Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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UCC BLACK 無糖
 27日の浦和戦、競技場の外では「UCCスペシャルデー」なるものが開かれていました。UCCは以前から名古屋をサポートしてくれているスポンサーのひとつで、試合前のアップとかでは練習着にその名を確認することが出来る。

 で、そのPR商品である「UCC ブラック・無糖コーヒー」↓↓↓を見ながらふと思ったこと。
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 「世界のTOYOTA」がいる限り、UCCに限らずあらゆる企業が名古屋の公式戦ユニフォーム(胸)スポンサーになる可能性はゼロに等しいが、練習着スポンサーとして長きに渡ってクラブに貢献してきたUCCの栄誉を称え、来シーズンこの「UCC ブラック・無糖コーヒー」のパッケージを模して伝説の黒ユニ(3rd)を復活させてみてはくれないだろうか。前回(2001年シーズン)は「鯱っぽい」と好評を博したが、今回は思いっきり「UCC ブラック・無糖コーヒー」っぽい感じで。(笑) そもそも今のJリーグのセカンドユニフォームはどこも白か薄いグレーばっかりで個性がなくてつまらない。ここはどこかのチームがアクションを起こすべきだ。
 「UCCスペシャルデー」も、名古屋がその黒ユニ着てUCCの文字を胸に戦った方がいいPRになるんじゃないか?公式戦が無理なら「コーヒーつながり」(笑)でブラジルのチームかなんか呼んで親善試合でさ。(今なら断然マルケスのいるアトレチコ・ミネイロ)

 そう言えば、つい先日「名古屋・トリノ姉妹都市提携記念サッカーイベント」に参加していたという磐田の名波が所属した当時のヴェネツィアのユニフォームが「永谷園のお茶漬けみたい」だと酷評されていたのもなんだか懐かしい話だ。
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by tknr0326g8 | 2005-08-31 01:41 | Topics & Issues
第21節 対浦和 0-2 (得点:なし) @瑞穂陸上競技場
 今シーズンここまでホームでの平日開催がすでに2試合(しかも前節のように「夏休み期間中」とかではなく普通に平日)という不運があったものの、観客動員で(決して多いとは言えなかった)前年を下回る数字を記録中の名古屋は、再開後初のホームゲームとなるこの浦和戦に向けてクラブをあげての観客動員アップ作戦を行っていた。
 名古屋の場合土地柄なのかどうかは分からないが「勝てば入る」のは昔から実証されているわけで、この試合はクラブとしてもなんとか優勝争いに踏みとどまって迎えたかったに違いないが、そんな思いを知ってか知らずか、チームはリーグ戦再開後最下位神戸相手にあっさり(自分達も欲しかった)勝ち点3を譲り渡すと、東京戦でも勝利を目前に勝ち点2をポロリ、優勝争いから「自力」で脱落するという体たらくぶりには毎度のことながら呆れるほかない。
 それでもこの日のスタジアムには――スタジアムに行く地下鉄の中でひとつの車両に10人位は確実にいた「赤いレプリカシャツを着た浦和サポ」に依存する部分は大きいとはいえ――今季最高である1万9千人弱(それでも2万人行かないんだな・・・)の観客が入っていたわけで、チームとしては目の前の勝ち点3と同じくらい、集まった観客に「また来たい」と思わせるような試合をしなきゃいけなかったんだが・・・。
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 地元マスコミの煽りもあっておそらくこの日スタジアムにやってきた(浦和サポを除く)観客の何割かが目当てにしていたであろう元ブラジル代表FWルイゾン。彼をチームにフィットさせるのに試行錯誤が続いている名古屋は、そのルイゾンの扱いも含めて前節までの教訓を活かしたのか、それとも浦和の戦い方をスカウティングした結果なのかは分からないが、この試合も日替わりスタメンで浦和に挑む。具体的には前節ベンチにも入っていなかった杉本を本田の代わりにFWに入れてルイゾンと2トップを組ませ、攻撃的な中盤を藤田と中村で構成するオーソドックスな4-4-2だ。

    ルイゾン  スギーニョ

  藤田         中村
     クライトン
           安

 中谷  増川  古賀  井川

        楢﨑

 試合が始まると、出場メンバーが1.7軍くらいだからか、それとも目標の「優勝」を見据え夏場を乗り切るための「クールビズ」戦術を採用しているのか、はたまた過去の相性の悪さや名古屋のスタメンに名を連ねる「元セレソン」や「J通算ゴール数第3位のMF」に気圧されたのか、浦和がエメルソンがいた頃のような前から勢いのあるサッカーを仕掛けてこない。
 これに対し名古屋は(決して良くはないが)悪くもない無難な立ち上がりを見せる。中盤では低い位置にポジションを取るクライトンが軸になってボールを動かしながら浦和の左サイドを突いていこうとする狙いを見せ、前線では杉本が自慢の快足(というよりはむしろ走力)を活かして浦和DFを撹乱しにかかる。相変わらずアタッキングサードと呼ばれるエリアでのパスミスや意思疎通の欠如により、攻撃は(可能性のある)シュートという形までは辿り着けないが、今はこういった流れの中から徐々にルイゾンがボールに触れる回数を増やしチームに馴染ませていく他ないかもしれない。

 しかしそんなペースで試合が進んでいく中、中谷が自陣のゴールライン付近で浦和の第二波が待ち構える真ん中に危険なクリアをしてピンチを迎えたあたりから、徐々に流れは浦和へと傾き出す。そして浦和が得たCK、ポンテの蹴ったストレート性のボールをボックス内の引いた位置にポツンと待ち構えていた闘莉王がダイレクトボレーというなんともドイツっぽいゴールで浦和が先制。ていうか、セットプレーなのに闘莉王のこと誰も見てなかったのか?
 まあこの失点自体は「事故」みたいなものだったのだが、図らずも先制点を奪取した浦和が一層引き気味になって浦和陣内にスペースがなくなったのと、先制点を入れられたことで焦りが出たのか、名古屋の攻撃は次第にロングボールで杉本を走らせるだけの単調で戦術もへったくれもないものになっていく。杉本はまるで飼い主によって無作為に放り投げられたフリスビーに反応する犬のように前線をひたすら走り回らなければならなかった。
 逆に名古屋がそんな攻撃に終始していることで引き立ったのが、前半杉本とマッチアップしていた坪井だ。いくら杉本が「名古屋のスピードキング」襲名間近だとはいえ、坪井とてその特徴(スピード)を武器に(ほぼそれだけで)日本代表まで昇りつめたDF、最近でこそ色々な穴も目立ち始め仕掛けようによっては崩せないDFではないことが明らかになってきたが、大学出のルーキーが「よーいドン」のスピード勝負で勝てるほど甘くはない。瑞穂のピッチはちょっとした坪井復活劇場といった趣になってきた。

