Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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第4回 GO FOR 2014 CUP 三位決定戦 名古屋U18×浦和ユース @埼玉スタジアム第4グラウンド
 午前中に行われた三位決定戦で札幌に敗れた名古屋は1時間半のインターバルを置いて浦和との三位決定戦に登場。対戦相手が浦和ということもあってか、白のジャージに黒のパンツ、赤のソックスというトップチームでは有り得ない珍しい出で立ちでの試合となった。

 もしこれが決勝戦だったらメンバーの構成も微妙に変わっていたのかもしれないが、三位決定戦ということもあってか、第一試合に出ていない一年生を多く含んだメンバー構成で名古屋はこの試合に臨んで来た。今年の一年生は公式戦にほとんど出場していないこともあり、彼等を観るのは去年の高円宮杯以来ほぼ一年ぶりということになる。そんな名古屋のスタメンは↓な感じ。11人中一年生は4人。

     中根   川村

都竹   真柄   冨田   野崎椋

佐藤   渡辺   奥山   加藤凱

        伊藤

 去年のこの大会でも結局浦和とは当たらなかったので、あの一昨年の高円宮杯決勝以来となる浦和との対戦を楽しみにしていたのだが、試合はキックオフから一方的な名古屋ペースになった。名古屋がポゼッションしながら進める試合は、ボールを奪った浦和が反撃に転じようとしても名古屋が中盤で奪い返してしまう展開が続く。浦和は名古屋同様9:30キックオフの準決勝を戦った後、この試合(12:30キックオフ)の前に11:00~の<B戦>を戦っており、いくら二チーム分相当の戦力があるとは言え、三試合ぶっ続けはさすがにキツイと推測される。攻めに出ようにもすぐにターンオーバーを喰らってしまうのは、ミスが出たり動き(サポート)の量が少なく名古屋の中盤にアッサリ引っ掛かってしまうなど体力的な問題も小さくはなかっただろう。

 ただそんな浦和の状況を抜きにしても名古屋のパフォーマンスは素晴らしかった。特に目を引いたのは、およそ一年ぶりに見る真柄と冨田のWボランチ。抜群の運動量とアグレッシブさが売りのいかにも名古屋らしいハードワーク型のWボランチは、中盤でルーズボールを拾いまくったり、味方との連携で相手を挟みこんでボールを奪取して前にボールを運んだりとそのプレーテンポが心地良い。特に印象的だったのは、相手のタテ(トップ)に入れたボールに対して、プレスバックしてCBと挟み込むように潰していたシーン。一見どのチームでもある当たり前のプレーのようだが、トップチーム以下どのカテゴリーにおいても一貫してバイタルエリアを空けてしまう傾向がある名古屋において、こうしたプレーを普通に出来てしまうことが斬新だ。

 そんな名古屋は21分に川村とのワンツーで左サイドを抜け出した佐藤がペナルティエリアに侵入して豪快に左足を振り抜き先制。そして25分、ちょっと目を離した隙に(選手達がゴール後に掛け合っていた声から推測するにおそらく)中根が川村とのコンビでゴールを決めて2-0とリードを広げて前半を折り返した。二点目は、目の前にいた名古屋のDFラインが微動だにしていなかったことや、隣にいた浦和の父兄の人が「有り得ない」というリアクションをしていたことを考えれば浦和の最終ラインでのミス絡みだろう。

 後半も試合は名古屋ペース。約半数の選手が第一試合と連戦ということもあってさすがに時間の経過とともに動きが重くなってきてはいたが、ラスト10分を切り交代選手を中心ににわかに活気付いてきた名古屋は、29分にカウンターから途中出場の足立が頭でスペースに出したボールに走り込んだ野崎椋の右からのセンタリングにファーサイドで佐藤が合わせて三点目(途中都竹に代わって入った樫尾が左SBに入り佐藤が左SHにポジションを上げていた)。さらには終了間際の33分、落ちない運動量で中盤でボールを拾った冨田から水野へとボールが渡り、水野からのスルーパスに抜け出した野崎椋が鮮やかにネットを揺らして4点目を決めこの試合を締め括った。

 浦和を4-0と圧倒した名古屋は、メンバー的にも絶対数が足りずに苦しい中、大会3位という成績を残した。新チームとしてのいくつかの試み(例えば小幡や近藤の穴を誰が埋めるのか)や新しい組み合わせなどでも、年明けから始まる新チーム作りに向けてそれなりに収穫があった大会になったのではないだろうか。
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by tknr0326g8 | 2010-12-28 18:38 | Youth
第4回 GO FOR 2014 CUP 準決勝 名古屋U18×札幌U18 @埼玉スタジアム第2グラウンド
 三日間6試合にも渡るグループリーグを終えて、3勝3分のYグループ2位で決勝トーナメント進出を決めた名古屋は、準決勝でXグループ1位の札幌と対戦する。一年生の堀米、神田を筆頭にこの年代の代表クラスのプレーヤーを揃える札幌は、グループリーグで藤枝東に不覚を取ったものの、浦和や柏といったJ下部相手に確実に勝ち点3を重ねてきた。名古屋からしてみたら札幌は一年前の決勝で勝って優勝を飾った縁起の良い相手ではあるが、名古屋が何人かの主力メンバーを怪我で欠いていることを考えても今年はそう簡単には行きそうもない。

 この準決勝の一時間半後には決勝戦が予定されているが、名古屋としてはまずこの準決勝に集中というわけで、今いるメンバーの中でのベストの布陣を組んで来た。一年生は右SBの樫尾のみであとは二年生が固めている。大会二日目を見た時にはここに樋江井が加わる感じだったが、大会中に怪我でもしたのだろうか。

     川村   足立

佐藤   都竹   水野   加藤凱

渡辺   川本   奥山   樫尾

        石井

 条件的には両チームともにイーブンだが、一日二試合を三日間に渡ってこなしてきた選手達には心なしか疲労の色が見える。見るからに身体が重そうでミスが多いのは疲労と無関係ではないだろう。そしてそんな名古屋がボールを保持して進める試合は必然的にスローテンポな立ち上がりとなったが、名古屋にボールを持たせておいて、中に入って来たボールを引っ掛けてカウンターを狙うリアクション・フットボールがベースの札幌は、ボールを奪った時のスイッチの入りっぷりがハンパなく、そのスピード溢れる突破に対して、名古屋は時間の経過とともに守勢に回る時間が長くなっていった。

 しかしそんな展開の中で先制点を奪ったのは名古屋。名古屋イレブンの中でも特に身体が重そうだった都竹が、15分を過ぎたあたりからようやくボールに絡みはじめ、中盤からボールを持ち上がるシーンが増え始める。そしてそんな都竹の持ち上がりから中央の川村へパスが出されると、川村が相手のファール気味のチャージで潰れて、ボールは大外の足立の足元へ。これを足立が持ち出してゴールへとプッシュしたのだった。
 名古屋はその前にも佐藤が左サイドから内側へと持ち出したボールを水野がノールック気味にもう一回左サイドに叩いて、これを受けた渡辺がGKとDFラインの間に流し込んだクロスに足立が飛び込む(触れず)という惜しいシーンがあったが、少しづつ成長している足立がストライカーとしての本能を覚醒させて得点を量産し始めれば、このチームもワンランク上のレベルに行けるだろう。

 先制点を奪って意気揚がる名古屋だったが、そのリードを守ることが出来たのは僅か5分間。21分に二列目の飛び出し(オフサイドトラップの掛け損ない)から独走を許して同点ゴールを献上すると、27分にはせっかくマイボールにも関わらず、不用意なクサビのボールを待ってましたとばかりにインターセプトされて、スルーパスからスピードのある札幌・榊に突破を許し逆転ゴールを決められてしまった。

