Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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J1 2009 第20節 大分×名古屋 @スカパー
 モンテネグロ代表のブルザノビッチに続き(交渉が難航中と言われるものの)浦和の三都主獲得に動き出しているという名古屋。ダヴィに退団の可能性が生じた時点でオーストラリア代表のケネディ獲得に動くなどフロントの動きは迅速だし、このケネディの補強に関して言えば、仮にダヴィの慰留に成功していたとしてもダヴィとケネディという非常に噛み合わせの良い最強2トップが完成する隙の無さだ。残念ながらダヴィは退団してしまったが、そこで得た多額の移籍金によって他の選手を獲得出来るのであれば十分にお釣りが来る。
 そんな優秀なフロントに今最優先で求められている仕事は、三都主獲得を最低限の目標として、ピクシーが信頼出来る選手を年齢や特徴を問わず18人(出場停止や怪我を考えれば20人ぐらい)揃えることだろう。同じポジションのスタメンに退場や怪我などのアクシデントがあったり、チームが大量点でリードでもしない限り出場機会が巡って来そうもない頭数合わせのメンバー(この試合で言えば福島)はこのピクシーのチームには不要だし、彼等の出場を今か今かと待っている俺のような人間にとってこの状況はストレスでしかない。

 と、あくまでもピクシーの肩を持つならば、そんな感じで話はシンプルだ。(フロントも含め)チームとしてやるべきこともハッキリしている。だがこれは裏を返せばこの試合の最大の敗因がピクシー(の采配)にあることを意味しているし、みすみす勝ち点を2ポイント失った(勝てる試合w引き分けた)京都戦に続き、その選手交代のマズさによって名古屋がなかば自滅気味に勝ち点3を逃すことになったのは疑いようもない事実だと俺は思う。
 ピクシーはなぜ後半途中から足の止まっていた中村に代えて福島を投入しなかったのか。FW(玉田)を一枚削って中盤の枚数(吉村)を増やし、締めとして最終ラインにバヤリッツァを投入して逃げ切るという考え方は確かにある。しかし前線の枚数を増やして捨て身の総攻撃を仕掛ける大分に対し、ボックス内に人数だけ揃えてもその前でセカンドボールを拾えなければ、この試合のような結末(ロスタイムに2点を喰らっての逆転負け)になるのは必然とまでは言わなくても十分に起こり得る展開だ。中央に三枚の屈強なストッパー(増川、吉田、バヤリッツァ)を揃えながらも、その前のスペースがガラ空きで、そこからピンポイントクロスを上げたフェルナンジーニョに対して増川が当たりに行かなければならなかった一失点目や、ロングボールの競り合いにバヤリッツァと増川が重なってしまった二失点目など、終盤の名古屋は守備ブロックの機能不全が明らかで、名古屋に必要なのは最終ラインが余裕を持って対応を行えるような中盤のフィルターであり、それを行えるような運動量を持った選手を中盤に投入することだった。
 また守備の苦手な玉田やマギヌンといった選手を下げて守備固めを行うという発想や小川や阿部といったピクシーの「子供たち」を信頼する(期待する)気持ちは十分に理解出来るが、ミッドウィークのナビスコカップにフル出場を果たしたばかりの小川や阿部がディテールでのプレー精度に問題を抱えたままプレーを続ける一方で、ナビスコカップでベンチにすら入らず「全休」をもらっていた玉田やマギヌンがチームの一番苦しい時間帯にベンチへと下がってしまうのも、チーム全体のバランスからみればやはりどこかチグハグだ。

 試合を見ると、立ち上がりの名古屋は20分ぐらいまで大分のカウンターに晒されていた。これはすなわち玉田がピッチコンディションに慣れるまでの時間でもある。連勝中の勢いをそのままこの試合に持ち込むチームにあって、劣悪なピッチに対して一人露骨な嫌悪感を表し気持ちが乗っていなかった玉田は、前線でボールを収められずことごとくボールを失っては代名詞とも言えるかったるいディフェンスによって大分のカウンターの起点になっていた。玉田のところで奪った(拾った)ボールを逆サイドへと展開してサイドアタッカーを走らせるのが序盤における大分のカウンターの形だった。日本代表のエース候補ともあろう選手がピッチコンディションに左右されるこの有り様ではあまりにも情けないが、その後玉田のパフォーマンスは回復しそれに逆行するかのごとく大分の勢いも急激に減速していく。そして名古屋はピッチコンディションを全く鑑みないサッカーでゲームを支配してしまった。

 九石ドームのピッチは、来週コパ・スーダアメリカーナ王者のインテル・ナシオナウを迎えてスルガ銀行チャンピオンシップを行い、10月には日本代表の国際Aマッチを開催するスタジアムとはとても思えないほどに荒廃している。そしてこれはスタジアムやピッチ管理者の怠慢や技術不足というよりもむしろ大分というチームによる作為的なものを感じさせる。昨年のナビスコカップを制しリーグ戦も4位と躍進を遂げたシャムスカ時代から大分の狙いは「相手にサッカーをさせないこと」だった。相手が攻撃を仕掛けるスペースと相手の良さを消す戦術とともにそれに一役買っていたのが劣悪なピッチであり、昨シーズンも国体開催を良い口実としてピッチを適度に荒れた状態に保ち、相手から「サッカー」を奪い取ることに成功している。そうして大分はJリーグの年間最少失点記録を塗り替えた。そんなサッカーの持つ美しさを消し去る術に長けた大分は、名古屋にとっては昨シーズンのナビスコカップ制覇やリーグ優勝の野望を阻まれた相手という意味では天敵であり、(出来ているかどうかは別として)美しく攻撃的なサッカーを掲げる名古屋からしてみれば、大分との試合はアイデンティティを懸けた戦いでもある。

 と少し話が逸れたが、前々節の試合で闘莉王の負傷(そのおかげもあって名古屋は前節浦和相手に勝ち点3を獲得した)の原因にもなったこの大分の荒れ果てたピッチを考えると、俺は名古屋が立ち上がりからケネディへのロングボールを中心とした組み立てを行ってくるのではないかと思っていた。実際前節の浦和戦でも名古屋はケネディへのロングボールを多用して攻撃を組み立てていたし、それがハマった形で3-0の完勝を収めている。このやり方を継続するのは至って自然の流れだ。
 しかしこの試合での名古屋は愚直なまでにパスをつなぎながら攻撃を組み立てる方法を選択しこれをかなり高いレベルで実行に移していた。前節の浦和が前からプレッシャーを掛けてくるスタイルで大分がまずはしっかり守備ブロックを作ってカウンターを狙うスタイルだった(すなわち浦和と比べれば大分の方が中盤まではボールを運びやすかった)という面はあるだろうが、俺にとってこれは正直予想外でありまたその内容は予想以上のものだった。

 そして上にも書いた通り玉田がピッチコンディションに慣れ大分の勢いが収まった20分過ぎからゲームをコントロールした名古屋は、ケネディのリーグ戦3試合連続ゴールという願ってもない形で先制に成功する。日本代表の岡田監督によるリップサービスと煽り好きなマスコミによって一夜にして「賞金首」に仕立て上げられたケネディのゴールは、名古屋がそのまま順調に試合をクローズ出来ていれば今夜のスポーツニュースでも格好のネタとなっていたい違いない。
 しかし名古屋は快調なフライトを続けながらも軟着陸に失敗してしまった。そこで話は冒頭に戻るわけだ。
 シャムスカからポポビッチへという監督交代に踏み切った大分は確かに変わりつつある。ひと言で言うなら、勝つためにシャムスカが(相手もろとも)壊そうとしたサッカーをポポビッチが組み立て直そうとしている印象だろうか。しかしポポビッチが思い描くサッカーに近いプレーを大分が行えたのは最初の20分だけ。そのスタイルは完成にはまだ程遠かった。荒れたピッチに、ほとんど条件反射的に手が出る(相手のシャツを引っ張る)DF陣、もつれて倒れた後ケネディの足をわざと踏みつけて立ち上がった森重、どうやら知覚過敏らしい(ちょっとした接触プレーで大袈裟にピッチをのたうち回る光景が定番となった)22番などシャムスカの負の遺産も健在だ。この試合では出番がなかった33番も出てきて相手に置いて行かれそうになったら後ろから抱き付くんだろう。
 そういった意味ではロスタイムでの大分のミラクルな逆転劇は監督交代による戦術的な要素が影響しているわけではなく、このままズルズルとJ2に落ちるわけにはいかないという選手達の気持ちと、それを後押しするように攻撃的な選手を次々と投入したポポビッチ新監督のメンタリティや采配による部分が大きいと言える。そしてそれに屈した名古屋からしてみれば、「集中力の欠如」というひと言で片付けてしまうには余りにも選手達に気の毒なほど采配ミスによる影響は大きかった。

 かつての名古屋ではこういった情けないほどにアンビリーバブルなシーンを何度となく見せられて来たが、劣悪なピッチ条件やナビスコカップから中二日という厳しいなスケジュール、そして風の通らない蒸し暑い(想像)スタジアムという過酷なコンディションなどの様々なマイナス要素を乗り越え名古屋が見せた予想以上のパフォーマンスを考えると、俺は過去の名古屋が見せて来た絶望的なシーンの数々と同列でこの試合を語ることは出来ない。