 浦和の狙いはそんな名古屋の攻撃を跳ね返してのカウンター。そして名古屋のパスが回らなくなりどんどんリズムを失っていくのとは対称的に、やっと浦和も(左サイドの平川が右に流れたりと)人とボールが動き出したな・・・と思った最初の攻撃で、名古屋はアッサリと追加点を奪われてしまう。よそ見してたんで浦和の左サイドから右サイドにボールが回ったところまでしか分からないんだけど(笑)、会場が「ワーッ」となって名古屋のゴール見たら、ボー然と立ち尽くす名古屋DF陣と喜び爆発のマリッチ。そしてマウスの中ではボールを拾った楢﨑が誰にともなく怒りをぶつけている。どうやら浦和の右からのクロスに対して名古屋のCBがマリッチをフリーにしてしまったようだ。
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 完全に浦和のゲームプランに嵌り、相変らず攻め手の見出せない名古屋はますます窮地に立たされた。こうなると頼りは「あの男」しかいない。全国区での知名度は一向に上昇する気配を見せないものの、去年の浦和との対戦では3試合で2ゴール1アシストと「浦和キラー」ぶりを発揮して浦和サポの間では多少認知されたらしく、今シーズン開幕前に一部浦和サポの間では山瀬退団後のトップ下の「ベンチ要因に」(笑)と言われていたとかいないとかいう中村直志だ。
 しかしリーグ戦再開直後からなぜかいきなり疲労困憊気味で、開幕直後は攻撃に守備にと鬼のように走り回っていた運動量がまるで一時の夢だったかのように消え失せてしまった中村のパフォーマンスはこの試合でも低調だった。
 最初にも書いたように、この試合の名古屋は、単純に杉本をDFラインの裏へ走らせるロングボールを除けば、クライトンが起点となって右に展開し、そこから杉本、井川、中村のトライアングルによって浦和陣内への侵入を図る攻撃が目立っていた。ひょっとしたら「三都主のサイド(裏)」をチームとしての「狙い所」としてこの試合に向けて準備して来たのかもしれない。しかしそのトライアングルにおいて要となるべき中村が往年のペップ・グァルディオラのようにたっぷり後ろ足に重心の乗ったキックで井川や杉本を動かすことに終始して、パスを出した後は彼等に対するフォローの動きが全くないため、三角形はいい距離感を保つどころか常にいびつな形態をしており、最後はそれぞれの独力による突破を強いられていた。そしてそんな杉本や井川にとってひとりで挑むには浦和の壁はあまりにも厚かった。時間とともに井川がサイドを駆け上がる姿が見られなくなってしまったのも無理もない話だ。

 そしてなんとも言えない停滞感から諦めと怒りが漂う(浦和サポを除く)スタジアムの空気をさらに深い谷へと突き落とす出来事が起こる。ペナルティエリアに突進してきたマリッチを井川がブロックしこの判定がなんとPKを取られてしまった。これまで浦和のペナルティエリアで起こった接触プレーには一切の反応を示さなかったレフェリーがなぜ今更?ひょっとして浦和のゴール裏の雰囲気に飲まれちゃったか?

 呆れるやら怒るやらでなんかもう段々どうでもよくなってきた俺は、マリッチが蹴ったPKを楢﨑が前節の借りを返すかのようなビッグセーブでストップしても回りの観客のように握り拳を振り上げて「オーッ!」と歓喜する気分にはとてもなれなかった。得点の匂いがしない攻撃、PKの判定はともかく大事なところでマークがグダグダな守備。この調子じゃPK防いだところでまたやられるのは時間の問題だ。せめて楢﨑のこのビッグセーブにチームが奮い立ってくれればいいが・・・。

 そして試合は2-0のまま前半終了。
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 後半、ネルシーニョは頭から藤田とクライトンに代えて、秋田、本田を投入するというギャンブルに出る。前半のままではにっちもさっちもいかなかったのは事実で、システム変更も含めて荒療治が必要だったことは確かだが、これは交代選手の人選といいかなり思い切った決断だった。
 藤田は確かに前半のチームの攻撃が右サイドに偏っていたことでいつもの試合に比べればボールに触る回数が少なかったが、中村が「不動」を貫いているのとは対称的に、クライトンがボールを持った時にはバイタルエリアで何度も動き直してボールを受けようとしていたし、守備でも危険なシーンでは最前線からフルスピードで戻ってディフェンスに加わっていた。代えるなら中村にすべきだと俺は思った。そもそもプレーのクオリティや実効性を考えれば、少なくとも俺の中では藤田の交代はよっぽどのコンディション不良や怪我でもない限り有り得ない話だ。そう言えば前半終了とともに藤田は全力ダッシュでベンチに戻っていたが、あれはいつものことなんだろうか。
 そしてクライトン。今の名古屋の中盤で彼を経由しないボールはないというほど絶大な存在感を発揮するクライトンを外すのもかなりのギャンブルだ。攻撃がさらにロングボール一辺倒の単調なものになってしまいやしないか。
 しかもここで二人同時に代えてしまったことで、勝負どころで使える駒が1枚になってしまった。後半途中でのルイゾン→中山の交代が規定路線であるならば、サイドの井川は不変ということか・・・杉本をサイドで使うオプションがなくなってしまったな。
 俺とネルシーニョでは信頼の優先順位が違うと言えばそれまでだが、俺にはあまりいい交代には思えなかったというのが正直なところ。

 藤田とクライトンに代えて本田とDFの秋田を入れた後半の布陣はこんな↓感じの3バック。

    スギーニョ  ルイゾン

     本田   中村  
                井川
         安
中谷
   増川  秋田  古賀  

        楢﨑

 ネルシーニョの意を汲むとすれば、これは中スポの嫌いな(笑)「相手に合わせた」布陣だ。2トップを古賀と増川がマークして秋田が余る。両サイドは当然井川と中谷がケア。ポンテに対しては前半に引き続き安が、両ボランチには本田と中村がマークにつく。役割分担はとても明確。「相手に合わせた」って騒ぐけど、これぐらいしてやらないと名古屋の選手達は前半のようにマークもグダグダになってしまうということですよ。>中スポの中の人。
 そして攻撃面では前線で杉本とルイゾンが微妙にポジションチェンジ。杉本のスピードを坪井ではなく堀之内に当てていこうという狙いか。そしてもうひとつの狙いがサイドアタックの活性化。後ろを3枚にして両SBを一列挙げることで、サイドからの攻撃をより積極的に再構築していこうという狙いがあったようだ。

 かくして俺の中ではどちらかと言えば不安が先行して始まった後半、試合は意外な展開を見せる。ハーフタイムに「キッチリ守ってカウンター」というゲームプランを再確認したのか、浦和が省エネモードを強化させたこともあって、名古屋が見違えるような・・・とまでは行かないまでもそこそこ積極的なサッカーを展開する。前半の最後1/3くらいは死んでいた井川がネルシーニョの意図通り復活してサイドを駆け上がれば、こちらもロッカールームでネルシーニョに相当ハッパをかけたのか、中村がプレーするポジションをより前に移して攻守ともに積極的にプレーに絡み始める。そして「おまけ」と言っては失礼だが、普段は持ち場の半径20mを離れない古賀までもが右サイドを大外からオーバーラップする。さすがにあのままじゃ終われないよな。
 そしてそんな名古屋にあってひと際目を引くのが本田と安だ。交代で入った本田は随所でその積極性とクリエイティビティを発揮して惜しいシュートを放てば、安はポンテをマークしながらも折を見た積極的な攻撃参加(押し上げ)で名古屋の攻撃に厚みを持たせる。安の攻撃参加には他の誰もが持ち得ないようなスケールと迫力がある。とにかくこの二人の存在感は後半の名古屋にあって際立っていた。安もようやく復調してきたと言っていいだろう。

 しかし個人個人が頑張っているだけでユニットとしてはバラバラな上、変化に乏しく最後の場面で精度を欠く名古屋の攻撃は、結果的にどれも浦和の「想定の範囲」を越えるものではなかった。さらに言うならルイゾンを絡めた攻撃の形は未だに見えて来てはいない。逆に浦和は前掛かりになった名古屋のディフェンスを突いて、カウンターから永井のドリブル突破を中心にいとも簡単に名古屋のゴールを脅かすんだから全く困ったもんだ。

