Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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キリンチャレンジカップ2009 日本代表×トーゴ代表 @宮城スタジアム
 夜になれば既に冬の寒さを感じさせる仙台で赤道直下からやって来たトーゴの選手達だけが(GKを除いて)全員半袖姿で登場した時にはそのモチベーションにあらぬ期待を抱いたものの、いざ試合が始まってみればフィジカルコンディションもさることながらメンタル的にも試合に集中出来ていないトーゴの選手達は自陣ゴール前ですらも一歩目の動き出しで日本の選手に全く付いて行くことが出来ず、岡崎にハットトリックを許すなどやられたい放題。それに加えて空気を読んだ?アシスタントレフェリーが立ち上がりから日本のオフサイド臭いプレーをことごとく流したことであっという間に試合は決まってしまった。新戦力を中心とした個々のプレーヤーのパフォーマンスよりももう少し試合自体に興味を持続出来れば良かったが、まあそのおかげで(おそらく予定を早めて)後半頭から本田が見れたのは個人的には不幸中の幸いだった。
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by tknr0326g8 | 2009-10-14 23:59 | Game Review
J1 2009 第28節 名古屋×FC東京 @スカパー
 劇的な勝利を収めたACL準々決勝から中三日。ホーム瑞穂陸上競技場に迎えるのは7月の味スタ二連戦でコテンパンにやられたFC東京。その後FC東京はナビスコカップこそ決勝まで勝ち進んでいるものの、リーグ戦ではいつの間にか名古屋より下位に低迷している。カポレが中東に強奪されおまけにこの試合ではブルーノ・クアドロスが出場停止になっていることを考えれば、名古屋にとっては(体力的には厳しいかもしれないが)水曜日の川崎に続いてリベンジを果たさなければならない試合だ。

 しかし現実はそんなには甘くなかった。組織的で攻撃的なモダンフットボールを掲げる名古屋だが、確かにチーム全体で組織的に戦おうとする意思は見えるものの、その内実はまだ盤石な組織を築けているわけではなくむしろ個の能力に依存している部分が大きい。実際今シーズンも苦しい時期を即戦力の補強によってなんとか乗り切って来た。そんな名古屋にとっては個々の選手のパフォーマンスこそが生命線であり、連戦によって疲弊した選手達では勝負はやる前から見えていたのかもしれない。
 そんなこともあって、個人的にはてっきり先週の鹿島戦のように杉本やブルザノビッチといった選手達を先発で起用してくるものだとばかり思っていたので、この試合の先発メンバーを観た時にはかなり肩透かしを喰らった感じだった。昼間の試合で川崎が水曜日と同じスタメンで横浜戦に臨み2-0と勝利していたが、何年も前から同じスタイルで戦い続けている彼等と名古屋では基盤となる組織の熟成度が違う。ソリッドな守備組織からの速攻をベースとする川崎と名古屋を同列に語ることは出来ない。

 そんな名古屋の状態が顕著に現れたのは、例えば石川に奪われた同点ゴールのシーン。一体石川に何点取られれば気が済むのか?という感情論は一旦置いておいて、ただでさえ体力的にキツい状況でせっかくセットプレーから効率的に先制したにも関わらず、ブロックを作って守れない名古屋は相変わらずピクシーによる「プレッシャー!プレッシャー!」の指示一辺倒で前からディフェンスに行き、速攻が武器の東京に対してみすみすスペースを用意してしまった。そしてピッチサイドから放たれるピクシーの催促に対して、しぶしぶといった感じで2トップ(失点シーンでは玉田)が相手DFに対してプレッシャーを掛けに行くのだが、前からプレッシャーに行ったところでどう追い込むのかがハッキリしない名古屋は後ろの選手達の連動も中途半端で、結局は玉田のヌルいプレッシャーをかいくぐるようにタテ1本を出されると、ボックスの前には3対3の状況が出来上がっていた。ハーフタイムに図らずも城福監督が指示していたようにまずはブロックを作って前からのプレッシャーにも後ろが連動してそのパスの出先を狙っていた東京とはこれは雲泥の差。実際東京は後半名古屋に攻め込まれる時間帯もあったが名古屋にチャンスらしいチャンスは作らせなかった。FWが前からプレッシャーを掛けるだけで勝手に相手がボールをプレゼントしてくれた第16節のG大阪戦や前節の鹿島戦のような奇跡はそうそう起こらない。

 ただFC東京の飛ばしっぷりを考えれば、後半名古屋にもチャンスが来ることはある程度予想できた事態。ここでマギヌンがいないのは痛かった。両チームともに間延びした中盤でDFラインで弾き返したボールを運べるのが小川一人ではちょっと厳しい。昨シーズン終盤にマギヌンが怪我で離脱している間の名古屋がどんな状態だったか思い出すまでもなく、ブロックを作って守備を固めている相手に対して中村と吉村のWボランチが出来ることは限られている。ブルザノビッチや杉本の投入が悪かったとは思わないが、アクシデントでもあったならともかく、ピッチに残しておくべき選手とそうでない選手の見極めについてはもっと別の選択があったのではないだろうか。

 光明があるとすればここのところようやく得点に結び付くようになってきたセットプレー。これまではこれだけの長身選手を揃えていることを考えればほとんど奇跡と言っていいほど得点の匂いがしなかったが、大宮戦、ACL川崎戦、そしてこのFC東京戦とセットプレーから得点を重ねている。また順調にスコアを伸ばしている吉田もようやくユースの頃のような「引きの強さ」が出てきた感じだ。得点は基本的に引きの強い選手のところにボールが集まって来るもの。闘莉王がFW以上に得点を量産し続けているのは技術や戦術(ポジショニング)というよりも引きの強さがあるからと言っても過言ではなく、「(ボールが)自分のところに来い」と思っていなければ得点はままならない。今の吉田にはそれがある。
 そして吉田はそんなセットプレーだけでなく、ここのところのプレーぶりは代表に選出されても全くおかしくないほどのハイレベルなパフォーマンスを保っている。それは単なる調子の良さなどとは全く別次元のもので、何が吉田を変えたのかは分からないが、一つ一つのプレーや言動からヒシヒシと感じる高い意識を見るにつけ、近い将来吉田が本田のように海外へと巣立っていくのではないかと思わずにはいられない。名古屋ファンは間違っても来シーズンからの新加入が内定した新井と吉田で今後10年は名古屋DFは安泰などと思わない方がいいし、フロントも新井に続く後任のリストアップを進めておいた方が良いかもしれない。
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by tknr0326g8 | 2009-10-04 23:59 | Game Review
ACL 準々決勝 2ndレグ 名古屋×川崎 @BS朝日
 パーフェクトとは言えないが名古屋にとってはいくつかの課題が改善されていることが確認出来た試合だった。例えば1stレグのレビューの中で書いたサイドからのクロスボールに対して中央で合わせるバリエーションという意味では、鹿島戦での先制点(ブルザノビッチ)や3点目(杉本)といい、名古屋をACL準決勝に導いたと言っても過言ではないマギヌンのシュートといい、ケネディをオトリとしてその裏に飛び込む形がこのところよく見られる。特に逆サイドのSHがクロスに対してファーに入って来る形はSHの得点力によって苦しい試合をモノにしてきた昨シーズンを彷彿とさせるものだ。個々のプレーヤーを見ても、(雨の影響もあってか)相変わらず広野のキックが安定しないところは気掛かりだが、国立とカシマでは同じような位置から中途半端な(右足に付けるのか左足に付けるのかすら曖昧な)パスを出して自ら攻撃の芽を摘んでいた小川が迷いを吹っ切るように放ったミドルシュートを決めたことは彼自身にとっても光明となるに違いない。