 チーム状態が良い感じで上向いてきている中でちょっとしたトラウマになりそうな酷い敗戦だが、幸い次節まで二週間空くこともあり、選手達にはなんとか気持ちを切り替えてチーム状態を建て直しこれまた苦手の川崎戦に臨んで欲しいところだ。そしてフロントは三都主の獲得に全力を傾けて欲しい。ピッチが悪いとはいえこんなにミスをする阿部を見るのは(昨シーズンの彼のパフォーマンスからしても)しのびないし、いつまた負傷するか分からない(そしてそれがチームに多大な(マイナスの)影響を与える)マギヌンをこんなピッチそして相手にプレーさせるのは怖すぎる。大卒の即戦力ルーキーとして獲得した平木や橋本をピクシーが全く使う気がなく、彼等が「頭数」にも入っていない現状を考えると多少値は張っても三都主の半年間レンタルぐらいは安い買い物だ。
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by tknr0326g8 | 2009-08-01 23:59 | Game Review
J1 2009 第18節 名古屋×京都 @豊田スタジアム
 思い出したくもない悪夢だがミッドウィークにナビスコカップの準々決勝を戦ったおかげで先週日曜日のリーグ戦以来中二日での試合が続く名古屋。冬場ならともかく真夏を迎えようかというこの時期にこの連戦は想像するだにキツイが、どうやらピクシーだけは京都に与えるハンデとしてこれだけでは不十分と思っていたようだ。“救世主”ケネディによる絵に描いたようなデビュー戦ゴールや怪我などで戦列を離れていた主力選手の復帰、さらには取り戻しつつある名古屋の攻撃スタイルなど全てが好転し始めている中で、この試合もし名古屋が勝ち点3を獲得することが出来ていればチームは上げ潮に乗っていけるところだった。しかし残念ながら半ば手中に収めていた勝ち点3を失う羽目になったのは、ピクシーの采配ミスだったと俺は思っている。

 ひと昔前にセリエAなどで流行っていたCBを4枚並べるDFラインを見るまでもなく、前半抑え目で試合に入って後半勝負に掛けていた京都は、後半開始と同時に中盤の安藤に代えて豊田陽平、さらには名古屋時代も含めもともとSBなのに中盤(SH)で起用されている中谷に代えてパウリーニョと温存していた攻撃のカードを次々と切って、実際にパウリーニョの突破からPKを獲得し同点ゴールに結びつけている。
 一方の名古屋はキックオフからゲームの組み立ての部分では悪くない感じで試合を進めていた(後述)。しかし後半になって蒸し暑さのせいもあって両チームの足が止まり始めると、試合はカウンター合戦のような攻め合いとなり、交代で入ったフレッシュなアタッカー達がゴールに迫る京都とは対照的に疲労が顕著な名古屋の選手達は中盤でボールを引っ掛けてカウンターに移行した時でさえ十分なサポートが見られないようになり攻め切るような場面自体が減少していったのだった。
 ピクシーがようやく動いたのは後半30分過ぎにマギヌンに代えて田中を入れてフォーメーションを3-5-2に変更した時で、それ以後は結局交代枠を二つ残したまま試合を終えている。動かずに待っていれば自分の「子供たち」がゴールをプレゼントしてくれるとでも思ったのだろうか。確かにこの試合で選手達のパフォーマンスレベルは向上してきていたし、昨シーズンからピクシーのもとでプレーしてきた選手達はそれだけの能力を備えてもいる。しかし上でも書いたように厳しいスケジュールで連戦を戦う選手達にそれを求めるのも酷な話だ。名古屋は引き分けるべくして引き分けた。もしピクシーが本当に誰が出ても同じスタイルが実践できる組織的なサッカーを目指しているのなら、考え方を改める必要があるだろう。

 キックオフから良い感じで攻め込んでいたのは名古屋だった。ケネディというターゲットマンを得た効果は顕著に現れた。時々今までの癖で無意味に横にボールを動かすような場面もあったが、これまでと比べれば随分とタテにボールが入るようになっていた。そしてケネディへの収まりが良いので周り(二列目)のプレーヤーがそれに連動して攻撃に参加することが出来る。攻撃に掛ける人数を増やせば必然的にパスコースは増えボールの回りも良くなる。ただこれは京都が様子を見ていたという部分も多分にあった。対戦相手の前線の核となるプレーヤーが入れ替わったのだからどいったやり方をしてくるのか試合をしながら探るのは当たり前の話だ。実際京都が名古屋のやり方を見切ってくると名古屋はケネディへのパスコースを消されてボールを預けられなくなり、半分追い詰められるようにサイドにボールを回してマギヌンや小川の突破力に頼ったり、アバウトなロングフィードを蹴って簡単にボールを失うようなシーンが増え始めた。後半になると京都も中盤の枚数を減らして少しづつバランスを崩してきたので名古屋は再びボールを動かせるようになったが、前半のような時間帯が続いていれば名古屋ももっと焦れるような展開に持ち込まれていたかもしれない。

 また名古屋にあってはボールはスムーズに動かせるようになったとしても、それをどうフィニッシュに結びつけるかという部分については課題は繰り越しになってしまった。ダヴィが去りケネディが加わったということは、簡単に言えば昨シーズンまで(もっと言うならヨンセンがいた頃)のスタイルへの回帰だ。ケネディとヨンセンを比べるというようなことはあまりしたくないが、ポストプレー自体はヨンセンが剛ならケネディは柔で遜色ないものの、ヨンセンの最大のストロングポイントであったボックス内でサイドからのクロスボールに合わせるという面ではどうなのか。得点に直結するところだけにケネディのそうした能力がどのレベルにあるのかの確認は最重要課題だ。乱暴な言い方をすれば、極端な話ヨンセンがいた頃は「サイドをどう崩すか」だけを考えていればよかった。サイドさえ崩せばあとはクロスを上げておけばヨンセンが高確率で決めてくれた。もちろん晩年はボックス内でのマークも厳しくなって単純にクロスを上げただけではゴールが決まらない状況になっていたが。
 一方のケネディは多少違うタイプのような気が俺はしている。マギヌンからのクロスをダイビングヘッドで決めたゴールは、ヨンセンがデビュー戦となった千葉戦(フクアリ)で決めた来日初ゴールと酷似していたが、もし二人のフィニッシュの形が違うのであれば、当然そこから逆算した組み立てにも別のスパイスを加えなければならないかもしれない。
 そして今は対戦相手も手探りだから違和感なくプレー出来ているが、相手チームに研究されてマークが激しくなった時にどうなのかというさらに次のレイヤーの話もある。かつてボックス内でヨンセンにマークが集中するようになって得点率が下がって来た時に、会見でピクシーが口にした「名古屋にはリアルストライカーがいない」という言葉。これによって札幌からダヴィが連れてこられたわけだが、このまま何もしないで見ているだけでは同じ道を歩むことになる。いつしかピクシーはその試合でのケネディのプレーを振り返りながら言うだろう。「ケネディは良いプレーヤ-だが名古屋にはリアルストライカーがいない。それが名古屋と鹿島の差だ」と。そう考えると、ヨンセンが清水で活躍し始めたのは脇に得点を量産し始めた岡崎というリアルストライカーがいるからであり、名古屋では玉田がどういったプレーを見せるのかが重要な要素となる。
 玉田と言えば、後半ロスタイムに左サイドからドリブルでボックスに侵入して決定的なラストパスを送ったシーンも印象的で、確かヨンセンのデビュー戦の時もフクアリで鋭いドリブル突破からボックスに侵入してアシストを決めていたシーンはそれに酷似していた。

 豊田スタジアムでの京都戦でパウリーニョが倒されてPKを獲得し最終スコア1-1というのもどこかで見たことがあるような光景だが、昨シーズン名古屋の進撃がそこから始まったことだと考えると、(この試合は選手達には少しかわいそうな試合だったが)これを良い予兆として次につなげて行って欲しい。
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by tknr0326g8 | 2009-07-19 01:51 | Game Review
ナビスコカップ 準々決勝 FC東京×名古屋 @味の素スタジアム
 昨シーズン監督に就任したピクシーのもとJリーグ3位と躍進を果たした名古屋を見ながら、それでももし名古屋がFCWCに出場してヨーロッパチャンピオンとガチンコで試合をしたらこんな感じになるんじゃないかと俺が思い描いていた展開、それがデジャブのように現れたのが前半30分までのこの試合だった。組織的でスペクタクルなモダンフットボールを掲げる名古屋だが、その実DFラインと中盤との間の連携は乏しく組織として致命的な欠陥を抱えてしまっている。最終ラインは相手がボールを持ったら裏を取られないようにとシュートコースを切りながら後退し、中盤での守備を引き受ける二人のCHは運動量を生かして前後左右に走り回っているだけなので、名古屋はどうしてもDFラインと中盤のラインの間すなわちバイタルエリアを相手に自由に使われてしまうのだ。もちろんこれは日本人選手の持つスピードやシュートレンジを考えれば裏を取られるよりもミドルシュートを打たせた方が失点の可能性は低いという合理的な判断でもあるのだが、ミドルシュートが芯に当たったら即失点につながってしまう(実際それで痛い目を何度も見た)し、シュートレンジが広いヨーロッパのチームと試合をしたら通用しない戦術なんだろうなと俺は漠然と思っていた。