 そんな展開の無限ループのまま時間は流れ、浦和は終了間際になると怪我からの復帰となる田中達也やコンディション不良の(?)の三都主を調整のように使ってくる余裕の采配を披露。ルイゾンに代えて中山を投入した名古屋は交代枠を使い切り既に打つ手なし。そのまま終了のホイッスルを聞くより他なかった。
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 前半の戦い方だとかルイゾンがフィットしてないとかいった根本的な理由はもちろんあるが、名古屋が勝てなかった理由には細かい要因もいくつか存在していると俺は思う。例えばプレースキッカーの差。名古屋が浦和より明らかに上回っていたもののひとつが「高さ」だったが、浦和はそれでもポンテの絶妙なキックからワンチャンスをものにしてセットプレーから得点を奪ったのに対して、名古屋は後半何度もあったセットプレーのチャンスを活かせなかった。
 そして最後の時間帯、浦和は前線に田中達也を残して全員が引いていた。それでも名古屋は田中一人に対し3バックがそのまま後ろに残っていたし、さらに言えば左サイドの中谷も一向に前のスペースに出て行こうとする姿勢を見せなかった。これでは得点なんて奪えるはずもない。

 観客動員upのキャンペーンに乗って、初めてもしくは久しぶりにスタジムに足を運んだ人達はこの試合を見て「またスタジアムに来たい」と思っただろうか。クラブが頑張って集めた観客が、試合を見て「やっぱりグランパスの試合はもういいや」と思ってしまったとしたら、それは皮肉というか笑えないジョークにしかならない。
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by tknr0326g8 | 2005-08-30 01:08 | Game Review
第19節 対神戸 0-1 (得点:なし) @スカパー
順番が逆になってしまったけど、第19節神戸戦のレヴュー。
今回はちょっと趣向を変えて各方面から寄せられた証言を基に試合の核心に迫ってみたいと思います。(笑)

◆証言1:ネルシーニョ(名古屋グランパス 監督)
 試合翌日の中スポやらなんやらは敗因を「相手に合わせた」「練習でもやったことがない」「急造(3ボランチ)システム」と結論付けて一件落着していたが、試合後の記者会見でネルシーニョはこともなげにこう言い放っていた。

「システム?中断前の磐田戦と同じですが、何か?」(意訳)

俺が磐田戦のレヴィューで書いたシステム(基本的なポジション)はこう↓で、

         豊田   中村
   本田
     
     クライトン    藤田
         吉村

  中谷  増川  古賀  杉本

         楢﨑

神戸戦は(TV画面越しに見る限り)こう↓だ。

        ルイゾン   
   藤田        中村
     
     クライトン     安
         吉村

  中谷  増川  古賀  角田

         楢﨑

 「急造だ」「3ボランチだ」とみんな騒ぐけど、ネルシーニョの言う通り基本的には変わってない。先シーズンのバルセロナを模した?3トップ(風味)で、豊田の変わりにルイゾンが入り、(コンディション不良の?)本田の位置に藤田が上がり、藤田のいた所に安が入った。そして中村が若干ポジションを下げた。それだけのこと。磐田戦では機能したものが、この神戸戦では機能しなかった。つまりシステムによって受けに回ったわけでは決してない。

◆証言2:イビチャ・オシム(ジェフユナイテッド市原・千葉 監督)
 よしんばこの日のネルシーニョがボランチタイプを3枚並べて中盤を構成し、神戸の攻撃を「受け止める」ことを第一に考えていたとしよう。だとすれば、それはネルシーニョからチームへの消極的なメッセージなのだろうか。俺はそうは思わない。なぜなら、ネルシーニョが監督に就任してから2年、そのサッカーを観てきた人なら、彼が「どんなにチャンスでもお前は絶対に上がるな」だとか「マイボールの時も守備におけるポジションのバランスを絶対崩すな」といったことを言う(指示する)監督ではないことは分かるはずだからだ。

 ナビスコカップのホームFC東京戦後、記者に「前回のF東京戦では4バックを試されて、それは機能していたと思うのですが、今日は3バックに戻したのはどういう意図か?」と質問された千葉の監督オシムはこう答えた。

「(前略)相手がやるプレーに合わせただけです。もちろんどんなチームに対しても敬意を払ってやっていますから、相手に合わせてそのような形をとったのです。相手チームを無視して自分たちのプレーだけをするというような考えを私は持っていませんし、またそのようなプレーができる選手たちではありません。」(J's GOAL より)

 オシム率いる千葉は基本的なシステムはあるものの、状況・相手に応じてシステム(というか人の配置)を変更し、ガチンコのマンマークで相手の攻撃を封じ込めて、そこから(湯浅健二風に言うなら)後ろ髪引かれない、爆発的な、オーバーラップで人数を掛けて相手ゴールに襲いかかるようなサッカーで相手に打つ勝ってきたチームだ。千葉を語る時に、よく「走り」の部分がクローズアップされるが、この守から攻への切り換えにおいては、単純に運動生理学としての「走り」よりもむしろ「思い切りの良さ」に代表される「メンタル」が重要なのではないかと俺は思っている。
 市原は相手に合わせた守りからでもアグレッシブに攻撃への切り替えが行えるチーム。一方の名古屋は相手に合わせた形で守りに入ると(監督が止めているわけでもないのに)攻撃への移行がスムーズに行えないチーム。ただそれだけのことだ。

◆証言3:名波浩(ジュビロ磐田/元日本代表)
 では、この試合の名古屋がどうして吹っ切れた攻守の切り替えを行えなかったのか。引いた相手を崩せないと言ういつものパターンだと言われればそれまでだが、試合を見る限りそこにはいくつかの要因があるように感じられる。
 まず一つ目はさっき千葉の例でも書いたメンタルの問題。これについてはもう何度も書いてるので今さらクドクド書きません。
 そして二つ目はルイゾンがまだ馴染んでいないこと。周りもルイゾンがどういうプレーをするのか特徴を把握し切れていないし、中央にデンとポジションを取り本来であれば攻撃の軸でなければいけないルイゾンがこんな感じだから、名古屋の攻撃は自然現象としてアタッキング・サードでのパスミスを連発する。神戸のように引いて守ってカウンターを狙うチームに対しては、あれだけ前でパスミスを連発しては、2列目からの押し上げが腰が引けた状態になるのは道理。
 三つ目がコンディショニングの問題。ルイゾンもベストフォームには程遠いが、怪我から復帰したばかりの安もまだ開幕の頃の状態には戻っていないし、そして東京戦のレヴューでも書いたが、中村もリーグ戦が再開したばかりだと言うのにとても体が重そうだ。コンディショニングの難しい真夏とは言え、ちょっと心配な要素ではある。
 そして最後に、これらの要素も複合的に絡んでくる中盤の問題。そこでのメインテーマはひとりしかいない藤田俊哉をどう使うかだ。
 そう言えば、磐田戦の後に名波がこんなことを言っていた。

「個人的にですけど、俊哉はまだ俊哉らしいプレーをまったくしていなかったと思うし、少し下がってボールをもらいすぎていた(中略)。俊哉は2列目からゴール前に飛び込むシーンがなかったし、その辺が出てこないと俊哉らしいプレーは出てこないと思います。」(磐田公式より抜粋)

