Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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トレーニングマッチ vs福岡大学 @実相寺サッカー競技場
 キャンプも10日目を迎え、今日は二度目の実戦となる福岡大学とのトレーニングマッチが組まれている。四日前の高校生との試合に始まり、今日は大学生、キャンプ最終日にはJ2の大分と相手のレベルも上がっていく計画だ。

 アップでピッチに姿を現した名古屋イレブンには、闘莉王、増川、ダニエルと三人のCBが揃い踏み。これはいよいよ3バックを試すのだなということが推察出来た。ピクシーが昨シーズン終盤から腹案として持っていたと言われる3バックは、最終ラインを屈強でスピードも兼ね備える3人のCBで守り、中盤より前に人数を割く攻撃的なオプションだ。ピクシー自らが名指しで要望を出したというダニエルの獲得に成功したことで、今シーズンはいよいよその適用が現実味を帯びてきた。攻撃的なオプションである3バックを使ってピクシーがどういうサッカーを見せてくれるのか。

 ケネディが相変わらずピッチの回りを軽くランニングしているだけの状態が続く名古屋は、金崎をトップに据えた3-4-3でキックオフを迎えた。人の配置はこう↓だ。

         金崎
   玉田         藤本

阿部  ダニルソン  磯村  田中隼

  増川   闘莉王   ダニエル

         楢崎

 試合は開始早々に動く。キックオフのホイッスルから僅か3分。最前線で相手DFからボールを奪った金崎がそのままドリブルでゴールに向かって切れ込む。最後は左から入って来た藤本にパスを出すと、ボールを受けた藤本は得意の左足でGKの頭越しに鮮やかなループシュートを沈めた。名古屋1-0。

 9分にはDFラインの裏へと抜け出した金崎が独走しGKとの1対1を迎える。金崎はこれをGKにぶつけてしまうが、これで得た左からのコーナーキックで、藤本のアウトスイングのボールに増川がヘッドで合わせて追加点。名古屋2-0。

 12分、左サイドを藤本とのワンツーで抜け出した阿部がサイドを駆け上がってのクロスにゴール前で金崎が合わせるがシュートはゴール左へと逸れる。さらにそれから2分後、今度は田中隼が右サイドからゴール前にクロス。ファーサイドで藤本がヘッドで落とし、これをゴール正面で金崎が狙うが、シュートはまたしても枠を外れた。これら二つのシーンを見るまでもなく、田中隼と阿部の両サイドがサイドラインいっぱいに開いてポジションを取りサイドバックの時よりも遥かに多くの回数でサイド突破に絡むのがこの新フォーメーションの狙いの一つ。
 そしてコーナーキックにつながった9分のシュートから三本連続で決定機を外した金崎に対しては、かつて隣町の大分トリニータでJデビューを飾りナビスコカップ優勝の時にはヤングプレーヤー賞を獲得したこともあって地元観客の期待は当然のように高いが、この頃には暖かくも落胆の交じったリアクションがお約束のようになっていた。金崎にとっては今シーズンも「決定力」がひとつの課題になりそうだ。

 そんな金崎にようやくゴールが生まれたのは24分。右サイド藤本からのクロスに低空のダイビングヘッドを叩き込んだ。この高さなら金崎もゴールを外しようがない。名古屋3-0。
 さらにそれから3分後、金崎がカウンターから持ち込んでタメを作ると最後は右サイドから駆け上がって来た田中隼が蹴り込んで名古屋4-0。

 名古屋の前半のゴールはこれで打ち止め。
 そんな名古屋で目立ったのは横へのボールの動きだ。システム上、選手達(特に中盤)が横に広くポジションを取るのは攻撃時のデフォルトで、ピッチの横幅を使いながら相手の陣形を横に拡げて中央からの突破を狙うのはひとつの狙いなのだろうが、見ていると、最終ラインと中盤がそれぞれフラットに並んでいてWボランチがボールに絡む動きも少ないので、相手のプレッシャーを受けるとボールは横にしか動かしようがない。そして増川、ダニエルからサイドの阿部、田中隼あるいはそのひとつ前にやや苦し紛れにボールを預けたりクサビのボールを当てることでボールを縦に進めることになるのだが、相手もサイドで数的優位を作るようなボールの追い込み方をしてくるので、そこでの手詰まり感は拭えなかった。このレベルの相手であればそこで囲まれてもある程度はキープ出来てしまうし場合によっては局面を打開出来てしまうので、そこでボールを失ってカウンターを喰らうこともないのだが、これが同レベルの個の力を持つ相手だったり、ボールホルダーに対してもっと厳しく当たってくる公式戦になった時にどうなのかなという疑問は残った。そして名古屋のチャンスシーンは、そんな手詰まり感を払拭するように福岡大の浅いDFラインの裏に出したボールだったり、増川から大きく田中隼までサイドチェンジをしたりといった大きくボールを動かす形が中心で、ショートパスによるポゼッションから崩すような形はほとんど見られなかった。12分の阿部と藤本のワンツーによる突破などは良い形だったが・・・。

 そんな状況に危機感を持っていたのが闘莉王。試合中からしきりに早いタイミングでサイドに預け過ぎると攻撃が詰まってしまうということや、サイドがボールを持ったら(Wボランチが)サポートに行くことを求めていた。その姿はまさしくピッチ上の監督。闘莉王がいなかったら名古屋はどうなってしまうのだろうか。

 このシステムでの改善はWボランチに懸かっていると言っても過言ではない。前半の残り半分では闘莉王の指示もあって磯村やダニルソンがボールに絡む機会が増えたが、そこからの時間帯で得点がなかったことが機能不全を如実に物語っている。このシステムでは今のところ二人の役割がハッキリしていないし有効にも機能してない。それを補うように藤本や玉田が最終ラインの近くまで下がって来てボールを受けゲームを作ろうとしていたことも象徴的な出来事だ。

 今回初代表に選ばれた磯村の状態も心配だ。単純なミスこそないものの、判断の遅さが目立ち(特に攻撃面において)有効は仕事が出来ていない。昨シーズンの大宮戦や浦和戦を見ても分かるように、磯村はバイタルエリアで前を向いてボールを持った時に最もその特徴が発揮出来るプレーヤーだ。そしてそこに強力なポストプレーヤーがいればその威力は倍増する。浦和戦でのケネディとの絡みもそうだし、個人的にユース時代の磯村が一番良い(怖い)プレーを見せていたと思うのはアルベスの下でシャドーとしてプレーしていた時だ。まあとは言え、今やフル代表に選出されるほどの選手。代表選手としての自覚を自信に代えてチームを引っ張るぐらいの気持ちでプレーしてくれれば、内容は自ずと改善していくと信じている。

 後半の名古屋はメンバーを総取っ替え。若手中心のメンバーで臨む。ちなみに福岡大でも名古屋ユース出身の二年生・三浦俊希が右SBに入った(途中からCBに移動)。

        田中輝
吉田              田鍋
    水野      中村
         吉村

三都主  新井   巻   石櫃

         西村

 中盤の真ん中三人はかなり流動的で、ゲーム終盤には吉村と水野が入れ替わっていた。

 そして開始から僅か1分。中村からの鋭いサイドチェンジを受けた吉田が一瞬タメを作って三都主がオーバーラップする時間を作ると、さらに三都主に全力疾走を強いる鬼パスをタテのスペースへ。これに追い付いた三都主からの折り返しをゴール正面で田中輝がヘディングで合わせて名古屋が5点目を奪う。控え組のモチベーションの高さを示すような電光石火のゴールだった。

 その後も名古屋の猛攻は止まらない。その1分後には田中輝とのワンツーからDFラインの裏に抜けた田鍋が自慢のスピードで独走してGKとの1対1を迎えるもののシュートはGKにぶつけてしまった。ボスコに「プレーがわがままだ」と指摘されたという記事が中スポにも載っていた田鍋は、なんとなくそれが悪い方向に作用してプレーが丸くなってしまっている感じがしないでもないが、度々その爆発的なスピードでDFをぶっちぎるプレーを見せて観客を沸かせていた。

 慣れ親しんだシステムと各選手に合ったポジション配置で前半とは打って変わって攻守ともにすんなりプレー出来ている名古屋は、7分に中盤でのボール奪取から裏に出たボールに吉田が抜け出し冷静にゴールへと流し込んで6点目。

 その後オフサイドの取り損ないから福岡大に一点を返されたものの、36分にこのレベルではほとんど無双状態だった中村からのスルーパスに抜け出した田中輝がこの試合二点目を決めて7-1で試合を締め括った。

 試合を通して良かった(目に付いた)のはまず水野。一度だけ致命的なミス(ポゼッションの中で名古屋がよくやるボランチがSBの位置に入ってSBを前に押し出すプレーの時に左サイドから真ん中にいる相手に横パスしてしまった)をおかしたことを除けば、このレベルであれば何ら問題なくプレー出来ことを証明。大きな展開とショートパスを織り交ぜながら常に相手にとって危険な位置にボールを配給している様は、意味のないバックパスなどプレー(パスの選択)に全く怖さがない隣のベテラン選手とは対極にあるパフォーマンスだったと言っても過言ではない。ピクシーの目にそんな水野はどう映っただろうか。

 次が吉田。もともとフィジカルのレベルは高いものがあったが、すっかりプロ仕様の肉体を手に入れた感じのする吉田は随分と余裕を持ったプレーが出来るようになっていて、こちらも相手にとっては危険なプレーヤーに成長しつつある。それがスペインへの短期留学の成果かどうかは分からないが、少なくとも昨シーズンよりはワンランクスケールアップしていることは間違いない。

