Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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2004年 12月 31日 ( 2 )
2004年シーズンを振り返る その3
 その3は、「トップ下」にスポットを当てつつ、チームとしてのコンビネーションの熟成とその中で見えてきた攻撃の形について。

■岡山から直志へ
 先シーズンまで名古屋のトップ下のレギュラーは岡山だった。今シーズントップ下のレギュラーとして定着した直志と比べても、個人としての能力は直志より劣るものの、チーム最大の売りである2トップとの絡みや昨シーズン最大の発見だった右サイドの幸治郎とのコンビネーションを考えた場合、岡山の方が直志よりも優れていて、チームとしても岡山が入った時の方が上手く回っていた。
 今シーズントップ下のレギュラーとして開幕を迎えたのは岩本だ。守備面では不満が残ったが(1st磐田戦のカウンターに対する対応とか)、その左足から繰り出されるDFラインの裏への柔らかいパスに2トップが反応する様はそれはそれでなかなか面白い組み合わせではあった。しかしそんな岩本が怪我で戦線を離脱すると、第3節からスタメンに定着したのは中村直志だった。今シーズンのチームの攻撃面での成長、それは直志がスタメンを維持し続けたことと同時進行系である。
 直志が今期初めてトップ下として先発出場した第3節鹿島戦。右サイドをえぐってマルケスの得点をアシストしたものの、その右サイドでの幸治郎との被りっぷりは正直酷かった。お互いがお互いを消し合ってて、お互いのタイミングも全くつかめていない、そんな状態。しかしシーズンが進むに連れ右サイドは名古屋の大きな武器のひとつになる。幸治郎のパワフルな上下動の勢いを殺さないように直志が右サイドの幸治郎の前のスペースにパスを出す。直志が右に開いて外に張ったポジションを取れば幸治郎が中に切り込む。1st浦和戦の3点目のように直志が右サイドのDFラインの裏のスペースを狙うのに合わせて、それを押し出すように幸治郎が後ろからスルーパスを出す。バリエーションも出来たし息もピッタリだ。こうして直志は幸治郎のベストパートナーになった。
 幸治郎の次は外国人2トップとのコンビネーション。第3節の鹿島戦では右サイドをえぐってマルケスのアシストを決め、第4節の柏戦ではネルシーニョの指示通り「2トップを追い越して前に飛び出す動き」でペナルティエリアの中に入って良いゴールを決めた。出足は上々。しかしそれ以降はなかなか2トップに上手く絡んで行けない感じだった。ぶっちゃけ2トップに置いてかれていた。まああの2トップの間に入ってプレーのペースと感性を合わせてやれと言われたってそうそう簡単には行かない。それでもトップ下に定着して試合をこなすうちに、中村と2トップのコンビネーションは徐々に向上しいくつかの「形」と呼べるものも見えてきた。
 例えばいいポジションでボールを奪って攻撃(カウンター)に移った時に中村が右サイドのスペースに流れて3トップ気味の布陣となる形。中村にボールが出るとマルケスとウェズレイがボックス内でクロスする形で動いて、ボックスの外側をタテにえぐった中村のグラウンダーの折り返しをニアサイド(もしくはゴール正面)でマルケスが決める。このパターンでチームは幾度もゴールを陥れた。トップ下の選手がサイドのスペースに出てくるんだから、今や世界で一つの潮流となりつつある通常の3トップよりも対応は難しいかもしれない。この形は左サイドに流れてのプレーが得意なマルケス、右サイドに流れてのプレーが得意な中村という選手の特徴にも上手くマッチしている。つまりこのワイドに広がる変形3トップは名古屋の選手達の特性を生かしたオリジナルだ。
 マルケスが左サイドに流れることが多いため、直志の流れる右サイドでは特にウェズレイとの阿吽の呼吸が必要だ。ウェズレイがサイドに流れれば直志が中のスペースを使い、ウェズレイが下がって来て楔のボールを受ければ入れ替わりに中村が前に出る。この辺のオートマテックな動きもシーズン終盤にはかなり出来るようになってきた。ウェズレイは引いてきても必ずマーカーが付いてくるからそのスペースを使う直志の動きは特に有効。それが2ndの大一番・浦和戦での先制点にも出てた。まあ岡山なんかは第11節の横浜戦で見せたようにその辺のことがサクッと出来てたんだけどね。中盤にいいパッサーがいれば下がってきたウェズレイを囮にしてその頭を越して直志を使うっていうのも出来る。それが第3節の柏戦のゴール。そこではパッサーとしての大野のセンスと技術も光っていたけど。
 それでもまだまだ俺は直志のトップ下のプレーには不満だ。改善点のもちろんある。岡山とは違い一発のある選手だから、「ラストパス」とか「ミドル(強い)シュート」とかプレーイメージが一発狙いに偏ることが多くて判断が遅れたり、パス出した後足が止まったり、自分が関わっていない(ボールに触っていない)攻撃に対してアクションが鈍い。これは守備に関しても同じ。よく見てると直志はペナルティエリアの周りでのファールが結構多い。そこまで戻ってディフェンスすることであったり、ボールを奪いに行く気持ちは賞賛に値するけど、それがファールになるのは判断が遅いからであり、フィジカルコンタクトの強さを生かして強引にでも一発でボールを奪いに行こうとするからだ。もちろん一発があるのが直志の最大の魅力だと俺は思うし、そこを生かすために、もっと判断の速さや、今みたいな動くか止まるかじゃなく勝負するところと簡単にプレーするところみたいな意味でメリハリの付け方を考える必要がありそうだ。そして直志にはもっとボックスに入って仕事をして欲しいし、全てのプレーに関与するような貪欲さが欲しい。
 俺がフロントなら、去年だったかG大阪の西野が二川に対して課したノルマじゃないが「年間10ゴール」を目標にさせるけどね。それを個人としての数字目標として、クリアしたらインセンティブ付けるとか。まあとにかく直志のポジションの選手がそれぐらい数字として表れる結果残さないと優勝なんて夢でしかない。