 1stレグから一週間。ともに間にAWAYでのリーグ戦を挟んでいるのでこの試合に向けた特別な何かをトレーニングするような余裕はなかっただろう。実際、1stレグに2‐1で勝利を収めこの試合は引き分けでも準決勝に進める川崎はまずは失点をしないことに念頭にやや引き気味な布陣からカウンターを狙う形を徹底してはいたものの、中村憲剛とレナチーニョを両SHに配置する4-4-2のフォーメーションも名古屋のボールの出所と受ける先に対してマッチアップするように人を立てる守り方も前回対戦のままだった。
 対する名古屋も先に失点を喫すると(AWAYゴールもあって)苦しくなることからかなり慎重な試合への入り方をしていた。川崎が前から来れば(勝算の低い)撃ち合いに応じるしかないが、川崎が出て来ないのであればむしろそれを利用して0-0の時間帯を長引かせると同時にどこかで得点を奪いに行き、最終的に1-0のスコアで試合を終えるのが準決勝進出に向けては最も現実的なシナリオだからだ。名古屋は自陣へと引いた川崎が網を張る外のエリアで出来るだけボールを失わないようにバックラインでボールを回していたが、そんな光景もこの試合に限っては全くストレスに感じなかった。

 川崎にとって厄介だったのは三都主の存在だろう。一週間前に対戦した時には見られなかった形を名古屋は試合(公式戦)という最高のトレーニング環境で試運転しその上好感触を得ている。川崎はこれに対する対策をほとんど試合の中で考えながら行わなければならなかった。川崎の対名古屋用戦術は名古屋がDFラインでボールを動かしながら前の4人(2トップと両SH)にボールを入れてくるスタイルを想定しているので、三都主がボランチに入ってそのパス回しに積極的に関与することで予想とは違うボールの動きに対応しなければならない上、狙い目のひとつと踏んでいたはずのDFラインでのパスミスもこれによって確率が低下してしまう。三都主のボランチは守備においてもSBでのプレー経験が生きているのかDFラインとの距離感に気を払えるので中村や吉村と比べてもチームとしてブロックを作って守ることを可能にし、また隣でプレーするマギヌンが同胞の先輩の監視下に置かれて比較的真面目に守備に戻って来るようになったりといった副産物をもたらしていたりもする。

 川崎が土曜日のG大阪戦でどういった戦い方をしていたのかは分からないが、1stレグのレヴューの中でも書いたように名古屋対策を意識し過ぎているような川崎は自分達の良い部分を少なからず殺している部分もあり、またそのシステムには明らかなエアポケットが生じていたのも事実だった。名古屋のビルドアップにおいてパスの出し手(起点)となるのはDFラインであり、そこから時に中盤まで落ちてくる2トップにクサビのボール入れるか両SHに預けるかからしか攻撃が始まらないと見切っていた川崎は、名古屋の4バックに対して2トップ+両SHがそれぞれマッチアップするようにプレッシャーを掛け、パスの出先に対してはWボランチが2トップへのパス(クサビの)コースを消し、両SHがボールを受けようとする時にはSBが後ろから密着マークで付いて行って自由にボールを受けさせない(前を向かせない)ような対応をしていた。これだけで名古屋の攻撃(ビルドアップ)は機能不全を引き起こすと踏んでいたのだろう。あとはそこからボールを奪ってカウンターに持ち込めばいい。
 しかし、名古屋のSBにプレッシャーに行くSH、名古屋のSHに付いて行くSB、中央を固めているWボランチの三者の間にはポッカリとスペースが出来ていた。1stレグではレヴューでも書いたように名古屋のSBが川崎のSHとSBの間を上手く使っているシーンが目立ったが、この試合の小川の先制ゴールは小川がまるで導かれるようにこのスペースへとドリブルで入って行き、目の前に拡がる大きな空白に対して迷うことなく右足を振り抜いたことによって決まったものだった。また(二試合を通じた)決勝ゴールの呼び水となった田中のクロスも、マンマーク的な要素を多分に含むこの川崎の守り方に対して、相手のSBを引き付けながら小川が下がって来たことによって出来たスペースにタテのポジションチェンジによって田中が侵入したことがキッカケだ。こうなると川崎はSHがSBと入れ替わるようにそのまま田中を後ろから追走しているような状態で、中央を固めているボランチやCBのカバーも当然間に合わない。

 図らずも相手の弱点を突く形で得点を叩き出した名古屋だったが、その中でもここ数試合出色のパフォーマンスを続けているのがマギヌンだ。どこにでも顔を出して攻撃に絡み相手のプレッシャーを受けても独特なリズムを持つドリブルでなんなくボールを前に運んでしまう。好機を決して逃すことのない左足も秀逸だ。さらに今では上でも書いたように守備面でも周りと連携して十分にタスクを遂行出来るようになっている。このスーパー・マギヌンが消えてしまう前に名古屋はひとつでも多くの勝ち点を稼いでおかなくてはならない。
 チーム状態が良いとは言っても、プロのリーグ戦は戦術のイタチごっこ。名古屋がケネディをオトリにその裏を狙っていることも、ボランチに三都主を起用してビルドアップに一枚噛ませるようにしたことも、いずれ相手チームは対策を立ててくるだろう。現にこの試合の中においてすら、川崎は三都主にボールが渡った瞬間を狙って速い寄せからボールを奪いカウンターにつなげるような形を何度か見せていた。その意味では本当のチーム力が試されるのはこれからなのかもしれない。
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by tknr0326g8 | 2009-09-30 23:59 | Game Review
J1 2009 第27節 鹿島×名古屋 @カシマスタジアム
 前節大宮に快勝したもののミッドウィークのACLで天敵ジュニーニョ擁する川崎にまたしても苦杯を喫したことで嫌な流れを完全に断ち切れていない名古屋にとってこの鹿島戦は正念場だ。この試合を落とすようだとこの後のリーグ戦はおろか再びミッドウィークに開催されるACLの2ndレグにも悪影響を及ぼしかねない。それはすなわち内容次第では今シーズンが終わってしまうことを意味している。前回の対戦ではホーム瑞穂で子供扱いされた鹿島を相手に名古屋はどこまで良い試合が出来るだろうか。

 ミッドウィークのACLを見据えてか何人かの主力選手を休ませて、ブルザノビッチや三都主といったここのところサブに甘んじていた選手達を起用してきたピクシー。サブにも入っていない中村や増川は出場停止でなければ休養と考えて間違いないだろうが、ベンチ入りしている玉田や小川はACLのパフォーマンスが悪かったことも影響してのスタメン落ちだろうか。スーパーサブの杉本はともかくとしてブルザノビッチや三都主はスタメンと比べても遜色ない能力の持ち主であり、上手く噛み合って本来の力を発揮できれば鹿島とも対等に戦えるだろうが、いずれも今季途中から加入したブルザノビッチと三都主を同時に使ってしまうあたりはかなり思い切った起用と言えるだろう。

 注目のポジションは普段の玉田の位置にブルザノビッチ、そして中村の位置(ボランチ)に三都主という配置。ピクシーがまだ三都主のボランチ起用というアイデアを捨てていなかったことに驚きだ。ボランチはもともとチームの中で(その一部として)機能しているとは言い難かったポジションだけに、三都主のボランチ起用がそれと比べて明らかな失敗というわけではないのだが、かといってそれが三都主の能力を引き出しチームとしても捗々しい成果を残しているわけでもない。インタビューなどを見聞きする限り昨シーズン途中からアーセナルを捨ててマンUに心変わりしたように思われるピクシーが、三都主をアンデルソンに重ね合わせた思い付きでなければ良いのだが。ちなみ中村と吉村がフラットに並んで前線(FWとSH)の攻撃的なタレントを支える布陣はピクシーの中ではキャリックとフレッチャーをモデルにしているのではないかと俺は踏んでいる。