 2ゴールを決めた田中輝については、もう俺の中ではこれぐらいは出来て当たり前のプレーヤー。相手のレベルを考えてもレギュラー争いに割って入るためにはハットトリックを記録するぐらいの結果(インパクト)が必要だし、実際にそのチャンスはあったと思う。
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by tknr0326g8 | 2012-02-19 01:04 | Game Review
J1 2011 第16節 名古屋×大宮 @瑞穂陸上競技場
 ここにきて三連勝とようやく調子の出てきた感のある名古屋。怪我から戻って来たばかりの金崎や二列目にポジションを移してから持ち味の野性味溢れるプレーを取り戻しつつある中村が負傷(肉離れ)で離脱したり、突如降って湧いたダニルソンの海外移籍話など不安要素はあるものの、ミッドウィークの試合から二試合続けのホーム、そして相手は主力の東を明日のロンドン五輪予選で欠く上ミッドウィークの試合で川崎に0-5と大敗してから中二日ではおそらく立て直す時間もなかった大宮となれば、この試合に向けて名古屋が持つアドバンテージは小さくないように思われた。
 しかし、終わってみれば、前半から相手に合わせて受けに回ってしまい低調なパフォーマンスに終始した名古屋は、Jrユースからの生え抜きである磯村のプロ初ゴールを除いてほとんど良い所がなく、むしろ2-0からチームの信条である「Never Give up!!」のお株を奪うかのようなロスタイム弾で大宮に追い付かれるという(ある意味では敗戦以上に屈辱的な)失態を演じてしまった。

 試合前、ピッチでアップを行うダニルソンに対して、ゴール裏からは(ダニルソンがドレッシングルームに引き上げるまで鳴りや止むことがなかった)「ダニルソン」コールと何やらメッセージが書き込まれた弾幕が捧げられていた。正直、端から見ていてもジンと来る光景だったが、それがダニルソンにとって決して良い影響を与えていなかったことは試合を見れば明らかだった。大宮がそこ(中盤)でのボール奪取からカウンターを狙っていたという側面はあったにせよ、ダニルソンのメンタルに問題が生じていることは明白で、完全な結果論だが、ダニルソンに対するメッセージを発するなら試合後の方がベターだった。

 今回の新聞報道に端を発したダニルソンの移籍騒動に関して個人的な感想を言えば、確かにダニルソンは名古屋にとって他では替えの効かない戦力であり、さらに言えば彼なくしては優勝すら危うくなるぐらいの重要な戦力だ。今シーズンは怪我で序盤戦を棒に振ったこともあり見るからにコンディションは本調子に程遠いが、出来れば今シーズンの終了、そして来シーズン、さらに次のシーズンと名古屋でプレーして欲しい選手であることに疑いの余地はない。しかし、いくらこれから益々働き盛りの24歳でJ1一年目でベストイレブンにも輝いた元コロンビア代表とは言え、飛び抜けた身体能力以外はJでも突出したレベルにあるわけではないダニルソンに(オイルマネーで潤う中東ならともかく)ヨーロッパのクラブが7億円とも言われる移籍金を用意するとは到底思えない。それでも7億払うというクラブが現れたなら、それはそれで代理人の敏腕ぶりを褒めるしかないし、移籍金が満額でなくてもダニルソン自身がヨーロッパでのステップアップを狙うなら、サッカー後進国として日本はそれを受け入れるしかない。今の名古屋に必要なことはそれでもダニルソンに必要性を訴え続けることと、代理人や札幌が仕掛ける情報戦に乗せられないことだろう。

 試合は、前の試合から中二日という過密日程の影響か、それとも前節の大勝(新潟相手に4-0)で気持ちが緩んでしまったのか、はたまたケガ人続出という今シーズンのチーム事情を考えて雨天そしてスリッピーなピッチで怪我をしないことを第一優先に考えていたのか、前節(新潟戦)、前々節(磐田戦)でのパフォーマンスが嘘のように名古屋の選手達の足が動かない。これではチームとしてなかなかシュートが打てないのも道理で、そんな中でリーグ戦初先発を果たした磯村は特にリズムに乗り切れていないように見えた。観ている側からすれば、若手なんだから自分の良いところを出すことだけ考えて思い切って(高給取りの先輩に尻拭いをさせるぐらいの気持ちで)プレーすればいいのに…と思うのだが、今の名古屋の中盤で敵にも味方にも顕になっているリスクから目を背けてプレーすることはよっぽどなエゴイストか肝が据わった選手でもない限りは難しいのかもしれない。
 そしてこのまま行けば間違いなくピクシーの逆鱗に触れるであろうチームの全責任を負わされるかのように磯村は前半で交代かなぁと思っていた矢先のロスタイム。バイタルエリアでボールを受けた磯村は右足を一閃して鮮やかなコントロールショットを見事にゴール右隅に突き刺し、自らの未来をつなぎ留めたのだった。いつも同じような位置でボールを受けた中村が魂の込もった弾丸ミドルをGKに向かって真っ直ぐブチかまし、小川がクロスバーの遥か上に打ち上げる様を見慣れているだけに、こうしたシュートを打てる中盤の選手が出てきたことは、磯村がクラブの生え抜きでなかったとしても喜ばしい限りだ。

 しかしそんな磯村の記念すべき初ゴールも、後味の悪い幕切れで全ては台無しになってしまった。勝負強さが売りのチャンピオンチームが2点のリードからロスタイムに追い付かれるという失態は、つまるところベンチを含めた選手構成の歪さによるところが大きい。いくらダニルソンが目を覆いたくなるパフォーマンスと言っても昨日のベンチメンバーでは変える選手がいないし、ピクシーが守備的に舵を切ろうとすれば唯一与えられた選択肢は最終ラインに千代反田を投入することだったが、中盤から前のディフェンスが機能していない状況では、相手のパスワークに振り回されて無駄に体力を消耗しロスタイムに力尽きることも当然の成り行きだ。
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by tknr0326g8 | 2011-06-19 02:05 | Game Review
J1 2011 第8節 名古屋×川崎 @瑞穂陸上競技場
 名古屋は立ち上がりから良い感じで守備から攻撃に移行してアタッキングエリアまでボールを運べているような場面でも、フィニッシュのイメージが共有出来ずにモタモタしている間に戻りの早い川崎に攻撃を遅らされ、結局は最終ラインの闘莉王のところにボールが戻って来て、そこからの一発のパスに懸けるしかないような状態。そんな最中頼みの闘莉王が負傷交代し一体どうなってしまうのかという不安が最高潮に達した中で、ケネディの高さを生かしたシンプルな攻撃の形と往年の鹿島だったらもうあと2点ぐらいはゴールに結びつけていたに違いないカウンターアタックによって都合2ゴールを挙げ「苦手」川崎から勝ち点3を手に入れたことは、GWの連戦が続く今後を考えるとポジティブに捉えてもいいだろう。

 ただチームの代名詞でもある「サイドアタック」の面影はどこへやら、成熟度の低いなんちゃってパスサッカーで苦手・川崎に挑むという無謀なチャレンジは、昨年のW杯以降好調を持続して次元の違うプレーを見せ続けている玉田がまたしても決定的な仕事を果たしたことでなんとか実を結んだものの、攻撃面では自らのストロングポイントに足枷をはめたかのようでもあり、守備面でも前節の浦和と比べればプレッシングの迫力が3割減といった印象の川崎に助けられた部分も小さくはなかったというのが正直な感想だ。
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by tknr0326g8 | 2011-04-30 03:06 | Game Review
J1 2010 第32節 名古屋×FC東京 @豊田スタジアム
 前節の平塚戦で18年目にして初のリーグ優勝を成し遂げた名古屋。このFC東京戦は優勝後初のホームゲームであり、いわば凱旋試合とも言える試合だ。ただ1シーズン制になって以降、優勝チームがすべからく最終節に決まっているということを考えれば、ビールかけ~深夜に及ぶマスコミの取材から中二日で試合に臨むという前例もない。正直なところ、俺はこの試合について、一体どんな試合になるか全く予測がつかなかった。

 この試合の行方を考えるに当たって俺が最も気になっていたのはメンバー構成。リーグ優勝も決まり、前節の平塚戦から中二日ということを考えると、個人的には、疲れが見えるベテラン選手に代えて、コンディションが良くモチベーションが高い若手選手を(先週の天皇杯のような全員起用は無理にせよ)一人か二人ぐらいは混ぜて実戦経験を積ませつつチームに馴染ませることがあっても良いかなという淡い期待があった。しかし蓋を開けてみれば、若手と呼べるような選手はベンチに入った花井ぐらいで、その花井とてダニルソンの負傷がなければベンチ入りすらままなかっただろう。
 その部分では若干の落胆はあったが、この試合が上にも書いたように優勝決定後のホーム凱旋試合であることを考えれば、地元のサポーターに対してこれがリーグ優勝を勝ち取ったチームだということを改めて示そうとしたピクシーのプライドにも似たプロ意識は尊重しなければならない。
 そしてそんな観客を意識したプロ意識以上に、常勝チームを築くための基盤として、ここであくまでも勝利に拘るという考え方ももちろんある。思い出すのは二シーズン前のナビスコカップで、グループリーグ最終節を残して決勝トーナメント進出を決めていた名古屋は、最終節の浦和戦(AWAY)にもベストメンバーで臨んで大勝を収めた。ピクシー政権初年度でまだチームとしての基盤が固まっていなかったこの時期に、消化試合であっても敢えてベストメンバーを組むことでチームに勝ち癖を付けさせるというピクシーの示した方向性が功奏したことはその後のシーズンを観ても明らかだった。そう考えれば、今回の選手起用もその延長線上にあると考えることが出来る。

 しかし結果だけ見れば選手達はそうしたピクシーの期待に応えられなかった。何度か訪れた決定機を逃し続けたという不運な(東京から見たら一部は必然な)要素はあるにせよ、悪くはないが決して良くもないチームの戦い方は、それが勝者に相当するものだったと胸を張って言えるものでは決してなかった。これまでの勝利がフロックだったとは全く思わないが、このところの試合で散見される緩慢なトランジッションや攻撃におけるダイナミズムの欠如はこの試合でも名古屋を窮地に追い込んでいた。そしてこの試合について言えば、気持ちが強く反映される球際の競り合いでも完全にFC東京の後手に回っていた印象だ。

