Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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J1 2008 第32節 vs京都 @スカパー
 優勝争いのプレッシャーというひと言で片付けるにはあまりにも稚拙な試合展開を見るにつけ、俺に頭によぎったのは「限界」という言葉。決して「Give up」するわけではないが、この大事な試合で2-0というアドバンテージを生かし切れず、この大事な試合でスタメン中最も在籍期間が長く「替えが効かない」と評されるゲームキャプテンが中途半端なミスで失点の引き金となり、テンパった若手選手を諌められる選手がおらず、それどころか攻撃の核となるべき日本代表FWが感情をコントロール出来ずにイエローカードをもらって次節出場停止になる、現実は現実として、奇跡なくしてこのチームが成し得る最長不倒距離はそう遠くではないという事実を俺は痛感せざるを得なかった。とは言え、優勝の二文字は様々な幸運や他力によって今なおその不倒距離内にある。この試合の最後の最後にもらったビッグプレゼントによって、名古屋は次の札幌戦に勝てば最終節まで優勝争いが出来るという権利を手にしたのだ。次は札幌から勝ち点3を奪うという自力によって、天より与えられし権利を生かして欲しいと心から願う。

 試合は前半名古屋のペースで進んだ。と言っても名古屋の出来が特別良かったというよりも、京都(加藤久)が必要以上に名古屋を恐れて勝手に自滅してくれた印象が強い。ヨンセンが怖いのも名古屋の攻撃を止めるためにはまずヨンセンに仕事をさせないことが重要なのも分かるが、シジクレイを最終ラインの真ん中に入れた5-3-2のような布陣にしてしまっては、攻撃に厚みを持たせることはおろか攻撃を組み立てることすらままならない。京都の攻撃は2トップとトップ下の角田が名古屋のDFラインに対して積極的にプレッシャーを掛けてあわよくばボールを奪いそのままゴールへというぐらいしか糸口がなかった。
 そんな京都に対して名古屋はDFラインからの長い縦パスを使った攻撃が目立っていた。京都のアタッカーがDFラインに対してプレッシャーを掛けに来ていた影響もあるが、その戦い方からは奪ったボールを素早く相手の3バックの脇のスペースへという共通意識が垣間見られる。これは今シーズンの名古屋が浦和や川崎といった3バックのチームと戦う時に徹底してやってきたことで、そのスペースを突く役割を担う両SHの小川とマギヌンが2トップを飛び越して二点目を名古屋にもたらしたことは決して偶然ではない。

 後半になると試合は一変した。京都が(前線からプレッシャーを掛けるためとは言え)よりによって角田をトップ下に据えて2トップとともに攻撃を構成していた前半とは打って変わって4-4-2に布陣を変更したことで名古屋の守備組織は機能不全に陥り、2トップのうち一人が裏を狙い一人がクサビを受けに下がるという京都の戦術が機能し始める。
 前半の名古屋は京都のボールが出てくる位置が低かったためにDFラインを高く保つことが出来ていたし、京都のほとんどの攻撃が2トップ+角田の三人によるものだったため4枚のDFラインが数的優位を保ちながらボールを受けに下がる柳沢や林に対しても必ず増川か吉田がチェックに行って潰すことが出来ていた。例えば角田と林を4バックのうち3人が(一人多い状態で)見て、クサビを受けに下がった柳沢に対して増川がチェックに行くといった具合だ。
 しかし後半になると2トップとともに攻撃的な中盤の二人(安藤と中谷)が攻撃に加わった京都に対して数的優位を失った名古屋DFラインはクサビを受けに下がるFWの選手に対してチェックに行けなくなってしまう。名古屋がDFラインとWボランチの間にギャップを作ってしまうのは今に始まった話ではないが、京都が普通に戦ったらアッサリとその弱点を曝け出してしまった。その上京都が中盤に上がったシジクレイと佐藤勇人のところでゲームを組み立て始め、そこから狙い澄ましたパスがDFラインの裏へと出て来ることで、名古屋DFは後退を余儀なくされた。
 後半の京都は(2点のビハインドを追い付いた勢いや名古屋の前線の選手達の足が(守備面で)止まっていたことを抜きにしても)同じ4-4-2の名古屋よりも遥かにバランスの優れた良いチームだった。もし中谷と渡邊の位置が逆だったら名古屋は一気に逆転負けを喰らっていたかもしれない。田原がいるならまだしも、空中戦に滅法強くハイクロスからは失点する気がしない名古屋DFラインに対してSHとしての中谷は決して有効なカードではない(一度PKを取りそうなシーンはあったが・・・)。それよりも切れ込んでからの強烈な右足シュートを持ち直接ゴールを狙える渡邊が前にいた方が名古屋にとってはずっと怖い。そして前半から守備も含めたハードワークによる疲労があったとは言え、林がベンチに下がったことも名古屋にとっては好材料だった。上でも書いたように名古屋にとっては柳沢と林による前後に幅(ギャップ)を作る動きは厄介で、実際林の裏を狙う動きによって名古屋はPKも献上している。まあかつてオシムが言った王ように林は「90分働けない」から林でもあるのだろうが。

 試合の流れとは別に、名古屋にとってこの試合での注目ポイントのひとつは出場停止の吉村の穴を誰が埋めるのかということだった。中盤の守備をボランチ二人に大きく依存している名古屋では運動量を生かした中村と吉村のペア(通称・ムラムラコンビ)がベストの組み合わせであることに俺も異存はない。中盤のボールハンターとして野性味溢れる守備を見せる中村はチーム戦術の斜め上を行く存在であり、そのパートナーにも同等の運動量が要求される。極論すれば中村が独自の感性で運動量豊富に動けば動くほど組織としてはそこに穴が空くことになる。となればそのパートナーは中村と同じだけ動いてその穴を埋めて回らなければならない。これを「バランス」と呼んで良いのかどうかは定かではないが、そういった点を考慮すると運動量を担保として中村とのコンビ歴が長く中村をより理解している吉村が適任ということになる。願わくば猛獣使いのごとく中村を自在に操れる選手がいればベストなのだが、残念ながらそれが出来るであろう唯一?のプレーヤーである藤田にはピクシーのサッカーに対応するだけのフィジカルが伴っていない。
 と、話が逸れたが、とにかくこの試合で欠場した吉村に代わって中村とコンビを組んだのは地元京都出身の山口Kだった。かつてネルシーニョがこうしたご当地起用を行っていたことがあったが、中村との相性を考えて米山ではなく山口Kを選んだのであれば、ピクシーの選択は限りなく正しいと俺は思う。そしてこの試合での山口Kは重要な一戦ということもあってか慎重さを前面に出しつつも気の利いたプレーを見せ素晴らしいパフォーマンスを発揮していた。そして後半途中から攻撃的な布陣にシフトするにあたり、中村をベンチに下げ山口Kをピッチに残したピクシーの判断もまた素晴らしかった。
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by tknr0326g8 | 2008-11-24 22:31 | Game Review
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