 試合はキックオフから数分間を観る限り、俺の中ではまた鹿島に好き放題やられるのではないかという不安がよぎっていた。マルキーニョスや中盤の選手が入れ替わり立ち替わりバイタルエリアを回遊する鹿島に対して、名古屋はWボランチの三都主と吉村が人に付くのかスペースを埋めるのかハッキリしない。いつも中村がその辺りのことを深く考えずにひたすら(スタミナの続く限り)走り回っている代役を任された三都主が気の毒と言えば気の毒だが、失点は時間の問題に思えた。
 そんな中先制点を奪ったのは名古屋で、ケネディに対して明らかに意識過剰で釣られ過ぎなディフェンスはその裏でブルザノビッチに自由を与えてしまい、ブルザノビッチが放ったシュートをGKが弾いたところをケネディがキッチリ流し込んだのだった。ただこれだけでは名古屋にとって全くもって安泰と言えないのはACLが既に証明している。弱い方のチームが先制しそれが束の間の喜びに終わるのもサッカーではよくある話だ。
 鹿島がおかしくなったのは名古屋が二点目を奪ってからで、GK曽ヶ端のミスからブルザノビッチがボールを奪ってそのまま鹿島ゴールへとボールを運ぶと、そのあまりのお粗末ぶりにガックリ来たのか、鹿島は緊張の糸が切れてしまったかのようだった。個々の選手から何とかしなければという気持ちは伝わってくるもののチームとしての連動性が見られない鹿島はまるで挫折を知らないエリートが初めての修羅場を前に途方に暮れてしまっているかのよう。
 そんな鹿島に対して名古屋はまるで強豪チームが格下のチームをあしらうかのように余裕を持った試合運びでゲームを完全に掌握してしまった。名古屋が強いチームに見える時はこれまでにも何度かあったが、鹿島が弱いチームに見えるのはこれが初めてだ。そして受け身に回っている時には崩れるのは時間の問題とすら思われたのに、自分達が主導権を握れば突然それが機能してくるのだからなんとも不思議。三都主も持ち前のテクニックでボールを失わないのでボランチの位置でこれまでの名古屋にはなかった良いアクセントになっているし、懸案の守備でもマルキーニョスとの1対1を完全に抑え切るなどチームともども相手を完全に飲み込んでしまっていた。興味深かったシーンはボックスに掛かるか掛からないかの位置で行われたその三都主とマルキーニョスのマッチアップで、上から見ていると「(三都主は)もう少し間合いを詰めた方がいいんじゃないか?」と思うのだが、吉田をはじめその他の日本人選手には果敢に勝負を仕掛けるマルキーニョスが結局何も出来ないままボールを後ろに戻してしまった。三都主が「顔」で抑え切ったとも言えるが、彼等(ブラジル人)には彼等の間合いというものがあるのだろう。

 後半にセットプレーからやらなくてもいい1点を献上してしまったものの、鹿島は結局最後まで調子(鹿島らしさ)が戻らず、名古屋としては終始危なげない試合運びで4-1の完勝を見せた。まだまだブルザノビッチがチームメートの特徴を理解し切っていないことも含めて視野が狭い部分があったり、広野のキックがターゲットから大きくズレたり途中で失速したりと安定しなかったり、ここのところ小川がやけにフィニッシュのところで消極的だったりと、気になる部分はいくつかあるものの、昨年まで1勝も出来なかったカシマスタジアムでのこのスコアによる勝利は間違いなくチームにとって自信になるはず。苦しんだ末に来日初ゴールを決めたブルザノビッチをベンチ総出で祝福するなどチームの雰囲気も向上中だ。あとはアップの時にゴール角の厳しいコースにズバズバとシュートを沈めていて明らかに調子が良さそうだった津田を(前線で)起用してあげることが出来れば文句ないのだが。
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by tknr0326g8 | 2009-09-27 09:30 | Game Review
ACL 準々決勝 1stレグ 川崎×名古屋 @国立競技場
 名古屋がいつも通りの戦い方で川崎に挑めばこういう結果になるのは目に見えていた。ただ名古屋からしてみたら実力差通りの完敗以外の何者でもないが、エース玉田と10番小川のパフォーマンスがサッパリだった名古屋に対して2ndレグに望みを持たせる形になってしまった川崎にとってこれは妥当な結果とは言えないだろう。川崎が対戦相手である名古屋を意識し過ぎていたのか、それともアウェーゴールを過度に警戒していたのか、さもなくばこの先続く地獄のような連戦を見据えてセーブしながら戦っていたのか、原因はいくつかあるだろうが、俺には川崎が(意図的かどうかはともかくとして)自分で自分にブレーキをかけてしまっているように見えてならなかった。

 土曜日の大宮戦に続きこの試合でも4-4-2を採用した名古屋に対して、合わせ鏡のように4-4-2の布陣を敷いてきた川崎には明らかに名古屋に対する綿密なスカウティングの成果が見て取れる。ポイントは二つだ。
 最初のポイントは中村憲とレナチーニョを左右のSHに置いてきたこと。攻撃面を考えれば彼等をサイドに配置するのはむしろマイナス面も大きい気がするが、川崎としては名古屋がDFラインからのパス出しによって攻撃のビルドアップを行うところに着目し、2トップと両SHの計4人がそれぞれ対面する名古屋の4バックに対してマンツーマン状態でプレッシャーに行くことによりそれを封じる狙いだったのだろう。
 第二のポイントはWボランチ(横山と谷口)のポジショニング。システム的に考えれば名古屋のWボランチとマッチアップするはずの彼等は、いざ試合が始まると前には出て来ずDFラインの前を固めていた。すなわち、攻撃の起点となることが滅多になくボールに絡んだとしても横に横にとバケツリレーするか後ろに戻すだけの中村直と吉村には端から見切りを付け、DFラインからケネディへクサビのボールを入れさせないようなポジションを取っていたわけだ。そして名古屋がもしケネディにロングボールを蹴って来たらDFラインと協同してそれを潰すかこぼれ球を回収することに専念していた。試合序盤に目の前がポッカリと空いていた中村直が二度連続してミドルシュートを放った(シュートはいずれも大きく枠の外)シーンがあったのはそのためだ。

 そんな川崎に対して序盤の名古屋は思いのほか順調に試合を進めることが出来ていた。DFラインにプレッシャーが掛かり前線へのパスコースも塞がれている名古屋は仕方なく空いているWボランチにボールを預けることになるのだが、ここは上にも書いたように全くのノープレッシャー状態。そしてボールがWボランチを経由している間に名古屋は田中や阿部が中村憲とレナチーニョの裏(相手のSHとSBのギャップ)に入り込んで再びボールを受けることで上手く攻撃に絡んでいた。
 川崎の策は完全に裏目に出た格好だ。普通にやれば勝てるはずの名古屋に対してなぜ川崎が合わせる必要があるのか。確かにセットプレーなどでは名古屋のゾーンディフェンスに対するスカウティングが生かされている場面も見受けられたが、流れの中で名古屋のやり方に合わせることはむしろ川崎にとっては逆効果だった。
 ただ名古屋にとっては中盤から相手陣内に入るあたりまでは比較的容易にボールを運べてはいたものの、ことフィニッシュに関しては全くの別問題で、アタッキングサードに分厚く形成される川崎の壁(ブロック)を前にした時、名古屋のアイデアは決定的に不足していた。それとも変な形でボールを失うと川崎のカウンターに晒されるとの恐怖感が名古屋の選手達から積極性を奪い取っていたのだろうか。

 一方の守備はと言えばこちらはDFラインが思い切ってラインを押し上げる光景が度々見られたものの、相変わらずジュニーニョのスピードに全く対応出来ていなかった。正直これでは川崎のジュニーニョと中村憲以外のメンバーがボールパーソンの高校生と入れ替わったとしても名古屋は失点を防ぐことは出来なかっただろう。「最も警戒すべき相手」が川崎にとってケネディであるのと同様、名古屋にとってはジュニーニョなはずなのだが、名古屋はジュニーニョに対して一体どんな策を練って来たのだろうか。
 そしてこれはDFラインだけの問題ではない。確かにタテ1本で裏に抜けられるシーンも何度かあったが、バイタルエリアでボールを受けたジュニーニョにそのまま前を向いて突っかけられてもDFラインとしては厳しい。問題はそこでジュニーニョの背中を遥か後ろから追っ掛けていたWボランチで、そもそもバイタルリアで自由にボールを受けられないようにするか、もっとDFラインとボランチが近い距離を保って挟み込むように潰すぐらいでないとジュニーニョは止められない。そうでなくても名古屋のWボランチは不用意にバイタルエリアを空けてしまうことが多く、これは徹底してDFラインの前を固めていた川崎のWボランチとも対照的だ。(ジュニーニョに対してパスを出してくる)起点を潰すという発想も一理あるが、Wボランチのボール奪取能力が飛び抜けて高いわけではないのいだから、闇雲にプレッシャーに行ったところで疲弊を誘うだけで何の意味もなく、せめてそこにはどう追い込むのかというチームとしての意思統一が必要だろう。
 川崎が勝手にバタバタして得点機会を逸してくれていたが、この試合は前半だけで1-3になっていたとしても全くおかしくない展開だったし、俺が川崎の監督だったら「小難しいことは考えずに裏に蹴っておけば何かが起きる」と選手には伝えただろう。名古屋が2ndレグでの逆転を目指すのなら、サッカーというよりはフットサルのGKのようだった広野のビッグプレーを喜んでいる場合では全くない。