 確かに磐田戦の時の藤田は一番上のシステムの所でも書いたようにボランチのようなポジションでプレーしていた。そこでは「ゴール前への飛び出し」という藤田の持つ最大の「怖さ」がフルに発揮できないのも事実だった。そして神戸戦、名波のコメントを受けてではないだろうが、ネルシーニョは藤田を「前」のポジションへと移動させる。もちろん試合の中で頻繁なポジションチェンジはあるのだが3トップの左とも左WHとも取れるポジション・・・イメージとしてはバルセロナのロナウジーニョみたいな感じ。
 藤田の特徴を出すための合理的な配置転換・・・が、ここに大きな落とし穴が潜んでいた。藤田が一列上がったことで中盤の構成力がガタ落ちしてしまったのだ。磐田戦では3人の中盤の真ん中の吉村を支点として、クライトンと藤田が天秤のように絶妙なバランスで交互にボールをDFラインから引き出し、交互に前線に絡んで顔を出してなんとか中盤を作っていた。しかし神戸戦では藤田不在の中盤でクライトンひとりで中盤を作るような形になってしまった。藤田のポジションに入った安は、ベストフォームならともかく、試合勘も取り戻しきれていない中でその代役を果たすのは少し酷な注文だったし、たまに下がってくる中村はさっき書いたようにコンディション的な問題で、アンカーの吉村はプレースタイル的な問題で、それぞれ藤田の代役足り得ない。結局藤田が下がってくるしかない→そして前線(ルイゾン)との間にギャップが出来る→ルイゾンをフォーローしきれない→攻撃が形にならないという悪循環だ。

 中盤に置いておけばチームとしてボールを回しゲームは作れるが藤田が持つ最大の武器である「得点力」が消えてしまう。かといって、今の名古屋で藤田をFWに近い位置に配置すれば中盤の構成力は一気に低下する。簡単に言えば・・・

 今の名古屋がもうワンランク上がろうと思ったら、もうひとり藤田俊哉が必要。ということだ。(いや二人でも三人でもいいけど・・・)万博のロボットよろしくトヨタの技術でなんとかならないっすかね。(笑)

 それぐらい藤田俊哉というプレーヤーは名古屋にとって次元を超えたプレーヤーだ。それは名古屋というチームに入って他の日本人選手たちと一緒にプレーしてるの観て初めて気付いた部分も多い。動きの量自体も多いけど、その攻守両面における「実効性」という意味でも、名古屋ではエース格だった中村の倍ぐらいはある。コンディションの問題もあるだろうが中村がボーっと突っ立ってる間に、フリーな相手のマークに戻って、ボール奪って展開してまた前に絡んで行くみたいなシーンが何回か見られた。つまり藤田は中村の前を一試合の中で何往復もしてるわけだ。卓越した戦術眼とそれを実行に移せるだけのスタミナを藤田は持っている。
 そして技術。体は小さいけどボールの貰い方が上手く相手を背負ってもボールを受けられるし、そんな状態から細かいフェイントを織り交ぜた流麗な身のこなしで前を向いてしまう。このへんの技術は秀逸。そしてこの試合、前半にチームがリズム作れていない時間にルイゾンに出したスルーパス。あのスルーパス見て俺は確信した。今でこそ藤田はチームのことを考えてシンプルなプレーに徹しているが、もし藤田に「好き勝手プレーしていいよ」と言ったら、おそらくピクシー、マルケスをはじめとしてスーパーな個人技を誇ったプレーヤーに慣れている名古屋サポをも歓喜させるようなプレーを一試合の中で何度か披露出来るんじゃないかと。それぐらい藤田の持つ技術は高い。


 と、藤田の話はまた機会を改めて書くとして、ここで話を試合に戻します。
 試合全体としてみれば、最初の30分ぐらいは「生まれ変わった」神戸が忠実で堅固なディフェンスをベースに、まだコンビネーションの出来ていない名古屋の攻撃を寸断しては(というより名古屋の自滅で)効果的なカウンターを仕掛けチャンスを作る展開だったが、慣れない芸風に早くもスタミナ切れを起こしたのか、神戸は30分を過ぎた辺りで早くも中盤のチェックが甘くなる。そして名古屋もようやく、アタッキーングサードで全くパスがつながらなかったそれまでの展開から脱却し、バイタルエリアのあたりでボールをキープしてラストパスを狙えるようなシーンが増えてきた。
 後半に入ると頭こそ再び神戸が息を吹き返したがまたしても時間とともに沈静化。そうなると各プレーヤーの個人技に勝る名古屋が次第に中盤でボールをキープ出来始め、ボールを回すだけでなく、フィニッシュへとつながる「攻撃の形」らしきものもおぼろげながら見えてきた。ラストパスの部分で精度を欠いたり、ややヒネリが足りなかったりしてゴールには届かなかったが、次節以降に向けて光明が見えてきたと言ってもいいのではないだろうか。

 まあ俺も今だからこう言えるのであって、踏みとどまらなければならない大事な試合で最下位の神戸相手に勝ち点3をやすやすと献上したと知った直後は、怒るやらあきれるやらで内容について見る気にもならなかっただろうし、まして現地で観戦なんてしてた日には相当に色々な感情がこみ上げていたに違いない。

 内容はともかく、結果としてみれば痛い星を落とし、事実上これで優勝争いからは完全撤退で、チームはこれから何を目標に戦っていくのだろうか。目標を失って、試合の度に「相手は優勝争いをしているチームでモチベーションが高かった」「相手は降格争いの中にあって必死さがあった」とかいうのだけは勘弁してもらいたいな。
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by tknr0326g8 | 2005-08-26 05:12 | Game Review
第20節 対FC東京 1-1(得点:藤田) @味スタ
 新加入のルイゾンを活かそうと試行錯誤中の名古屋が―その周りを本田、藤田、中村、そしてクライトンというオールスターキャストで固め―試合の中でルイゾンを馴染ませてコンビネーションを熟成させていこうとしているのに対し、FC東京は前節の浦和戦で新加入のササとルーカスの2トップがまだ消化不良と見るや、すかさずササをスタメンから外し栗澤を使ってきた。どちらも意味合いの違いこそあれ、ベストメンバーと言えばベストメンバー。この辺りは現在置かれている立場(順位)の違いだろうか。優勝の可能性は事実上消滅したに等しいものの中位をキープする名古屋に対して、下手すれば降格レースに巻き込まれかねない東京。当然新外国人の獲得・起用にともなう戦略も代わってくる。
 しかし、元セレソンのルイゾンと日本屈指のMFである藤田俊哉の獲得が降格レースに巻き込まれないためのものであるならば、(世界の)「TOYOTA」(マネー)がバックに付いているとは言えいくらなんでも費用対効果悪すぎだ。

 まあそれはさておき試合・・・
 名古屋は上に書いたとおり、ルイゾンと本田の2トップに、藤田、中村の二人が流動的にポジションを変える攻撃的な中盤、そこに後ろから絡んで来るのがクライトンという5人でアタッカーを形成している。

        ルイゾン  
             本田

    藤田          中村
        クライトン
              安

  中谷   増川   古賀   井川

           楢﨑

 組み合わせ(ポジションの配置・バランス)はともかく、この前線のメンツは俺の中では「ベストメンバー」で、中でも楽しみな要素はと言えば先発に復帰した本田だ。中断前の磐田戦では湯浅健二に酷評されていたけど、それでもボールを持った時のプレーでは他の選手ないキラリと光る才能とイメージを持っている選手だけに、一観客として見ればこの選手がピッチにいるかいないかは大きく違うからだ。