 だがまさかそれがヨーロッパどころかFC東京相手に現実のものとなってしまうとは思ってもみなかった。あっという間に喰らった4失点も、マンチェスターUが本気を出した途端にG大阪が手も足も出なかった光景を思い出させる。この試合に限って言えば、FC東京と名古屋の間にはマンUとG大阪と同等かそれ以上の差が存在していたのは事実だが、ではなぜ(いくら今勢いがあるからと言って)ヨーロッパチャンピオンでもないFC東京相手に名古屋が手も足も出なかったのか。
 その最大の要因が名古屋のディフェンス陣のうちGKも含めればレギュラー5人中3人を欠いていたことにあることは間違いない。4人のDFがラインを保ちながら機を見てラインをブレークして相互カバーを行うことで(中盤からのサポートを期待せずに)それ単体で成り立っているDFラインは、逆に言えばメンバーが大幅に入れ替わると機能を失ってしまう危険性が高い。
 具体的に言えば、まずCBに入った竹内がこの二試合平山との競り合いに全く勝てなかったこと。大学(国士舘)時代、スカウトがたまたま観戦していた試合(阿部目当て?)で当時筑波大学にいた平山を抑えていたのが目に留まったとも言われるシンデレラ・ストーリーを持つ竹内だが、今ではすっかり立場が逆転してしまった模様。中盤からのサポートを期待出来ない名古屋のDFラインにおいては相手FWにロングボールの競り合いで勝てないのは致命的だ。増川もカボレの対応にいっぱいいっぱいでサポートどころではない。
 またこの試合では左サイドから崩されるシーンが目立った。これは2年目の左SB佐藤が1対1の対応でことどことく後手に回っていた影響は多分にあるにしても、そもそもDFライン自体が簡単に裏を取られていたようなシーンを見ると、阿部だったらもう少し増川との距離感を調節して上手くやっていたいただろうなというコンビネーション面での問題も大きいように見えた。
 どこでボールを取るんだよ?と突っ込みたくなるぐらいバラバラな前線からのディフェンスが中盤で遊ばれるのは想定内。上でも書いたようにボランチ二人がひたすら走り回っているだけのディフェンスではしっかりとボールを動かせるチームが相手だと太刀打ち出来ないシーンは昨シーズンも何度かあった。これを今更改善しろと言っても一朝一夕にはオーガナイズ出来るはずもない。もし出来るとすれば大森が指摘しているように前線の選手によるディフェンス量を増やしてボランチの出動範囲(負担)を減らすことぐらいだろう。これに比べると最終ラインは(コンディションの問題こそあれ)バヤリッツァ、吉田、阿部といった主力が戻ってくれば改善される部分(ロングボールへの対応など)も大きいのは救いだ。

 この試合で予告通り何人かのスタメンを入れ替えて来たピクシーの意思がどこにあったのかは俺には分からない。日曜日の試合を観てのペナルティなのか、疲労なのか、それとも単なる気分転換なのか。だが今日のスタメンを見た時に俺が思い浮かべた戦い方は、まずはしっかりと守った上でシンプルに相手DFラインの裏に蹴ってダヴィと杉本の機動力を生かすというもの。この試合がホーム&アウェー方式のカップ戦のアウェーだということや相手が日曜日の試合でコテンパンにやられたばかりのFC東京だということを考えればこうした戦い方も悪くはない選択だし、またダヴィのパワーと杉本のスピードをもってすれば得点出来ないまでも相手DFに相当なプレッシャーを掛け運動量とパワーを強いることが出来る。そして後半相手DFが肉体的にも精神的にもヘバったところで消耗品の杉本に代えて切り札の玉田を投入すればいい。そして(このメンバーで守り切れるのかどうかはともかくとして)キックオフ直後の名古屋は実際にそうした戦い方を実践してペースを掴みかけたかにも見えた。
 しかし試合が進みFC東京がスコアを重ねていくと名古屋はこうしたスタイルではなく元来のサイドから崩すスタイルへとチェンジしてしまった。先行したFC東京が引いて守ってカウンター狙いに切り替えたことで多少ボールを持てるようになったからかもしれないし、逆にそうなったことで裏にスペースがなくなってしまったからとも言える。しかしダヴィと杉本の2トップに対してサイドからクロスを放り込んだところで得点など期待できるはずもない。そして前半も終了間際になるとダヴィが完全にやる気を無くしてしまった。ピクシーもそれを感じたのか後半開始からダヴィに代えて玉田を投入したが、監督が落合だったら最終の新幹線でダヴィを名古屋に強制送還しているところだろう。

 またこの試合に向けて球際の強さなど気持ちの面を強調していたピクシーだったが、それも選手達には上手く伝わらなかったようだ。前半に佐藤がマッチアップする石川に対して撫でるように優しいボディコンタクトで簡単に入れ替わられて(抜けられて)しまうシーンが続いたのを観て俺は正直嫌な予感がしていた。相手は最も警戒しなければならない石川。まだレギュラーポジションどころかベンチ入りさえままならない20歳になるかならないかの一介の若手でしかない佐藤にとって「顔」で止められる相手では到底ない。なぜ潰すぐらいの気持ちで行かないのか。最悪1対1で振り切られるのは仕方ないとしても、相手を上回る気持ちを持てていないようではやる前から結果は見えている。そしてこの佐藤のプレーはチーム全体を象徴していた。彼らにとっての戦う覚悟とは結局この程度のものでしかなかったのだ。交代で入った玉田を後半立ち上がり早々にいきなり梶山が削りに行った場面があったが、良いか悪いかはともかくとして、それぐらいの気持ちを名古屋の選手にも見せて欲しかった。4点取られた後に竹内が平山にバックチャージをかましてイエローカードをもらっていたシーンなどもあったがそれでは遅すぎるし、気持ちというよりはどうしても勝てない相手にテンパってファールを犯したようにしか見えない。おそらく石川のスパイクには蹴られた跡すら残っていないだろうし、平山がここまで気持ち良くプレー出来る相手はきっと今のJでも名古屋か柏ぐらいだろう。

 名古屋にとってこのナビスコカップは、おそらく今年のチーム状態でグループリーグを戦っていても決勝トーナメントには残れなかっただろうというおまけの大会。まだホームゲームが残っているとは言えこの結果は順当だ。次回ホームで4-0で勝てば逆転ベスト4も可能だがピクシーはやはり「Never Give up!」の精神で「ベスト」メンバーを組むのだろうか。
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by tknr0326g8 | 2009-07-15 23:41 | Game Review
J1 2009 第17節 FC東京×名古屋 @味の素スタジアム 
 せっかくなので東京に帰る前にトヨスポに寄り道しセカンドチーム&ユース混成チームと東海学園大学のトレーニングマッチを観戦。“ジーザス”ケネディもJデビューをいよいよ来週に控えコンディションの仕上がり具合が気になるところだ。

 名古屋のスタメンはこんな↓感じ。

        ケネディ
久場                橋本

    矢田(Y)    中村

         田口

平木   磯村    岸(Y)  金編(Y)

         広野

 ※(Y)はユース

 先週のG大阪戦でトップチームが採用していたのと同じ4-3-3。これがケネディ加入後にピクシーが描いている青写真でもあるのだろうか。そしてこの時点で俺は18:30Kick Offの試合(FC東京戦)でトップチームも同じフォーメーションで戦うであろうことを確信した。選手達の特徴を考えれば俺はトップチームにもこっちの方が合っていると思うし、相手に研究されて硬直化してきている4-4-2に拘るよりもこっちの方がトンネルの出口は早く訪れるような気がしている。

 と呑気にそんなことを考えながら試合を眺めていた俺にとってこのセカンドチームが見せたパフォーマンスはちょっとした驚きだった。対戦相手が大学生でしかも急遽決まった(変更になった)こともありコンディション面を差し引いて考える必要はあるかもしれないが、テンポ良くボールを動かしながらゲームを完全に支配して、つなぐところと仕掛けるところ(スピードアップするところ)のメリハリの利いたサッカーは観ていてもなかなか爽快だった。
 そしてそんなリズムを作っていたのは中盤の底に入りレジスタとして抜群の存在感を発揮していた田口。U-18日本代表でも主力を張る田口はこの試合ではゲームキャプテンも務めていて、上手いだけでなく闘えるプレーヤー。ピクシーがなぜ田口を東京に連れて行かなかったのか疑問に思えたほどだ。そしてそこには4-4-2の時には決して見ることができなかったこの田口のポジションを経由して常にゲームが組み立てられる風景があった。

 またこの試合ではユース組も良いプレーを見せていた。昨日のプリンスリーグでフル出場を果たしたばかりの金編は橋本との「石川県コンビ」で右サイドから何度もオーバーラップを繰り返し尽きることないスタミナと走力を発揮していたし、ケネディのゴールをアシストした矢田は累積警告で昨日の試合を欠場していたもののこのチームで何の違和感もなくプレー出来ている。そして最も目を引いたのは右のストッパーに入っていた岸で、守備機会こそそれほどなかったが、ボールを持った時に逆(左)サイドのウイングに対して何度も正確なフィードを通しており、姿勢も良くとてもリラックスした(ように見える)状態から繰り出されるキックは軽く蹴っているように見えて質(スピードや回転)・精度ともに申し分ないものだった。ユースでもこうしたシーンがもっと見られるようになれば良いのだが。