 こうなると名古屋としても再び点を取りに行かなければならないが、今のチームには攻撃面でどこを「強み」として打ち出すのかがまだハッキリしていないところがある。例えば去年この大会で優勝を飾ったチームであれば、FWや両SH、SBによる強烈な突破力といったものがあったが、今年のチームはそれが足立の190cm近い高さなのか、名古屋の代名詞であるサイド攻撃なのか、まだその姿がハッキリと見えてこない。足立の頭を狙ったボールなどは試合を見ていても(ゴールキックを除けば)皆無と言っていいので、チームがそれを意図していないことは明らかだが、例えばWボランチのところで水野が引いてボールをさばき、都竹が前線とのつなぎ役として前に出て行くような役割分担によって中盤を構成し、トップにボールを付けてそこに絡んで行くような良く見られる形にしても、それをゴールという結果に結び付けるためには「プラスα」が必要だ。それは個の力かもしれないし、アタッキングサードでのゴールを陥れるためのコンビネーションかもしれない。

 逆転を許した後も盛り返すことが出来ないまま前半を終えた名古屋だったが、ハーフタイムを挟んだ後半の立ち上がりは意外にも名古屋ペースになった。名古屋は攻撃面でアグレッシブに人数を掛けることで、より札幌陣内深いところでボールを持てるようになり、これが攻撃に好循環をもたらしている。しかし良いリズムを作りかけてはいるものの、名古屋がなかなかシュートが打てないでいると、次第にゲームの流れは札幌へと押し戻されてしまった。札幌はハーフタイム中に修正が入ったのか、DFと中盤のラインの間をコンパクトにして、川村がボールを受けるポジションを潰しているし、そんな中で名古屋が無理に入れてくるトップへのクサビをことごとくカットしてカウンターへとつなげてくる。

 そして名古屋は18分には右サイドを突破されるとその折り返し(マイナスのクロス)に走り込んで来た選手に合わされ三失点目。20分には今度は左サイドから持ち込まれてその折り返しがファーまで流れてきたところを再び後から走り込んで来た選手に豪快に決められ四失点目、さらに21分にはボックスまで侵入した堀米に鮮やかなフェイントからDFを抜き去り左足で決められ五失点目と、立て続けのゴールラッシュであっという間に試合を決められてしまった。

 名古屋もその後札幌GKがボールを持ち過ぎたとしてボックス内で得た間接FKを水野が沈めて1点返こそしたものの、反撃もそこまで。2-5という予想外の大差をつけられての敗戦は、名古屋にとっては来シーズン倒さなければならない天敵をまた一チーム増やしてしまったが、個々のプレーヤーのレベルも高く非常にソリッドな戦い方をする札幌が来シーズンどこまでやれるのかもぜひ注目したい。
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by tknr0326g8 | 2010-12-28 12:04 | Youth
高円宮杯(U-15) 準決勝 名古屋U15×神戸U15 @西が丘サッカー場
 名古屋の下部組織史上でも最高レベルのタレントを揃えている今年の名古屋U15。しかし今年はここまでその能力に見合った結果を残せているとは言い難い。この大会の東海地区予選でも準決勝で名古屋FCにまさかの敗戦を喫し、三位決定戦で今シーズン二敗している磐田を振り切ってなんとか本大会へとコマを進めてきた。
 しかしこの結果により全国大会の開幕戦をホーム(名古屋)で戦えるというアドバンテージを手放すことになってしまった名古屋U15だったが、負けた方が全国の切符を逃すというシビアな戦いを勝ち抜いたことで、逆にチームとしては失いかけていた自信を取り戻したのか、全国大会が始まると怒涛の快進撃。遂には優勝した99年以来となる西が丘(準決勝)の舞台へと辿り着いた。

 対する神戸は昨年のチームがスーパーなチームで、名古屋もクラ選の準決勝や高円宮杯のグループリーグで対戦しているが二度に渡ってその壁にはね返された。その意味ではこの試合はメンバーこそ違えど昨年のリベンジマッチとも言えなくもない。

 11年ぶりに西が丘のピッチへと姿を現した名古屋U15のスタメンは↓のような感じ。

       北川

        森
伊藤            桜井
     金    石川

松田  後藤   中島  若園

       板倉

 この大会から高田監督はU14のエース・桜井を飛び級で右SHのスタメンに抜擢している。もともとこのポジションにいたのが、去年の夏のクラ選(U15)などでは逆にU14(当時)から飛び級でスタメン入りしていた曽雌だったということを考えれば、いかにこのチームの競争が激しいかが分かるというもの。そうでなくてもこのチームでずっと試合に出続けているのは、北川、中島、松田、板倉ぐらいで、去年のプレミアカップの頃には早生まれの真柄やニッキに押し出される形で石川と森が右SHのポジションをめぐって争っていたり、後藤と若園が右SBのポジションをめぐって争っていたりしていたし、今年に入ってからも伊藤と宮市の左SHや金と石田のボランチ、若園と加藤のSBといったところで抜きつ抜かれつの激しいポジション争いが発生していた。そしてそれ以外にも児玉、直江、濱田といった他のチームであれば中心選手としてプレー出来る選手が控える陣容は層が厚く、桜井を筆頭に赤塚、笹沼といったU14からの突き上げもある。

 と少し話は逸れたが、この桜井の右SH起用(というよりかは北川との併用)は興味深い試みだ。今シーズンは北川が代表やU18の試合でチームを空けることも多く、そうした時にはよく一つ下のカテゴリーから桜井が飛び級で参加して北川の代役を務めていた。北川とはまた違った特徴を持つ桜井は、同年代ではサイズにも恵まれているもののフィジカルでゴリゴリといくタイプではなく、浮き球のコントロールが上手く独特のリズムで相手の間合いを外すようなドリブル突破が特徴のテクニシャン。得点感覚はもちろんのこと周りを使うのも上手いのでポストプレーも出来るし、ひょっとしたら1トップとしてなら北川より機能するかもしれない。実際、この桜井を1トップに据えた関東遠征でこの年代の最強チームのひとつと言われる東京Vやこの大会の準々決勝でも対戦した横浜FMを一蹴したりもしている。初戦の愛媛FC戦でスタメン表に北川と桜井の名前を同時に見かけた時は、北川との2トップや北川のトップ下や右サイドへの配置転換なども想像したが、桜井の右SH起用が正解。そして右SHとして起用されていた桜井は、依然と比べると随分とフィジカルレベルが上がっている印象で、攻撃に守備にと力強いプレーを披露していたのが印象的だった。

 試合はキックオフから1分と経たないうちに神戸のDFが負傷しそのまま交代を余儀なくされる波乱の幕開け。そして両チームともにどことなく落ち着かない雰囲気の中、北川が神戸CBの間でパスを呼び込むようにして抜け出し左足で放ったミドルシュートがバーをかすめるというプレーがキッカケとなりようやく熱戦の火蓋が切って落とされた感じだった。
 この年代では既に特別なプレーヤーであるとは言え、まだ本調子ではない北川の挨拶代わりの一撃だったが、もしあれを(効き足でない)左足でコントロールしてねじ込めるようなことにでもなれば、北川はU18を飛び越えてすぐにでもトップチームに合流した方がいい。

 アクシデントの影響か今ひとつ乗り切れない神戸に対して序盤は試合を優位に進める名古屋だったが、その攻撃はかなり中央に偏った展開が目立った。トップにボールを付けるところまでは悪くないと思うのだが、そこから先も中央突破を狙って少し強引な印象も受ける。
 このチームは、北川、森といったスペシャルなタレントを配するFWや、石川、金といった優れたセントラルMFに目が行きがちだが、チームとしてのパフォーマンスのバロメーターは実はサイド攻撃(特に左サイドの伊藤)にある。往年のライアン・ギグスを彷彿とさせるようなスピード溢れるドリブルで伊藤が自在に敵陣を切り裂いている時の名古屋はまるで打ち出の小槌のようにそこを基点として得点を量産するが、そこが塞がれてしまうと意外と苦戦するパターンが多いというのが俺の中でのこのチームに対する印象。
 そしてこの試合では、右サイドからは桜井と若園との絡みで何度か攻撃を仕掛けるシーンがあったものの、左サイドから伊藤がドリブルを仕掛けるようなシーンは数えるほどしかなかった。特に前半開始から15~20分ぐらいの間にいたっては、伊藤はほとんどボールに触っていなかったのではないかというぐらい。そしてそれは、名古屋が強引な中央突破を試みる中から掴んだ絶好のチャンス――中央で森から北川へとパスが渡り、北川が右から中へと流れながら左足で出した絶妙なスルーパスに反応した伊藤が抜群のスピードで一気にGKまで抜き去り右足で放ったシュートがポストを直撃した――においても微妙な影響をもたらしていたかもしれない。