 そんなオールスターキャストの豪華さとは裏腹に、試合は序盤から名古屋が東京を攻めあぐむ。相変わらずこの試合でもクライトンひとりで切り盛りしている印象のある中盤では、絶妙のタイミングで藤田がフォローに入ることでなんとか相手陣内に入った所まではボールを進めることは出来る。しかしそこから先はルイゾンを含めたコンビネーション(攻めの形)がまだ手探り状態で、大事なところでパスミスをしてはカウンターを喰らう形を繰り返す。名古屋はフィニッシュまでなかなか辿りつけない。
 東京はそんな名古屋の状態を知ってか知らずか完全なカウンター狙い。全体的に引き気味に守って、東京のプレッシャーでというよりはむしろ自然発生的に起こる名古屋のパスミスを拾っては両サイドの裏に早めにタテにボールを出して、右では石川とそれに絡んで加地が、左ではノリカルこと鈴木規が突破からのセンタリングを狙うという得意の「型」だ。
 まあそれでも、さすがにこれぐらい「定番」の攻撃されると、名古屋(ネルシーニョ)も当然のごとく事前に対策を立てているわけで、東京のツメ(フィニッシュ)の甘さに助けられた部分もあるとは言え、4バック+安で作る守備ブロックもそうやすやすとはクロスからゴールは割らせなない。そんな名古屋守備陣にあって特に目立っていたのは安で、常に危険な所を察知しそこに現れるその戦術眼というか危機管理能力とでも呼ぶべきものは吉村にないものだし、ポジションの違いはあるがかつてのパナディッチを彷彿とさせる。
 名古屋にとって危ないシーンはと言えば、例えば中谷が攻め上がって誰もいないところにパス出して、待ってましたとばかりに東京がカウンター発動して中谷の上がったスペースを使われた時。そうなると安が左サイドのカバーリングに回らざるを得ず、真ん中でクロスを跳ね返したセカンドボールだとかマイナス気味のクロスだとかを(安のいない)バイタルエリアで拾われてピンチに陥っていた。個人名で言えば、神出鬼没なポジショニングでたまにフリーになる栗澤と、Wボランチを組む梶山の分と合わせて二人分(笑)動いている印象の今野が危険な存在。特に今野の二列目からのパワフルなオーバーラップはワシントン並に怖い。
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 名古屋の自作自演と東京の単調なカウンターという流れで進んでいく前半、なんとか前半は東京の攻撃を凌いで後半立て直すか・・・と考えていると、名古屋は徐々に右SB井川が機能し始める。時にはクライトンのダイアゴナルなロングパスから、時には中盤でのパス回しから、右サイドを駆け上がる井川にフリーでボールが渡ると、井川のクロスに対しルイゾンと本田を中心とした名古屋のアタッカーが複数人でボックスにつめる。最後の精度の部分で得点には至らなかったが、それまでの展開に比べればまだ可能性を感じさせる攻撃だった。

 そして前半終了。名古屋も酷いが、東京もこれじゃサポーターは納得しないだろう。
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 後半、一瞬髪を短くした井川が秋田に見えたが(笑)・・・選手交代はなし。
 
 前半の最後の方にリズムをつかみかけたかに見えた名古屋はそれを持続させることが出来ず、逆に後半開始と同時に積極的に前へと出てきた東京に押し込まれてしまう。名古屋は前半にも増して攻撃の形を作れなくなり、ロングボール中心で(そこから本田を中心とした個の力による打開に頼ったり)、中盤からパスをつないでいこうにも、両サイドが完全に死んでしまっていて、攻撃は中へ中へと入って行っては東京の守備ブロックに引っ掛かりカウンターを喰らうという悪循環。

 なんとか悪い流れを断ち切りたい名古屋だが、頼みのルイゾンはコンディションが万全でない上、そもそもルイゾンまでボールが行き渡らない(ルイゾン自身も広範に動いてボールを受けるタイプではないようだ)。コンディションという面では、ルイゾンのほかにも井川と中村あたりの消耗がかなり激しい。井川は後半途中から変な(誰もいないところへの)バックパスを連発してるし、中村も見ているこっちがポカーンと口を空けたくなる様なパスミスやらトラップミスを連発。安は守備に忙殺され、本田はあのポジションではボールに触れる回数が圧倒的に少なすぎてその特徴を活かしきれていない。打開策の見えぬまま名古屋を覆うのは重い空気だ。
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 逆に押し気味にゲームを進める東京はタイミングを見計らってササを投入。ササとルーカスがタテに並ぶ(栗澤が左サイドへ移動)フォーメーションで勝負をかける。ルーカルのトップ下か・・・一年前に2-0から大逆転喰らった試合の嫌な記憶が蘇る。あの試合も途中でトップ下にポジションチェンジしたルーカスを捕まえきれずに、その結果中盤から独走許してゴール決められたんだよな・・・。

 名古屋の守備は、東京のサイドからの攻撃に対しては、4バックを中心に相変らず辛抱強くこれを凌いでいた。そしてササ投入によりトップ下にポジションを移したルーカスに対しても安がガッチリとこれをマークしている。やはりこの男がいるかいないかは名古屋にとっては大きい。その後東京はササとルーカスが再びポジションチェンジしたりと揺さぶりを掛けてくる。こうなるとサイドよりも中央からの攻撃の方が怖い。事実名古屋のDFラインは中央からのワンツーやスルーパスに何度か破られた。そして幾度となくコーナーキックに逃れる。

 しかしそんな中東京にとって好事魔多しとはまさにこのことか・・・名古屋に千載一隅のチャンスが訪れる。中村と藤田を前線に残した形で東京のコーナーキックを守っていた名古屋が一気のカウンターで先制点を奪ってしまった。中村と藤田がセンターサークル内で並ぶようにポジションを取るところから始まって、これもかなり練習していた形なのだろう。こういう(押し込まれたり流れの中からチャンスを作れない)シチュエーションまで想定してやっていたとしたら、ネルシーニョは本物の策略家だ。
 コーナーキックのこぼれ球をクライトンが拾い、右サイドでデイフェンスラインの裏へクロスして走る中村の前のスペースへパス(ちなみにこの時左サイドでは本田が全力疾走で大外オーバーラップをかけていた)。クライトンからのボールは懸命にスライディングで足を伸ばした東京DF金沢の足先を抜け中村のもとへ。そして右サイドから中村がドリブルで持ち込みマイナスに折り返したボールを、上手くDFの視界から消えながら追走してきた藤田が相手DFの前に出てポストに当てながらギリギリのコースに蹴りこんだ。

 この1点は苦しい中から一発のカウンターで奪ったという意味で心理的にも非常に重く大きな1点だったが、実は同時に試合の勝敗を決する上でかなり大きな影響を持つと思われる戦術的な副産物を生み出していた。そしてそれによって俺は密かに勝利を確信する。

 スライディングで足を痛めた?金沢が退場を余儀なくされ馬場と交代。馬場は中盤の選手なので、金沢に代わって左SBに入ったのは・・・今野だ!俺は上でも書いたように東京が得点を奪うとすれば栗澤か今野が有力なのではないかと思っていた。しかし選手交代等に伴い栗澤が左サイドに固定されると、栗澤の怖さは半減してしまった。あと厄介なのは今野だ・・・と思っていた矢先だっただけに、これは願ってもない配置転換。よりによって相手ゴールに近いところに移ってくれるとは・・・。

 この試合、もうもらっただろう。

 事実、意外にも頑張っていた馬場を含め東京のアタッカー陣がサイドからよりもむしろ中央からの突破で何度もチャンスを作っていたが、真ん中を固める古賀、増川、安の三人を中心に名古屋のDFが体を張ってこれを阻止していたし、前線では途中出場の中山と、藤田とクライトンが―この3人だけでサッカーやってる感じだけど―たまに相手DFの隙間を突いてカウンターを繰り出す。俺の中ではそのまま試合終了のホイッスルを待つだけの展開だった。
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 しかし残り数分となったところで東京のカウンター。左サイドを駆け上がったのは・・・左SBの今野だ!そして今野はマークに来た中村を振り切り左足でクロス・・・ボールはGKの楢﨑に向って真っすぐ飛んでいったが、それを楢﨑が冗談のようにお手玉し、弾いたボールはそのままマウスの中に落ちた。どうした?楢﨑。他の事でも考えてたか?