 後半はメンバーチェンジもあって下↓のような感じにフォーメーションを変更。ケネディとユースの奥村という2トップも夢のような組み合わせだ。

     ケネディ  奥村(Y)

平木   矢田(Y)  田口   橋本

安藤(Y) 磯村   岸(Y)  金編(Y)

       長谷川

 来週の本番に向けてケネディも今日はフル出場。前線に張るだけでなく、後半はむしろ奥村を最前線に据えてトップ下のような位置でプレーする時間帯も長かった。そして追加点はまさしくそんなケネディから出たスルーパスに抜け出した奥村が冷静にGKを外して決めたものだった。

 昨日のプリンスで負傷交代した(怪我を押して出場していた?)安藤はこんなにすぐに試合に出て大丈夫だったのかだけが気になるところだが、試合自体は(後半少し足が止まってダレた場面もあったが)得点差以上に収穫のあった試合と言えるのではないだろうか。
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 というわけで、良いイメージを持ちつつ新幹線に乗り込み一路東京(味スタ)へ。俺の一番の期待はセカンドチームのトレーニングマッチに出場していなかった花井、新川、福島が試合に絡むことだ。

 キックオフ後まず注目したのは名古屋のフォーメーション。だが戦前の予想に反しなぜか名古屋はいつも通りの4-4-2のフォーメーションを敷いていた。よくよく考えてみれば、前線のプレーヤーはダヴィと玉田の2トップといい小川とマギヌンの両SHといいフルメンバーが揃っているので、変える必要がないと言えば変える必要がない。連敗中で何かしら変化を与える必要があるならまだしも、先週のG大阪戦で連敗からは一息ついており、ここは敢えてリスクを冒さず慣れ親しんだシステムで行こうという判断だろうか。

 しかしそんな悠長に構えていて止められるほど勢いに乗るFC東京そして石川直宏は甘くはなかった。キックオフから5分と経たないうちに最も警戒していたはずの石川をお約束通りバイタルエリアでフリーにして狙い澄ましたミドルシュートを決められてしまった名古屋は、早晩リスクを冒す必要性に迫られることになる。名古屋としては完全に試合の入り方を誤った形であり、もっと言うならこの一週間一体何の準備をしていたのかという話だ。

 文字通り目の醒めるような石川のゴールによってようやく目覚めた名古屋の選手達はその後フォーメーションを4-3-3に変更して遅ればせながら反撃を開始する。特に名古屋にとって攻撃の軸となったのは左サイドで、フォーメーションの変更によって近くでプレーすることが可能となったマギヌンと小川が絡む崩しは十分に可能性を感じさせるものだった。また東京のプレッシャーは確かに激しいが、名古屋はそれに対抗するために大きなサイドチェンジを何度も織り交ぜながら攻撃を組み立てようとしていた。
 だが先制したこともあってまずは守備から入りカウンターにつなげる作戦を徹底してきた東京に対して、名古屋はフィニッシュに至る道筋を全く見出すことができない。ダヴィを生かすためのスペースが十分でないことは言うに及ばず、ダヴィにボールを収めようとしても相手もそれを読んで(警戒して)いるので上手くいかない。またサイドを崩したところで単純なクロスボールを放り込んでもダヴィに対しては効果的ではない。名古屋は結局この半年間ダヴィを加えたコンビネーション(崩しのアイデア)を完成させることが出来なかった。そしてダヴィは代理人の入れ知恵じゃないかと疑いたくなるような不用意なハンドによってイエローカードをもらい、この試合がJでのリーグ戦最後の試合となってしまった。まだ水曜日のナビスコカップは残されているがあまりにも寂しすぎるお別れだ。

 東京は連勝中ということもあってか一人一人のプレーヤーが自信を持ってプレーしていて、名古屋と比べればキックオフから遥かに気合の入った激しい当たりで名古屋の選手達に自由を許さず、レフェリーのジャッジという追い風にも乗って試合のペースを握っていった。こうしたコンパクトな守備からスピードに乗ったカウンターを繰り出すというのも実に東京らしい戦い方ではある。そして名古屋からしてみれば東京が前線に並べている大柄な2トップに蹴って来てくれればまだ楽だったのだが、平山が下がってスカスカの中盤でクサビを受けてもの凄いスピードでサイドから名古屋DFラインの裏に飛び出して来た石川にボールを出すと、名古屋は誰も(GKの楢﨑が羽生のシュートを弾いたぐらいしか)これに対応することが出来ずされるがままに追加点を与えてしまった。

 後半に入るとピクシーは中盤の吉村を削って頭から巻を投入。前節の劇的な決勝ゴールのイメージが残っているのだろうか素早い判断だった。これで名古屋はサイドからクロスボールを放り込むにもターゲットが出来、困った時には巻きの頭を目がけてボールを蹴ればいいというオプションも出来る。ただ上手く回ればいいが、(小川のCH起用はともかくとして)玉田とマギヌンのSHというのは相当後ろに負担が掛かるシステムでもある。
 そしてそれでも事態が好転しないと見るやピクシーは二枚目のカード・花井を投入する。これまでの試合での采配を観てもリードされている展開で花井が起用されることはないだろうと俺は高を括っていたのでこれは(良い意味で)予想外の起用だった。中盤の底でボールを引き出して左右に散らしてゲームを作れということだろうか。実は俺もスタンドで試合を観ながら「梶山で出来るんだったら花井でも出来るだろう」と思っていたところだったので、この花井投入はピンポイントなのだが、ただそれまで攻守両面に渡って良いパフォーマンスを見せていた山口を下げるという判断が果たして正しかったのかどうかは疑問だった。俺ならこの試合で何も見せられていなかった玉田を外して花井を投入し小川を攻撃的なポジションへと戻していただろう。
 守備もしなければ得点もアシストもしない玉田は一体何のためにプレーしているのか。ドリブルがしたいだけなら近所の公園ででも勝手にしていればいい。玉田が守備をしなくても許されるのはボールを持った時に他のプレーヤーにはない才能を発揮することが出来るからだ。それは例えば瑞穂で誰がボールを持った時の歓声が最も大きいかを見ても分かる。ただそれをアタッキングエリアで得点に絡む形で出さなければ何の意味もない。すなわち玉田はゴールとアシストによってのみピッチに立つことを許されるプレーヤーであり、たった一本のシュートすら放っていない玉田にこの試合のピッチに立ち続ける資格はなかった。

 その後最後の切り札として杉本を投入したピクシーだったが、ピッチを去ったのは玉田ではなくなんとダヴィ。俺はこの時点でこの試合の敗北を覚悟した。既に中東移籍が決まっているとはいえ、ピクシーが望んで連れて来た「リアルストライカー」抜きに名古屋はどうやって点を取るつもりなのだろう。ブルーノ・クアドロスと今野の両CBを相手に巻がどう一人で頑張っても限界はある。俺はむしろ杉本よりもゴール前で勝負できる津田を投入して欲しかったぐらいだ。そして悪いことは重なるもので、相手との接触プレーで肩を痛めた(外した?)花井が負傷退場し名古屋は10人での戦いを強いられることになってしまった。

 花井が退場する前から東京は既に余裕の逃げ切りモードに入っていた。新人の田邉を起用したりするあたりも余裕の現れかもしれない。また同じように前からプレッシャーを掛けに行くにしても連動したプレスからボールを奪ってショートカウンターを狙う東京とは対照的に、名古屋は各人の動きがバラバラでとりあえずプレッシャーには行くがチームとして一体どこでボールを奪うのかといった共通理解がほとんど感じられず、プレスの合間を縫ってFC東京に面白いようにボールを回されてしまっていた。

 ただひとつ言えるとすれば、そんな半分遊ばれているような状況にありながらも、名古屋とFC東京とのチーム力(チーム状態含む)の差は先日の鹿島との間で感じたほどの差ではないということ。中二日でまた同じ相手と戦わなければならない選手たちはフィジカル面同様に精神的にも過酷だが、選手一人一人が強い気持ちを持って戦い、また試合の入り方さえ間違えなければ少なくともこの試合のような敗戦は避けられるだろう。ドッと疲れが出るような敗戦を喫した後だけにまずは気持ちを切り替えて水曜日を迎えてもらいたい。
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by tknr0326g8 | 2009-07-13 02:48 | Game Review
J1 2009 第16節 名古屋×G大阪 @豊田スタジアム 
 ともに不振にあえぐ名古屋とG大阪の生き残りを賭けた戦い。しかしG大阪が徳俵に足を乗っけている一方で名古屋は既に死線に片足を突っ込んでいる状況であり、経験豊富な主力選手がいてチームとしての基盤もしっかりしているG大阪の方に一日の長があることに疑いの余地はない。まして名古屋は出場停止の増川に加えて吉田も負傷欠場と(無期限帰国中のバヤリッツァも含めて)レギュラー格のCBが一人もいない緊急事態。名古屋ファンからすればこれで楽観的になれという方が到底無理な話だ。