 今シーズン限りで契約満了との報道が出たことでやる気をなくしたのかのようなマギヌンをはじめ、名古屋の選手達はまだ祝勝会のお酒が抜けきらないのか、立ち上がりから球際で軽いプレーを連発してヒラヒラとかわされるシーンが目に付く。そんなフワフワした感覚は、前節に引き続き誰が出て行くのかハッキリしないショートコーナー対策で全く修正が施されていない状態を観ても明らかだ。
 マギヌンについては、立ち上がりこそこれはひょっとしたら前半だけで交代させられるかもしれないなと俺が心配するレベルのパフォーマンスだったが、先制点を奪われた後にピクシーから名指しで「もっと球際厳しく行け」と指示が出て、指示が出た直後は「俺?」みたいなリアクションを取っていたものの、その後は生まれ変わったようなパフォーマンスを見せていたが、チーム全体で見れば球際やセカンドボールへの反応で名古屋の選手達は結局最後まで大きく改善されることはなかった。

 そして立ち上がりの名古屋の攻撃で気になったのは、得点王を争っているケネディに得点を取らせようという余分な意識だ。前にスペースが開いていてミドルシュートが打てる状態でも打たない。ひと手間かけてサイドに展開しケネディの頭を狙わせる。これではいくらケネディの高さが脅威だと言ってもFC東京からしてみたらむしろ楽。二人のCBと徳永の三人のトライアングルの中に入れて監視していればそこまでやられないということは、前回の対戦でも実証済みだからだ。
 そんなチームの意識がようやく変わったのは闘莉王が持ち上がって鋭いミドルシュートを放ったあたりかだろうか。これこそ俺が求めていたプレーだったが、「現場監督」の一撃によりチームはようやく目を醒ます。兄貴分と慕う闘莉王のお手本に対して、打てるところで打たなかった筆頭とも言える小川も積極的にボッスクスに進入してシュートを狙うようになっていた。

 試合が進み後半になるとFC東京は完全な逃げ切り体制。自陣でしっかりとブロックを作る東京に対して、名古屋は闘莉王を前線に上げる最終手段に出たものの、攻撃やパス回しに工夫がない名古屋は東京の守備ブロックを前に肝心のクロスすら上げさせてもらえない。そして技術的に拙いミスによってボールをあっけなく失い自陣へと運ばれてしまう。強い時期の東京だったら致命傷を負っていてもおかしくないボールの奪われ方を名古屋は何度もしていたが、それほど危険なシーンを作られなかったということは東京もチーム状態が決して良くないのかもしれない。

 名古屋にパワープレーを許さなかった東京は守備組織も上手く機能していたが、個人に目を向ければ米本のパフォーマンスが出色。抜群の運動量と危機察知能力を生かしたカバーリングで前半に小川のシュートをゴールライン上でヘディングクリアしたシーンはビッグプレーだったが、それ以外でも後半にはケネディの決定的なシュートを止め、危険な場面には味方のフォローにすぐさま直行していた。名古屋ファンから見たら「またあの7番」状態。激しく当たるところは物怖じせずにガツンと当たるし、(守り方の違いはあるにせよ)もし名古屋に米本がいたら試合は全く違う結果になっていたに違いない。この調子で行けば必ず候補に入ってくるであろうアジアカップをはじめ日の丸が期待される選手になってきたなと思う。

 ある意味ではワンパターンで戦術的に応用や柔軟性が利かないものの、勝利への執念を十分に感じさせるピクシーの采配にも結局は最後まで応え切ることが出来なかった選手たち。これをピクシーはどう感じたのか。ひょっとしたら磐田戦では若手起用も含めたいくつかのメンバーチェンジがあるかもしれない。

 最後にこの試合で最大の決定機を逃した玉田について。FWの仕事は店を獲ることとは言え、この試合での玉田は責められない。ピッチレベルに極めて近いところで見ると、名古屋で最も運動量の多い選手は玉田で、それは中盤に一度下がってボールに触り再びゴール前に顔を出すという攻撃面だけでなく、ディフェンス面でも要所要所で顔を出していたからに他ならない。そんなところにもW杯以後続く玉田の好調が見て取れる一日だった。
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by tknr0326g8 | 2010-11-24 02:45 | Game Review
J1 2010 第31節 湘南×名古屋 @平塚競技場
 J開幕から18年。名古屋がリーグ戦初優勝に王手を掛けて迎えたこの試合。対戦相手となる湘南は前節J2降格が決定しており、しかも中心選手である坂本を出場停止で欠くメンバー構成が経験の浅い若手選手を多く含むものであるということを考えても、名古屋としてはここで確実に勝ち点3を確保した上で鹿島の結果を待ちたい。スポーツ紙などを通して漏れ伝わって来る情報では選手達に慢心や油断はないようだし、今シーズンの名古屋は下位チーム相手には(力ずくで勝ち点を強奪した試合も含め)取りこぼしがないのが特徴なので、この試合に向けて名古屋に死角はないように思われた。

 しかしいざ試合が始まるとそんな楽観的な目論見は脆くも崩れ去る。立ち上がりこそケネディや中村が湘南ゴールへと迫り得点の予兆を感じさせたものの、それを逃しているうちに試合の流れは湘南に傾いていく。ミッドウィークの天皇杯をスルー(10/9の三回戦で敗退)している湘南はこの試合に向けて相手を研究し準備する時間がたっぷりあったのだろう。名古屋の攻撃パターンを読み切った上で、そのストロングポイントに先回りして蓋をし、前線の田原、阿部、エメルソンを中心としたカウンターを仕掛ける形が徹底されていた。
 こうなると名古屋にとって湘南は途端に「勝ち点3を計算出来る相手」から「勝ち点3を奪わなければならないはずの相手」に豹変する。すなわち選手達に焦りが生まれても何ら不思議ではない状況だ。しかし救いだったのは、名古屋の選手達はなかなか思うように身体が動かず上手く行かないながらも慌てるような素振りは見せていなかったことで、この状態が保てていれば、時として暴力的なまでの名古屋の一撃が90分のどこかで炸裂する可能性は高い。そしてそれは湘南が最初から最後までハイテンポなサッカーを続けられるわけではないことも含めて、極めて出現可能性が高いことのように思われた。あとはいつものごとく楢﨑を中心としてなんとか辛抱強く守り先制点を失わないことだけだ。

 名古屋で言えば一番のネックはケネディに対してボールが入れられないことだ。湘南は中央を固めてケネディへのパスコースを遮断している。こうなると早いうちにサイドにボールを回して勝負を仕掛けたい名古屋だが、そこでは小川がブレーキになってしまっている。何度か良い形でボールをもらってはいるものの、判断が遅れている間に湘南の守備ブロックに詰められてボールを失い(湘南の)カウンターの起点となっている状態で、たまらずピクシーが玉田と左右を入れ替わるようにと指示を出したが、それでもあまり改善の兆しは見られなかった。

 またこの小川を筆頭に、相手が格下の湘南ということもあってか、名古屋の選手達は一様に攻守の切り替えが遅い。前半に小川が遅れてディフェンスに行ってイエローカードをもらっていたのはその典型だが、相手がショートコーナーを仕掛けて来た時のチームとしての反応の遅さも相手が相手だったら(例えばG大阪だったら)致命傷になっていたかもしれない。

 後半途中でそんな小川にに見切りをつけて杉本を投入したのはピクシーの英断だった。名古屋から見てゴールへの最短距離は、このポジションから切り拓くしかない。とは言え、今シーズンは途中出場で試合に出てきてもさっぱり良いプレーを見せられていない杉本にはもはやかつての“スーパーサブ”の面影はない。試合によってはアウトサイドに張り付いたままで、ろくにボールに絡まないまま終わってしまった試合すらある。そんな杉本を(いくら信頼しているからと言って)この大事な場面で、背番号10に代えて会に投入するのは大きな賭けでもあった。
 しかし結果から言えばこれが大当たり。ひょっとするとピクシーにとってこれは賭けでも何でもなく、相手の疲労も含めて杉本が持ち味のスピードを生かして突破を仕掛けられるスペースがピクシーならではの空間認知力によって見えていたのかもしれないが、阿部の大きなサイドチェンジを受けた杉本がタテに勝負をしかけて対面するDFをあっという間に置き去りにすると、ややファーサイドを目掛けて鮮やかなクロスを上げ、これをケネディではなく、後ろから走り込んで来た玉田が超人的なジャンプとともに頭に合わせて名古屋が待望の先制ゴールを挙げることに成功したのだった。闘莉王を欠く名古屋にとって「ゲームを作れる」選手の筆頭が阿部であることを考えても、名古屋にとって「これしかない」という形での得点。

 杉本にとってはミッドウィークの天皇杯で先発出場を果たし久しぶりに長い時間プレー出来たことも幸いしたかもしれない。これがもし試合勘を欠いたままの状態だったら結果は今までと同じだった可能性もある。そうした意味でもこの強行日程はむしろ名古屋に味方した。

 こうなれば試合は「いつものパターン」。名古屋は最後まで最終ライン(DFとGK)が身体を張って守る。そして試合は1-0のまま名古屋の勝利。鹿島が0-0で試合を終え、この瞬間名古屋の初優勝が決まった。苦節18年。正直こんなにすんなり行くとは思っていなかったし、次節ホームで決められたらいいとすら思っていたぐらいだったが、名古屋の優勝を生で見れたことは本当にラッキーだった。
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by tknr0326g8 | 2010-11-20 19:27 | Game Review
J1 2010 第30節 名古屋×大宮 @瑞穂陸上競技場
 予定していたJユースカップ(名古屋U18×新潟ユース)の観戦を飛ばしたにも関わらず、想定外の事態も起こり振り返れば盛りだくさんとなってしまった今回の名古屋遠征。まさか二日連続で港→瑞穂という移動を繰り返すことになろうとは思ってもいなかった。