 後半にお約束のごとく短時間で連続失点を喰らい逆転された後、ピクシーが吉村に代えてブルザノビッチを投入したのはかなり思い切った采配でありながらまた同時に的を得た采配だった。HOME&AWAYのTOTALで180分あることを考えれば、勢いに乗る川崎にこれ以上追加点を与えないことを優先するという判断があってもおかしくなかったが、ピクシーはこの試合の川崎であれば撃ち合いに持ち込んでも十分につけ入るスキがあると判断したのだろう。
 それにこの試合に限って言えば、Wボランチのどちらかを削ったところでディフェンスの大勢に影響はなかった。中盤を作って崩すというよりは早目に前線のアタッカーにボールを預けてゴールに向かって勝負させることでその突破力を生かそうとしていた川崎に対して、名古屋はまさしく背水のDFラインだけが立ち向かっている状態で、前方からその背中を眺めるだけのWボランチは完全に蚊帳の外だったからだ。
 逆に攻撃面ではプレッシャーが極端に少ないこのポジションでゲームを組み立てられるタレントがいれば面白い。その点で(この試合のベンチ入りメンバーを見る限り)ブルザノビッチは最適なキャストだった。結局同点ゴールこそ奪えなかったものの、終盤は自陣に引いて守備を固める川崎に対して中央でのパス交換からサイドに開いてSB(特に右サイドの田中)の突破からクロスという形が何度も見られたのは、川崎の足が止まっていたとはいえ次戦に向けて見えてきた光明だ。あとはケネディ一辺倒ではなく、真ん中でクロスに合わせるバリエーションを増やしたい。

 あれだけ決定機を作られていればいつ失点してもおかしくなかったとは言え、同点ゴールはもったいない形での失点だった。そして敗戦の責任を一人になすりつける気はさらさらないが、その同点ゴールには今シーズン俺が密かに気にしていた小川の悪い部分が露呈していたのも事実だ。
 今シーズンから10番を背負う小川にはその重みからか「自分がやらなければ」という良く言えば責任感、悪く言えば気負いが散見される。そしてそれは自身やチームのパフォーマンスが悪ければ悪いほど気負いへと傾倒していき、結果的にそれはチームにも歪みをもたらすことになる。二枚のイエローをもらい退場を喰らった磐田戦をはじめ、今シーズンの小川は自身が忌み嫌っていたはずの(入れ違う相手を手で掴むような)醜いファールが増えている。自分の持ち場は絶対に抜かせないという強い気持ちは買いだが、こうしたプレーはそもそも名古屋が掲げる「美しいフットボール」に反するし、去年の試合で小川の突破を抱き付くように止めてイラつかせた某チームのようでもある。
 この試合の失点シーンでは、それまで散々危険なシーンを作られていた川崎のセットプレー、しかもそのセットプレーを与えたのは自分がレナチーニョを止めたファールということで小川の中にマイナスの気負いが充満していたのは容易に想像できる。そして中村が蹴ったボールに対して中に入れさせまいとする(出来れば自分のところで止めたいという)気持ちが裏目に出て壁に穴を開けてしまった。小川が10番の自覚とプライドを持つこと自体は素晴らしいことだと思うが、もう少しチームメートのことを信頼してあげてもいいのではないだろうか。サッカーはチームスポーツ。もちろん小川が周りの選手を助けている場面は数限りなくあるし、時にはその逆もあっていい。

 あと最後にひとつだけ言わせてもらえば、このブログ的に川崎DF菊地のブラックリスト入りは避けられない。それは決して名古屋入りが有力と言われていた駒澤大学時代に川崎へと翻意したからではなく、この試合で何度もケネディに対して背後から膝を立てた状態で突っ込んでいくというプレーを見せていたから。この試合で菊地に与えられていたミッションは「ケネディを潰すこと」だったのかもしれないが、これは駆け引きや競り合いのレベルを超越した明らかに相手を壊すプレーだった。しかも相手が見えていない後ろから襲うという卑劣さは、サッカープレーヤー以前に一人の人間としてその資質を疑わざるを得ない。
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by tknr0326g8 | 2009-09-23 23:59 | Game Review
J1 2009 第26節 大宮×名古屋 @NACK5スタジアム
 前節(柏戦)の敗戦を受け、夏のマーケットで獲得した三都主とブルザノビッチをスタメンから外し、昨シーズンから慣れ親しんだ4-4-2へとフォーメーションを変更した名古屋は、原点回帰と言えば聞こえはいいが、言い方を変えれば振り出しに戻ってしまったような印象。このやり方(戦術やフォーメーション)を用いればある程度の結果が残せることは昨シーズン既に証明しているが、同時に相手からも研究され尽くしたこのやり方では限界があることも分かっていて、それを踏まえた上でピクシーも進化のための補強(シーズンオフにはダヴィ、夏のマーケットではブルザノビッチ)に動いたわけだが、結局その進化形を探る道のりはいづれも暗中模索のまま道半ばにして一時退散を余儀なくされた形だ。
 この試合について言えばラッキーだったのはここ数試合を3‐5‐2で戦って来た名古屋に対して大宮がそれ用の準備を行っていたことで、大宮にとって名古屋の4-4-2は(特に前半は)ほとんど初物と同様の効果を持っていたかもしれない。しかしこの後対戦する川崎や鹿島に対して同じ効果はもはや期待出来ない。そこではありのままのチーム力が試されることになり、まさしくその川崎や鹿島のようなチームと対等に戦い(昨シーズンの)大分のようなチームに勝ち切るために求められた進化を成し遂げないまま再び彼等に立ち向かわなければならない今の名古屋には(大宮に2-0と勝利したとは言え)やはり拭い切れない不安が残る。頼るべきものがあるとすればヨンセンよりも若く汎用性が高そうなケネディと(怪我の具合はともかく)調子自体は良さそうな玉田の2トップだろうか。

 大宮戦に話を戻せば、大宮が名古屋の4-4-2への回帰を想定していなかったことは、石原のSH起用や後半開始早々でのメンバーチェンジ(その石原をFWに上げてSHにパクを投入)を見ても明らかだった。そしてそんな影響もあってか大宮がやや慎重に(自陣深くに)守備ブロックを作っていたため、名古屋はボールを支配してはいるもののDFラインで横に動かすようなシーンが目立った。さらに名古屋は久々の4-4-2ということもあってか所々で選手の動きが被るシーンが頻出しており、いくら慣れ親しんだ(そして何人かの選手にとっては待望の)システムの復活とは言っても、すんなり三つ子の魂百まで…とはいかなかったようだ。
 そして最終ラインでボールを動かすシーンが多い名古屋に対して大宮は2トップと両SHが猛然とプレッシャーを掛けて来ていた。一見すると深い位置でブロックを作る守備陣との間にギャップが生じそうな行為だが、名古屋が組み立てでボランチを使って来ることはない(そのギャップを使ってくることはない)と確信していたのだろう。あとは前線(の特にケネディ目掛けて)に放り込んでくるボールをマトを中心としたDFラインとWボランチで挟み込んで回収すればいいという割り切りだろうか。
 そんなこんなで窮屈な組み立てを強いられていた名古屋は時折ミスからボールを失って速攻に持ち込まれるシーンがあり、危険な場面での絞りなどが安定しているSBも含めた最終ラインがなんとかこれに耐えていたが、これが川崎相手だったら即失点につながっていたのではないかと思えるようなシーンも実際何度かあった。川崎や鹿島相手に不用意なミスは命取りになるし、相変わらず前に行きたがるWボランチと後ろに残りたがるCBの間で宙ぶらりんになっているバイタルエリアのケアもハッキリさせる必要があるだろう。