 その後20分を過ぎたあたりから神戸もようやく攻撃に人数を掛け始め徐々に攻勢を強めてきた。神戸は昨年のチームと同様にボランチのところでボールを落ち着かせて上手く左右に展開してくる。こうなると今度は名古屋の守備力が試される番だ。そしてそこでは東海予選の頃には一歩間違えば崩壊寸前と言えなくもなかった名古屋ディフェンスの再生を僅かながら見て取ることが出来た。まだまだDF同士が重なってしまったり、中盤でボールを奪いに行って入れ替わられてDFラインの前のスペースをポッカリと空けてしまうようなシーンが時々見られるものの、カバーリングの意識や(特に攻守の切り替えにおける)ポジショニングには彼等も十分気を遣ってプレーしている様子が伺える。

 そうした展開の中で迎えた前半終了間際、またしても中央突破から名古屋にとっては待望の先制ゴールが生まれる。中央で北川と森が重なりながらも森がボールをキープして前線に上がって来ていたフリーの石川へ。これを受けた石川は京都DFが寄せてくる前に豪快にニアサイドをブチ抜いた。最高の時間帯での先制ゴールにより名古屋は1-0とリードを奪って前半を折り返す。

 後半もリズム自体は前半とそれほど変わりはなく、なかなか上手くボールが回らないのなら、ともにボールを動かせるWボランチをもう少し使ってゲームを組み立てても良いのでは?と思うのだが、前線に北川、森というボールが収まる選手がいるためか、名古屋はどうしてもタテにタテにと急いでしまう。後半は北川がサイドに流れてボールを受けるような動きも見られるようになったが、神戸は方向を限定しつつボールホルダーに対して二人、三人とグループで囲んでくる上手いディフェンスをするので(北川の場合はそれを一人で突破してしまっていたが)、名古屋のアタッカーが少しでも判断に逡巡していると攻撃はすぐに行き詰ってしまう。こうなると名古屋に得点が入るとすれば、北川と森にボールが収まった後の即興によるコンビネーションか、高い位置でボールを奪ってからのショートカウンターしかない。

 そんな名古屋が残り10分を切ったところで待望の追加点を挙げたのもやはりショートカウンターから。神戸が攻撃に移ろうとしたところを石川が鋭い出足でブロックすると、そのボールがつながりこれを拾った伊藤が左足一閃。鮮やかなミドルシュートが神戸ゴールへと突き刺さった。試合を決める美しいゴール。
 このシーンで守→攻の切り替えの役割を担ったのは石川だったが、この試合では石川とともに金のパフォーマンスが素晴らしかった。前へ前へと詰めていくディフェンスで神戸の攻撃を寸断し、名古屋の攻撃に連続性をもたらしていたのは間違いなく金だ。前にも書いたが、去年のプレミアカップの頃にはまだ繊細なテクニシャンの印象が強かった(泥臭い役回りは真柄が担っていた)金だが、今では中盤での的確な散らしや前線への飛び出しといった攻撃面だけでなく、守備面でもすっかり闘えるボランチへと成長を遂げ頼もしい存在となった。

 その後、前半と同じような形で北川からDFラインの裏へ飛び出した伊藤へのスルーパスが通りあわやというシーンなども作った名古屋は、桜井、金と動きの良かった選手が次々と交代してしまって一抹の不安を感じさせたものの、残り時間が少なくなってロングボールを放り込んで来る神戸の攻撃を後藤が滞空時間の長いヘッドでことごとく迎撃し危なげなく試合をクローズ。12/29に国立競技場で行われる決勝戦へとコマを進めた。「ヘディングの強い人」特有のオーラを発している後藤は、京都のスタイルを見る限り、決勝戦のキーマンの一人になるだろう。

 11年振りの優勝まであと一勝。試合を見ていると彼等のポテンシャルはまだまだこんなものではないと思うし、彼等ならもっといいサッカーが出来るとも思うが、ここまで来たらもうそんなことは関係ない。誰もが踏めるわけではない夢の舞台・国立で伸び伸びと彼等らしいプレーを見せて栄冠を勝ち取って欲しい。
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by tknr0326g8 | 2010-12-28 07:03 | Youth
第18回 F・マリノスカップ U-10 名古屋U10×横浜FMSPクラス @マリノスタウン
 午前中でGO FOR 2014 CUPを切り上げて横浜までやってきた理由は、名古屋U10が参加しているマリノスカップU-10を観戦するため。このチームは個々のプレーヤーを含めて全くの初見だが、昨年のチーム同様に12/5のサーラ・カップ決勝大会で優勝を果たしており、このマリノスカップに向けても期待がかかる。

 大会初日となった昨日は、最大のライバルである東京Vとスコアレスドローの後、あざみ野FC、藤沢FCを連破して上々のスタートを切った名古屋だったが、二日目となるこの日は、第一試合で昨年のこの大会でも対戦して敗れているFCパーシモンに再び敗戦。1位2位トーナメントに進むためには横浜FMSPクラスとのグル―プリーグ最終戦で勝利した上でパーシモンが敗れるのを待つという他力本願となってしまった。ただ昨年も同じような状態から逆転で1位2位トーナメント進出を決めているだけに、これは決して有り得ないシナリオではない。試合前のピッチ脇では佐賀監督から選手達に諭し聞かせるかのようなミーティングが行われていた。

 名古屋のスタメンは(プログラムの名前が合っているとすれば)↓のような感じ。

       手嶋(9)

田邉(7)         川地(12)
       杉浦(6)

 近藤(2) 山崎(10) 若林(11)

       出谷(1)

 去年のチームはFWに大会ベスト8にも選ばれた住田という中心選手がいて(今年は飛び級で6年生の大会に出ていた)、そこがチームとしてのひとつの軸となっている感じだったが、今年のチームは小柄でドリブルが得意な選手が多く、それがチームとしてのパーソナリティにもなっている印象。それもそのはずで、ドリブルから抜群のボディバランスに支えられた鋭いターンを見せるトップの手嶋(9)と中盤でセカンドボールを拾いまくっていた杉浦(6)、そしてDFラインにいながら鋭い攻撃参加を見せていた近藤(2=後半は7とポジションを入れ替わってアタッカーに入った)は早生まれ。左サイドの位置からスピード溢れるドリブル突破を繰り出していた田邉にいたってはひとつ学年が下のまだ3年生だ。
 それに比べると横浜FMSPクラスの選手達は一様に大きな選手が多い。いわゆる「サッカー的な」成長という面では身体の成長に比べてやや遅れているような感じはあるが、目先の結果にとらわれずこうしたサイズがある選手を鍛えて行くことはそれはそれで重要なことなのだろう。

 そして試合もそんな両チームの特徴を反映するかのような展開だった。
 名古屋は多彩なキックを操る最終ラインのゲームメーカー・山崎を中心にボールを動かしながら前線でのドルブル突破を仕掛けるスタイルで概ねゲームを優勢に進めていたが、左サイドからサイズを生かした豪快なドリブル突破で先制を許すと、クロスボールのこぼれ球をパワフルに振り抜かれたミドルで追加点、さらにハーフタイムを挟んで後半にはコーナーキックからGKの頭越しにファーサイドで合わされる形で2失点と、そのサイズ(やフィジカル)の差が如実に反映された形で常にリードを許す形を強いられてしまった。
 名古屋もDFラインからパスをつないで最後は中央のちょっと下がったポジションでボールを受けた手嶋が絶妙なスルーパスを横浜DFの裏へと通して、これに右サイド後方からのダイナミックなランニングで追い付いた川地が鋭いシュートを沈め一度は同点に追い付いたり(1-1)、後半には手嶋がカウンターから抜群の加速で横浜DFを振り切って抜け出しGKとの1対1を冷静に沈めて点差を詰める場面(2-3)を作ったものの、横浜DFの身体を張った守りにも行く手を塞がれ、最終的には2-4で試合終了のホイッスルを聞くことになってしまった。同時刻に行われていたパーシモンの試合で、パーシモンがグループ最下位の藤沢FCに敗れるという波乱が起きていたことを考えると、名古屋にとってはなんとももったいない敗戦ではあるが、コーナーキックから喰らった最後の2失点などは、頭を越されてしまうといかんともし難い失点ではある。