■高円宮杯(U-15)東海大会 準決勝 名古屋U15×名古屋FC @港サッカー場
 都合四試合を観戦することとなった今回の名古屋遠征最初の試合は、12/19に開幕する高円宮杯(U15)出場権を賭けて行われる同東海大会の準決勝。会場となる港サッカー場は本大会でも使用される予定になっており、そんな本大会に備えてか、張り替えられた芝が「ここがあの港サッカー場か」と思えるほどに青々繁っている。

 トーナメント緒戦で東海大翔洋中を6-1と退けた名古屋グランパスU15(以下グランパス)がU-15東海リーグ5位の名古屋FCを迎え撃つこの試合は、勝てば即全国大会出場が決まるし、万が一負けるようなことがあっても、明日行われる3位決定戦で勝利すれば最後の椅子に滑り込むことが出来るという意味で、トーナメントと言えどもそこまで切羽詰まった雰囲気はない。また東海地区最大のライバルであり夏のクラ選で日本一になった清水がU-15東海リーグを制してひと足先に全国大会出場を決めてこの大会には不参加ということで、この大会での優勝がすなわち東海最強の称号につながるわけでもない。グランパスにとってこの大会に意義を見出すとすれば、(全国大会への出場権獲得を除けば)クラ選・東海大会とU-15東海リーグ(後期)で二度に渡って苦杯を舐めさせられた磐田にリベンジを果たすことぐらいしかないかもしれない。グランパスの公式サイトにおけるこの試合の対戦相手表記が直前まで「FC四日市」になっていたことを見るまでもなく、グランパスにとってこの名古屋FCとの準決勝は勝って当たり前の試合であり、完全にその視野から抜け落ちている感すらある。
 グランパスU15のスタメンは、先日の関西遠征でC大阪に15-1(3本)と爆勝した時のメンバー。つい先日まで飛び級でU16日本代表に招集されていた北川柊斗はベンチスタートだった。

        森

伊藤    石田    曽雌

    金    石川

松田  後藤  中島  若園

        板倉

 今シーズン一度も負けたことがない相手(名古屋FC)、そしてこの試合で負けてもまだ明日があるという余裕からか、グランパスの選手達は比較的リラックスして試合に入っているようにも見えた。それに比べれば、相手との間に横たわる明らかな力の差を認め、まずは守備から入っていた名古屋FCが観る側により「慎重」なイメージを与えたのは必然かもしれない。
 そんな名古屋FCに対してグランパスはキックオフからDFラインと中盤でボールをキープしながら一発のパスで裏を狙うような強引な組み立てが目立つ。実際個々のプレーヤーの能力が高いグランパスなら、こうした1本のパスであっても前線にパスが通りさえすればなんとかなってしまう感じがしないでもないし、それが勝利への近道と言えば勝利への近道ではある。しかしこれを続けていてもグランパスの攻撃にはなかなかリズムが出て来ないし、かといって相手ボールになった時に前からアグレッシブにプレッシャーを掛けに行く守備で相手を圧倒しようにも、こちらは比較的ナーバスな笛を吹くタイプだった主審に試合をブツ切りにされてしまったり、そもそも連動性をあまり感じさせないグランパスのディフェンスではやはりリズムを生み出すことは難しい。

 そんな序盤の落ち着かない展開から試合が徐々にグランパスのペースに傾いてきたのは15分過ぎ。それはすなわち森のスルーパスから曽雌が抜け出して放ったシュートがポストを直撃したあたりからのこと。その後は負けじと左サイドの伊藤がドリブルでエグってチャンスを作ったり、この二日間キュンキュンに切れていた金が中盤の底で軽やかなステップを披露して相手のチェースを交わしてボールを運んだりと、グランパスがその個人能力の高さを発揮し始めた。
 そしてそんな流れの中、セットプレーから石川が目の前にこぼれてきたボールを拾うと、左足で落ち着いてゴールへパスするような先制ゴール。さらには左サイドでDFラインの裏へと出たボールに抜け出した伊藤が得意のドリブルでゴールライン際まで深くえぐって折り返し、中央に詰めていた森がスルーしたような格好からファーサイドで石田がプッシュして名古屋が追加点を挙げることに成功した。

 だが相手を考えれば安全圏とも言える2点のリードを保ちながら、それでもゲームをコントロールすることが出来ず、トドメを刺すどころか逆にシンプルなタテ1本から攻め込まれてしまうあたりが、このチームが抱えるゲーム運びの拙さであり、それによって後半に払わされることになったその代償はあまりにも大きかった。

 後半に入ると前からの圧力を強めてきた名古屋FCに対して、グランパスは後半開始早々にWボランチのところでボールを持ち過ぎて奪われ、そのまま前を向いた選手にミドルを打ち込まれ1点を失ってしまう。そして今度は(グランパスにとっての)左サイドから突破を許すと、そのクロスのこぼれ球から、相手が放ったシュートがグランパスの選手に当たってコースが代わりそのままゴールに吸い込まれてしまった。後半開始から5分ほどで起こったあっという間の同点劇は、グランパスからしてみれば何が何だか分からないうちにやられてしまった感じかもしれないが、いずれも交代選手が得点を奪った名古屋FCからしてみれば、(多少の出来過ぎはあるにせよ)狙い通り・計算通りの展開だったかもしれない。

 ただこれはあくまで振り出しに戻っただけであり、俺はその段になってなおグランパスが負けるなどということはこれっぽっちも想像していなかった。ピッチ上を観た時に、チーム全体がアグレッシブで良いサッカーをしているのは明らかに名古屋FCだが、それを凌駕する個々の能力の高さをグランパスは持っている。試合を決めるのは得てしてそんな個の力だ。そんな試合を俺は夏のJビレッジでも観ている。
 しかこの試合の決勝ゴールが、そんなグランパスの個の力の象徴であるU16日本代表・北川柊斗の投入から5分ほどが経過した時に、名古屋FCによってもたらされるのだから、俺の予測は大外れもいいところで、それどころかもはやそれを通り越してほとんど皮肉だ。ボックス内でのクリアボールが相手に当たってマウスへと吸い込まれたゴールは、二点目と同様アンラッキーと言えばアンラッキーだが、試合展開を考えれば必然の結果だったのかもしれない。

 その時点で残りの試合時間は20分。正直に言えば、俺はそれでもなおグランパスの敗戦を想像出来ていなかったのだが、上手く行かない試合の流れに焦りも手伝ってか、チームとしての機能性を完全に失ってしまっているグランパスは、宮市や桜井といった得点力のあるアタッカーを投入(曽雌と金がアウト)したところで、チームとしてもはや反撃もままならない状態だった。そして試合はそのまま終了のホイッスルを聞くことになる。まるで優勝したかのような騒ぎの名古屋FCをよそに、名古屋U15はベンチ、スタンドも含めて茫然自失。目の前で起こった出来事は、一部外者の俺ですら信じられない光景だった。

 このチームが2-0からの逆転負けを喫したのは今年の公式戦だけでも既に三回目。一度目はU-15東海リーグ(前期)の清水戦、そして二試合目がクラ選東海大会・準決勝の磐田戦といずれもビッグゲームだ。高田監督は中スポのコラムの中でことあるごとにこのチームのメンタル面を課題として挙げていたが、この試合を観る限りではその原因はメンタルというよりむしろベースとなるチーム戦術の不確かさのような気がしてならない。もちろんこの年代でチーム戦術に縛られるようなことには意味がないのかもしれないが、チームが上手く行っていない時に何が出来るのかということで考えると、サッカーがチームスポーツである以上、そこは個々のプレーヤーレベルよりもチームで出来ることを考えた方が確実だ。
 グランパスの育成普及部でテクニカルディレクターを務める前FC岐阜監督の松永さんが、9/30に行われたU15東海リーグの観戦記ブログ(はからずもカードはこの日と同じグランパスU15×名古屋FCでグランパスが10-0で勝った)の中で、「自分たちのリズムが掴めない時には基本に立ち戻ること」と書いていたが、試合を通して観ていてもグランパスにはチームとして立ち返るべき場所がないような印象を受ける。去年のチーム(U-15)などを見れば、高田監督にその手のことを施すだけの技量や手腕がないとも思えないが、今年のチームは個々の能力が高い分、選手個々の判断に任せて個の力を最大限に引き上げるサッカーをさせているのだろうか。
 
 J下部でもなくましてや前回10-0で勝った相手に2点のリードを引っ繰り返されるというショッキングな敗戦。俺のような一観戦者は、「おかげで明日はトップチームの試合とハシゴが出来る」と前向きに捉え直せば事足りてしまうが、翌日に全国大会出場権残りひと枠を賭けた戦いを行わなければならないチームには(試合間隔などある意味ではプロ以上の)高次元での切り替えが求められる。そしてこの時の俺は、まさか翌日の三位決定戦が磐田との対戦になろうとは思ってもいなかった。
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■全国高校サッカー選手権 愛知県大会決勝 中京大中京×東海学園 @瑞穂陸上競技場
 予想外の結果を見届けた後は瑞穂に移動。全国高校サッカー選手権・愛知県大会決勝を観戦。カードはこのところ愛知県では定番となった感のある中京大中京×東海学園。そう言えば去年の夏に豊田でプリンスリーグ(名古屋U18×静岡学園)を観戦した時に、同じ会場で行われていたのもこのカードだった。そしてその時の対戦で左サイドから切れ込んでスーパーミドルをブチ込んでいた宮市がこの試合でも完全な主役。観に来ている人の何割かもそんな宮市が目当てなのか、宮市がボールを持つたびにどよめきが起こる。平野、小倉、ピクシー、マルケス、本田、玉田と名だたる名手達が君臨して来た瑞穂のホットコーナーで、それに負けないぐらいの輝きを放つ宮市の「海外流出」はつくづく残念ではあるが、行くからには是非日本発そして愛知発の成功事例となって欲しい。