 次第に攻撃が手詰まりになっていった名古屋では、小川が(昨シーズンまで玉田がやっていたように)最終ラインの近くまで引いて来てボールを引き出したり、ケネディが下がって来てボールを受けようとするなどの工夫も見られたが、そうすることによって小川は昨シーズン二桁得点とブレークのキッカケになった前線での仕事が出来なくなっていたし、ケネディもサイドからクロスが上がった時にボックス内にいなかったりと、これ等は必ずしも効果的とは言い切れなかった。そしてそんな名古屋がようやく攻撃に可能性を見出せるようになったのは、前半のうちにセットプレーから先制し、後半になって大宮が前に出てきたことで後ろにスペースが空き、中距離のパス一発で前線にポイントを作れるようになってからのことだった。追加点となった小川のゴールがマギヌンが中盤の深い位置から出した一発のパスによって生まれたことなどはそれを象徴している。このような攻撃で名古屋は昨シーズンの大分のようなチームに対してもしっかり勝ち切れるだろうか。

 この試合でのピクシーの采配に対して注文をつけるならば、今日の大宮であれば2-0はほぼ安全圏だっただけに、二階席から見ていても分かるぐらい「足痛い(交代したい)」オーラ出していた玉田をもっと早く代えてあげたかったところと、ベンチ入りメンバーにボランチの選手を入れておいて欲しかったところ。特にロスタイム間際になってボランチに突っ込まれた三都主とその後のチームのパフォーマンスはほとんどコントだった。ぐるっとローテーションするように、ブルザノビッチ:左SH→FW、三都主:ボランチ→左SH、小川:右SH→ボランチ、杉本:FW→右SHとポジションを変更してからは落ち着いたが、三都主がボランチの位置で実現出来ることを花井が出来ないとは思えないし、そうでなくても消耗の激しいボランチのスペアとして、明らかに持て余し気味なFWを削ってでも福島をベンチ入りさせておきたい。個人的にはFWとSHを掛け持ち出来るベンチ要員は津田か杉本のどちらかでいいような気がするが。

 最後に、残り僅かな時間となったところでの投入となったにも関わらず、オンザボールでの確かな技術を披露し決定的なチャンスも作りだしたブルザノビッチ。まだまだ周りの選手とフィットしているとは言い切れず、チームの中で(組織の一員として)どこまでプレー出来るのかは未知数な部分が多いが、多少なりともその良さを発揮出来た今日の試合が日本でのプレーにおけるひとつのターニングになってくれれば良いなと思う。
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by tknr0326g8 | 2009-09-19 23:59 | Game Review
J1 2009 第25節 名古屋×柏 @スカパー
 「今は内容よりも勝つこと」とまるで何かに取り付かれたかのように誰もが口を揃え、まさに崖っぷちだった22節の千葉戦から3連勝を飾った名古屋だったが、中身のない試合を続けてきたツケがこの試合ではついに回ってきてしまった。名古屋のベンチに座っているのがネルシーニョだったならばハーフタイムに控室で机の一つや二つ引っ繰り返していたとしても不思議ではないぐらい体たらくな出来だった前半を終えて、ピクシーが打った手はと言えば、阿部を左サイドに投入して三都主をボランチに回すこと。この采配に対する正直な感想を言えば、チームの不甲斐ないパフォーマンスの責任をホーム初先発となった一介の若手選手になすりつけるようなやり方への違和感もさることながら、ようやく自らの信頼に足る選手の頭数が揃ってきたことが逆説的にピクシーから目の前のチームが抱える問題の本質を見抜く眼を失わせてしまったのではないかという疑念だ。その意味ではチーム力だけを考えれば逆転するチャンスも十分にあったはずの試合でチームを立て直せず、残留争いの真っ只中にいる相手にみすみす勝ち点3をプレゼントしてしまったのはまさしく自業自得と言えるだろう。

 この試合に向けて三日間の非公開トレーニングを行ってきたという柏は、相手チームに合わせてやり方を変えてくるネルシーニョの色に早くも染まっている。そしてネルシーニョが一体どんなトレーニングを行って選手達にどんな策を授けたのかについては、試合を観ていればおおよその想像が付いた。柏がディフェンスから入って速攻を狙うという形をいきなり変更するとは思えないので、ネルシーニョが力を入れたのが守備から攻撃へというトランジッションの部分にあるのは間違いないが、どこでボールを奪うのかという部分でネルシーニョが目を付けたのはブルザノビッチのようだった。ここ何試合かの名古屋の試合のビデオを見たネルシーニョが「名古屋の攻撃(ビルドアップ)は無理にでもトップ下にいるブルザノビッチに入れて(経由して)くる」というような目星をつけていたとしても何ら不思議ではない。そして中央で奪ったボールを素早くつないで名古屋の3バック脇のスペースを狙って攻める形を柏は徹底していた。またスリッピーなピッチコンディションもあってか遠目からでも積極的にミドルを狙ってきた柏はその部分でも名古屋のウィークポイントを掴んでいたのかもしれない。

 対する名古屋は相変わらずのスロースターターぶりに加えて中断明けに弱いという悪癖をまたしても露呈してしまった。中断前まで3連勝と結果を残していたとは言え、チームとしてのパフォーマンスが決して良いとは言えなかったことを考えれば、この二週間の中断期間はチーム力を高める上でも絶好の機会だったはずだ。しかし今日瑞穂のピッチに現れた名古屋はこの二週間一体何をしていたのか?と問いただしたくなるぐらいチームとしてのクオリティが上がっていなかった。前線の三人(と機を見てそれに絡む両サイド)の能力に任せっきりの攻撃は、時々トッププレーヤー達ならではの個人技やシンクロしたイメージによる即興によってビッグチャンスを作り出すものの、それにだけではいかんせん単発の域を出ないし、相変わらずどこでボールを奪うのかがハッキリしない守備ももっとクオリティの高い攻撃をするチームと当たったらひとたまりもないだろう。

 一点をリードされて迎えた後半ピクシーは福島に代えて左サイドに阿部を投入し三都主をボランチに移動する。噂には聞いていたが、まさか本気で三都主をボランチで起用するアイデアをピクシーが持っている(捨てていない)とは思わなかった。そしてそんな三都主のボランチ起用が機能したのは後半開始から5分間だけ――すなわち俺と同様に「三都主がボランチ?」と半信半疑だったに違いない柏のベンチと選手達が様子を見ていた時間帯だけ――だったことを考えれば、0-1で終えた前半のスケープゴートにされた形の福島も浮かばれない。まあピクシーとすれば何度かパスミスをしてボールを失った福島のプレーが気に入らなかったのかもしれないが、そうした技術的な問題と同時にチームが抱える戦術的な問題についても追求しない限り根本的な解決にはつながらないだろう。なぜボールが上手く動かない時間帯が多いのか、なぜ簡単にボールを失ってしまうのか、なぜ相手に好き放題ミドルシュートを打たれてしまうのか。戦術、システム、選手起用・・・全てにおいて考え直す必要がある。

 例えば福島でなくても、竹内が誰もいないところにロングボールを蹴ってはボールを失ってばかりいるのは、竹内個人の技術的な問題なのか、竹内個人の戦術眼の問題なのか、それともチームの戦術的な問題なのか。バイタルエリアに向かってフリーでボールを運ぶ相手選手を中村がいつも後ろから追っ掛けているのは、中村のポジショニングを含めた状況判断が悪いのか、Wボランチのコンビネーションが悪いのか、それともチーム全体の守り方に問題があるのか。小川が右サイドで全く勝負しなったのは、単に対面する小林のスピードに対して最初から腰が引けていたのか、システム的に後ろが気になっていたのか、それとも3‐5‐2のアウトサイドが根本的に合わないのか、4-4-2のSHの時のようにサポートが来ないことが問題なのか。問題を挙げれば切りがないが、ピクシーはこれらをひとつづつ解決していかなければならない。

