この試合の後再び一ヶ月の中断を挟むわけだが、明日からいよいよ後半戦―すなわちH&A方式のリーグ戦の二巡目がスタートする。そしてその初戦の相手となるのが磐田だ。去年の2ndステージや今シーズン第2節での快勝(いずれもアウェー)などかつてのコンプレックスは全くなくなったと言っていいが、かと言って簡単に勝てるほど甘くもないだろう。次の試合は俺の中では全く未知数だ。
磐田がどうやら調子がいいらしいということもあるが、俺がたった数ヶ月前快勝した相手に「未知数」と言い切るのは、磐田の事情(ACLでの疲労や怪我人、チームとしての完成度等)以上に名古屋というチームがその頃とは全くと言っていいほど別のチームになっていることに起因する。第2節では、結果やゲームの全体像としては「会心」の勝利だったが、中味をよーく見てみると、中盤でパスをつないでくる磐田に対し、ウェズレイ不在のFWに杉本を起用した名古屋はそのスピードを活かすべくロングボールを多用していた。ロングボール1本で杉本を裏へ走らせ磐田DFをかき回すシンプルな戦い方と闘う気持ち、そしてチーム全体で走り勝った試合だった。
しかし今のチームは、クライトン頼みだった中盤に第2節当時は磐田で10番をつけていた藤田が加わったことで中盤でのボールキープ率が上がり、その結果磐田ほど有効にではないが中盤でボールを回しながら、そこからのスルーパスやサイドからのオーバーラップによってゴールに迫るやり方にシフトチェンジした。この新しいやり方が磐田に対してどれぐらい通用するのか、これは(楽しみな意味も含めて)未知数と言わざるを得ない。
磐田対策として思いつくことはあまりなく、今やっているサッカーで全員がもう少し動き出しを早くして、その結果あちこちで言われてるような「シンプルなプレー」が混ざってくればいいなとは思う。そして代表の試合は殆ど見ないので最近の川口がどうだか分からないけど、昔のイメージのままで言うなら、チームとしてミドルシュートと豊田(中山)をターゲットとしたハイクロスをガンガン狙うべきだ。
そしてこれも対磐田という意味ではなく、名古屋自体を見た場合に、俺のおススメプランをいくつか。
◆おススメプランその1 角田のアンカー起用 最初に言っておくと、俺の中でのアンカーのファーストチョイスは安英学であり、その代わりは山口Kというのが基本的な考え方としてある。だからこのプランはあくまでその二人が怪我で離脱中という今の状況だからこそ唱えるものだ。
HOT6初戦となる大宮戦、角田は足を痛めて途中交代した。そして代わりにその右SBに入った杉本が今ではそこに定着し名古屋の武器と言われるまでになった。俺はそんな杉本の「出現」を喜びつつも、角田が怪我から復帰してきたらどうするんだろうなぁと思ってたんだけど、オフィシャル見たらセカンドチーム中心のトレーニングマッチである
静岡FC戦や
甲府戦に出てるじゃないっすか。だったら試合出すべきだ。角田をサテライトで遊ばせておくのはもったいない、と俺は思う。
かといって俺としても杉本の右SBはもう少し見てみたい。そこで登場するのが角田のアンカー起用プラン。先シーズン人材難から何試合か試されたプランではあるが、これが意外と感触は悪くなかった。悪くないというか、俺としては2004年シーズンの振り返りの中でも書いた通り
「2004年シーズン最大の発見」と言っても差し支えないぐらい鮮烈なイメージが残っている。強いて言うなら、カペッロが監督してた頃のミランのデサイーみたいな。結局先シーズンは大森の怪我やその後の角田自身の怪我で「お蔵入り」になってしまい、色々なインタビューを読むと本人はあんまり乗り気じゃないみたいだけど、俺の中では是非また観てみたいオプションのひとつだ。