 そんなわけで少しでも希望を見出そうと俺もご多分に漏れずキックオフの8時間前(10:00)にはトヨスポにいた。目当てはもちろん愛知学院大学とのトレーニングマッチに出場する“ジーザス”ことオーストラリア代表FWケネディだ。残念ながら10分遅れてトヨスポに到着した俺はケネディのゴールを見逃した上、ケネディ自身も前半45分で交代してしまったのでそれほど長い時間そのプレーを拝めたわけではなかったが、194cmの高さというよりも足元でボールを収める上手さのようなものが印象に残った。まあまだトレーニングマッチなのでファール覚悟で当たって来るDFもいなければ、ケネディもチームメートもお互いに手探り状態とうこともあって、その力量をこの試合だけで測ることは到底出来ないわけだが。
 そしてそんなトレーニングマッチでは前日の18時から公式戦(プリンスリーグ)にスタメン出場していたユースの選手達が小幡とGKの三浦天を除いて全員出場していた。全員が上限45分の出場とそれなりに配慮はなされていたが、なかなかのハードスケジュールである。その中で目に付いた選手は後半にCBとして出場し落ち着いたつなぎを見せていた安藤。普段ユースでは左SBとしてプレーしているわけだが、左足の正確なキックでタテにヨコにとテンポ良くパスを捌いている様子を見ると、本職は多分ボランチなんだろうなという印象を受けた。
 それでもまだ試合までかなり時間があるので、その後は第二グラウンドに移動しプラチナ世代(U-14)のトレーニングマッチを二本目まで観戦。身体が大きくコンパクトな守備を見せる相手に対して一本目こそやや苦戦していた印象の名古屋だったが、二本目になるとボールを持ってもいきなりトップを狙うのではなく一旦中盤でポイントを作ってそこから相手DFの裏を狙うような作戦に切り替えて次々とチャンスを作り出し得点を重ねることが出来るようになった。このチームは今クラ選の東海大会を戦っているU-15に4人の選手を「飛び級」で派遣しているものの、丸ごと入れ替わった2トップをはじめ彼等の代わりに入った選手達が試合経験を重ねて随分と良いプレーを見せられるようになった。特に他のチームに行けば即エースというレベルの2トップなどは(もともと力はあったが)ここに来てさらに急成長を遂げているようでもある。

 と、かなり前置きが長くなってしまったが、ようやくG大阪戦。
 上にも書いたようにCBの一番手から三番手をごっそり欠いている名古屋は、ともに今シーズンは左右のSBの控えという位置付けにある竹内と佐藤がCBとして先発。もともとCBが本職の竹内はともかくとして、高卒二年目でプロになって攻撃的なポジションからSBに転向した佐藤は公式戦でCBを務めるのはおそらくこれが初めてだろう。ベンチ入りしているメンバーの中で唯一DF登録だった磯村とて本来は攻撃的なポジションの選手だし人手不足も甚だしい。かつて清商トリオを解雇した直後にCBが古賀とホミルドしかいなくなり平岡靖成を緊急補強した頃(騒動直後のナビスコカップでは山道高平がベンチ入りしていた)や、ネルシーニョ時代に角田が出場停止だったところに加えて翌節の試合中に秋田が鎖骨を骨折してCBが古賀しかいなくなり、本職はボランチの須藤右介と中島俊一(しかも中島は170cmそこそこだった)が古賀とともに3バックを形成していた時代を思い出す。カードトラブルと無縁ではいられないポジションだけに(バヤリッツァの復帰が見込めないことを考えても)中断期間中の補強は必須と思われ、もしそれが叶わないのであれば、現在ユニバ代表としてベオグラードで戦っている中京大学・森本良の特指なども視野に入れなければならないかもしれない。

 そんな名古屋に対して前線の豪華なタレントによる破壊的な攻撃力を誇るG大阪が前から圧力を掛けてきたら嫌だなと俺は思っていた。前から圧力と言ってもそれは決して前線からのディフェンスということだけではなくて、前線にそうした強力なアタッカーが並ぶだけで名古屋の急造DFにはかなりのプレッシャーとなるに違いないという意味で。
 しかしそんな一ファンの俺ですら半分腰が引けている状態であるにも関わらず、蓋を開けてみれば西野朗は何故かルーカス、播戸、山崎といったアタッカー達をベンチに温存し、あろうことか橋本を前線に起用するという奇想天外な策を打ち出してきた。大宮時代に記念すべきJ初ゴールを名古屋から記録しているレアンドロのスピードは依然脅威だが、これで気持ち的に少し楽になったのは俺だけだろうか。(逆に1-1で迎えた終盤にFC東京時代からの名古屋キラールーカスが交代で入って来た時は生きた心地がしなかったわけだが)

 とは言えG大阪の前線の迫力が少し薄れたからといって名古屋が試合のペースを握れるわけではもちろんない。人も新しければフォーメーションや戦術にも変更が加えられている名古屋はその新しいやり方が全くフィット(浸透)しておらず、むしろG大阪にゲームの支配を許す形となった。
 例えば守備面では後ろを楽にさせようという思いからか前半は二列目の中村が相手DFに対して積極的にプレッシャーを掛けに行くシーンが目立ち、逆に中盤とDFラインの間にスペースを空けてしまっていた。中村の激しいプレッシャーに対してG大阪が怖がって蹴ってくれれば楽なのだが、そこいらのインチキなパスサッカーとはモノが違うG大阪はそれぐらいはものともせずしっかりと中盤を経由してパスをつないで来る。そしてスカスカになった中盤で面白いようにトップにクサビを打ち込みながら二列目が絡んだ攻撃を組み立てて来るG大阪。先制ゴールもそうした展開から生まれている。
 また別の例を挙げれば、阿部が上がったスペースをG大阪が使おうとした時に、左CBの佐藤とワンボランチの山口がそのスペースを埋めようと同じ動きをしていたシーンもあった。もしこの戦い方を続けて行くのであれば、この辺りは戦術的にも整備が必要だろう。

 また名古屋にとってこの試合は前半からGKの楢﨑が足でボールを扱うことがとても多い試合だった。前線の動きがないためしっかりと組織を作って守られるとクサビのボールが入れられず途方に暮れてしまう名古屋はそのまま相手が前進して来るに連れて追い詰められてボールを後ろに戻すしかない手がなくなっていまう。G大阪のようにDFラインから中盤を経由してゲームを組み立てることが出来ない名古屋からしてみれば攻撃は前線のアタッカーの個人技が頼みの綱だが、彼等にボールを預けようにもなかなかそこまでボールが行き渡らなければ話にならない。中央(ダヴィ)がダメならサイドというわけで、大きな展開から左右に開いてポジションを取っていたマギヌンや玉田にボールを集めてそこから突破口を見出そうとしたり、チャンスと見るや二列目の中村や小川が思い切ってボックスに飛び込む姿も印象的だったが、そんな名古屋の攻撃もやはり単発な印象が拭えなかった。

 そんな展開の中名古屋が千載一遇のチャンスを掴んだのは前半ロスタイムに入ってからのこと。相手セットプレーの流れから一気のカウンターを発動し、ボールが左サイドライン際いっぱいに張る小川に渡ると、小川はG大阪DFラインの裏に飛び出したダヴィにスルーパス。完全に抜け出したダヴィがボックスまでボールを持ち込むと松代に引っ掛かって倒れてPKを獲得しこれをダヴィ自身が決めたのだった。確かこの間観たACL(水原三星戦)ではキックオフ直後に同じようなシチュエーションでシンプルにダヴィを使わなかった小川について言及した記憶があるが、このシーンでは何ら迷うことなくスムーズにパスが出ていた。とは言っても、後半に訪れた3対2ぐらいのカウンターの場面で、去年までなら相手DFの間にスルーパスを通して杉本のゴールを御膳立てしていたはずだが、ボールを持ち過ぎた末に敢えて安全なプレーを選択してチャンスをフイにしてしまった辺りはまだ思い切りが足りなかったり、自分が何とかしようとする気負いが大き過ぎるように感じてしまう。

 またキックオフから目立ったのはG大阪の選手達がマギヌンに対して思いっ切り削りに来ていたこと。川崎時代からの因縁が尾を引いているのか、それとも新潟戦のようにマギヌンがカッとなって報復に出る(そしてマギヌンをピッチ外に追い出す)のを期待しているのか、G大阪はクリーなイメージが強いチームだったがさすがにここは相手も必死だった。そしてそれに耐えたマギヌンには成長の証が感じられる。プレー自体にはまだ完全にフィットしていないように感じる場面もあったマギヌンだが、(新潟戦は早々に退場してしまったので)実質これが復帰第一戦目ということを考えればこれからどんどん上がって来るだろう。ブラジル人が得意とする夏に向けてダヴィとともに期待が集まる。 

 後半になると試合は体力の落ちた両チームの攻め合いの様相を呈してきたが、名古屋はベンチからの指示があったのか、それとも体力的な問題による必然的な流れか、自陣のペナルティエリア手前ぐらいでブロックを作って守り、前線の選手達が少ない人数で攻めるカウンタースタイルへと変化した。
 そしてそんな試合は一ファンとしての意見を言わせてもらうならば純粋に楽しめた試合だった。赤いチームと青いチーム、名古屋のチームと大阪のチームが互いの意地を懸けてなりふり構わず戦う姿はボクシングで言うところの足を止めた打ち合いで、攻守交代に伴って双方のスタンドから沸き上がる歓声の興奮といい、終了のゴング間際に劇的なノックアウト勝ちを飾ったのが仮にG大阪であったとしても俺はかなり満足することが出来たに違いない。