 そして最大の懸念材料はブルザノビッチだろう。他クラブでは当たり前のように存在する「外れ外国人」。これは単純な能力だけの問題ではなくて環境への適応やプレースタイルがクラブや日本サッカーに合う合わないの問題もあるが、ピクシーを筆頭にこれまで数々の優良外国人を引き当ててきた名古屋にはあまり馴染みのない存在だった。リネカーというJリーグ史に燦然と輝く失敗(無駄遣い)例にしても怪我という不測の事態があったし、思い付くのはマルセロとホミルドぐらいだろうか。しかしピクシーの肝いりでレッドスター・ベオグラードから引っ張って来たブルザノビッチはこのままいけばチームの低迷とともに間違いなく彼等の仲間入りを果たすことになる。ピッチ上でその存在価値を何ひとつ示せていないブルザノビッチを見るにつけ、これなら花井を使った方がチームの将来を考えてもよっぽどマシと思わずにはいられないが、ピクシーはブルザノビッチに拘り続けている。我慢強く起用し続けて途中交代も許さず、チームのバランスを崩して(システムを変えて)までブルザノビッチにトップ下のポジションを用意するあたりは、かつて自分を窮地へと追い込んだミルンとリネカーの師弟関係を思い起こさせるのだから何とも皮肉な話だ。

 最後はお決まりのFW大集合という捨て身作戦で、ただでさえ不安定だったバランスを一層崩したディフェンスが与えるべくして(やらなくてもいい)3点目を献上し勝負を決められてしまった名古屋。確かにリスクをおかさないと得点は奪えないのかもしれないが、この采配はリスクの意味を履き違えているとしか思えなかったし、戦術がない(或いは機能していない)からそうしたバランスを無視した歪な交代によって個の力に頼らなければならない現状は、終了間際のゴールによってなんとか勝ち点を拾い続けていたダヴィのいた頃の(多分ピクシーにとっては)忌まわしい記憶となんら変わらない。

 今月末には名古屋にとって今シーズン最大の目標となったACLで川崎とのHOME&AWAYでの対戦が控える。ただでさえ苦手な相手に対してこのチーム状態では万が一にも勝ち目はない。いっそ川崎に対して“ベストメンバー”での戦いを呼び掛けてみてはどうだろうか。「ウチはケネディも玉田もブルザノビッチもマギヌンも三都主も小川も使うから、おたく(川崎)もジュニーニョとチョン・テセとレナチーニョとヴィトール・ジュニオールと中村憲剛を全員使って戦って欲しい」と。
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by tknr0326g8 | 2009-09-12 23:59 | Game Review
J1 2009 第24節 名古屋×新潟 @スカパー
 内容はともかくようやく4月以来の連勝を飾り残留争いから抜け出して上位争いに喰い込んで行こうかという態勢が整ったと思ったら、毎シーズンの恒例行事となりつつある楢﨑の(長期)負傷離脱によってその前途に暗雲が立ち込めてきた名古屋。日本代表のレギュラーにして、名古屋の絶対的なキャプテン、そのビッグセーブによって何度もチームを救ってきた守護神離脱の影響はあまりにも大きい。ここで彗星のごとくリーグ戦デビューを飾るのが神戸さん(現北マリアナ諸島代表監督)をして「GKとしては10年に1人の素材」と言わしめたユース出身の長谷川だったならばまた違った楽しみもあるのだろうが、残念ながら長谷川はまだそのレベルに達していないようだ。伊藤裕二GKコーチとディドがそう判断したのなら、それに間違いはないのだろう。Uカテゴリーの代表でもずっとライバル関係だった権田がFC東京で正ゴールキーパーのポジションを掴み、中学(名古屋U-15)時代に一つのポジションを争っていた岡大生(駒澤大)がユニバーシアード代表に選出されていることを考えれば、長谷川にも早くそのステージまで上がって来てプレーしている姿を見せて欲しいものだが。

 名古屋は千葉戦から導入した3-5-2を三試合連続で使用。前節決勝ゴールを決めたマギヌンは出場停止となってしまったが、前線には負傷によって前節出場を見合わせたケネディが戻って来た。小川を除けばそれぞれがそれぞれの得意な持ち場で能力を発揮出来るようにと採用されたであろうこの新しいシステムが単なる個の力の積み上げではなく、この一週間でどこまで集団(組織)として成熟しているのかが注目ポイントだ。

 しかし結論から言えば、名古屋がこの試合で見せたパフォーマンスは未だ観る人を満足させるレベルには達しておらず、またこのチームが目指すべき方向性としてピクシーが就任当初から掲げてきた「コレクティブ」「モダンフットボール」「美しいサッカー」といったキーワードからはまだまだかけ離れた代物でしかなかった。まあピクシーの言うところの「美しい」の定義の中にレベルを超えた個人技と個人技のつながりも含まれるのだとしたら、針の穴を通すようなブルザノビッチのスルーパスに対して自慢のスピードで相手DFよりも前に出た玉田が冷静にGKを外して決めた(U-12の杉森君を彷彿とさせるような)ゴールも十分に「美しい」ものではあるが。

 前線の3人(ケネディ、玉田、ブルザノビッチ)の自由な発想による即興コラボとそこにダイナミズムを与えるべく上下動を繰り返す両サイド(三都主と小川)によってのみ攻撃が構成されている名古屋は言ってみれば完全分業制で、そこに「コレクティブ」な要素を求めるのは土台無理な話かもしれないが、ここでボランチの二人がそのリンク役としてもっと積極的にボールに絡むことが出来たら事態はもう少し緩和され、その攻撃もより魅力的で相手を支配出来るようなものになるかもしれない。少なくとも、この試合のように味方がサイドで詰まっている時でもサポートに顔を出さなかったり、ブルザノビッチがボール持った時に後ろからサポートが来たなと思ったら吉田!だったりというような状態よりは遥かにマシだ。
 もちろんボランチの二人からしてみたら前の3人に加え両サイドが攻撃に加わる状況ではリスクヘッジを行いバランスを取ることを第一に考えているのだろうし、ケネディとブルザノビッチと玉田しか絡んでいなかった先制点のシーンを観るまでもなく、前の人間だけで完結してしまう攻撃が一層その傾向を促進してしまっているという側面は確かにある。しかしそんな分業制によってチームが攻守に上手くバランスを保てているかと言えば、決してそうではないことは中盤でひたすらファールを繰り返していたWボランチを見れば明らかだ。そしてここには明らかにチームとしての歪みがある。

 「美しい」という意味では特にこの試合の残り15分もまったくもってそれに相応しくない内容だった。30度を越える過酷なコンディションは差し引いて考える必要があるにせよ、ユースにまで「美しく攻撃的なフットボール」を強要しておいて(クラ選U-18の大会プログラムにもそう記載されている)、トップチームがいとも簡単にそんな理想や理念をかなぐり捨てて勝敗に執着する戦い方をしていたのでは示しがつかない。それにその肝心の勝ち点3にしても、新潟がもう少しまともなチーム状態であれば、この試合はロスタイムで大逆転負けを喰らった大分戦の再現となっていても全く不思議ではなかった。
 これがあくまでも狙い通りの戦い方であると言うのなら、チームは今シーズンの目標をACL制覇に切り替えアジアでは普通に起こり得る理不尽なジャッジに備えて、この機会に「退場者を出して一人少ない状況でいかにして1点のリードを守り切るか」というシミュレーションを行っていたに違いない。

 名古屋が「一人少なくなってしまった」要因は間違いなく運動量の低下。そしてその最たる例がブルザノビッチだった。前半には玉田のゴールをアシストしたりポスト直撃の直接FKを放つなど、徐々にこのチームや日本そのものに馴染んできた印象もあるブルザノビッチだが、後半について言えば一人分の仕事もこなせていない。本来であれば代えられてしかるべき(トップ下の人材がいないのであれば小川をトップ下に回して右サイドに田中を投入すればいい)パフォーマンスしか見せられていないブルザノビッチを最後まで引っ張ったのは、ピクシーによる盲目的な溺愛かそれともピクシーならではのスパルタ教育なのか。
 そんなブルザノビッチは確立されつつあった名古屋のケネディを中心とした攻撃においてもどちらかと言えばそのリズムを壊す存在になりかけている。ファンハール時代のバルセロナにおけるリバウドみたいに、攻撃は必ずそこを経由してクリエイティブな形が生み出される一方で、そこにボールが入った途端にリズムはそこまでボールを運んで来たチームのリズムではなくて全てリバウド(ブルザノビッチ)のリズムになってしまうようなイメージ。