 あっけに取られるのと、もう安パイだと思っていた今野にやられたことで頭が混乱気味の俺。そんなことはお構いないしに勢いに乗って攻め立てる東京。楢﨑の背後のスタンドは軽い祭りだ。そこで名古屋は本田に代えて渡邊投入。いや、ここは代えるなら本田じゃなくて中村だろう・・・確かに本田はボールに触る回数がめっきり減って決定的な仕事は出来なくなっていたし、中村はバテバテながらもアシストを決めた。しかし本田はまだまだパワーを残しているように見えたし、中村はすでにヘロヘロだった。象徴的だったのは試合終了のホイッスルが鳴る直前のシーンで、名古屋が東京の猛攻を凌いで最後のカウンターに移ったシーンだったが、相手陣内でボールをキープしていた藤田がスルーパス出そうしてたんだけど、大外に開いて突っ立ったままの中村の動き出しがなくて結局パスを出せずに、そのまま笛が鳴ってしまった。怒る藤田を尻目に、笛と同時に両膝に手を当てピッチに背を向けたままガックリと頭を下げてうな垂れたままの中村。これはマジで次節休ませたほうがいいんじゃないか。前半からボールへの反応も鈍かったし、コンディションがちょっと心配だ。

 結局スコア的には1-1の引き分け。「先行したら手堅く守る」今シーズンの名古屋としては珍しい試合展開だった。結果論で言えば、井川が足を攣って吉村を右SBで使わざるを得なかったことが、勝負どころ(守備)で吉村投入というオプションを奪ってしまったとも言えるなあ。まあそれでもネルシーニョが動いたかどうかは疑問ではあるけど。そもそも井川の交代にしたって、ピッチ上の藤田に二回ぐらい「交代させろ」って言われて渋々交代させてたみたいな感じだったし。(笑)

 そんなコンディショニング的な話もあるけど、その他に試合を観て感じた今の名古屋がチームとして抱える課題みたいなものは神戸戦のレヴューの後にでもまた改めて書きたいと思います。
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by tknr0326g8 | 2005-08-25 03:52 | Game Review
Play Back#3 名古屋が優勝に一番近付いた年(シーズン)
 シーズンがほぼ折り返し(二巡目)であるということと、頭が去年までの2ステージ制に慣れ切っているせいで、なんとなく雰囲気的に「2ndステージ開幕」のような感じがしないでもない今週末のJリーグ再開。対戦相手は、目下降格レースでトップを突っ走る神戸だ。よそ様のチームのことについてあれこれ言うつもりはないが、今シーズン既に2度の監督交代を行うなど迷走を続ける神戸はおそらく現時点では(神戸サポを除く)大多数の人間が今年の降格チームの大本命と思っているに違いない―まあそんなチームに名古屋はつい3ヶ月に完敗を喫したわけだが―。正直言って名古屋にとって「優勝」の二文字はもはや遠く霞んでしまっているが、それでも名古屋としては負けられない戦いだ。

 と、こんな試合について思いを馳せる時、俺の脳裏にふと蘇ってきたひとつの試合がある。それが1999年8月に行われたその年の2ndステージ開幕戦―ベルマーレ平塚(現湘南)との試合だ。

 未だリーグ優勝のタイトルがない名古屋が最も優勝に近かったシーズンはいつかと問われれば、俺は、ベンゲル→ケイロスという監督交代を挟みながらも最後まで鹿島、横浜Fとデッドヒートを繰り広げ、「サントリーカップ」という取って付けたようなタイトルマッチでシーズン王者の鹿島を倒して溜飲を下げた1996年よりも、一旦優勝戦線から脱落した後、怒涛の15連勝で天皇杯までぶっち切った1999年を挙げるだろう。
 最後まで優勝争いを繰り広げた96年に比べ、99年は「一旦脱落した後」ということで、得意の「帳尻合わせ」とも言えなくもないその後の戦績(連勝)に価値を見出していいものかどうかは議論の分かれるところだと思うし、俺がフロントだったら断然前者(96年)を高く評価(査定)するだろう。しかし、こと「強さ」という部分に関して言えば、99年は96年の比ではなかった。タレントひとつとっても、ピクシー、トーレスといった96年当時から在籍するスーパーな外国人は健在で、シーズン前に山口素、呂比須、楢﨑といった代表クラスのプレーヤーを補強した陣容は96年を遥かに凌ぐものだった。そして96年当時はまだキャリアの上り坂を上がり始めた段階にあった平野、大岩、望月といったプレーヤー達も代表を経験するなど成熟度を増し、キャリアのピークに差しかかろうとしていた。さらに言うなら、翌年のシドニー五輪を目指すU-23日本代表候補に古賀、福田、中谷の通称「トルシエ・ボーイズ」が名を連ねるこのチームは、ベテランから若手まで、外国人から日本人までがバランスよく備わった今で言う「(プチ)ギャラクティコ」だった。

 そんな99年は、華々しい大型補強とは裏腹に監督だった田中孝司がステージ途中で辞任するなど、チームが全く噛み合わず失意のまま1stステージが進んでいったが、最終節で浦和を8-1で破る頃にはチームとしての形が出来始めていた。そして中断期間のナビスコカップもチームとして高いパフォーマンスを披露し、実は俺の中では満を持して迎えたのが2ndステージ開幕戦だった。
 相手となったのは平塚(現湘南)で、フランスW杯後に中田英寿がイタリア・セリエAのペルージャに移籍し、さらには親会社の経営不振で呂比須やホン・ミョンボ等の主力プレイヤーを次々と放出、若手主体となったチームは1stステージが終わる頃にはJ1とJ2の自動入れ替え最右翼と目されていた。(実際記録的なスピードで降格を決めた) 名古屋にとっては何があっても負けてはならない試合だったし、誰も負けるとは思っていなかった試合だった。

 そして全ての運命を狂わせる不幸の試合が始まった。
 この試合を裁いたのは、前年のフランスW杯で笛を吹いた国際主審・岡田正義だった。おそらく俺は、大袈裟に言えば名古屋というチームの運命を変えたと言っても過言ではないこの日の主審(判定)を一生忘れないだろう。
 試合の詳細な流れとかは全く覚えていないが、ウロ覚えの記憶に残っているのは、前半のうちに古賀とウリダが、それぞれ危険なタックルによる一発赤紙と報復による二枚目の黄色というどちらも「ハァ?」な判定で退場にされたことと、そんな中この日のパフォーマンスを見る限りはその後どこかへ消えてしまったのが不思議でならない平塚のFW西本に大岩がブルンブルン振り回されていたこと。それでも名古屋は、前半常に先行される展開から二度追いつき―しかも一回は9人になってから追いつき―前半を2-2で終了したこと。そして後半、選手達の集中力が切れたのか、それとも力尽きたのかどっちかは分からないが、チームは4-2で完敗を喫した。
 アウェーとは言え(優勝を狙うのなら)勝ち点3が必須の相手に対して、前半だけで不可解な判定で二人も退場(そのうち一人は一発退場)させられたんじゃ話にならないが、この試合は古賀はともかく(笑)ウリダの退場が痛かった。ウリダは「オランダのスタープレイヤー」との前評判とは裏腹に来日して一年余りが経過したその頃でもまだ名古屋サポの間で信頼を勝ち得ておらず、この一ヵ月後ぐらいに就任したジョアン・カルロスのもと山口素とのダブルボランチが抜群のハーモニーを奏でてブレークを果たしたというのが一般的な見方だ。しかし実はウリダはこの頃にはすでにシーズン終盤のブレークを予感させるパフォーマンスを披露し、この試合の前半でも中盤でこぼれ球を拾いまくっていた。そんなウリダの退場による必然の結果としてチームは後半バランスを失った。後年の「伝説」である天皇杯・佐川急便戦といい、ウリダはゲームからいなくなって初めてその存在の重大さが分かるようなバランスをチームにもたらしていた選手だったなぁと今考えてもつくづく思う。

