足を踏み込むにはACLは危険すぎる。

 というわけで、NHK総合で放送された中継の録画を(得点&失点及びヨンセンのオフサイドシーンを除いて)見る気にはなれないので、試合会場で観たままのレビュー。

 深刻な得点力不足を抱える攻撃陣に待望のマギヌンが戻って来たと思ったら、今度は守備面でバヤリッツァの二試合出場停止に加えて楢﨑までもがトレーニング中の怪我で欠場を余儀なくされてしまった名古屋。この時期はどこのチームもそうだとは言えなかなかベストメンバーが組めない。だが俺は「楢﨑不在の穴」というような世間一般の風評には賛同しかねる。確かにチームのキャプテンでもある楢﨑は日本を代表する(というより日本1の)GKでありとても替えが利くような選手ではないが、芦川+ディドという間違いなく日本で(もしかしたらアジアで)No.1のスタッフが指導に当たっている西村(や広野)がヘボいはずはない。それに西村はナビスコカップでもグループリーグ突破に貢献した実績があり、ここがチームにとってのアキレス腱になるとは到底思えなかった。そして実際に西村が見せたパフォーマンスはなんの不満もないものだった。
 またバヤリッツァを欠くDFラインも吉田と増川のコンビが無難なプレーを見せていた。特に吉田は攻撃面でも特徴を発揮し、大きく開いたマギヌンにピンポイントで合わせる大きなサイドチェンジを決めたかと思えばカウンターから中央を攻め上がり先制点にも絡んだ。守備面でもそのプレーは安定しており、機動力を使って地上戦でいやらしく攻めてくる相手への対応に少し苦労していた部分はあったが、単純なスピードはおろかちょっとした緩急の変化にすら戸惑っていた昨シーズン(ルーキーイヤー)を考えれば吉田はすっかりプロの水に馴染み、さらにその中で抜きん出た存在へと成長しつつある。
 マギヌンが戻って来た攻撃はボールの収まりどころがひとつ増えたことで随分と滑らかになった。なによりマギヌンを経由する攻撃のアイデアはこれまでの名古屋に欠けていたものだったし、玉田もマギヌンとのコンビではイメージがより高い次元で共鳴し合ってとてもプレーしやすそうだった。もっとも怪我による長いリハビリからいきなり実戦復帰を果たしたマギヌンの右膝にはウォーミングアップの時からテーピングが確認でき、そのコンディションはベストというわけではない。特に接触プレーに関しては露骨に避けるようなそ振りを見せていたし、守備面では後ろにいるSBに大きな負担を掛けていたことも事実だ。だがそれらを補って余りあるものをマギヌンは名古屋にもたらしていた。あとはコンディションを上げていくだけだろう。

 一方で二試合の出場停止からようやく中村が戻って来た中盤は、守備面で相変わらずムラムラ・コンビの運動量(スーパーハードワーク)に依存している。チームが今のやり方を継続する限り二人して走りまくるムラムラ・コンビのどちらかが欠けても苦しく、またこの二人の組み合わせがベストチョイスであることに疑いの余地はないが、この二人が(特にポジショニングで)絶妙なバランスを保っているかと言えば決してそうでもない。
 例えばこの試合でもしばし見られたのは中村の前から吉村の前に流れて行った相手に対して中村が付いて行ってしまい、中村と吉村のポジションが重なったところを簡単にハタかれたりターンされたりしていなされ中村の空けたスペースを使われるというようなシーン。相手としては一回のフェイントで二人を抜けるわけだから実にラッキー(一石二鳥)だが、名古屋のDFラインからしてみたらたまったものではない。
 またこの二人は守備に気を遣うあまりか攻撃への関与も極端に低い。名古屋はよくアーセナルに例えられるが、仮想セスクのいない名古屋をアーセナルに例えるのが正しいのかどうかは考えものだ。Wボランチの攻撃に対する関与の低さはポジショニングひとつとっても明らかで、例えば吉田が上がった後のスペースは何も言わなくても自然と埋めるのに、玉田が下がって来てボールを受けるようなシーンでは玉田の空けた前線のスペースを狙うようなことは全くしない。攻撃への関与はせいぜい前が手詰まりになった頃に遅ればせながら上がって行ってミドルシュートを放つことぐらいだ。二人してそんな状態では名古屋の攻撃にバリエーションが増えないのも当然と言える。
 そしてこの中盤のバランス(感覚)の悪さは後半に米山を投入した後に最悪の形で噴出する。米山を守備固めで投入した直後にセットプレーから同点とされたことで、名古屋は米山がトップ下、その下に中村と吉村といった感じの各々の特徴を考えればまるでチンプンカンプンな4-2-3-1になっていた。そしてここで中央の三人には混乱が生じる。得点を獲りに行かなければならない状況を考えて積極的に前からプレッシャーを掛けに行く米山に対して、後ろの二人は全くそれに呼応しない。二人でカバーしていたエリアが三人になったことで多少油断した部分もあったのだろう、失点シーンではSB(阿部)とSH(小川)が挟み込むようにケアしているサイドに吉村がフラフラと出て行って真ん中(米山の背後)を空けてしまった。百歩譲って吉村のそうした動作がサイドで囲んでボールを取り切ろうという積極的なものであったとして(実際にはアッサリすり抜けられてしまったが)、それに対して中村が連動してポジションをスライドするようなそ振りは全くなかった。かくして中央のスペースで奇跡的なほどにフリーでボールを受けた大谷はそのまま持ち上がって狙い澄ましたスルーパスをDFラインの裏へと送り込んだ。これに反応したポポが吉田の背後へと斜めに走り込んで豪快なシュートを名古屋ゴールに突き刺したわけだが、こうした動きをされるとDFライン(吉田)としてはどうしようもない。

 阿部の怪我がどの程度のものであったかは分からないが、逆転を許した名古屋が死に物狂いで勝ちに行くのであれば、巻を投入するに当たり再び米山を下げてでも阿部を残すべきだったと俺は思う。阿部のいない名古屋がいかに不味いものであるかはこの間の岐阜戦で証明済みだが、この交代によってますますバランスを崩してしまった名古屋はゴールどころかチャンスすら作ることが出来ず4分という長いロスタイムすらもただただ浪費するしかなかった。
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by tknr0326g8 | 2008-11-08 19:46 | Game Review
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