 グループ3位となった名古屋はA組4位にして昨年度のチャンピオン・レジスタFCと明日の9:40から3位4位トーナメント一回戦を戦う。優勝を懸けた1位2位トーナメント進出を逃した失望はあるだろうが、この大会で一試合でも多く試合をこなすためには、名古屋はまずこの試合に勝利しなければならない。
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by tknr0326g8 | 2010-12-26 02:36 | Youth
第4回 GO FOR 2014 CUP 名古屋U18×矢板中央 @埼玉スタジアム第4グラウンド
 名古屋U18が浦和そしてFC東京という名だたる歴代のチャンピオンチームを戴くこのGO FOR 2014 CUPで優勝を飾り(そして小幡がMVP獲得)新チームとしての華々しいスタートを切ったのはちょうど一年前の出来事だ。この大会は第一回王者の浦和がその年の高円宮杯優勝、第二回王者のFC東京がその年のJユースカップ優勝と、優勝チームにとって非常に縁起の良い大会だったが、この一年でU-16日本代表の三鬼が退団し、同じくU-16日本代表の高原が怪我による長期離脱、昨年のU17日本代表候補だった岸がいつの間にかベンチを温めるようになった名古屋U18は、結局今年タイトルを獲得することが出来なかった。しかし二年半前にクラ選(U-15)で優勝を果たした世代が最終学年を迎える来シーズンは名古屋U18にとっても大きなチャンスの年であり、新チームでのぞむこの大会をぜひ踏み台として次へとつなげて行って欲しいところ。

 昨日の第一日に神戸ユースと引き分け、浦和東に2-1と辛勝した名古屋は、この二日目に矢板中央そして岐阜工業と対戦する。

 名古屋のスタメンはこんな↓感じ。

     足立   川村

佐藤   都竹   水野   加藤凱

渡辺   川本   奥山   樋江井

       伊藤

 個人的に9月の高円宮杯以来となるこのチームの率直な第一印象は、声が良く出ていて活気があるなということ。それはいくらこれが公式タイトルでないとは言え、ちょっとリラックスし過ぎではないかと思えるほど。そこには気心の知れた仲間同士でプレーする喜びや楽しさのようなものが溢れていた。

 メンバー的な注目点は水野と都竹のWボランチ。新チームにとって間違いなく最大のポイントとなるのは、絶対的なエースだった10番・小幡が抜けた左SHとキャプテンであり文字通りチームの「心臓」だった近藤が抜けたボランチをどうやって埋めるのかであり、そこでは今シーズン本来とは違うポジション(左SB)でプレーしていた都竹の存在を抜きに語ることは出来ない。そしてサイドにはこの試合でも起用されていた佐藤(高円宮杯でハーフタイム中のアップを観ていた時に無回転系の弾丸シュートをビシビシとゴールネットへと突き刺していた)やU-15時代に鮮烈な印象を残している岩田がいることを考えると、都竹にとってのファーストチョイスはボランチということになるし、U-15時代に二列目(トップ下)に二枚並ぶインサイドハーフの一人だった都竹が1ボランチの水野に対して気の効いたサポートを見せていたことを思い出すと、現時点では都竹のボランチ起用は最適な選択であるとも言えるかもしれない。

 試合は立ち上がりから名古屋がコントロール。コンパクトに保ってはいるもののどこでボールを奪うのかがハッキリしない矢板中央に対して、名古屋は中央でタメを作って相手を喰い付かせておいて一つ外を使ったり、DFラインの裏を狙うような展開で矢板中央のブロックを振り回す。フィニッシュの精度が足りなかった前半は、得点こそカウンター(速攻)から左サイド佐藤の折り返しに中央で足立が詰めた1点のみだったが、右サイドをエグった加藤凱からの折り返しを中央で川村が放ったシュートや、中央でつないだパスから加藤凱の放ったシュート、足立が相手GKにプレッシャーを掛けて奪ったボールを前線に飛び出して来た都竹が放ったシュートなどはいずれも打った選手が思わず頭を抱えるぐらいの超決定機と呼べるもので、これらのシュートが枠に飛んでいれば、試合はもっと名古屋のワンサイドになっていただろう。

 GKのみを石井に代えて挑んだ後半は、左サイドでパスをつないで佐藤が川村に入れたボールを、川村がドリブルで中央に流れながら大外を駆け上がって来た樋江井にパス。これを受けた樋江井がそのまま持ち込んで豪快にネットを揺らすと、足立と川村の連動したGKへのプレスからこぼれたボールをやや距離のあるところから都竹が無人のゴールへと蹴り込んで3点目、さらには再びバイタルでボールを受けた川村からのスルーパスに抜け出した加藤凱が決めて4点目とちょっとしたゴールラッシュが沸き起こった。

 そうした展開の中で目立っていたのは、川村と水野だろうか。川村は前線で、水野は中盤で、良いアクセントとなってパス回しに変化を与えていた。得点シーンの記載でも出てきた川村は、記念すべきトップチームの優勝決定号となった12月の「GRAN」のユースコーナーの中で小川監督がシュートセンスを含めたその得点感覚と技術を絶賛していたが、いわゆる「間」でボールをもらうのが上手く、その辺りからは個人戦術のレベルの高さも垣間見られる。中盤で名古屋の攻撃にリズム作りまた変化を与えていた水野は、俺なんかが普通に流れに沿って観ていると「こっちに出すんだろうな」と思う方向とは逆方向やその先にパスを出すようなシーンが何度かあり、またそのパスをことごとく成功させていたのだから恐れ入る。ユースに上がってからのこの二年間、プレーが少し淡白だったり小さくまとまりかけているような時期もあったように感じたが、ようやくその高いポテンシャルに見合ったパフォーマンスを発揮しつつあるのかもしれない。こうしたパフォーマンスを厳しいプレッシャーの中そしてワンランク上の相手にも発揮出来るようにしつつ、あとは阿吽の呼吸でゴールを紡ぎ出す「相棒」高原の復帰を待ちたいところだ。
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by tknr0326g8 | 2010-12-26 02:32 | Youth
高円宮杯 名古屋U-15 登録メンバー
1 GK 板倉徹汰 (176/79)
2 DF 後藤弘樹 (175/60)
3 DF 加藤良真 (169/60)
4 DF 赤塚竜馬 (168/65)
5 DF 松田翔平 (172/60)
6 MF 石川大貴 (180/76)
7 MF 曽雌大介 (165/58)
8 MF 金来遠 (170/58)
9 FW 北川柊斗 (176/64)
10 FW 森勇人(CAP)(169/60)
11 MF 伊藤昌記 (163/58)
12 DF 若園敦貴 (172/58)
13 MF 濱田恭輔 (164/47)
14 DF 中島康輔 (175/66)
15 MF 直江翔悟 (172/50)
16 GK 近藤大河 (177/73)
17 FW 児玉海 (173/56)
18 MF 石田雅俊 (172/56)
19 FW 桜井昴 (170/63)
20 MF 笹沼孔明 (166/52)
21 DF 大橋祐太朗 (169/55)
22 GK 佐藤快 (169/54)
23 FW 藤島樹騎也 (151/41)
24 MF 青山景昌 (162/50)
25 DF 吉住幸一郎 (167/55)
26 MF 杉原啓太 (170/55)
27 DF 吹ヶ徳喜 (171/57)
28 FW 杉森考起 (151/40)
29 FW 森晃太 (153/44)
30 GK 柏木大輝  (169/62)
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by tknr0326g8 | 2010-12-18 05:29 | Youth
トレーニングマッチ 東京Vジュニアユース×名古屋U14 @よみうりランド
 昨日から関東遠征を行っているらしい名古屋U14の今日の対戦相手は東京Vジュニアユース。公式HPによれば昨日は(おそらく昨年5月のKASHIMA招待以来の再戦となる)FC東京むさしを3-0(1-0/0-0/2-0)で破ったとのこと。ただメンバーだけ見れば、今年のAudax-WillemⅡ国際ユース大会(昨年北川柊斗がMVPを獲得した大会)でMVPを獲得した中野雅臣を筆頭にこの年代の国内選抜チームにも何人か人材を輩出している東京Vの方が格上かもしれない。