 試合はそんな宮市の2ゴールによって中京大中京が逆転勝利。昨年に続く全国大会出場を決めた。抜群のスピードとフィジカルを有し自分の「型」を持っている宮市はこの年代では突出した存在。それに加えて左右両足を使いこなせるときたら、宮市を止められる高校生はそうそういない。事実2点目も、対応するDFが右足をケアするのにいっぱいいっぱいで、左足にセットされてシュート体勢に入られた時にはもう既になす術がなくなっていた。海外での激しい生存競争で揉まれる中で、もっと仕事量を増やして更にスケールアップした姿を見られる日が来るだろうか。
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■高円宮杯(U-15)東海大会 3位決定戦 名古屋U15×磐田ジュニアユース @港サッカー場
 昨日名古屋FC相手に信じがたい逆転負けを喫した名古屋にとってこの3位決定戦は全国大会出場権獲得のラストチャンス。そしてその相手が夏のクラ選準優勝チーム(去年までだったらその時点で高円宮杯本大会出場決定)で名古屋も今季2敗を喫している磐田というのだから、ここにきて究極の勝負マッチが実現したわけだ。もし両チームがすんなり決勝に進んでいたとしたら、仮に負けたとしても全国に行ける決勝は(消化試合とは言わないまでも)ここまでギリギリの勝負マッチにはならなかっただろう。今年から負けたら終わりの一発勝負(トーナメント)に変わった高円宮杯に向けて、これはその一回戦みたいなものかもしれない。

 名古屋は昨日の試合からスタメンを組み換えてきた。宮市を1トップに据え、森を本来のトップ下に戻す。この組み合わせは、このチームには北川柊斗という絶対的なエースがいることもあってこれまで頭(試合開始)から目にする機会がなかったものだが、ドリブルというよりもヘディングの競り合いに強く周りを使うのが上手いイメージがある宮市の1トップというのは十分「あり」なオプションで、目から鱗の組み合わせだ。

       宮市

伊藤     森     曽雌

    金    石川

松田  後藤   中島  若園

       板倉

 試合は昨日と同様名古屋が先行する展開。15分過ぎに左サイド伊藤の突破で得たCKから、磐田GKが弾き出し損ねたボールをファーサイドの後藤が頭でプッシュして幸先良く先制すると、昨日から好パフォーマンスを見せているボランチの金が相手ボールを奪ってそのままDFラインの裏へと抜け出すと、その折り返しを中央に走り込んで来た宮市が頭で合わせて追加点を奪うことに成功した。昨日に続く、そして今シーズンそこから三度に渡り逆転されてきた2-0のリード。今日こそはそれを勝利に結び付けることが出来るだろうか。

 しかし名古屋は2-0のリードにも相変わらずどうにも戦い方が安定しない。昨日の試合でも書いたが、基本的に個人技がベースとなっているチームは攻守に連動性を欠いている印象で、チームは組織としてあまり機能していない。例えば守備では誰かが飛び込むと後ろにカバーがなくスペースがガラ空きになっていて、相手にワンツーを噛まされるだけで簡単にピンチを招いてしまう。そしてボランチが二人で獲りに行ってそこを抜け出され、前を向いた相手とDFラインが対峙しなければならないようなトップチームではおなじみの光景が度々見られた。しかしそうした場面でもラインを保ちながら後退して「ここ」というタイミングでラインをブレークして互いの補完関係を作り出しDFラインだけでなんとか守り切ってしまうトップチームと違って、このチームではDFラインだけ見てもその補完関係が十分には成り立っていない。誰かがボールに喰い付いたらその後ろのスペースをケア出来ていない名古屋は、個々のプレーヤーの頑張りによってなんとか相手の攻撃を凌いでいるものの、相手が複数の人間を絡めてそのスペースを狙って来たら分が悪いのは明らかだ。相手の力が大きく劣るならともかく、これでは何点リードがあってもなかなか安心出来ない。
 また攻撃面でも基本的には個々のプレーヤーの能力をベースとしている名古屋は、ボールホルダーの後ろから追い越していく動きだとかスペースに飛び出して行く動きといったものが極端に少なく、なかなか攻撃にダイナミズムが生まれて来ない。強いて挙げるなら右SBの若園が思い切ったオーバーラップを見せるのがそれの生じている時だが、その若園がオーバーラップした後のスペースを誰がどうやってカバーするのかという部分に若干の不安があるので、観ている側としてはドキドキよりもそこでもしボールを奪われたらというハラハラ感の方が強いのも確かだ。

 ひょっとしたら高田監督はこのチームに組織や戦術としてのエッセンスよりも個の能力を高めることやまずは1対1(での勝てる強さ)を求めているのかもしれない。コーナーキックの守備でトップチームやU18が採用しているゾーンではなく、マンツーマンを採用しているあたりもひっょっとしたらその一旦だろう。しかしそれだと相手のチームとしての完成度が上がれば上がるほど戦いは苦しくなる。逆に言えば、このチームは高校年代(ユース)に向けて戦術面でまだ大きな伸びシロがあるとも言えるわけだが。

 試合は後半15分にCKのチャンスから一転カウンターを喰らい相手アタッカーの独走を許すと、一度は相手のシュートをGKが好セーブでストップしたものの、そのこぼれに詰められて1点を返される。過去何度も2-0のアドバンテージを生かせなかった名古屋にとってはここからが正念場だ。
 さすがに後半になると磐田も体力が落ちて来ているし、こうなると試合はもう戦術がどうこうではなくなる。J下部同士、全国への残りひとつの椅子を賭けた戦いは激しさを増し、前半からバトルを繰り広げていた球際ではさらに厳しい戦いが繰り広げられた。追い掛ける磐田と応戦する名古屋による意地と意地のぶつかりあいだ。

 ラスト15分。名古屋はエースの北川をピッチへと送り込む。コンディションが良くないのか、昨日の試合ではあまり良いところが見られなかった北川だが、この試合ではそのプレーで少しリズムが出てきたようにも感じられた。シュートを打つべき場面で打ち切れなかったりといったシーンもあったが、身体のキレも戻って来ているように感じた。全国大会に向けてこれは好材料だ。

 そして試合は残すところあと1分。名古屋は左サイドで磐田にセットプレーのチャンスを与えてしまう。不用意と言えば不用意だが、集中して守り切りさえすればこれがラストプレーになるはずだった。しかしこの土壇場で磐田が驚異的な集中力を見せる。FKからニアサイドに飛び込んだ選手のヘディングが決まり同点。試合は2-2のまま延長戦へ。名古屋はまたしても2-0のアドバンテージを生かすことが出来なかった。

 しかし延長に入る頃には磐田に反撃するだけの体力が残っていなかった。2点のリードを許して以降、同点に追い付くべくフルスロットルで動き続けてきたのだから無理もない話だ。そして北川を中心に磐田を押し込む名古屋は左サイド松田のクロスを北川が後ろに流し、それを拾った宮市がシュート。これh相手DFのブロックに遭ったが、そのこぼれ球を拾った伊藤がゴールラインに向かってドリブルで縦に突破してグラウンダーの折り返し。これをゴール前で宮市が詰めて名古屋が勝ち越しゴールを奪ったのだった。
 そうした一連のプレーの中で地味に光っていたのが北川の周りを使うプレー。もともと一人で何でも出来る選手だったが、今年ユース(U18)や一つ上の学年の日本代表に交じってプレーやトレーニングを行う中でそうした感覚を身に付けて来たのだろうか。そのプレーは実に滞りなく滑らかだった。

 そして試合は延長後半に金に代えてボランチに赤塚を投入するなど、トップチームのピクシーばりの手堅い選手交代を見せた名古屋が、そのまま3-2で逃げ切り全国大会への出場を決めた。

 この二日間で際立ったパフォーマンスを見せていたのが最後に交代した金。去年のプレミアカップの時にはまだ線の細いテクニシャンといった印象で、Wボランチを組んだ真柄にかなり支えられていた感じだったが、身体が出来てきて当たりに強くなった今は、中盤でハードワークをこなせるようになってきた。2点目のアシストとなった一連のプレーの素晴らしいのひと言。また常に声を出し続けていた森もキャプテンとして存在感を増している。接触プレーで選手が傷んでいる時に、ベンチにいる選手に向かってアップを指示するなど、選手の自主性を重んじている?このチームを象徴するような存在だ。

 厳しい試合だったが、名古屋にとってはこの試合を経験したこと、そして勝ち切ったことが大きな自信そして財産になるかもしれない。全国大会を地元名古屋で戦えるアドバンテージはなくしてしまったが、この厳しい戦いを乗り越えた彼等には堺だろうが徳島だろうがヴェニューはもはや関係ない。準々決勝での瑞穂への凱旋、そして決勝でのトップチームとの国立共演を目指して、中学年代最後の大会を悔いのないように戦って欲しい。
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■J1 第30節 名古屋×大宮 @瑞穂陸上競技場
 台風の影響により延期になっていた湘南との第28節をミッドウィークに挟んでいる大宮は、この試合まで中三日。残留争いが熾烈を極めている状況にあっては、全ての試合を勝ちに行くことよりも勝てる試合で確実に勝ち点3を奪うことの方が大切だろう。そうした意味では、この試合は中三日で現在首位を走る名古屋との対戦、またこのところセットプレーから多くの得点を演出している金久保が出場停止ということを考えれば、引き分ければ上出来、負けたとしても得失点差が大きく開かなければOKという試合だったかもしれない。
 一方名古屋にとってはこの試合は前節鹿島に敗れていることもあって負けられない試合。そしてケネディ、闘莉王、金崎といった負傷者を欠いているとはいえ、この試合で勝ち点3を獲りたいという思いは誰もが同じで、そのことは試合前にゴール裏のサポーターが示した「+3」というマスゲームが示していた。
 なお港サッカー場で無事高円宮杯出場を決めたU15の面々も三々五々集合してこの試合を観戦していたようだ。