角田のアンカー起用を俺が望むもうひとつの理由が吉村のアンカー適正に対する疑問。理由は試合のレヴュー等で何度も書いているので割愛するけど、例えば象徴的なシーンを最近の試合の中からピックアップすると、横浜戦で自分達のコーナーキックからカウンターを食らった時、横浜DFがクリアしたボールをセンターサークル付近で前線に残って待ち構えていた奥がもらったシーン。吉村は奥にボールが出るタイミングから少し遅れて、奥にチャージに行ったわけだけど、こともあろうか奥のショルダーチャージ一発でバランスを崩して前を向かれ、さらには奥のテクニックで置いていかれカウンターの基点を作られてしまった。吉村はファールすらさせてもらえなかったわけだ。今の名古屋にあってほぼワンボランチと言ってもいい役割を任されている選手、そんな選手がカウンターを食いそうな場面で相手の前に立っていたら、例え数的同数であっても少しは安心を感じさせて欲しい、というのは贅沢か。これがもしFC東京の今野だったら多少なりとも安心感を感じられるような気がする、というか素早い出足でボール奪ってくれるんじゃないかっていう期待すらあるような気も・・・単に隣の芝は青く見えるだけなのか・・・。まあともかくああいう場面で、ファールで止めることすら出来ない吉村にアンカーは無理だと俺は思う。
◆おススメプランその2 中盤のスーパーサブ・吉村 とまあ、ここまで書くと俺は吉村を名古屋のディフェンスが安定しないスケープゴートにしてコキ下ろしているようにも思われるかもしれないが、決してそういうわけではない。人には向き不向きや適正があるということだ。吉村は超絶テクニックがあるわけでもないしクリエイティブなパスを出せるわではない。そして守備でのポジショニングの勘や1対1の対応にも脆さを見せる。しかし吉村はスタミナがあり、献身的な走りも厭わないメンタリティの持ち主でもある。さらには機動性に優れ、前のスペースを見つける眼を持っているというJのレベルでも十分通用し得る特徴がある。
そんな吉村を活かすには、今のところ後半途中からの中盤のスーパーサブ起用がベストだと俺は思う。ゲームの流れ、選手の疲労といったタイミングを見計らって後半のどこかで
中村に代えて投入。吉村には中村ほどの「1発」はないものの、よく「飛び出し系」MFに分類される中村よりも遥かに優れた「前線への飛び出し」に必要な諸条件を備えている。
負けている(引いて守られている)ゲームであれば、いわゆる追い越しによる「タテの変化」を演出出来る吉村は中村よりもよっぽど役に立つ。事実大分戦で引いてくる相手に対してそれを崩す可能性を感じさせる動きをしていたのは何度もFWを追い越してボックス内に飛び出していた吉村だった。その意味では、新潟戦でネルシーニョが「攻撃的な」選手交代として、ワンボランチだった吉村をベンチに下げてウイング(トップ)に渡邊を入れたのは、間違いだったと俺は思う。渡邊の投入(そして3トップへの移行)自体は悪くないアイデアだったが、下げるなら吉村でなく中村だった。
勝っている試合でも吉村の途中出場は効く。例えば先週の新潟戦、前半から終始動きの重かった中村の緩慢な守備からカウンターを誘発するシーンが何度か見られた。要は疲労で体が動かず、頭も働いていないため反応が鈍く、そのためアプローチも遅くなり全部「行かせて」しまった上、後ろからも追い掛けられないので一気にディフェンスラインまで持って行かれたわけなんだけど、こういうシーンは今後も試合を重ねてシーズン終盤に近付けば続出してくるだろう。もし勝っている試合で逃げ切りを意図しているにも関わらず中盤がこんな調子になったら・・・俺なら迷わず(新潟戦で言えば中村と交代で)吉村を投入する。アンカーとして置いておくのは心許ないが、スタミナがありタフな吉村を入れることで中盤での守備は確実に活性化する。前から潰す手段として吉村は武器になる。
とダラダラ書いてきたら、いつものごとく長くなりすぎたので、また違うプランに関しては気が向いたら日を改めて書きます。