 名古屋はおそらくU-15の北川柊斗がU-16日本代表のヨルダン遠征に狩り出されている影響で、今日のU15東海リーグ(磐田戦)にこのチームのエースである桜井が招集されているのだろう、この遠征には帯同していないようだった。ただ桜井の場合は、先週のU15東海リーグ・清水戦や、6月に同じここよみうりランドで行われたU-15のヴェルディとのトレーニングマッチにも出場しているので、今回が特別なケースではない。その他今年のプレミアカップの主力で言えば、ナショトレにも選ばれている川村悠輔が怪我でもしたのか、遠征には帯同しているものの試合には出場していなかった。

 そんな名古屋のスタメンは、↓のような感じ。桜井不在のFWには青山が入り藤島とタテの関係の2トップを組む。

       青山
       藤島

杉原  奥田  笹沼  高尾

大橋  赤塚  吉住  長谷川

      柏木

 試合は立ち上がりから名古屋ペース。後方からパスをつないでゲームを組み立てようとする東京Vに対して名古屋の前線から連動したプレスがハマり、面白いようにインターセプトが決まる。そして右サイドでボールを奪った名古屋は、吉住のクロスにゴール正面で杉原が左足で合わせて幸先良く先制に成功した。

 ただ名古屋はデイフェンスが上手くハマっていると言っても、相手にボールを持たせてカウンターを狙うようなスタイルではなく、ボールを持つと個々のプレーヤーがディフェンスの「間」でボールを受けるポジショニングが徹底されていて、ワンタッチでのテンポ良いつなぎから鋭いクサビを入れ、そこを基点にDFラインの裏を狙う形が上手く機能していた。そしてそれ等とともに前線では青山のパワフルなドリブルを武器とするアグレッシブなプレースタイルが良いアクセントになっている。

 攻守に良いイメージを持ってプレーしている名古屋は、コーナーキックでもショートコーナーからファーサイドに合わせる形などがかなりこなれた印象を受け、先週見たU15やU13と比べてもチームとして戦術的な習熟度はかなり高いように感じられた。それはさりげない場面でも節々にその兆候が見受けられ、例えばサイドバックがオーバーラップした後、相手ボールになった時にサイドハーフの選手が普通にその穴を埋めているようなシーンなどもそれに当たるだろう。
 そんな中、個別のプレーヤーで目に付いたのは左SHに入った杉原。左足の太股にテーピングを巻いていた負傷の影響か前半のみで交代してしまったが、プレミアカップまでボランチをやっていたためか、攻守に渡っていわゆる“気の利いた”プレーを連発していて、そのクオリティも高かった。

 前半を良いリズムでプレーし続けていた名古屋は、左サイドでボールを奪うと、杉原が相手を引きつけながらキープしたボールを大橋に戻す。そこから中央の笹沼、奥田を経由してDFラインの裏に出たスルーパスに藤島が抜け出しゴール前へと折り返すと、ゴール前にはプッシュするだけの高尾が待ち構えていた。鮮やかなパスワークからの追加点。

 後半になると名古屋はプレミアカップで見られなかった選手達が続々登場するが、前半よりもプレッシャーを強めてきたヴェルディに対して、パスの出しどころがなくなり判断が遅れてボールを奪われカウンターを喰らう場面も多くなった。なかなかアタッキングサードまでボールを運べなった名古屋に対して、ヴェルディは小柄な12番の選手が名古屋のDFラインとボランチのスペースに入り込んで基点になっている。

 最後は耐える時間帯が長かった名古屋だったが、カウンターから1失点こそ喫したものの、ヴェルディのPK失敗もあって最終的にはは2-1のスコアで勝利。ヴェルディに対して厳しい時間帯を凌ぎ切ったことも彼らにとっては良い経験になるだろう。
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by tknr0326g8 | 2010-10-17 23:59 | Youth
ボルケーノ(U-13) 名古屋U13×磐田ジュニアユース @トヨスポ
 U15東海リーグの後は、第1グラウンドに移動してトップ(セカンドチーム)のトレーニングマッチを観戦するか、第2グラウンドに居座ってボルケーノ(U-13)を観戦するかで思案した揚句、ボルケーノ(U-13)を選択。ただでさえ全国レベルでは公式戦がないU13で、ローカル大会とは言え公式戦が見られる機会などそうそうない。来年からはプレミアカップも世界大会に合わせてU15の大会になってしまうようだし、これを逃すわけにはいかない。

 この世代の名古屋は言わずと知れた、クラブ史上初の全少優勝を達成した世代であり、その時のチームがこのU13でもベースになっている。その意味ではジュニアチームを持たない磐田や清水といった静岡のJ下部とチーム立ち上げ時点でチーム力に差があるのは当たり前で、むしろこれから他のチームがチームとして力をつけてくる中でどれだけそのアドバンテージを保てるかの方が重要だ。

 名古屋のスタメンは下のような感じ。何人かの選手で顔と名前と背番号が一致しないので一応背番号表記で統一。昨年のU-12の時からこのチームは小柄な選手が多かった印象があるが、外部から何人かの選手を入れた今でも全体的には小柄な部類に入るだろう。まだ中学一年生なのでこれから身長が伸びる子も多いだろうが、選抜チームで大きな子を選んでいるような感じの磐田と比べると、まるでひと学年違うかのような印象すら受ける。

    10   9

14   15    7    6

3    17   19   2

       1

 試合は立ち上がりから名古屋がボールを支配しているものの、なかなか磐田の最終ラインを越えることが出来ず、逆に(名古屋にとって)右サイドからのアーリークロスに対してナナメに走り込んで来た磐田の選手にDFラインを抜け出されて、名古屋は早々にリードを許す展開になってしまった。上でも書いたようにチーム力としては明らかに名古屋が上なので、試合だけを考えればこれで面白くなったわけだが、名古屋からしてみれば一瞬集中が切れたような形での失点は反省材料だろう。

 一方名古屋の攻撃は左サイドからの形が中心だ。ともに外部からやって来た(14)と(17)は、それぞれ昨年のチームにはいなかった特徴(二人ともサイズがあり、(17)はフィードが上手いDF、(14)はパワフルなドリブルが持ち味のアタッカー)を持っていて面白い存在ではあるが、そんな(14)の動きをオトリにして大型左SBの(3)が豪快なオーバーラップを掛けるのがこのチームのひとつのパターン。チームとしても(3)の攻撃力を生かすために(そこから遡って)戦術の整理を行っているのだと思うが、(14)のポジショニングや(3)のオーバーラップするタイミングに対しては、ベンチから終始厳しい「指導」が飛んでいた。

 このチームの顔と言っていい(9)と(10)の2トップについても、(9)が相変わらず抜群の加速を誇る飛び出しで観客のどよめきを誘えば、GWのプレミアカップで一つ学年が上のチームでもほとんどレギュラーとして活躍した(10)が相手守備のスキ間スキ間に入り込んでボールを受けては、鮮やかなターンで自分の周りに空間を作り出して観客をうならせていた。

 個人的には、このチームでセントラルMFのポジションを任され、ひと際小柄ながらファイティングスピリット溢れるプレースタイルで速い潰しとそこから前線へのパス出しによってチームにテンポを与えていた(15)のプレーが印象に残った。ある意味でとても名古屋っぽいCMF。同じポジションにキャプテンを欠く中での出場だったが、ひと言で言えばこのポジションの重要性ややるべき仕事を理解しているような選手だった。