 と、そんな否定的なことを書きつつも、俺はピクシーがなぜこのバルカン半島からやって来たアタッカーに拘るのかはとてもよく理解できるし、そんなブルザノビッチの覚醒なくして名古屋の進撃はないとも思っている。そもそも今玉田が点を獲れていることにしてもケネディだけでなくブルザノビッチがいるからに他ならない。
 確立しつつあったケネディ中心の攻撃をピクシーがここに来て一から作り直しているのは、ヨンセンを中心に据えて攻撃を組み立てていた昨シーズンの痛い記憶があるからだろう。昨シーズンの終盤、他チームによるヨンセンに対するボックス内での徹底マークが施されると名古屋は急速に攻め手と得点力を失っていった。そしてナビスコカップでは準決勝で守備の強い大分の前に苦杯を舐め、リーグ戦もまた勝ち切れない日々が続くことになる。その結果ピクシーは来たるべくシーズンオフに向けてヨンセンとの決別を決断し、相手の徹底マークに遭ったとしても個の力でそれを打ち破ることが出来るダヴィというリアルストライカーを獲得したわけだが、今の名古屋に関してもケネディを中心とした攻撃だけではいつかそんな日が訪れることをピクシーは予見しているのだろう。実際それは先制には成功したものの追加点が遠かった大分戦(ダヴィがいればおそらく勝っていた試合)やケネディが徹底マークに遭ってほとんど仕事が出来なかったこの試合(新潟戦)でも少しづつ露呈し始めている。そんな状況を打開するジョーカーがブルザノビッチに他ならない。

 名古屋がチームとして一体感のあるサッカーを見せられるのはいつの日か。個人と組織がバランス良く調和したサッカーの完成はひょっとしたら今シーズンは無理かもしれないが、可能性はあるチームだけに今はやる方にも見る方にも我慢が必要なのかもしれない。幸いにも鹿島、FC東京と続く連戦までには二週間のインターバルも含めてまだ一ヶ月ある。その間に少しでもチーム力を高めて彼等と互角とまではいかないまでも前回対戦のような恥ずかしい試合をしないレベルにまで持って行って欲しい。
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by tknr0326g8 | 2009-08-31 01:51 | Game Review
J1 2009 第23節 G大阪×名古屋 @スカパー
 前節(この試合のつい四日前に)低迷している千葉を相手に2‐0と勝利を収めて連敗をストップしたものの、新加入選手が多い影響もあってコンビネーションが未完成で戦術的にも整理されていない印象を受ける名古屋のチーム状態は万全とは程遠い。その上この試合に向けては、7月のチーム加入後圧倒的なパフォーマンスでチームを牽引してきたケネディが負傷欠場となり、また対戦相手であるG大阪がチーム状態を回復してきていてある意味では大差での敗戦よりも屈辱的だった前回対戦のリベンジに燃えているであろうことを考えると、この試合が難しいものになることは間違いなかった。

 ケネディを欠く名古屋はその代役として普通に巻を使ってくるのかと思っていたら、玉田とブルザノビッチを前線に並べトップ下には前節ベンチを温めていたマギヌンが入るという、チームとしての機能性や戦術よりも能力が高く信頼出来る選手から順に使っていく方針が明確に反映された先発メンバーを組んできた。
 確かに単純な個の力の足し算ではこのメンバーがベストだろう。しかしこのメンバーで名古屋は一体どうやって攻撃を組み立てるつもりなのか。ボールを持った選手がまずどこを見るのか、誰にボールが入った時にどう攻撃のスイッチを入れるのか、素人の俺には皆目見当がつかない。なんとなく前の三人(と両サイド)にボールを預けておけば、後は能力の高い彼等が即興でコンビネーションを完成させて上手いことチャンスを作ってくれるということだろうか。

 だが残念ながらそんな行き当たりばったりなサッカーは好調なG大阪相手には全く通用しなかった。Wボランチに攻撃を組み立てる能力がない(二人合わせたとしても遠藤の足元にも及ばない)ことに加え、最初からサイドに張り付いている両WBと前線で動き出しの少ない2トップでは、名古屋はタテにボールを入れることすら出来ない。困った時のケネディの頭という選択肢も今日の試合では使えない。これでは名古屋がDFラインで横にボールを回すばかりで攻めの形を作れないのも道理だった。
 相変わらずマイペースな中村とは対照的に、吉村などは積極的に高い位置で攻撃に絡んでチャンスを増やそうという姿勢も見られたが、これにしても能力や特徴を考えれば限界がある。むしろそんな状況に業を煮やしたバヤリッツァが自らボールを運んで前線にボールを供給していた時の方が攻撃が良い形になりそうだったことを考えれば、最初から後ろは4バックにしてバヤリッツァをボランチで起用した方が良いのではないかと思えたほどだ。

 攻撃が上手く行かないと言っても、一方で川崎戦から比べると人を二人(ボランチに一人と最終ラインに一人)増やしている守備がより盤石になったかと言えば決してそんなわけでもない。守備専門のボランチを二枚並べたところで、動きの質を量でカバーするタイプの中村と吉村の組み合わせでは、中盤でボールを動かすことに長けたチームが相手だと途端に無力化してしまうのは去年から分かり切っているし、普段は二人で守っているペナルティエリアの幅に三人が入ることになった3バックでは、安心感からかそれともゾーンの概念が強すぎるのか、レアンドロ&ルーカスという名古屋からしてみれば思い出したくもないほど相性の悪い2トップの動き出しに対して対応(最初の一歩)が遅れていたのは紛れもない事実だった。
 そして名古屋は案の定G大阪にそこを突かれて前半のうちに二失点を喫してしまう。一失点目は横の揺さぶりに弱い吉村がバイタルエリアで遠藤に子供扱いされていなされると狙い澄ましたミドルシュートを決められたものだったし、二失点目はカウンターからレアンドロとルーカスの二人で速攻を決められて失ったものだった。

 前半を終えた時点では、このまま行けば7月のFC東京との二連戦に続くワンサイドゲームになってもおかしくないというのが正直な感想で、後半に向けてピクシーがどういった修正を施してくるのかには興味があったが、果たしてそしてそんな魔法が存在するのかという疑問も一方では燻ぶっていた。これまでの傾向からすれば先発メンバーの中で最も優先順位が低そうなマギヌンを外して、もう少し守備で貢献できそうな選手(例えば山口K)を入れるのだろうか。しかし実際のピクシーの選択はボランチの吉村を外して前線に巻を投入し、マギヌンを一列下げてボランチで起用するというものだった。正直これはかなり意外な起用方法。おそらくトレーニングでもしっかりと試したことはない形だろうし、守備の強くないマギヌンにボランチをやらせるなどという発想はこれまでのピクシーでは考えられなかった。ピクシーの中ではこの一方的な試合を引っ繰り返すためにはこれぐらいの刺激が必要だと考えたのか、それともご乱心でヤケになっているのか、はたまた戦術的に十分な勝算があったのか。

 そんな、期待よりも不安の方が遥かに大きかったマギヌンのボランチ起用だったが、いざ後半が始まってみると意外と悪くなかったというのが正直な感想だった。というより、前半G大阪のワンサイドだった試合の流れを名古屋に引っ張って来る上で、より効果を発揮していたのは前線に投入された巻よりもむしろマギヌンの方だったとすら言える。基本的にボールに触りたがり、またボールに触ってなんぼのプレーヤーであるマギヌンは、DFラインでボールを持っている時にもそれを受けられる位置へと顔を出すし、それを受けると自らボールを前に運んだり逆サイドへと展開したりして名古屋にリズムをもたらしていた。そしてこうしたマギヌンのプレーは単にリズムを生み出すだけでなく、攻撃の過程においてDFラインからのビルドアップによって名古屋がボールを失う確率を半減させていたと言っても過言ではない。これはムラムラコンビに最も欠けている特徴でもある。もちろん守備においては関与度の低いマギヌンがムラムラコンビのようにハードワークで際立つことはないが、それでもそのナチュラルなポジショニングが隣にいる中村のそれよりも有効だった場面も決して少なくなかった。
 惜しむらくはそんなマギヌンがヨーロッパを経由せず日本にやって来てしまったこと。得意だろうが苦手だろうがやりたかろうがやりたくなかろうが攻撃でも守備でも100%やらないとレギュラーを獲れないであろうヨ―ロッパと比べれば、Jのレベルなら少しぐらい手を抜いても許されてしまうぐらい実力は抜けているからこうした場面での守備力や本当の意味での献身性は身に付かない。もしマギヌンがヨーロッパを経由してそうしたプレーや意識をすり込まれていれば、万能型MFとして(少なくともJのチームの中では)もっと絶対的な存在になっていたかもしれない。