 試合はセットプレーからファーサイドで待ち構えていたブルザノビッチが右足で叩き込み幸先良く戦線いた名古屋だったが、そのブルザノビッチが負傷して交代を待っている間に、その数的優位を生かして大宮にピッチを広く使ってボールを動かされ、最後はクロスボールをラファエルが落とし石原に叩き込まれるという完全に崩された形で名古屋が失点。試合を振り出しに戻されてしまった。
 立っていることすらままならないブルゾに代わって交代選手が既にタッチライン際にスタンバっていたことを考えれば、名古屋は故意にファールしてでも一旦流れを断ち切り交代選手を迎え入れるべきだったし、なんとなく「相手が出してくれるだろう」という淡い期待からズルズルと守備に入り、ボールの意奪いどころも定まらないままに崩されあれよあれよという間にゴールを許してしまうあたり、チームとしての「人の良さ」や「甘さ」が滲み出ている。このあたりの「試合巧者」ぶりは名古屋が10年経っても鹿島に追い付けない部分だ。

 しかし今シーズン名古屋はこれで終わらない勝負強さを身に付けている。内容だけ見ればキレキレの玉田ぐらいしか印象に残らない試合だったが、ケネディ、闘莉王を欠くセットプレーから今度は増川が頭で合わせて名古屋が勝ち越し。試合を名古屋の勝ちパターンへと再び引き戻した。

 後半になると大宮はラファエルをサイドに置き、トップにスピードのある二人を並べる布陣へと変更していて、増川、千代反田というCBに対してスピード勝負で活路を見出す作戦に出たのかなと思っていたが、最も怖い存在であるラファエルを最前線に置かれる方が名古屋にとっては脅威が大きかったはずで、結果的に大宮が得点から遠ざかってしまったのは自然の成り行きだった。

 そして鈴木監督がなぜこんな策に出たんだろう?と考えつつ、いくら得失点差を気にしているとは言え攻撃に人数を掛けなさすぎな大宮に疑念を抱いていた俺が、大型ビジョンに表示された大宮のメンバー表から一人分の名前が消えていて、それがどうやら前半終了間際に俺がトイレに立った隙に起こった出来事であろうことに気が付いたのは後半も半ばにさしかかった頃のことだった。

 試合はそのまま2-1で終了。名古屋は欲しかった勝ち点3を、大宮は最低限の結果として得失点差-1を得てそれぞれが向かうべき次節からの戦いへと進んでいくことになる。。ただ対戦相手である大宮の状況が状況とは言え、ケネディも闘莉王も欠く中での勝ち点3が持つ意味が、名古屋にとってことのほか大きなものであったことは疑いようもない事実だった。
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by tknr0326g8 | 2010-11-15 01:17 | Game Review
J1 2010 第27節 神戸×名古屋 @ホームズスタジアム
 今回の関西遠征は、堺のナショナルトレーニングセンターで、三年前の名古屋ユースのキャプテン・西山洋平が出場する関西学生リーグと、C大阪西とトレーニングマッチを行う名古屋U15を観戦した後、神戸のホームズスタジアムに移動してトップチームの試合を観戦するスケジュール。

■関西学生サッカーリーグ後期 立命館×関西大
 今年の4月にオープンした堺にあるNTC・メインフィールドで11:30KOの関西学生サッカーリーグ・立命館×関西大は観戦無料と観客に優しい大会。そんな中、最近試合に出ているらしい関西大学三年生・西山洋平はこの試合も無事先発出場を果たしていた。背番号20を背負い、ボランチの一角ながらもより守備の比重が高いアンカー的なポジションでプレーしている西山は、守備のバランスを気にしながら、ボールを受けるとシンプルなつなぎに徹している。高校(ユース)時代の彼は、敵味方構わず怒号を轟かせる闘莉王ばりの派手なリアクションと、当時「小さい吉田麻也みたい」と書いた記憶があるようなプレースタイルが売りだったが、大学に進んで随分とそのプレーが大人びたような印象を受けた。4年生になる来年はその野性味が再び解放されるのだろうか。

 試合は前半のうちに立命館の伊藤了(中京大中京出身で伊藤翔の弟)が負傷退場してしまったこともあり、両チームともに得点の雰囲気がなかなか漂ってこない。名古屋U15のトレーニングマッチと時間が重なったので前半終了とともに会場を後にしたが、夜に試合結果をチェックしたらやはりトータルでも0-0のスコアレスドローという予想通りの展開だったようだ。

 あと個人的に気になったのは、関東大学リーグではFC東京の流れを組む応援(歌)が多いが、関西ではやはりG大阪のそれが多かったことだろうか。
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■トレーニングマッチ C大阪西U15×名古屋U15
 関西学生リーグを前半終了とともに切り上げ、名古屋U15がトレーニングマッチを行う人工芝フィールドに移動する途中、二つ隣の人工芝ピッチに入って行く広島ジュニアユース監督・沢田謙太郎の姿を発見。どうやらC大阪の本体と試合をするようだ。どうせなら30分ごとに区切って対戦相手を変えて試合をすれば良かったのに…というのが、名古屋U15がC大阪西との試合を終えた後での率直な感想だったりもする。

 名古屋は先週行われたU15東海リーグで磐田に0-3の完敗。試合を観ていないので内容については何とも言えないが、数字的にはこれでU15東海リーグは優勝どころか3位転落の可能性も出て来た。これによって東海地区に4枠与えられている12月開幕の高円宮杯(U15)出場の芽が潰えてしまうわけではもちろんないが、メンタル的にもまだ不安定な年頃だけに、このタイミングで遠征に出てJ下部の強豪チームと試合を組むのは、気持ちの切り替えという意味でも良い試みかもしれない。

 U16日本代表に選出された北川柊斗を欠く名古屋は、森が1トップに入り、普段その森が入っているトップ下に石田が入る。Wボランチには石川&金というテクニカルなコンビ。比較的似たタイプの二人だが、自分達でボールを保持してゲームをコントロールしていこうという意図ならこのコンビは適任だ。

 試合は立ち上がりこそリズムを掴むのに少し時間を要したものの、カウンターから右SB若園のクロスが抜けて来たところをゴール前で待ち構えていた森がトラップから冷静にゴールに流し込んで先制するとあとは名古屋のゴールショー。寄せの甘いC大阪西に対して個々の能力に秀でる名古屋は余裕を持って次のプレーを選択出来ている。そして石田のスルーパスに抜け出した森が追加点を奪うと、相手が一人痛んでいる間に、この試合キレキレだった左SHの伊藤が得意のドリブルでゴールライン際まで切れ込んでその折り返しをゴール正面で曽雌がプッシュし3点目。さらにはセットプレーから短くつないで石川がゴール前に入れた柔らかいクロスがはね返ったところを伊藤が決めて4-0で一本目を終了した。
 そのスピーディーで滑らかなスラロームもさることながら、タイミング良く相手の前に身体を滑り込ませるのが上手い伊藤のドリブルは、1対1(の守備)に自信を持った選手でない限り初対面でいきなり止めるのは至難の業。この試合でもほとんど左サイドは無双状態だった。伊藤にとっては自分のパターンを熟知している相手や、今後対峙していくことになるであろう全国レベルの相手と向かい合った時にどこまでその持ち味を安定して発揮できるかが、真価を問われる時になるはずだ。

 一本目の4-0という結果は、名古屋としてはそれ以外にも多くの決定機があったことを考えれば、決めるべきところで決めておくというゴールに対する執着心と貪欲さをもっと求められる結果でもあった。また一本目~二本目にかけては、不用意にインターセプトされてカウンターを喰らうという、相手のレベルがレベルだったら結構危険なことになっていたであろうシーンがあり、今年の高円宮杯が総勢32チームによる一発勝負のトーナメント方式に戻ったことを考えれば、そこも改善していかなければならない。

 二本目も立ち上がりこそC大阪西GKの思い切り良い飛び出しに何度か決定機を阻まれていたものの、鮮やかなターンで相手を置き去りにした中央の金から左サイドへダイアゴナルなパスが通ると、これを受けた伊藤がドリブル突破からまたしてもゴールをお膳立て。最後はゴール正面でGKをかわした森がハットトリックを決めて先制すると、ゴール前の混戦から蹴り込む形と左サイドからのダイアゴナルなパスを右サイドで受けて角度のないところから逆サイドに叩き込む形で曽雌が連続ゴールを挙げる。
 このあたりから名古屋はメンバーチェンジが激しくなってきたが、その後もゴールラッシュは終わらない。石川→森とタテにつながったボールを最後は前線(森が空けたスペース)に走り込んでいた
直江が効き足ではない右で蹴り込んで追加点を挙げると、右サイドに入っていた児玉がこぼれ球を拾って左足で美しい弧を描くシュートを逆サイドに沈める。そして後方からのフィードを受けた桜井がそのまま持ち込んで右足に持ち替えてから豪快なゴールを突き刺す頃には早くもスコアは10-0になっていた。
 その後DFラインの4人中3人をU13の選手にした直後に右サイドを破られて豪快なゴールを突き刺されたものの、二本目のスコアは6-1。一本目よりもむしろアグレッシブに感じたのは、途中交代で入った控え選手達のアピール的な要素もあったのだろうか。

 選手が出たり入ったりしながら迎えた三本目。石川が復帰し桜井1トップの下にポジションを取ってゲームがスタート。そしてさっそくその石川が中央で直江からのパスを受けて得点を挙げると、桜井、児玉、濱田、伊藤がゴール前で個人技を発揮して次々と得点を重ねて5点を奪う。三本合わせてのTOTALスコアは最終的に15-1になった。

 今年に入ってCBで起用されるようになった後藤のヘディングがセットプレーで相手に脅威を与えるレベルになっていたり、少しづつ線の細さがなくなりプレーに力強さが出て来始めた金のように、選手個々で見てもまだまだ伸びシロは十分ある。この試合のゴールラッシュが清水、磐田相手に喫した連敗を払拭出来るものになったか分からないが、彼等がさらなる成長を遂げるために高円宮杯でのブレークに期待したい。と言いたいところだが、まずはその前に油断することなく東海予選をキッチリ勝ち抜いて、決勝で磐田にリベンジして欲しい。
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■J1 2010 第27節 神戸×名古屋
 前線新潟に1-4という大敗を喫した名古屋にとってこの試合は上位との直接対決以上に大きな意味を持つ。試合前にホームズスタジアムのビジョンで流れていた過去の名古屋との対戦で挙げた神戸のゴールシーンなどを見ると逆に名古屋の成長の跡を感じることが出来るが、もしここで連敗を喫するようなことがあれば、これまで順風だった流れは一気に逆風へと転化してしまうだろう。