 1点のリードを与えたまま後半を迎えた名古屋は、メンバーチェンジとともにフォーメーションにも微妙に手を加える。

    10   14

9    7    6    18

3    17   19   2

       1

 前半に何度もベンチから「裏に抜ける動き」を要求されていたサイドアタッカーの(14)が最前線に移動。これで(14)はいやが上にも清水DFの裏への走り込みを意識せざるを得ない。そして左SHにポジションを下げたエースストライカーの(9)と対をなすように右SHに入った(18)のスピード溢れる突破によって後半の名古屋は攻撃にリズムを取り戻していた。

 同点ゴールもそんな(18)の右サイドを割るプレーからで、(6)がサイドに振ったボールを(18)がマイナスに折り返すと、中央でこれを受けた(10)がチョコンとインサイドでGKの頭越しに狙ったシュートだった。これはGKに身長の絶対量が足りないこの年代ならではのゴールとも言えるが、ゴールへのイメージやアイデアは褒めたいところ。ひとつ前の試合(U-15東海リーグ)で同じ背番号10を背負ってプレーしていたお兄さんと同じポジションでプレーしそっくりなプレースタイルの(10)だが、置かれている立場や環境(周りのチームメートなど)によって少しづつプレーの特徴が分かれてきたのかなという印象も受けた。

 その後試合は名古屋はベンチからの指示もあって、前線を(9)と(14)の2トップ、その下に左から(7)(10)(18)が並び、(6)がワンボランチに入る攻撃的なシステムへと移行し、得点を奪うことそしてこの試合に勝利することへの執着を見せる。しかし名古屋はせっかく2トップにしたのに二人の動きが微妙に被ってしまったりして連動性がなかったりなど、システム変更を上手く消化し切れず攻撃に迫力を持たせられない。そしてカウンターからワンツーで中央を突破され逆に痛恨の決勝ゴールを許してしまった。

 ジュニアとは違うが、何もかも自分で考えてプレー出来るほど戦術的に成熟してもいないU13という微妙なカテゴリーゆえか、このチームはスタッフが一定のフレームを与えた上で、そのフレームを機能させるためにそれぞれにプレーヤーがしっかりと考えてプレーすることを求めているような印象。そしてこの試合では、公式戦でありながらスタッフもこのチームにとってどんなプレームが合っているのか試しながら試合を進めていたような感じだった。そしてこの年代では選手達にも決して引き出しが多いわけではないので、求めるようなプレーが出来ていなければ結構ダイレクトな指示が飛んでくる。選手達はまだまだ学んでいくことが多いだろうが、それを着実に吸収していつか再び全国の舞台で輝いて欲しい。
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 この年代だと試合時間も短いので、試合終了後はさっそく第1グランウンドへ移動。トップ(セカンドチーム)のトレーニングマッチを後半途中から観戦。今までU13(の中でも小柄な部類に入る選手達)を見ていたせいもあってか、FC岐阜の選手達を中心にやたらと選手達が大きく見える。そして名古屋の最前線には、そんな岐阜の選手達に全く引けを取らないサイズの、大型センターフォワード(背番号37)がいる。普通に巻がフルタイムで出ているものだと思っていたので、一体どこの大学から来た練習生なのか?と思って見ていると、これがユースの足立で、それ以外にも左ウイングには川村、CMFには水野、そして右SBに加藤翼とユース組が配されていた。

 試合は俺が観ている時間にスコアが動くことはなかったが、正直このメンバーだったらこちらから出向いてでもトレーニングマッチをしてもらいたい岐阜に対して、名古屋のセカンドチームがカウンター主体ながら久場が何度か決定機を迎えるなど善戦しているようだった。ここのところWEBで結果だけ観ていると、(フェルフォーセン時代のように)簡単に大学生やアマチュアに負けているので少し心配していたのだが、前日の天皇杯での花井のゴールが良い刺激にもなっているのかもしれない。シーズンもラストスパートのタイミングではあるが、この中から一人でも二人でもトップチームに絡む選手が出て来て欲しいところだ。
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by tknr0326g8 | 2010-10-12 05:08 | Youth
U15東海リーグ 後期 名古屋U15×清水Jrユース @トヨスポ
 天皇杯で花井のプロ初ゴールが見られたのはうれしい誤算だったが、今回の名古屋遠征最大の目的はこの試合。歴代最強のタレントが揃っていると言っても過言ではない名古屋U15と夏のクラ選全国大会を制した清水エスパルスジュニアユースによるU15東海リーグ首位攻防戦。ユースニュースにあった高田監督のコラムによれば、名古屋はこの試合に勝利すればリーグ優勝と高円宮杯出場が決定するらしい。なお今行われているこのU15東海リーグは後期にあたり、6月に行われた前期の試合では名古屋が2-0からの逆転負けを喫している。

 名古屋はベストメンバー。基本的なフォーメーションは下↓のような感じで、北川と森が縦関係の2トップ、Wボランチの金と石川は金がより前めで石川がアンカーのようなポジションを取ることが多い。

       北川

宮市    森      曽雌
    金
        石川

松田  中島  後藤  加藤

      板倉

 試合前の名古屋イレブンの様子を見ると、前期リーグで清水に負けた雪辱そして全国王者を倒すというモチベーションによってかなり気持ちが入っていながらも、ピッチに舞う強風を確認し合う冷静さも持ち合わせているようだった。メンタル面での準備は悪くなさそうだ。

 試合はキックオフから両チームともにアグレッシブな入り方を見せていたが、そんな球際で激しく競り合う展開の中で先にペース掴んだのは清水の方だった。この代の名古屋は他の代と比べてもサイズに恵まれている方だと思うが、清水のそれは名古屋以上。一見高校生かと見間違うほどのサイズとフィジカルを有する選手達がよく鍛えられいる印象を受ける。そして清水はそのアドバンテージを生かすように、中盤での激しいプレスによって名古屋のパスワークを遮断し、ボールを奪うと縦に速いカウンターで名古屋ゴールに迫る力強い攻撃を見せていた。名古屋も個の能力では決して負けていないので、前線にボールが入ればチャンスを迎えられそうな雰囲気はあるのだが、いかんせんそこまでボールが行き渡らないし、仮にボールが渡ったとしても攻守の切り替え(中盤のプレスバック)が速い清水に対して個人技主体の単騎突破ではどうにも分が悪いのは明らかだった。守備についてひと言で言えば、最終ラインに到達する前に中盤でフィルターが掛かっているのが清水で、掛かっていないのが名古屋といった感じ。

 そうして少しづつ清水へと傾いていた試合の流れはいつしか清水のワンサイドゲームへと移行していく。自陣へと押し込まれて苦し紛れのクリアボールを蹴るのがやっとの状態の名古屋は、セカンドボールをことごとく清水に拾われて二次・三次と攻撃を浴び続ける。ほとんどハーフコートのような様相を呈してきた試合に、清水のクラ選王者たる由縁を実感せざるを得なかったが、逆にここまま清水がハイペースで飛ばしていることを考えれば、なんとか最終ラインが中心となってこの時間帯を耐え切れば、後半に名古屋自慢のアタッカー達の個人技が生きる場面も出てくるはずだ。

 しかしそんな目論見を打ち砕くかのように、清水は攻勢から得た右からのコーナーキックで、中央でマークを振り切った18番の選手がダイレクトボレー。豪快なゴールが名古屋ディフェンスを突き破った。清水からしてみれば攻め続けていた中で奪った理想的な時間帯でのゴール。

 清水が先制したことで試合の流れがどう変わるのかなと思って見ていたが、残念ながら試合のペースはその後も大きくは変わることなく相変わらずの清水ペース。さすがに名古屋が自陣から出られないというようなことはなくなったものの、名古屋は一向に攻撃の形を作れる気配がない。サイドからシンプルにクロスを放り込んもそれが際どいシーンを演出する清水と違って、フィジカルで劣る名古屋が攻撃に色々と味付け(工夫)を施さなければならないのは仕方のないところだが、清水の明確な意図を持ったディフェンス組織を前に窮屈な戦いを強いられている名古屋は、中途半端なパスが次々と相手のブロックへ吸い込まれて行く。名古屋にとっては唯一ボールが落ち着くのはピッチの真ん中で石川が持った時で、そこから一本のパスで前線の選手が裏に抜け出すぐらいしか得点の可能性が見えてこない。今年のメニコンカップMVPで将来の夢はバロンドールというこのセントラルMFが名古屋にとっては生命線だ。