■岡山の新境地
 直志にポジションを奪われた形の岡山だが、岡山は岡山で今シーズン新境地を開拓していた。まあ先シーズンから少しづつ見え始めてはいたけど、今シーズンになってやっとハッキリと顕在化した感じだ。それはプレーメーカーとも言える役割で、これまではどちらかと言うと前線でスペースへ飛び出してゴールを陥れる役割が主な役割だったが、今シーズンは中盤でスペースからスペースへと動き回り、ボールを上手く引き出しながらまた自分が起点となってシンプルにボールを動かしていく。そんな岡山の投入によってチームは潤滑油を得たようにプレーに流れが出来た。開幕となったC大阪戦で後半から出場し逆転劇を演出すると、その後もスーパーサブとしてチームに欠かせない存在だったと言える。

■名古屋のプリンスJ初登場
 そんな岡山もシーズン終盤になるとベンチ入りすら出来なくなった。コンディションの問題もあったのかもしれないが、俺はその理由が「名古屋のプリンス」こと平林の成長とそれにともなう台頭だと思っている。地元愛知県出身でジュニアユースから10番を背負ってきた逸材。年代別の代表にも都度選出され世界大会も経験している。経歴だけ見ればローマのトッティを連想させる。というわけで「名古屋のプリンス」。そんな平林がJデビューを果たしたのが2nd第5節の東京V戦。プロの水に馴染むのにしばらく時間を要したが、実戦経験を積むごとに落ち着いてプレーできるようになってきた。テクニシャンとして鳴らしたユース年代と比べると、今の平林はどちらかと言えば動き出しの速さと質の高いオフザボールの動きという面で岡山の代わりが出来るチーム唯一の存在だ。もちろん前線ではそのテクニックを生かしてトリッキーな動きで積極的なトライも仕掛ける。シーズン終盤には、これじゃあ岡山の出番がなくなっても仕方ないかなというくらいの可能性を感じさせるプレーぶり。後は本人も言うように決定的な仕事が出来るかどうかと結果だ。戦術と技術を兼ね備えた「ニュー岡山」が来シーズンからも高い意識を持ってステップアップし続けていくことに期待したい。