 逆転ゴールはG大阪のGK松代にとっては悪夢のようなシーンだったが、実はこのプレーには伏線があり、その少し前のシーンにおいてメインスタンド側(右サイド)で名古屋の選手に詰められた松代は、右足で直接タッチを割るように大きく蹴り出してクリアしている。これに対して松代の目線の先(ほぼ正面)にいたベンチの西野監督は「Why?」といった感じのゼスチャーで応えていた。ひょっとしたら松代にはこのシーンの残像が残っていたのかもしれない。そのすぐ後に訪れた問題のシーンでは左SBの下平からの横パスを受けた松代は丁寧に(無理に)つなごうとして巻にボールを奪われる羽目になってしまった。
 松代の股間を抜けたシュートは点々とゴールに向かって転がって行ったわけだが、ゴール裏のサポーターからしてみたらゴールに転がり込むまでの軌道を追う時間が長かった分、楽しみや喜びも増大したに違いない。そしてゴールを奪った巻は再開と同時にDFラインの中央へと陣取り、G大阪が蹴り込んできたロングボールをその頭でクリアしたところで主審は終了のホイッスルを鳴らしたのだった。まさに縦横無尽。出場時間僅か一分で攻守に決定的な仕事をやってのける巻のポテンシャルを垣間見た試合だった。
 ケネディの加入によって再び冬の時代へと突入することが濃厚となった巻だが、俺は例えケネディが上手く機能しなかったとしても、その刺激によって巻が育ってくれれば良いぐらいに割り切っている。かつてネルシーニョ監督時代に中山悟志の加入によって豊田陽平が(プチ)覚醒したように、ライバルの加入は思いもよらぬ化学反応を示すことは少なくない。刺激を受けた巻がこれで覚醒でもしてくれたらケネディ加入の元は十分取れる。
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by tknr0326g8 | 2009-07-08 01:52 | Game Review
J1 2009 第10節 名古屋×鹿島 @瑞穂陸上競技場 
 名古屋にとっては出来過ぎたシナリオが整いつつある。荒廃した名古屋にジーザスが降臨するXデーはもうすぐそこだ。シーズンはまだ折り返し地点にすら達していないというのに首位鹿島との勝ち点差が19に広がった名古屋にはもう「神頼み」ぐらいしか希望が残されていない。

 試合は(来週から始まる大相撲名古屋場所にちなんで言うなら)文字通り鹿島の横綱相撲だった。名古屋の攻撃をどっしりと受け止めた上でいざ攻撃に転じればいとも簡単に勝負をつけてしまうのだから両チームの間に横たわる力の差は歴然。失点シーンなどはいずれもほとんど遊ばれていると言っても差支えないレベルだった。もっとも今の名古屋はJ1でも底辺にいる千葉と良い勝負をした挙句競り負けてしまうようなレベルなので今さら驚くほどのことでもないが、この残酷な敗戦は名古屋の今のサッカーに対して戦術的にもメンバー的にも「限界」という二文字を突き付けた格好だ。

 この試合について言えばピクシーの選手起用も当たらなかった。マギヌンの代わりに玉田を二列目に入れダヴィと巻で2トップを組んだ前線、新潟戦であれだけ選手達が疲労困憊だったにも関わらず出場停止や怪我を除いてまたしても固定メンバーを起用したスタメン、前線に人ばかり増えて逆に中盤から後ろではパスコースをなくしてしまった選手交代とすべてが裏目に出ていた印象すらある。
 順を追って見て行けば、まず玉田のサイドハーフ起用は玉田自身のコンディションが良いこともあり攻撃では即興で時々良い場面を作り出していたが、鹿島が奪った先制点のシーンではこの起用のマイナス面が出てしまっていた。鹿島の大きなサイドチェンジから左サイドバックの阿部が鹿島の右サイドの選手と1対2の状況になっている頃、左サイドハーフの玉田は前線を闊歩していた。そして数的優位を生かした鹿島が余裕を持って中へと送り込み最後はボックス内で興梠に余裕を持って叩き込まれたわけだが、玉田をサイドハーフに入れる以上こうした事態は常に想定されるものであり、正直名古屋としてはああいう形になったら相手が勝手に外してくれるのを祈るしか手がない。まああの辺りをキッチリ決めるのが鹿島と名古屋の違いでもあるのだが。
 疲労について言えば名古屋も鹿島も条件は同じだ。しかしボールに対する反応が鹿島の方が名古屋よりも1テンポどころか2テンポか3テンポぐらい速かったことの疲労との関係性は否定できない。三つの失点シーンで名古屋の選手達の足(とおそらく頭も)が完全に止まっていたのは、鹿島の崩しが素晴らしかったからだけでは決してない。最も心配なのは阿部で、阿部が絶対に欠かせないピースだということは十分に理解出来るが、(天候を差し引いたとしても)こんなにミスをする阿部を見たのは初めてだ。最後の方は気力を振り絞ってオーバーラップを繰り返していた阿部だったが、動きもどこかギコチなく大きな怪我でもしてしまったら元も子もない。
 交代策に関して言うと、実はピクシーが施した処置は俺の考えとも符合する部分が多かった。山口については先発から起用してもよい気がしていたが、どうにも中盤から上手く(相手にとって危険な)パスが出て来ない状況を打破するためには小川のセンターハーフというのがこのベンチ入り含めたメンバーでのベストセレクションだと俺は思っていた。結果的には後述するように選手交代によって全体のバランスが歪になり、また小川自身も小さなミスをいくつも冒したことでこれが良い形につながることはなかったが、アイデアとしては悪くなかったと思う。むしろ問題は前線にどんどん人が増えてしかも張り付いたことで逆にスペースを消し合ってしまったことだろうか。

 選手達の気持の部分ではキックオフからリーグ戦の連敗を脱出しようとチーム全体がアグレッシブにプレーする姿勢を見せていたし、(この先も続く連戦を考慮した鹿島がペースを落としたせいもあるが)名古屋は最後まで鹿島ゴールを狙う姿勢を打ち出していた。またなかなか攻撃がつながらず明らかに鹿島がカウンターを狙っている状況でも、これから加入するケネディを意識してかトップにクサビのボールを当ててそれを拾って攻撃を仕掛けて行くスタイルを何度失敗しても頑なに続けていた。この試合の結果はもう(チーム或いは個人としての)完全な力不足であり、逆にここまでやられると諦めがつくというもの。こんな大敗の後に選手たちがヘラヘラと笑っていたりとかしたのなら話は別だが、個人的には試合後の彼等にブーイングを浴びせるような気にはなれなかったというのが率直な感想だ。
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by tknr0326g8 | 2009-07-01 23:22 | Game Review
J1 2009 第15節 新潟×名古屋 @スカパー 
 ACLから中三日でしかも前半のうちに退場者を出して一人少なくなった名古屋を圧倒出来なかった新潟に今シーズンここまで上位につけている強さの秘密を見出すことは残念ながら出来なかったが、試合を観ながら思ったことは、ケネディ加入後にピクシーが思い描いているチームというのは実はこの新潟のようなチームなのではないかということ。大島がケネディでペドロ・ジュニオールがダヴィ、そして矢野が玉田、マルシオ・リャルデスがマギヌンで松下が小川と考えればなんとなく全てがシックリくる。新潟の最大の武器はペドロ・ジュニオールのドリブル突破だが、大島が最前線にいるからと言ってそれが減じるわけではないし、むしろ相手が大島へのロングボールを警戒してDFラインを下げることでペドロ・ジュニオールはポッカリと空いたバイタルエリアのスペースを縫うように生き生きとドリブルを繰り出していた。

 試合の趨勢は前半のマギヌンの退場によって決まってしまったと言っても過言ではない。マギヌンが最初から相手の足を狙って行ったかと言えば決してそうではないと思うが、ルーズボールに対して相手も足を伸ばして来ることが分かっていながら思いっ切り足裏でボールを抑えに行ってしまった行為は二枚目のイエローカード→退場と宣告されても全く不思議ではないものだった。川崎時代のマギヌンを知る限りこうしたプレーがいつか出るであろうことは覚悟していたので、よくこれまで一年半我慢していたなというのが半分正直な気持ちではあるのだが、それでも前々節の小川の退場といい、ピクシーのチームに対する掌握力が少しづつ弱まって来ているのではないかという不安が頭をもたげたのも事実だ。
 しかしその後前半終了間際に2点目を失っても、ピクシーのチームはなんとかそこで踏みとどまり、ロスタイムには1点を返すことに成功している。新潟がだらしなかったと言えばそれまでだが(実際もし名古屋がこの日の新潟と同じ試合をすれば俺はブーイングを浴びせただろう)、フェルフォーセンの頃にはこうした状態になると歯止めが効かずなす術なく崩れて大量失点を喰らった(挙句完封された)試合も何度かあった。その頃を思えば選手達のメンタル面も随分と強くなったものだ。