 そしてこの展開で前半0-1なら悪くないか…と思っていた前半終了間際、名古屋は痛恨の連続ゴールを許してしまう。カウンターからシンプルにクサビを入れられトップにボールを預けられると、意表を突くヒールで後ろに流され、走り込んだ選手が右足で蹴り込み二点目。さらにその直後には右サイド深い位置(ペナルティエリア)でキープされると、そこを基点として後方から絡んで来た選手に撃ち抜かれて更に追加点を許してしまった。2-0からの逆転なら、このチーム自身が今年に入って二度も喰らっているくらいなので逆に現実味があるが、この清水相手に3点のリードを許す展開はさすがにキツイ。

 後半、名古屋は宮市に代えて伊藤を投入し攻撃の建て直しを図る。前半左サイドのスペースを使って何度かチャンスを作りかけていたので、そこがひとつの狙い目と踏んだのかもしれない。個人的には、この代の清水のGKが(ポジショニングが悪いのかボールの落下地点を読むのが上手くないのか)頭の上を越されるゴールを、去年のプレミアカップや今年のクラ選で見ているので、そういったあたりを積極的に狙ってみても面白いと思ったのだが、試合の最中は全くと言っていいほど指示を出しに出て来なかった高田監督はどんな策を授けたのだろう。

 しかしエンドが入れ替わっても衰えない清水のプレスを前に名古屋は相変わらず自分達のつなぐサッカーをさせてもらえない。そして向かい風の影響もあって名古屋のフィードがズレがちなのに対して、清水は追い風を利用してループシュートを放ったりとコンディションも利用して伸び伸びとプレーしている。名古屋に同点そして逆転チャンスがあるとすれば、後半の立ち上がりに一点でも返しておくことが必要不可欠な条件だったが、清水はそこに突け入る隙を与えてくれなかった。

 その後ボランチに石田が投入されたあたりから、石田の積極的な前線への飛び出しもあって名古屋は攻撃が活性化されたものの、そんな最中、右サイドのスペースに出されたボールを拾われると、そのクロスからファーサイド頭ひとつ抜け出たヘディングシュートを叩き込まれてリードをさらに広げられてしまった。まあ試合とはこんなようなものだ。

 ただ名古屋としてもこのまま引き下がるわけにはいかず、ここまで来たらもう開き直って点を取りに行くしかない。ベンチも右サイドの曽雌に代えて前線に桜井を投入。前線にボールが収まるポイントをもうひとつ作る作戦に切り替えたようだ。前半から選手間の距離が遠くそれぞれが孤立してしまっていたことを考えれば、正直これはもう少し速くトライしても良かったかもしれない。そしてリードが4点になったからなのか、それとも終盤になって体力が落ちて来たのか分からないが、清水の動きがようやく落ちて来たこともあって、ようやく名古屋の反撃が始まった。

    桜井  北川
       
伊藤   森      石田
        石川

加藤  中島  後藤  若園

      板倉

 そんな名古屋に得点がもたらされたのは、石田と同じタイミングで途中交代で出て来てよく攻撃に絡んでいた右SB若園の攻め上がりから。その意味ではこれらの交代策は的中していたことになる。若園がボールを持って攻め上がりゴール前に速いクロスを送り込むと、これがファーサイドまで流れて伊藤がこれを拾う。伊藤が得意のドリブルでゴールライン際までエグッてマイナスに折り返すと、これに後から走り込んだ石川が詰めたのだった。そしてその後も北川や桜井がボックス内で良い形でボールを受けシュートチャンスを作り出していた。
 しかしようやくセカンドボールも拾えるようになった好循環の中でさらに一点でも二点でも返せればよかったが、相手GKの好セーブやDFの身体を張った守りもあり、残念ながら名古屋が返せたのは一点だけで、結局試合はそのまま1-4で終了。U15東海リーグでの名古屋の優勝、そして高円宮杯へのストレートインへの道は遠のいてしまった。

 フィジカルの差ももちろん大きかったが、率直な感想を言えば、クラ選で最後まで勝ち抜いたチームとベスト16で敗退してしまったチームとでは、チームとしての完成度に大きな隔たりがあった。チームとしての基本形があった上で名古屋に勝つにはどうしたらいいかをよく考えてチームとしてプレーしていた清水と、それらが選手個々の判断に委ねられている印象の名古屋。選手個々の能力はとても高いので、相手との間に力の差があれば何ら問題なく(自分達で考えて修正を施しながら)試合を進められるのだろうが、この試合のように自分達と同等かそれ以上の相手と対峙した時が名古屋にとっては正念場。それでもなお自分達の特徴を発揮出来るのか、それともこの試合のように個の力がバラバラに分解されてしまうのか。高円宮杯では、この試合を経験したからこそ身に付けられたと言えるようなチームとしての進化を見せて、もう一度清水にチャレンジして欲しい。もっともその前に来週は「全国2位」の磐田にリベンジすることが優先課題ではあるが。
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by tknr0326g8 | 2010-10-11 09:17 | Youth
高円宮杯(U-18) 静岡学園×名古屋U18 @藤枝市総合運動公園サッカー場
 グループリーグ最終節で横浜と引き分けなんとか決勝トーナメント進出を決めた名古屋。中一日で迎える決勝トーナメント・Round16の相手はプリンスリーグ東海でも戦った静岡学園だ。高円宮杯は、夏のクラ選や高校総体、冬の高校サッカー選手権のように二日続けての連戦はなく選手のコンディションに配慮している(炎天下での試合は除く)し、トーナメント進出を賭けたグループリーグ最終節は同グループ同時間キックオフの原則が守られて公平性も確保されているが、なにぶん一ヶ月の長丁場ともなれば、決勝トーナメントが佳境を迎える頃には、毎週関東と地元を行ったり来たりする地方のチームと関東のチームとの間でコンディションに明らかな差が出てくることも少なくない。もっともこうした大会を行う以上どこかがそういったホームアドバンテージの恩恵を受けることになるのだが、関東以外で最もそれに授かっているのが静岡勢で、例えばこの静岡学園はグループリーグ三試合をいずれも今日の試合会場でもある藤枝で行っている。自宅(もしくは寮)から現地集合で試合会場へと出向けて、試合が終われば夕食の頃には自宅で食卓にありつけるような環境は、特にこの中一日での試合では大きくものをいうだろう。逆に言えば、俺が東京から電車で観戦に出向いて帰って来ただけで翌日までグッタリしてしまった前橋で二日前に試合を行ったばかりの名古屋にとって、これは大きなハンディキャップとも言える。ただ今更それを嘆いても仕方ないので、名古屋とすれば、グループリーグで三菱養和や横浜FMといった関東の強豪チームと対戦してきた経験、そして苦しい試合を覆して来た強いメンタリティをもってそれを埋めていくしかない。

 名古屋の先発はこんな↓感じ。

    足立  川村

小幡  水野  近藤  加藤翼

渡辺  川本  奥山  金編

      古川

 大学受験で前節を欠場した10番の小幡、そして正GKの古川がスタメンに帰還。FWの一角と左SBには前節に引き続き足立と渡辺が入っている。前節は足立と大西という185cm超級の2トップだったが、ベンチとしては特別な破壊力を持つ大西を「切り札」としてベンチに持っておきたいのだろう。