 名古屋は前節イエローカード二枚で退場を喰らった中村の代わりに小川を先発に起用した以外はいつも通りの布陣。ただ個人的にはその「繰り上げ」で花井がベンチ入りしているのが注目点。天皇杯・札幌戦のゴールによってピクシーの頭の中に再度花井の名前がインプットされたということだろうか。

 試合は開始早々に動く。ホームにも関わらず上手く試合に入り込めていない神戸の寄せが甘いと見るや、増川がDFラインから目の覚めるようなフィードを右サイドへ通すと、そこには金崎と田中隼麿がフリーになっていた。そして前を向いてボールを拾った田中隼麿が相手DFが寄せてくる前にテンポ良くゴール前にクロスボールを供給すると、玉田にしては珍しいヘディングシュートをこれまたらしくない(ストロングヘッダーのような)打点の高さで決めて、名古屋が開始僅か4分で先制に成功したのだった。神戸はサイドから中に入ってきた玉田にマークが付き切れなかったのか、それともケネディに意識を持ってかれていたのか、玉田もまたゴール正面でポッカリとフリーになっていた。

 ここのところ先制される展開が続いていただけに、このゴールは名古屋にとって吉兆のようにも思われたが、そう簡単には物事は進まない。前掛かりになりがちな名古屋に対してカウンター主体の攻撃から少しづつリズムを掴んだ神戸もにわかに反撃を開始する。いくら首位相手でしかもエースの大久保を欠いているとは言え、降格危機にあるチームがホームゲームで文字通り無残な(何も残らない)試合をするわけいもいかない。
 神戸はポポとボッティの二人が名古屋DFの間をフラフラしていて、それが気になるのか名古屋のDF陣は左SH・小川慶治郎を全くつかまえ切れていないシーンが目に付く。ピクシーもコーチングエリアギリギリまで出張って、(名古屋の)小川やマギヌンに対し右手で「3」、左手で「1」を示して小川慶治郎に対する注意を喚起しているのだが、彼等は彼等で目の前にいる相手が気になってしまうのか、どうしてもそこを修正することが出来なかった。最終的には(名古屋の)小川がダニルソンとWボランチを組む形に落ち着き、DFラインの前のスペースを消して、小川慶治郎だけでなくポポやボッティにもそのスペースを使わせないようなシステムに変更した名古屋だったが、それでもまだ傾向には同じ。意気軒昂なWボランチは、自分達の仕事がDFラインの前のスペースを消すことなのか、それともボールを動かせるエジミウソンと三原のWボランチに対してプレッシャーを掛けることなのかの判断がハッキリしない様子で、飛び込んでは交わされ、自分達とDFラインとの間に出来たスペースを神戸に使われるようなシーンも目立っていた。

 そしてそんな名古屋をさらに窮地へと追い込んだのがポゼッションでのミスだった。名古屋は自らが犯したイージーなパスミスによって、何度もショートカウンターを喰らい危険なシーンを作られる。
 これについては闘莉王のパフォーマンス低下が間接的に与える影響が決して小さくないだろう。最終ラインにいながらにして、名古屋の得点源のひとつであり、長短を織り交ぜるだけでなくリズムに変化をつけられるパスによりゲームメークまで担っている闘莉王は、膝靭帯の損傷によりおそらくは踏ん張って強いフィードが蹴れない状態にある。それでも闘莉王からパスが出来ることはあるが、ほとんどがなでるようなパスでしかない。そんな状態であっても、闘莉王はこのピッチ上で最も優れた選手のうちの一人には違いないが、同時に本来の彼からは想像もできないほどピッチ上から存在感が薄れてしまっている。
 そんな闘莉王に対して、名古屋の選手達はなるべくボールを預けないようにしてその負担を減らそうという気遣いを働かせているように見えた。先制ゴールにつながった増川のフィードなどはこれが上手く回った例だが、それ以外のシーンではまるで吸い込まれるように神戸が狙っているところにパスを出して奪われてカウンターを浴びるようなシーンが目立つ。それひとつ取ってもこれまでの試合で名古屋がいかに闘莉王に依存して戦っていたかが分かるというもの。正確なフィードを蹴れるDFは増えている。しかしそのキックによって攻撃のテンポを変えられる選手まではなかなかいない。

 また闘莉王のコンディション不良は当然ディフェンス面にも大きな影響を与えており、カウンターからとは言え、サイドからのクロスに対してこれだけ不安定な名古屋を見たのは久しぶりだった。これまでであれば、サイドからいくらクロスを上げられても中に闘莉王がいれば安心して見ていられたのだが、闘莉王に好調時のようなオーラはなく、また競り合いどころかそのためのポジションに入れていないことすらあるのだからピンチを招くのも必然。またそれは当然のごとく周りの選手達にも少なからず影響を与え、自らの仕事というよりは闘莉王のカバーに備えようとする。それが結果的には後半の神戸の追撃ゴールにもつながってしまった。

 そう考えると、ちょうど4月の神戸との試合でブルザノビッチが2度も直接FKを叩き込んだように、この試合でもダニルソンがGKの頭越しに豪快なFKを蹴り込んで前半のうちにリードを二点に広げておけたのには、単純な一点以上の価値があった。そして後半に1点差とされた後も神戸が意外なほどに淡々と試合を進めていて、攻撃にあまり人数を掛けて来なかったことも、名古屋にとってはラッキーだった。一点差に迫られた後、神戸が攻撃に人数を掛けていたら名古屋ははたして守り切れただろうか。
 残り時間も僅かとなったところで、相手のコーナーキックになると同時に、杉本がひとりでフラフラと前線に上がって行き、ベンチや味方から「上がるな!」と突っ込まれていたように、名古屋には決して試合巧者とは呼べない(試合の流れを読めない)選手も少なくはない。これでは、もはやコンディション的には試合に出られる状態でない現場監督・闘莉王を外すという決断をピクシーが渋るのも仕方ない。

 負傷者が続出し、勝ち点3と引き換えに一気に台所が苦しくなって名古屋だが、コンディションに不安を持つ(それでもなおそのプレーはトップレベルの)闘莉王などは本来休息が必要だったはずだし、逆にこれを良いキッカケにして欲しいところだ。
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by tknr0326g8 | 2010-10-23 23:59 | Game Review
第90回天皇杯 3回戦 名古屋×札幌 @瑞穂陸上競技場
 代表でケネディ、闘莉王、金崎、怪我でダニルソン、増川を欠く名古屋はさらに楢崎、阿部の二人を休ませ、大幅なローテーションを断行してこの試合に臨む。代わりにスタメンを張ったのは、杉本や小川、千代反田、竹内、三都主、高木といったJでの実績もある普段の控え(ベンチ)メンバー達で、リーグ戦が終盤を迎えて今後カードトラブルや怪我等のコンディション不良が発生するであろうことを考えると、これは彼等にとってもチームにとっても貴重な実戦の場になるかもしれない。個人的には花井や田口、福島といった若手を見てみたいところだが、チーム全体を見据えれば、今シーズンの名古屋はそんな若手のブレークといった起爆剤(刺激)がなくてもリーグ戦を乗り切れてしまえそうなほど安定した戦いを見せている。

 前線で絶対的なターゲットとなるケネディの不在、いつも最終ラインでビルドアップの起点となる闘莉王の不在、そしてJ1で首位独走中の名古屋に対して前半札幌が過剰な敬意を払っていたことなどの要因が重なって、名古屋は最終ラインからボランチを経由してパスをつなぎながらゲームを組み立てる名古屋らしくない戦い方を選択。そしてグラウンダーのクサビをトップに当ててそこからチャンスを作り出す展開の中では巻を差し置いてFWに抜擢された橋本や玉田といったテクニシャン系の選手達が時折アタッキングサードでアイデアを見せ即興のコンビネーションで札幌ゴールへと迫っていた。

 あとはいかにフィニッシュの精度を上げるか、ゴールへと押し込むかということが前半の名古屋にとってのテーマだっただけに、後半開始にあたっての巻の投入というのはひとつの有効な選択肢だった。精度はともかく、ゴールへと押し込む最後の作業を担うのに巻は適任だ。しかし後半頭からのそんな巻の登場も、代わって下がってしまったのが玉田とあっては心中穏やかにはいかない。前半の名古屋で札幌に対して唯一明確に格の違いを見せ付けていたのが玉田だった。おそらくは前半に何度も足を押さえて倒れ込んでいた負傷の影響だろうが、玉田抜きの名古屋が札幌に対して明確な差を見せ付けることが出来るのか。

 そして不安は現実になる。ハーフタイムで石崎監督に喝を入れられたのか、ディフェンスでも少しアグレッシブになった札幌に対して、名古屋はどことなくパス回しにぎこちなさが生まれ始め、カウンターから一瞬のスキを突かれて放たれた札幌FW高木淳の芯を喰ったシュートが、名古屋GK高木義の右脇を抜けて名古屋ゴールへと突き刺さった。カウンターとは言えDFの対応やGKの準備には余裕があったが、これはシュートを褒めるしかない。

 しかし先制ゴールを奪ったことで気持ちが引いてしまった札幌に対して、名古屋は得意のサイド攻撃によって札幌を押し込んでいく。この試合でセンターに入っていた小川が、相手のプレッシャーが緩いこともあって、FWが落としたボールをワンタッチで正確に逆サイドまで展開するプレーを何度も見せてサイドアタックを誘引すると、名古屋は左右からクロスボールの乱れ打ち状態。クロスを蹴る方と受ける方とで息が合わず、残念ながらクロスボールをそのままゴールするシーンこそ見られなかったが、それでも札幌DFをボックス内に釘付けにするには十分で、それが結果的に中村と花井のゴールを呼び込んだとも言える。中央でパスを受けて目の前に誰もプレッシャーを掛けに来ないと見るや、狙い澄ましたミドルシュートを札幌ゴール右上に突き刺した中村の同点ゴール、さらには左サイド三都主からのクロスがこぼれたところを待ち構えていた途中出場の花井が右足で鮮やかに蹴り込んだ逆転ゴールは、いずれもサイドアタックが呼び水となっている。