 また、この試合の敗因が根本的な選手起用にあることもまた確かで、蒸し暑い梅雨時期の連戦という意味ではシーズン開幕当初の連戦よりも遥かにハードな条件の中、明らかに動きの悪い選手を起用していたことは名古屋が喰らった二失点にも直結している。そしてこの新潟戦を落としたことで、この後続く鹿島・G大阪との連戦はさらにメンバーを動かしづらくなってしまった。この連戦をピクシーはどういったメンバーで臨むのだろう。選手達のコンディションやメンタル面での調整も含めてその手腕に注目が集まる。
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by tknr0326g8 | 2009-07-01 01:35 | Game Review
ACL ラウンド16 名古屋×水原三星 @瑞穂陸上競技場
 変則的なレギュレーションにより、(決勝を除き)H&A方式で行われるトーナメントの中に組み込まれた一発勝負のラウンド16。この試合に勝たなければ、ACLに出場したと言ってもそれは東アジア~東南アジアの範囲での話(言うなればEACL)でしかなく、中東チームとの対戦もないままに大会を去らなければならない。このACLをそんな味気ない記憶にしないためにも名古屋に求められるのは一にも二にも「結果」だ。

 とそんなことは分かっているつもりでも、この試合立ち上がりからの名古屋のパフォーマンスの低調さには思わず目を覆いたくなってしまったというのが試合を観た正直な感想だった。玉田がスタメンに復帰し、マギヌンを除けばベストメンバーのはずの名古屋だったが、土曜日の千葉戦の悪いイメージをそのまま引きずってしまっている。いやむしろその戦いのイメージが頭に焼き付いているかのごとく、前線に4人が並ぶ4-2-4のような布陣で中盤を経由せずDFラインから前線への長いパスに頼った不確実な攻撃を繰り返していた。いつものほほんとしたコメントを発しマイペースを絵に描いたような中村がキックオフから何度も前線のスペースに飛び出すようなアグレッシブさを見せるなど、チームとしてホームゲームで負けられないという思いやそのために何がなんでも先制点を奪いたいという気持ちは伝わって来たが、それでもチームとしての機能性は乏しく、いざ得点となればそれは偶発性のものに頼らざるを得なかったというのが実状だ。

 この試合での個人的な注目選手は玉田と小川。玉田は途中出場した土曜日の千葉戦で身体のキレの良さを感じさるプレーを見せていたが、逆にそれまでダヴィの突破力と巻の高さを生かす戦い方を徹底していたチームの中で、玉田の登場は、ダヴィを走らせるのか、巻に当てるのか、それとも玉田に預けるのかといった部分でチームにちょっとした混乱をもたらしていた。そしてその混乱の余韻はこの試合でもまだ残っていたようだ。この試合では巻が外れて頭からダヴィと玉田の2トップという形になったものの、キャンプ期間を一緒に過ごしていない玉田はまだこのチームの中で居場所を見付けられていない。そして日本代表における岡崎というライバルの出現により得点を強く意識するようになったのだろうか、前線に張り付いたままの玉田はいつものように一旦中盤まで引いて来てゲームを作るような動きも少なかった。
 小川も10番としての重圧が「自分が何とかしなければ」という気負いという意味でマイナスに作用したとしか思えない磐田戦での退場に続き、この試合でも立ち上がりは危険な位置で不用意なファールを犯したりするなど少し空回りが続いている印象だった。このクラブには珍しい勝ち気な性格は間違いなく買いだが、ピクシーの標榜する「美しいサッカー」の対極を行く「美しくないファール」は名古屋の10番を背負う男として避けなければならない。そしてこの試合では立ち上がり早々にカウンターから裏に抜けようとしていたダヴィにシンプルに出していれば1点ものというシーンで、あえて切り返してボールを持ちファーサイドにパスを送ったシーンも気になった。ボールがそのままゴールラインを割った技術的なミスよりも、なぜ最も可能性が高くチームのストロングポイントであるダヴィをシンプルに使わなかったのか。立ち上がり早々だっただけに、これが単なる試合勘の問題なのか、それともダヴィ頼みと言われる攻撃に対する改善策を自ら模索しているのか分からないが、あまり考え過ぎてこの若きエースがまた負のスパイラルに陥ることは避けなければならない。

 名古屋がイマイチ噛み合っていない間に少しづつゲームの主導権を握った水原はいつしかほとんどハーフコートと言っても差支えないほどのワンサイドゲームに持ち込んでいた。雨あられと浴びせられるシュートが試合を通じて雑だったのが名古屋にとっては救いったが、もう少し精度の高いフィニッシュを持ったチームだったらやられていたに違いない。
 そしてそんなホームゲームでとんだ大失態を演じてしまいそうな勢いの名古屋にとって小川の先制ゴールは悪い流れを一掃する分岐点となった。これで精神的に余裕の生まれた名古屋は水原の動きが少し落ちたこともあって、すき間すき間に顔を出してボールを受ける選手が出始め、特にその代表格とも言える玉田が中盤でも積極的にボールに絡み始めたことで良い潤滑油となりようやくパスが回り始めた。ただこれとて到底100%には遠く及ばない状態であり、実際名古屋が追加点を奪った直後に1点を返されたシーンではぎこちなさの残るパス回しからアバウトにタテに入れたボールをアッサリとカットされるという稚拙な組み立てからカウンターを浴びシュートまで持って来られていた。
 何度も言うようだが、そんな名古屋には願わくば中盤のセンターでもう少しゲームを組み立てられる人材が欲しいところだ。このポジションに求めるものはまずハードワークというのであれば、攻撃でもそして守備でも機能しているとは言い難い二人でラインを揃えるような戦術(ポジショニング)の再考が必要だ。組み立てにおいては玉田から信用されず、二人でボールを獲りに行って交わされ裏にバイタルエリアを広々と解放してしまうような戦術をいつまでも引っ張ることは得策ではないし、決してマンチェスターUではない名古屋がこうした戦い方を続けていても上位チームとの差は埋まるはずもなく、またこのままではいつまで経っても前線の戦力補強に走り続ける羽目になりかねない。

 とは言え、これまでの名古屋であればアッサリと負けていたであろう試合で勝利を掴み取ったことは評価できるし、戦術とはまた違った部分での(特に精神面での)チームの成長が確かに感じられたことも事実だ。そしてチームは最低限のノルマを果たした。その部分において俺は(頑張っている選手はもちろんのこと)ピクシーの手腕も評価しているし、ダヴィひとりでダメならケネディも獲って2トップに並べちゃおうという極めて名古屋的な発想がこれまでとは趣の異なるものであることを信じている。少しづつ満たされていく駒(戦力)を手にピクシーがこれをどうコントロールしていくのかに注目したい。
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by tknr0326g8 | 2009-06-26 01:22 | Game Review
J1 2009 第14節 名古屋×千葉 @瑞穂陸上競技場 
 W杯予選開催に伴う一ヵ月近くの中断を挟んで行われたJ1第14節。他のクラブはその間もナビスコカップを戦っているが、ACLに出場している鹿島、川崎、名古屋、G大阪はナビスコカップの予選リーグを免除されているのでおよそ一ヵ月ぶりの公式戦となる。名古屋はその期間にOFFを取ってリフレッシュし、さらに古川町でミニキャンプを張って万全の態勢でこの試合へと臨んでいるはずだった。不安があるとすれば昨シーズン同じように中断空けの試合で鹿島に大敗を喫してしまったような試合勘の部分だが、選手達のコメントを読む限り昨年の経験は成長の糧としてしっかり彼等の中で消化されているようにも思える。悲願のリーグ戦初優勝、そして来シーズンのACL出場権を獲得するためには同じ過ちを繰り返すことは許されない。

 しかしいざ蓋を開けて見れば試合は「落胆」の二文字でしか言い表せないような低調な内容で、そこには「美しいフットボール」は欠片すらも見出すことは困難だった。名古屋のサッカーの象徴とも言えるマギヌン(負傷)・小川(出場停止)の両サイドハーフを揃って欠く名古屋に対して試合前から不安がなかったわけではないが、それを想定してキャンプに取り組んでいたことを考えても、まさかここまで酷いとは正直想像だに出来なかった。

 名古屋のサッカーが機能しなかった理由はいくつかあるが最大の要因は選手層の偏り&薄さと明らかな人選ミスにある。全ての源泉はここに行きつく。マギヌンと小川に代わってサイドハーフで起用された杉本と津田はともに元来FWの選手だ。決して万能タイプではない彼等がサイドで基点となれない名古屋は必然的にSBの上がりが制限され、また彼等のポジショニングも前に突っ込み過ぎて4-2-4のような形になっていることが多かった。しかも(これは何度も言っていることだが)名古屋のセンターハーフの二人には攻撃を組み立てる能力がない。そうなると必然的に名古屋が迎えるチャンスはDFラインから目の醒めるようなパスが前線に通った時に限られる。巻にクサビのボールが入った時にも後ろからのサポートは遅いし、DFラインから中盤を経由してボールを前に運ぶトレーニングを積んでいたというキャンプは一体何だったのだろう。しきりに「裏を狙え」というようなゼスチャーを見せていたピクシーからすれば、巻がクサビのボールを受けに下がった裏のスペースを周りの選手に使わせたかったのかもしれないが、これが機能することもなかった。
 そして名古屋の戦いをさらに苦しくした要因は、名古屋が誇る絶対無二のゲームメーカー阿部翔平に対して一年前まで在籍していた古巣との対戦に執念を燃やすジェフの深井が激しいチャージを仕掛けて自由を与えなかったこと。これがミラーの授けた策なのか、名古屋を知り尽くす深井の自主判断(&モチベーションの高まりに応じてのプレー)なのかは分からないが、いずれにしても名古屋はボールは支配しているものの撃をオーガナイズすることが難しい状況だった。