 とにもかくにも名古屋はこの試合で完全にリズムを崩してスタートダッシュに失敗。2ndステージ途中でこのシーズン二度目の監督交代を余儀なくされた。そして優勝の芽が潰えてから、監督交代もあってチームを立て直し、シーズン終了まで前述のような怒涛の15連勝。そして平塚は天?より与えられし(2ndステージ)開幕戦の勝ち点3と得失点差+2を全く活かせぬままJ史上に残るスピード降格を果たした。

 今にして思えば、開幕戦でのアンラッキーな敗戦を引きずって立ち直れなかったのは、監督を含めたコーチングスタッフや選手達自身の責任でもあるし、そんなメンタルの弱いチームに優勝が無理だったというのは当然の成り行きかもしれない。しかし、ステージ前のチームの状態、そしてその後連勝をでシーズンを終えたチームの状況を思い返すにつけ、俺の中では「ただの一試合」で済まされない試合だなぁ。もしもあの試合がせめてすんなり進んでいたら・・・。

 その後名古屋は毎年のように降格チームに気前良く勝ち点を献上するのがならわしになった。一番印象深かったのは2002年に年間で勝ち点15(勝利5)しか挙げられなかった札幌に勝ち点6を手土産に持たせていたことか。このジンクスからするとすでに名古屋から勝ち点3を貰っている神戸はかなり危険な状況にあるわけだけど・・・真夏のJ再開で再び神戸との一戦を迎えるにあたってそんな昔のことを思い出したりしてました。

 再開まであと3日。
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by tknr0326g8 | 2005-08-17 04:29 | PlayBACK
後半戦の予定
'05年度 後半の「参戦」予定

8/24  【トップ】Jリーグ第20節 対FC東京 19:00 @味スタ
8/27  【トップ】Jリーグ第21節 対浦和 19:00 @瑞穂
9/3   【トップ】Jリーグ第22節 対横浜 19:00 @日産スタ
9/10  【トップ】Jリーグ第23節 対柏 19:00 @瑞穂
9/23  【ユース】高円宮杯1次ラウンド・第1戦  詳細未定(※藤枝以外なら参戦)
9/25  【ユース】高円宮杯1次ラウンド・第2戦  詳細未定(※藤枝以外なら参戦)
9/30  【ユース】高円宮杯1次ラウンド・第3戦  詳細未定(※藤枝以外なら参戦)
10/16 【サテライト】第8節 対川崎 14:00 @麻生G
10/22 【トップ】Jリーグ第28節 対鹿島 15:00 @カシマ
10/23 【サテライト】第9節 対湘南 14:00 @厚木
11/12 【トップ】Jリーグ第30節 対大宮 16:00 @埼スタ
11/23 【トップ】Jリーグ第32節 対東京V 15:00 @味スタ
12/3  【トップ】Jリーグ第34節 対千葉 14:00 @蘇我スタ

その他、ユースが高円宮杯を勝ち残れば10/2、6、8、10と決勝ラウンド。(※藤枝以外なら参戦)

そして天皇杯・・・1月1日は空けてあるんで。
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by tknr0326g8 | 2005-08-16 02:14 | Topics & Issues
玉突き移籍多発中
 アッサリと予選リーグで敗退したナビスコカップはさておき、いつの間にか立ち消えになった―というかそもそもそんな話があったのか?―C大阪・黒部の移籍話など、名古屋にしては静かな中断期間を送っていることもあって、これといった更新ネタもないまま中断明けまで1週間を切ったわけだけど、なんだか最近のJリーグの移籍市場では日本とブラジルの間での「玉突き現象」が頻発しているようで・・・。

 思い返せば、先シーズン全く役に立たなかった―しかし唯一の得点を許したお人好しが名古屋―ファビオ・ジュニオールの代わりに鹿島がアトレチコ・ミネイロからアレックス・ミネイロを連れて来て、交換で?差し出したはずのファビオ・ジュニオールが本国でも役に立たなかったからかどうかは知らないが、アトレチコ・ミネイロが目を付けたのが名古屋のマルケスだったわけだ。
 シーズン途中でチームの大黒柱であり戦術の要だったマルケスを失うこととなった名古屋は、マルケスに代わるFWとして南米王者サンパウロFCから元セレソンのルイゾンを獲得。
 すると今度はルイゾンを引き抜かれたパウロが、大宮のクリスティアンに狙いを定めて獲得交渉を行っているとの噂がまことしやかに流れている。
 あとはルイゾンが再びこれに巻き込まれなきゃいいな・・・と思いきや、ジウ(→東京V)の抜けたコリンチャンスから狙われているとかいないとかいう話が浮上する始末。

 これじゃオチオチチームも作ってられない。
 
 その他の移籍では、降格争いから抜け出すために全精力を傾ける柏がレイナウドとフランサという二人のセレソンクラスのFWを獲得した。中断前のHOT6で瀕死の状態だったヴェルディもコリンチャンスからジウを獲得して再開後はワシントンとの2トップが予想される。名古屋サポはよーく知ってる所だけど、ハイレベルな外国人による2トップは諸刃の刃だ。
 「経験上」言わせてもらうならば、とりあえずJ1残留(中位)を狙うだけなら、ハイレベルな外国人による2トップはこれ以上ない補強であると言えるだろう。残留のためには、(当たり前のことだが)ひとつでも多くの勝ち点を積み上げていくことが必要で、そこで持つ勝ち点「3」の意味はとてつもなく大きい。セレソンクラスの2トップが試合の中で上手く噛み合いさえすれば、鹿島からだって横浜からだって勝ち点「3」を奪える可能性があるし、その可能性は11人の日本人プレーヤーが「いいサッカー」をしたり「頑張る」ことによって得るよりもよっぽど高い確率だ。
 そんな感じで、セレソンクラスの2トップなら1シーズンの中で残留に必要なくらいの勝ち点は二人で稼いでくれる。

 一方で「経験上」、セレソンクラスの2トップは、彼等をストロングポイントとしてそれを活かす戦術をチームが適用するのは当たり前のことだが、それが行き過ぎると極度に彼等に依存したチームに陥るリスクも秘めている。酷い場合には彼等が二人だけでプレーしようとしたり、他の日本人プレーヤーも彼等に任せっきりになってしまうようなケースもある。二人だけでプレーしてしまう2トップが悪いのか、付いて行けない(行かない)日本人が悪いのかは、どちらが卵でどちらが鶏かなかなか判別しがたい話ではあるが、こうなってしまうとチームは「彼ら(外国人2トップ)が抑えられれば終わり」だったり、その2トップが調子に波があると言われるブラジル人の場合だとチームの成績も安定しなかったりすることにつながる。