 マギヌンの配置転換や巻投入の効果に加えG大阪の動きが落ちてきたこともあって徐々に試合を盛り返してきた名古屋は、往年のウリダ→ウェズレイラインを彷彿とさせるようなパスがマギヌンから玉田へと渡り一発でG大阪ディフェンスの裏を取ると、その折り返しを走り込んできた巻が身体ごと押し込んで1点を返すことに成功する。
 そしてここでピクシーは早くもこの試合三枚目のカードとして津田を準備していた。連戦による疲労の影響か明らかにプレーに精彩を欠いていたブルザノビッチを下げて津田を投入するのだろうと誰もが思ったに違いない。マギヌンが中盤の底に入ったことで形が出来始めている名古屋に必要なのは最後にそれをゴールへと流し込める人間をボックス内に配置することでもある。
 しかしそんな予想に反して津田と交代したのは右サイドの小川。正直有り得ない采配だと思った。本来ストライカーである津田をサイドプレーヤーとして起用して良かった試しなど数えるほどしかない。ピクシーには学習能力がないのか、それとも背後から残留争いの足音が聞こえて来ている中で冷静な判断を下せなくなっているのか。だがそんな俺の浅はかな読みとは全く別次元でこの日のピクシーの勘は冴え渡っていた。動きの落ちたG大阪を相手に積極的なプレーを見せる津田は右サイドから何度となくチャンスを作り出し、同点そして逆転に大きく貢献することになる。

 最後はまたしてもG大阪GK松代のミスもあってロスタイムに劇的な勝利を飾った名古屋は、前回対戦と合わせて勝ち点4を拾った計算になる。もしこの世に勝負の神様の気まぐれがあるのだとしたら、大分での大惨事分はこれでチャラだ。後になって「あの試合(大分戦)で勝ち点3が取れていれば・・・」という言い訳はもはや通用しない。あとは前を向いて進んで行くのみ。
 ただひとつ言えるとすれば、この試合ではことごとく当たったピクシーの采配だが、マギヌンのボランチや津田の右サイドなどは常に成功するものではないということは理解しておかなくてはならない。そしてようやくインターバルが1週間空く次節・新潟戦ではもう少しチームとして整理されてまとまった状態での試合が観たい。
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by tknr0326g8 | 2009-08-24 03:28 | Game Review
J1 2009 第22節 千葉×名古屋 @フクダ電子アリーナ
 ケネディ加入後チーム状態が上向いたかに思われた名古屋だったが、取れたはずの勝ち点をポロポロと取りこぼしたりしているうちに、気が付けば残留争いがすぐ背後まで迫っている。降って湧いたオイルマネーの恩恵(ダヴィの移籍金)で元日本代表の三都主やモンテネグロ代表の10番・ブルザノビッチを獲得したものの、この投資がJ1残留のために費やされることになるのだとしたら余りにも割りに合わない買い物だ。

 三都主やブルザノビッチのお披露目となったホームでの川崎戦で0-2と敗れてから中二日、この第22節で名古屋がアウェーに乗り込んで戦うのは大分や柏とともにJ2降格圏に沈んでいる千葉。6月に瑞穂で対戦した時には下位に低迷している千葉を相手に(悪い意味で)いい勝負を展開し最後は力負けを喫しているという意味でこれはリベンジマッチでもあるのだが、J1残留という現実的な目標を考えても眼下の敵である千葉はここで叩いておかなければならない。

 だが結果から言えば、この試合を通して名古屋はまだチームとして人前に出るレベルには達していないことを改めて露呈する形になったし、そんな名古屋の隙に対して川崎のように付け込む術を持ち合わせていない千葉もまた順位相応のチームであることを自ら証明してしまっていた。そんな二チームによる試合が(ピッチ状態の影響があるとはいえ)互いにミスが目立つ低調な内容になってしまったことは、至極当然の成り行きだったのかもしれない。

 試合開始から5分ぐらいまでの名古屋は、野球で言うところの「偵察メンバー」のような感じで相手の出方を伺っているのか、それとも相手を撹乱する狙いなのか、かなり歪なフォーメーションを敷いていた。

        玉田   ケネディ

          ブルゾ
                     小川
       吉村    中村

三都主   増川    吉田    バキ

           楢﨑

 従来通りの4バックは右SBにバヤリッツァ、左SBに三都主とどちらも組み立ての起点になれてボールを前に運べるタイプなのでなかなか面白いアイデアかとも思われたが、中盤では小川が従来通り右サイドに張り出している一方で、ブルザノビッチがトップ下のような位置に入っているので左サイドがポッカリ空いてしまっている。これは試合の中で玉田がそのスペースに下がったり、三都主と小川が釣瓶の動きをすることで4バックのバランスを取りながら流動的にやってくるのかなと思っていると、5分ほどが経過したころから名古屋の真のフォーメーションが姿を現しはじめる。

 この試合に向けてピクシーが用意した秘策(調整案)は3‐5‐2だった。

       玉田   ケネディ

          ブルゾ
三都主                小川
       吉村    中村

    増川    バキ    吉田

           楢﨑

 率直に言うなら、この3‐5‐2はピクシーのもとに集結した信頼出来るタレント達が最大限に個々の能力を発揮するためのフォーメーションだ。高さと速さを組み合わせた2トップ。その下で攻撃のタクトを振るう10番タイプのアタッカー。突破力のある両翼。そしてそれらを後ろで支えるのが、ひたすらピッチを走り回るハードワーカータイプのWボランチと、どんな攻撃も跳ね返してくれそうな屈強なストッパー3枚。それぞれが自分の得意な持ち場で自分の得意な仕事をこなす完全分業制による選手配置はなんだか素人が考えたような安直さを感じさせなくもない。
 そして能力の高いアタッカー達による個人技での仕掛けや即興でのコンビネーションなど華やかなサッカーが観たい人にとってはこれはこれで良いのかもしれないが、ひとまず組織よりも個を優先させたチーム作りは全くもってコレクティブではない上に、チームとしての成熟も試合を重ねる中で選手達が互いの理解を深めるのを待つしかない。これでは千葉には勝てても川崎や鹿島には勝てない。川崎とのACLまでに名古屋はどこまでそれを高められるだろうか。現時点でそれがないことは、例えばこのタレント達をしてカウンターからの3対3などですら攻め切れなかったシーンを見るまでも明らかだ。

 試合全体を観ていて感じたのはケネディの存在の大きさ。相手DFが過剰なまでにケネディを意識していることもあって、前半はブルザノビッチがDFラインと中盤の間でフリーになる場面が多かったし、後半に玉田が決めた追加点もボックス内で玉田があれだけフリーになれたのは相手DFの注意がケネディに行っていたからに他ならない。玉田には是非ともこれで味を占めて欲しいと思う。相手DFがケネディに引っ張られて出来たスペースで自由にドリブルを楽しむのではなく、ブルザノビッチとともにボックスに飛び込むことを意識して行けば今シーズンの残り試合で二桁ゴールを記録しても全く不思議ではない。

 チームとして連携していたとは言い難いが、名古屋のベンチメンバーと千葉の力を考えれば2点をリード出来ればほぼ安全圏。それにしても贅沢なベンチメンバーが揃ったものだ。前線で高さが必要なら巻、スピードが必要なら杉本、アクセント(変化)が必要なマギヌンを投入すればいい。ケネディ、玉田、ブルザノビッチの誰が欠けても似たようなタイプによって応急処置的に穴は埋められる。ハードワークが信条のボランチが疲弊すれば山口。両サイドのバックアップに至っては田中隼麿と阿部という豪華さだ。あとはフロントが出来ることと言ったら、トヨタマネーを使ってCBのスペア用にベンチ入り枠をあと一つ増やさせることぐらいしかないかもしれない。これだけの選手(オプション)が揃えばピクシーもさぞかし采配が楽だろうし、逆に言えばこれだけのメンバーを揃えておいて結果が残せなければ嘘。その時にはその手腕が批判に晒されてもなんら言い訳は出来ない。
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by tknr0326g8 | 2009-08-19 23:59 | Game Review