 一方のジェフは、アレックス・ミラーが相手チームや日本のサッカーをリスペクトし過ぎているのではないかと思えることが多々あるが、この試合でも低調な名古屋相手に必要以上に慎重な試合への入り方をしていたように思えた。強引な攻撃を繰り返す名古屋の中にあって巻弟が何度かバイタルエリアから相手ボックスの中あたりでボールに絡んでいたのに対し、元日本代表のお兄ちゃんの方は前半ほとんど消えていたのがこれを象徴している。
 しかしともに決め手を欠くまま試合が後半に突入すると、先制点が入るとすれば千葉の方が可能性(確率)は高いだろうと思いながら俺は試合を見ていた。もちろん名古屋にはダヴィという飛び道具があるので予断は許さないが、千葉には工藤と谷澤という「違い」を作り出せる優れたタレントが中盤にいるからだ。こうなると俺の願いは玉田が投入されるまでの間、形はなんでもいいから千葉の攻撃を凌いで欲しいということ。中盤に下がってのゲームメーカーとしてあるいは前線で得点に絡むチャンスメーカーとして抜きん出た能力を持つ玉田が入ればゲーム展開は劇的に変わるに違いないという淡い期待が俺の中に存在していた。

 結果的には満を持して玉田が投入されてからも名古屋のサッカーは一向に良くなることがなかった。W杯最終予選に引き続き玉田自身のコンディションの良さは感じさせた――中断前ろくに試合に出ていないのだから当たり前と言えば当たり前だが――ものの、むしろ玉田が入ってからの方がチームは個々のプレーヤーがバラバラな意思を持ってプレーしているようにすら見えたほどで、これでは入るものも入らない。そして後半36分にまたしても深井にゴールを決められ、名古屋は千葉にみすみす勝ち点3を献上する羽目になってしまった。マギヌン、小川の不在に苦しんだ試合で昨シーズンの序盤名古屋ではサイドハーフの控え的な位置付けだった深井によって試合を決められてしまったのは何かの因縁だろうか。

 名古屋からしてみたら、これから小川やマギヌンも帰ってくるしオーストラリア代表のケネディも入団するかもしれないことを考えれば、この結果はそれほど悲観する必要はないのかもしれないが、少なくとも「誰が入っても同じサッカーが出来る」などというような根拠のない戯言を言えなくなることだけは確かだろう。これから続くACL水原戦、鹿島戦、新潟戦と厳しい連戦を前にこれが発奮材料となることを願いたい。
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by tknr0326g8 | 2009-06-21 00:27 | Game Review
J1 2009 第13節 磐田×名古屋 @スカパー 
 ACL出場に伴う過密日程を強いられている今シーズンの名古屋だが、この試合に限って言えば、ミッドウィークにナビスコカップを戦っている磐田に対して名古屋はACL(北京戦)で主力を温存しており、体力的にはむしろアドバンテージがあるはずだった。磐田は特に救世主のイ・グノに疲れが見られるとの情報もあり、名古屋からすれば北京遠征に帯同することもなく休養たっぷりの主力選手達がハイレベルのパフォーマンスを見せられれば十分に勝機を見いだせる試合だ。
 しかしそんなコンディション的なアドバンテージを生かせる試合であるにも関わらず、ピクシーは敢えて巻や竹内、山口といった水曜日の試合にフル出場している面々を先発で起用してきた。今朝の朝刊で「復活2トップ、ダビ&玉田」とブチ上げていた中スポも全くもって良い面の皮だが、これは俺にとっても正直意外な采配だった。ベンチ入りした松尾や花井、新川といった面々は明らかにご褒美的な意味合いだろうが、玉田や田中といった主力をベンチスタートにさせてまで彼等を先発起用する理由がどこにあったのか。考えられるとすれば、磐田がハイクロスに弱いというスカウティングを行っていたということ。実際セットプレーでも名古屋の選手が競り勝つ場面は多く、クロスボールを送り続ければそのうち得点が生まれるのではないかという予感は漂っていた。ヘディングの強い巻とセットで、(田中ほど安定感はないが)タテへの勢いがありクロスマシーンに徹することが出来る竹内を右SBで起用したというのもこう考えれば合点が行く。そして本来であれば杉本を起用するであろう右SHに中村を回した(センターに山口を起用した)理由についてはジウシーニョ対策と見るのが妥当だ。どうしてサッカーの記者は一等席で観戦し会見に出席するという特権を得ながらこういった疑問を解決してくれないのだろう。

 試合は立ち上がりから守備ブロックを固めている磐田に対して名古屋が攻めあぐむ。クロスボールを巻に合わせようにも深い位置まで侵入できない名古屋は必然的にロングボールやアーリークロスが多くなり攻撃の精度は低かった。そしてボール扱い(パス回し)の決して上手くない右サイドのコンビ(中村&竹内)やボランチのところでボールを失っては磐田にカウンターを浴びる展開が続く。
 このようにサイドのスペースが消されて自慢のサイドアタックを封じられた時、名古屋がボランチのところでチャンスメイクを行うことが出来れば・・・というのはこれまでも何度となく書いてきたことではあるが、そもそもこのチームにそんな発想はない。この試合でもボランチが果たしていた役割はと言えば、稀に前を向けた時でも迷うことなくサイドにボールを展開したり、ウイングのように高い位置に張り出した竹内の空けたスペースをケアするといった守備的なタスクだった。

 前線でコンビを組むダヴィと巻の2トップはまだ発展途上のコンビだが、互いの良さを引き出すようなコンビネーションは試合ごとに良くなっている。初めてこのコンビを見た時に俺は「このコンビを機能させるためにはダヴィにもっと広範な仕事が求められる」と書いた記憶があるが、それはすなわちこのチームにおいてゴールゲッターとしての役割を担っているダヴィがそのオールラウンドな能力を生かしてアシストする側に回ることも含めてプレーすることであり、それ(フィニッシャーとして巻がプレーするシーン)はこの試合でも随所に見られていた。
 しかし徐々にフィットしつつあるこのコンビネーションには現段階で致命的な欠点が存在することもこの試合では露見していた。それが巻の決定力だ。いくらダヴィが黒子に回り役割分担を行おうとも、最後のところで巻のシュートが枠に飛ばないようでは話にならない。むしろチャンスに決められなければ(勝敗を含めた)流れが相手チームへと行くのがサッカーというスポーツの必然でもある。もちろん巻には元日本代表の兄を例に取るまでもなくプレーヤーとしての伸びしろが残されているのでしっかりと育てれば兄と同じように代表クラスにまで成長する可能性はあるが、あとはクラブとして腹を決めてどこまで我慢して起用し続けていくのかに懸かっている。

 その後試合は終盤に差し掛かった頃に小川の退場によって動揺したのかセットプレーの流れから磐田に先制を許すと、さらにはピクシーからの反撃の合図として阿部に代わって杉本が投入されたことでバランスを崩し昨シーズンのデジャブのような成岡のミドルシュートを喰らってしまった。二失点目は点を取るために前線に人数を掛け3-2-4みたいな布陣になっていたので仕方のない部分もあったが、最終スコアから見てもこれが致命傷となった感は否めない。阿部のいたスペースにボールを運ばれたことで吉村がカバーに回り、ただでさえスカスカな中盤(バイタルエリア)が山口一人だけになり、余裕を持って横へと回されて後ろから上がって来た成岡にミドルを打ち込まれるというのは磐田からすれば狙い通りの絵に描いたようなカウンターだっただろう。

 その後一人少ないながらも執念を感じさせる粘りで1点を返しさらに(川口のセーブによって阻まれたものの)あわや同点かというチャンスも作ったことは名古屋にとって僅かな光明だ。たがここのところJリーグでは試合終盤のパワープレーからしか点を取っていないということもまた動かしようのない事実。中断期間のリフレッシュとミニキャンプを経てチームにレベルアップが必要なのは言うまでもない。マギヌンが帰って来ればいくつかの問題が解決する可能性もあるが、この試合は「これまで通り」ではもはや通用しないという良いレッスンになったはずだ。

 あとこの試合について残念だったことは、御殿場で開催中の「ジャパンズエイト」を辞退してまでベンチ入りさせた花井や、水曜日の試合でプロ初ゴールを挙げた新川に出番が巡ってこなかったこと。俺はこういう試合を見るたびに、試合を有利にする進めるために花井をボランチの位置で使ってみたらどうかと思ってしまうのだが、ピクシーに戦力と見なされていない彼等若手プレーヤーは例えベンチ入りを許されたとしてもよっぽど余裕のある展開でもない限り出場機会に恵まれないことも目に見えている。対戦相手の磐田では花井と同学年のライバルでもある山本がスタメン出場し、浦和では厚い選手層を抱えるチームにあっても10代の選手が戦力としてカウントされ起用され続けている中、それがチームの方針であるとは言え複雑な気分になるのは禁じ得ない。
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by tknr0326g8 | 2009-05-25 02:12 | Game Review