 ウェズレイ、マルケスの2トップが出場すれば一定のパフォーマンスが計算できる以上、トップ下(2列目)はこの3人に加えて、本田を加えた競争が来シーズンは見ものだし、このポジションに名古屋の浮沈が懸かっている。
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by tknr0326g8 | 2004-12-31 17:57 | Topics & Issues
2004年シーズンを振り返る その2
 その2は、今シーズンの名古屋で最も大きな変動があったポジションであり、どうやら阿部(市原)の獲得が幻に終わりそうなボランチを中心に2004年シーズンを振り返ります。

■大森ボランチ起用
 今シーズンの名古屋は大森のボランチ起用から始まった。昨シーズンから吉村、山口K、ヨンデ、酒井、原田と人数は揃っているもののどれもこれといったインパクトを残せなかったボランチに比べ、パナが健在で古賀、秋田、角田を揃えたCBは陣容が充実しているようにも思えたし、去年までストッパーを務めていたユーティリティプレーヤーである大森のボランチ転向というオプションが試されても決して不思議なことではなかった。
 実は俺はこの大森ボランチというアイデアを支持しているごく少数派のひとりだ。大森は戦術に長けゲームの流れを読む眼を持っているし、「人に強い」という長所を持っている。こういう選手をいわゆる「舵取り役」としてセンターラインに配置することでチームはグッと安定感を増す。そして俺が大森のボランチ起用を指示する最大の理由は大森がタテにパスを出せるセンスを持ち合わせていることだ。いくら人に強い守備が出来たとしても守備だけでは優勝を狙うチームのボランチは勤まらない。そして昨シーズンから今シーズン1stステージにかけて見られた名古屋というチームにとっての最大の課題が、いかにして中盤から強力な2トップまでボールを運ぶかということだった。そのためにもタテ方向にボールを出せるという資質は名古屋でボランチを勤める選手にとって欠かせない要素だと俺は思っている。
 ボランチの位置でタテにパスが入れられるかどうかは、正確なキックが必要なのはもちろんのこと、例えば空間を認識するようなセンスや、状況を把握する能力、迅速な判断、そして相手が一番ケアをしてくる(当然成功率が低い)プレーだから勇気も必要だ。かつてサンチェスが監督をやっていた頃、どうしてもDFラインと中盤の間にスペースが生じてしまうということで古賀がそのポジションにアンカーとして起用されたことがあった。古賀は気の利いたプレーとポジショニングでチームの守備に一定の安定感をもたらしただけでなく、実は良いモノを持っているロングキックで左右に大きくボールを散らし、当時の名古屋では忘れ去られていたサイドチェンジという発想を呼び戻した。そのプレーぶりは、古賀の右足から繰り出される軽くドライブの掛かって美し放物線を描くボールの印象とともに心地良い記憶として今でも残っている。しかしボランチ・古賀はサイドにボールを散らすことは出来てもタテにボールを入れることが全く出来なかった。そういうプレーが必要な時は横にいる山口素に渡すだけ。多分古賀に足りなかったものは決断力であり勇気だった。話を大森に戻すと、ペップ(グァルディオラ)のプレーを見て参考にしているという成果かどうかは分からないが、大森にはこの辺の資質が備わっていると俺は思う。
 大森のボランチは、実際のゲームの中では周りとのコンビネーションを含めて慣れるまでに少し時間を要したのは確かだった。それが開幕当初から上手く行っていたとは言えないし、その段階で磐田や鹿島と対戦しなければいけなかったのはやや不運だった。それでも試合を重ねるに連れてそのプレー振りは馴染んで来ている様に思えたし、実際第6節の清水戦の頃にはかなりサマになっていた。しかし皮肉にもその清水戦でアクシデントが発生してしまう。その試合で右のストッパーに入っていた角田がプレー続行不可能な怪我を負い大森はCBに移された。その後もパナの負傷や大森がストッパーに入ることでDFラインが安定したことなどが要因で、大森はCBに固定された。そして第13節大分戦での怪我による戦線離脱、2ndステージからのクライトンの加入によって大森のボランチは二度と日の目を見ることはなかった。そしてクライトンがいる間は大森がボランチに起用されることは多分ない。