 そして試合は序盤、そんな名古屋のペースで進む。高い位置でボールを奪えている名古屋は、そこからのショートカウンターで度々静学ゴールを脅かす。その中心にいるのはもちろんキャプテンの近藤で、中盤でボールを刈り取ったかと思えば、積極的に前線へと飛び出して行って小幡とのコンビネーションでシュートへと結びつける。
 さらにこの立ち上がりでは右サイドから加藤翼がキレのあるドリブルでチャンスを作り出すシーンが目立った。この試合ではワイドに張るというよりも内側から静学ディフェンスへと切れ込んで行く場面が多く見られた加藤だが、この良い時間帯に見られた、右サイドから走り込んだ加藤翼にパスが通って加藤の放ったシュートが相手DFに当たってコースが変わりポストをに弾かれたシーンなどは立ち上がりのクライマックスと言ってもよかっただろう。
 ただ試合を終えて振り返ってみれば、名古屋にとって唯一このキックオフ直後の時間帯だけが思い通りのプレーを出来た時間帯であり、彼等が残された体力の中でかろうじて気持ちと身体のバランスを保ってプレー出来る時間帯だったのかもしれない。その意味では名古屋からしてみればこの時間帯にゴールを奪えなかったことが致命傷となってしまった。

 対していつの間にかFC岐阜っぽいユニフォームになっていた静学は、序盤こそ名古屋の出方を伺っていたものの、中盤から後ろでボールを持つと常に2~3人(多い時は誇張抜きで4~5人)が名古屋DFラインの裏を狙って走り出しそこに縦パスを送り込むダイレクトプレーでチャンスを作り流れを引き寄せる。この大会で一本の縦パスによってDFとDFの間(特にSBとCBの間)を抜かれてしまう場面が目立つ名古屋は、やはりこの試合でもそこを狙われているようだった。これは例え相手が名古屋を研究していなくとも試合が始まれば誰の目にもギャップが出来ていることは明らかなので、静学もおそらく試合の中で意識・無意識を問わず見付けることが出来たのだろう。そしてそのギャップを狙って飛び込んでくる相手に対して名古屋はCBの奥山を筆頭にボックス内(或いは近辺)で難しい対処を迫られていたが、粘り強い守備でなんとか水際でこれを喰い止めていた。しかしSBが出て行く出て行かないの判断や、(SBが)出て行くなら出て行くでカバーリング(やDFライン全体のスライド)をもっと速くしてやらないと、これではいつやられてもおかしくない。

 そして20分過ぎにコーナーキックからニアサイドに飛び込んだ選手のドンピシャヘッドをゴールライン上で渡辺がクリアしてほっとしているのも束の間、名古屋は静岡学園に先制点を献上してしまう。左SBの渡辺がヘディングでクリアしたボールがそのまま相手に渡ると、その選手が渡辺の裏(すなわち渡辺と川本のギャップ)にボールを流し込む。川本がカバーに行こうとするも間に合わず、これをもらった選手がドリブルで中央へと切れ込んで行くと後から追走した渡辺がペナルティエリア内でこれを倒してしまいPKを与えてしまった。

 先制したことで好きなようにプレーし始めた静岡学園とは対照的に、これぐらいの時間になると名古屋の攻撃には早くも沈黙の気配が漂い始めていた。攻撃を組み立てようにも前線にクサビのボールが収まらないので名古屋はゴールに近付くことが出来ない。これは何もクサビを受ける側だけの問題ではなく、出す方にもそのパスにズレが生じていたので、(「疲れ」という要因を差し引いたとしても)受ける側も出す側もまだまだ技術を磨いていく必要があるということだろう。ならばと現在のチームで最も機能しているボールを奪ってからの速攻を仕掛けようとすると、静学は攻→守の切り替えにおける危ない場面ではプロフェッショナルファールを使って上手くこれを寸断することに成功していた。静学にはどことなくブラジル的な上手さ・いやらしさがある。

 後半になると、静学はいつの間にか9番の鈴木と11番の廣渡がポジションチェンジしており、前半はメインスタンド側だった(静学にとっての)右サイドに大型FWの9番がいてトップに小柄な11番がいることにどことなく違和感があったが、鈴木(9番)がトップに入り廣渡(11番)が右サイドに配置転換されたことでこの違和感は解消。そして後半の名古屋ディフェンスは右サイドから切れ込んで来るこの廣渡のドリブルに悩まされることになる。

 一点を追いかける後半立ち上がり早々、名古屋はこの11番廣渡のドリブルによって左サイドを破られ、そのマイナスの折り返しから最後は7番の長谷川が洒落っ気のあるループシュートを狙った(シュートは枠を大きく外れる)ことで命拾いしたものの、いきなり出鼻を挫かれた感は否めなかった。そして静学のコーナーキックから渡辺が本日二回目のゴールライン上でのクリアを見せたものの、名古屋は選手達の集中も徐々に散漫になって行く。ナーバスな笛を吹く主審のジャッジに対してキャプテンの近藤が「やってられない」とばかりに両腕を拡げるようなジェスチャーをしていたぐらいだから、その程度が分かるというもの。そして選手達は自分がやらなければという気持ちだけが空回りし始めていた。

 その後、同点そして逆転に向けて前線で3人の選手交代を行った名古屋だったが、それもどこかチグハグな印象を受けた。名古屋の選手達にもはや多くの運動量が望めないことに加えて、静学が後半になるとDFライン4枚とそのすぐ前にポジションを取るWボランチで堅固なブロックを作っていたことを考えれば、名古屋のチャンスはDFラインの「裏」を狙って縦パスを蹴るか、小幡や近藤などのボールキープが出来る選手に喰い付かせて「裏」にスルーパスを狙うぐらいしかない。となれば、FWには当然機動力のある選手を入れる(残す)べきだが、名古屋ベンチは二人目の交代で川村を下げてしまった。大柄ながら走力のある大西の投入は良いにしても、ここで代えるなら足立ではなかったか。これは足立のプレーがどうこうという問題ではなく、例え足立に(頭であれ足元であれ)良いボールが入ったとしても名古屋の二列目の選手達には既にそれに絡んで行くだけの運動量が望めず、また例えばSBが相手陣内深くまでオーバーラップして足立の頭を目掛けたクロスを入れるというようなプレーも期待できなくなっていたからだ(金編が一度オーバーラップして抜け出したシーンがあったが、静学はなんと1トップの9番の選手が付いて来てイエローカードと引き換えの胴タックルで止めた)。であれば、前半の静学がそうしていたようにDFラインの裏目掛けてダイレクトに人とボールを送り込んだ方が得点の可能性は高い。川村の交代後、中盤でボールを持った小幡のスルーパスから足立が抜け出したシーンで、もしあそこに残っているのが川村だったら、結果は違ったものになっていたかもしれない。

 試合は当然の成り行きとして圧倒的な静学ペースになっていく。名古屋は静学の網に引っ掛かってボールを失っては、逆に完全にフィルター機能を失った中盤を通過してラストサードまで静学の攻撃を受け入れる繰り返し。シュートはなんとかGKの古川がセーブしていたが、気が付けば、「そう言えば後半名古屋シュート打ったっけ?」という状態。そして静学はそんな状態でも容赦なく前からプレッシャーを掛けボールを奪い返しに来る。彼等は勝負所をわきまえているし、体力的には当然キツイだろうがみすみす自陣に引き籠って手負いの名古屋の攻撃を自分達のゴールに近付けるような真似はしない。静学にとって唯一不安があるとすれば、これだけシュートを放ちながらゴールが決まらないことで、こうした場合得てして攻めている側に嫌な感じが漂い始めるものだが、彼等が肝を冷やしたのはロスタイムの小幡のミドルシュートぐらいで、ほとんど産みの苦しみを味わうことなく準々決勝への進出を決めたのだった。

 この試合について言えば、トーナメント戦の1点差ゲームでよく見られるような、終了のホイッスルとともに負けたチームの選手達がバタバタとピッチに倒れ込むようなシーンは皆無だった(唯一、結果的に決勝ゴールとなってしまったPKを献上した渡辺だけがピッチにしゃがみこんでいた。本文中でも書いたように彼はコーナーキックから二点を救っているのだが・・・)。これはおそらくは体力的な問題もあって、満足なパフォーマンスを発揮出来ないまま不完全燃焼で試合を終えてしまったためではないだろうか。彼等の中では、今日の時点で出来ることは最大限やりつつも、「もっと出来るはず」という思いがあったに違いない。だとすれば彼等が次にやるべきことはハッキリしている。このチームで最後の大会となるJユースカップで完全燃焼することだけだ。
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by tknr0326g8 | 2010-09-19 23:59 | Youth