 そしてそんな名古屋の反撃において欠かせなかったのがマギヌンの存在だろう。雨天というありがたくないコンディションもあってか、途中まで明らかにやる気のなさそうなプレーをしていたマギヌンだったが、札幌に先制を許した後は一転スーパーなプレーぶりで名古屋の攻撃を牽引。中盤に顔を出してリズムをい作った(変えた)かと思えば、ボックス内にダイビングヘッドで飛び込んだりと、文字通り獅子奮迅のい暴れっぷりだった。玉田の欠けた名古屋において違いを作り出せるマギヌンの存在はこの上なく大きかった。
 
 遅すぎるプロ初ゴールを決めた花井はA契約も勝ち取り、本人も言うようにようやくスタートラインに立った感じ。この試合では途中出場ながらも少し長めにプレー出来たこともあり、最初はミスもあったが少しづつゲームに入って行くことが出来たのが大きい。欲を言えば、ボールを持ってもすぐに中村やマギヌンに預けてしまうような(前日の本田圭佑とは対照的な)プレーが目立ったのが残念だったが、積極的に前線へと顔を出していたことがゴールへとつながったし、ゴールの後は小川に鋭いスルーパスを送って好機を演出するなど少しづつ殻も破れてきた。身体もひと回り大きくなったような感じもするし、ぜひともこのゴールを飛躍への足掛かりにして欲しいところだ。
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by tknr0326g8 | 2010-10-09 23:47 | Game Review
J1 2010 第19節 川崎×名古屋 @等々力陸上競技場
 W杯による中断を挟んだリーグ戦再開後、順調に勝ち点を積み重ね前節遂に首位に立った名古屋。苦しみながらも横浜や東京といった難敵を退けたことで、各メディアにはその名古屋らしからぬ勝負強さに対する賛辞が並んでいたが、フレッシュな状態で臨んだ中断明けと比べるとそのパフォーマンスは明らかに低下している。前節では(現時点の)チーム力に差がある浦和に前半は押されっ放しになるなど、相手に関わらず「苦しみながら勝つ」ことが名古屋の芸風になりつつことが不安だ。そして盆も明け、8月も下旬に入ろうかというこの時期に迎える川崎、G大阪との連戦は、(現在の)横浜や東京と違ってごまかしが効く相手ではないだけに名古屋にとっては正念場と言えるだろう。

 この真夏にミッドウィークを含めた連戦を行うのは常軌を逸しているとしか思えないが、この時期は夏休みシーズンでクラブにとっては掻き入れ時であり、W杯開催に伴って日程が詰まっていることを考えれば、プレーする選手達には耐えてもらうしかない。個人的にはそんな状況下ではターンオーバーも視野に入れながら試合をこなした方がいいのではないかと思うし、その点ではJ屈指とも言える豪華なベンチメンバーを抱える名古屋が他のチームと差をつけられる絶好のチャンスでもあると思うのだが、チームが勝っていることもあってかピクシーはメンバーをいじりたがらず、また前日の試合ではターンオーバーを断行した清水が新潟に大敗を喫するなど必ずしもフレッシュなメンバーがいいということではないのも確かだ。

 そんな中名古屋にとっては土曜日の浦和戦から中三日、川崎にとっては日曜日の広島戦から中二日という状況下で迎えたこの試合は、首位名古屋を迎えるとあって平日にも関わらず等々力での今シーズン最多入場者数を記録したものの、両チームともにつまらないミスが多く試合自体のクオリティで言えば満員の観客のニーズに応えられるものではなかった。そしてミスが多くなれば、ボールをキープして自ら仕掛ける名古屋よりも、相手のミスを待ってリアクションからダイレクトな速攻を仕掛ける川崎の方が有利になることも自明の理だった。

 横浜戦以降、名古屋はこれまでのスタイルとは打って変わり自陣でブロックを作って守るようなやり方に切り替える(使い分ける)ことが出来るようになったと言われていた。省エネで夏場を乗り切るには必要な戦い方でもある。しかし俺の中ではひとつの疑問が拭い切れなかったのもまた確かだった。それはひょっとしたら名古屋が意図的に自陣でブロックを作って守っているのではなくて、守備面では決して献身的とは言えない中盤より前の選手達が足を止めることで自然とそういった守り方になっているのではないかということ。
 事実前節の浦和戦では2ゴールを挙げ勝利の立役者になった玉田が守備面では前半から全くやる気を感じさせず、(金崎と左右を入れ替わって)移るサイド移るサイドでそちら側の(浦和の)SBのオーバーラップを誘発し挙句の果てには軽い対応から宇賀神のミドルシュートを目の前でブチ込まれてようやく目が醒めていた有様だったし、この試合でも先制点のシーンでは“そのポジションにはいた”ブルザノビッチがボールホルダーの田坂に寄せたはいいが粘り強さの全くない淡白な対応で振り切られV・ジュニオールへのスルーパスを通されている。
 もしチームとして意図してブロックを作って守っているのだとしても、こんな紅白戦かミニゲームのような気持ちでサッカーをしていては川崎に勝てるわけがない。相手の川崎もこの試合では自陣でブロックを作ってカウンターを繰り出す、正直「ホームゲームでそれやるか?」と言いたくなるほど徹底した省エネサッカーを披露していたが、少なくともブロックを作ったディフェンスは球際でよく闘っていた。この試合における名古屋と川崎の差はなにも決定力だけではない。

 一方攻撃に目を向ければ、サッカーというよりは徒競走でも観ているかのようだった川崎の攻撃がそれでもゴールという形に結実していたのに対し、名古屋はここ二試合ぐらい続いている低調な状態に改善が見られない。その最大の理由は、リーグ前半戦でゴールを荒稼ぎしたケネディに相手のマークが集中することに対するカウンター手段が全く用意されていないどころか横浜戦で肉離れを起こした中村に代わってブルザノビッチが起用されるようになったことで事態がむしろ悪化していること。相手のCBとボランチのトライアングルがケネディを生け捕っている間、その脇を走り抜けて前線に飛び出す人間(=これまでの中村)が今の名古屋には皆無。ケネディを包囲するトライアングルを壊してケネディを助けるというだけではなく、幽閉されたケネディを囮にして自らが主役になろうという選手が今の名古屋ではセットプレー(及びそのセカンドボール)時の闘莉王しかいないのだから攻撃が停滞するのも無理はない。ブルザノビッチに至ってはそんな前線に飛び出す動きどころか、中盤でマギヌンとポジションが重なっている場面が散見されるようではそれ以前の話だ。

 是が非でも欲しかった先制点を川崎に奪われ0-1とリードを許してハーフタイムに入った名古屋だったが、中村が怪我からの早期復帰を果たし前節よりベンチ入りしているのは朗報。持ち味である「野性味」を二列目のセンターというポジションで良い方向に発揮している中村は、そのポジションではマギヌンとともに押しも押されぬファーストチョイスだ。そしてハーフタイム中のアップで際どいコースにズバズバとシュートを沈めていた中村を見るにつけ、その期待感は俺の中ではさらに大きく膨らんでいた。
 しかし後半最初の交代カードとしてその中村が出て来たはいいものの、骨折を押しての出場だったダニルソンに代わってアンカーに入ってしまい、挙句の果てには交代のカードを使い切った後で増川が退場になったことでCBに“異動”してしまっては、もはやそこに攻撃的な上積みを期待することが難しくなってしまった。これがベンチの指示なのかピッチ上の選手たちによる判断なのか分からないが、そもそも経験があるかないか分からない中村にCBをやらせるぐらいなら、なぜ阿部をCBに回して三都主を左SBに入れるような手段が講じられなかったのだろうか。

 この試合での名古屋は良いプレーをしていた選手を探す方が難しい状態。中三日とはいえ相手よりも一日長くしかもそれは完全休養に充てられたのだから言い訳の仕様がない。そもそも機能していない選手は論外として、ボールを弾ませたら危険だといつまで経っても学習しない増川や、闘莉王が攻め上がっている時にいつものクオリティで中盤でボールを失い三失点目の起点となった小川、ポゼッション中も味方と相手のフィフティな位置にパスを出し続けていた玉田などもそのクオリティはとても優勝を狙っているチームのそれとは思えなかった。
 まあシーズンを通して常に最高のコンディションで試合に臨めるわけではないし、この試合に限っていえば途中までは川崎も似たりよったりだったのだから、そうしたミスを得点につなげられた川崎とつなげられなかった名古屋の差というだけかもしれないが、ただ前半戦でもホームで負けている川崎に対して(しかもチョンテセも川島永嗣もレナチーニョもいない川崎に対して)0-4の大敗を喫して返り討ちに遭ったことに対して、その屈辱を晴らす機会は来年までなくなってしまった。あとはこの敗戦も糧にしながらリーグ戦で川崎よりひとつでも上の順位に行くことによってこの悔しさを少しでも晴らすしかない。
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by tknr0326g8 | 2010-08-18 22:58 | Game Review
J1 2010 第17節 FC東京×名古屋 @味の素スタジアム
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詳細は後ほどupするとして、ひとつ言えることは、(相変わらずプレーのディテールに課題は残すものの)小川のブレ球が十分に使えるレベルに達しているということ。その完成度は中村北斗の比ではない。このメンバーで直接FKを蹴らしてもらうのは難しいかもしれないが、そのミドルシュートが名古屋を救う日が近々訪れるに違いない。
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by tknr0326g8 | 2010-08-09 01:02 | Game Review