■角田のボランチ
 第3節の鹿島戦でボランチデビューを果たしたのが角田。そしてこれは昨日も書いた通り「今シーズン最大の発見」だった。角田はパナが怪我で出られなかった開幕戦と第2節に右ストッパーとして起用されると、身体能力の高さに裏打ちされた守備の強さと積極的なプレースタイルでアピール。しかも開幕戦ではCKから同点となるゴールを決めるおまけつきですっかりネルシーニョの信頼を勝ち取った。そしてパナが復帰した第3節ではボランチとして起用されたのだった。その後はCBの出場停止などに応じてCBとボランチを掛け持ちしていたが、第6節の清水戦で負傷、その後1stステージ終盤に復帰すると再びボランチに定着した。そしてボランチとしての角田のパフォーマンスはかなりハイレベルだった。とにかく中盤でボールが取れる取れる。激しいフィジカルコンタクトで相手を潰してボールを奪うことも出来るし、クレバーなインターセプトも出来る。さすがはDFを本職としている選手だけはある。ここでボールが奪えるとチームは楽だ。

■クライトン加入
 パナの怪我による退団に伴い2ndステージに向けて獲得された新外国人がボランチのクライトンだった。1stステージ終盤は角田、吉村、山口K、大野が代わる代わるボランチを勤めたが、攻守のつなぎと前線へのボールの配給というシーズン前からチームの課題は改善されなかった。中でも類稀なパスセンスを持つ大野には大きな期待がかかっていたが、活動量やチームのバランス的にネルシーニョの好みに合わなかったようだ。そんな状況では新外国人のポジションがボランチに絞られるのも当然の成り行きだった。しかも守備専門ではなく攻撃に貢献できるボランチ。そこで白羽の矢が立った内のひとりが、ネルシーニョのかつての愛弟子であるクライトンだった。まあクライトンについてはこれまで散々書いてきているので詳細は省くけど、クライトンの加入によって中盤から前線へボールを運ぶこと、パスの供給という面では格段に向上した。ウェズレイが中盤まで下がってきてボール捌く回数を比べればそれは一目瞭然。これはこれで当初の目的は達成されてはいる。

■吉村&山口K
 シーズン序盤はベンチにも入れなかったが、次第に出場機会を増やし2ndステージはクライトンのパートナーとしてスタメンに定着したのが吉村だ。ハードワークは相変らずだが、対人プレー(特にテクニシャンタイプへの対応)にはまだ課題を残しているし、相手からボールを奪うことが出来ない。逆に攻撃面ではボールの配給を含めて少しづつステップアップしている。元々前線への飛び出しには非凡なものがあるだけに攻撃の組み立てにもっと積極的に参加できるようになれば、ネルシーニョも満足できるレベルにいずれ達することが出来るかもしれない。
 山口Kは怪我もあって終盤はコンスタントに出場機会を得られなかったこともあり、彼の持っているポテンシャルからすれば満足いくシーズンだったとは言えないだろう。山口Kはいわゆる汚れ役もこなせるし、なんと言ってもハイレベルな攻撃センスを備えている。パスも出せるしドリブルも出来る。1stステージ中など決してチャンスがなかったわけではない。そこでチャンスを生かせなかったことが全てなんだけど、こんなところで伸び悩んでいる場合じゃないから、来期以降も貪欲に成長して行って欲しい所だ。新シーズンからトップチームに昇格する高橋や来年高3の青山なんかのユースの後輩達に追い越されないようにね。間違いなく能力はあると思うし俺の中では吉村より評価は上。その素質の開花を願う。
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by tknr0326g8 | 2004-12-31 00:06 | Topics & Issues