 マイナス面を意識してかこれを解消してしまったチームもある。名古屋もそれに分類されるかもしれないが、大分の場合(ドド解雇)は残留争いをしている中ではかなり思い切った判断をしたなあと思う。高松が怪我から復帰したとは言え、この判断が吉と出るか凶と出るか・・・。GWに観た大分戦では守り倒された挙句のマグノ・アウベスとドドのコンビによるカウンターで名古屋は冷や汗ものの思いを何度もしてたけど。

 あと目立つのは「再利用」組。鹿島のリカルジーニョ、横浜のグラウはともに旧所属クラブでは怪我に泣かされていたが、実力的には確かなプレーヤー達で、コンディションさえ万全ならかなり(他チームから見ると)嫌な補強をしてきたなと思う。名古屋の場合ジムが「もう(外国人の)補強はない」と明言していたが、まあこれから探してくるのはさすがにツライだろうが、クラブの歴史やカラーを考えても外国人枠が空いている状況は名古屋ファンとしてもなんとも寂しいものがある。(笑) ここはひとつ、来年1月(今シーズンいっぱい)までの契約で神戸をクビになったホージェルあたりを獲りに行ってみてはどうだろう。(多分)移籍金も発生しないだろうし、日本に慣れてる分計算も立つし、短期契約で獲得するにはうってつけだと思うが・・・。


 ちなみに、ここで何度も言っているけど俺は「外国人2トップ」に関しては決してネガティブじゃないんで。(かと言ってポジティブでもないけど)
 外国人2トップだろうが、外国人3バックだろうが、結局はその他の日本人選手達がどれだけ主体性と高い意識持って出来るかが、何年もの間名古屋が抱える最大にして重要なテーマだと思ってるから。
 あとよく名古屋サポの間で「美談」として語られるベンゲルのチーム作りで、FWにピクシー、MFにデュリックス(パシ)、DFにトーレスとそれぞれのポジションに日本人選手の手本となるような選手を配置して日本人選手の成長を促したみたいな話があるけど、ベンゲルが二年目の時に―小倉が大怪我を負ったという事情があったにせよ―新外国人としてデュガリーやエムボマをリストアップ(交渉)してピクシーと2トップを組ませようとしていたというのは有名な話だし、まあそのベンゲルのやり方を否定するとかじゃなく、その時々のチーム状況に応じて使い分けていく「オプション」のひとつとして持っておけばいいんじゃないかというのが俺の考えです。
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by tknr0326g8 | 2005-08-15 11:31 | Topics & Issues
adidas CUP 2005 日本クラブユース選手権(U-18) ゲームレヴュー2
グループリーグ<グループF>2日目
対三菱養和SC @ピッチ5
3-1 (得点:唐沢、酒井、上村)
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 一日目の大勝から一夜明けて迎える相手は関東の名門クラブ・三菱養和SC。エルゴラで横浜ユースの監督が「強い」とコメントしていたし、一日目に名古屋の試合の隣のピッチで横浜と試合してたんだけど、横浜サポからGK名前を呼ぶコールがよく聞こえてきたから、(結果こそ0-2で横浜に負けたけど)普通に強いチームなんだと推定。
 そしてそんな相手に対し、名古屋はスカウティングの成果なのか、それとも単に連戦を戦い抜く上でコンディションの良いメンバーを上手く組み合わせようとしたらこうなったのかは分からないが(おそらく前者)、システムを前日の3バックから4バックに変更し、さらにその前には青山、唐沢という通常のWボランチに加えアンカーに吉田を入れるという3ボランチを採用して、守備という面ではまさに「磐石」を期した布陣で臨む。

       酒井
    福島   新川

  唐沢       青山
       吉田
清水  森本  三宅  根津

       長谷川

 円陣での「東京のチームには負けねーぞ!」の掛け声(笑)とともに始まったこの試合は、試合開始から名古屋が右サイドで新川が突っかけたり、左から唐沢がクロスオーバー気味にオーバーラップしてチャンスを作れば、三菱養和もシンプルにDFラインの裏を狙ってきて、前日の後半にはほとんどボールタッチのなかった名古屋GK長谷川をマウスから引きずり出す。体格的にも三菱養和の選手達は187cmの大型DF(5番)を中心に大きい選手が多く、競り合いでも決して名古屋に負けていない。
 しかしそんな中で思いのほかあっさりと先制点が決まる。
 三菱養和の圧力にDFとボランチのラインが下がり始めている中、青山がまるで名古屋の全体のラインごと引きずるようにボールを持って攻め上がる。そうして全体のラインが押し上がると、相手陣内で競り合いから唐沢がボールを拾って豪快なミドルシュートを放った。これがものの見事に決まる。ある意味計算(ゲームプラン)通りであり、ある意味計算外(予想以上?)のゴールに大喜びの名古屋イレブンではGKの長谷川までがその輪に加わって唐沢を祝福していた。
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 先制点を取れさえすればこの守備重視(?)の布陣が効いて来るはずだ。事実、その後の名古屋は、タテパスに新川が飛び出してGKに後ろから倒されたり(笛鳴らず)や、青山のスルーパスに唐沢が抜け出してのクロスに中でフリーの酒井が頭で合わせたり(枠の外)、右サイド深い位置での酒井のキープからマイナスのパスを青山のミドル(枠の上)、中央セットプレーのチャンスで吉田が左へ流し清水のクロスに酒井、新川が相次いでシュート(2本とも相手GKがブロック)と、カウンターを中心として何度かチャンスを作り出していた。
 しかし、その後は名古屋が「ゲームプラン通り」と言うにはあまりにも厳しい試合展開に。基本的に受けに回っているため、ボランチから後ろがズルズルと下がり、ほとんどの時間帯においては3枚のボランチから後ろと3人のアタッカーの間がどんどん間延び。攻撃では青山や唐沢が頑張って攻撃に出ていく時にはかろうじてチャンスが作れるものの酒井を中心に前3人が孤立気味で、守備では深い位置でDFがなんとかボールを奪い返しても苦し紛れのクリアやフィードといったセカンドボールをことごとく相手に拾われて連続攻撃を受ける。本当に決定的だったのは、ボールが後ろへ後ろへと下がってくる中でGK長谷川のクリアが詰めて来た相手の足に当たり跳ね返りがあわやゴールインというシーンと、CKから相手の5番にドンピシャでヘッドを合わされ長谷川が左手1本でなんとか弾いたシーンぐらいだったが、波状攻撃で何本か打たれたミドルに精度があったらもっと危なかっただろう。

 そして押し込まれたまま前半終了。

 前半でその他目に付いたのは主審がファールを流す(見逃す?)シーン。中にはタテパスに抜け出した酒井がエリア内で引き倒されたものとかもあり、その直後に熱くなった?酒井がキーパーチャージでイエローを貰うなど、試合が荒れる前兆があった。まあ結果的には後半これが名古屋にとって「良い方」に転がったわけだけど・・・。
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 後半、さすがに旗色が悪いと踏んだのか、それとも選手にアクシデントがあったのか、名古屋は森本に代え上村を投入する。4-2-3-1という、このチームにとって見慣れたオーソドックスな形だ。

       酒井

 福島   新川   上村

    唐沢   青山
       
清水  吉田  三宅  根津

       長谷川

 しかしこれでも流れは一向に良くならない。それどころか吉田のいなくなったDFラインとボランチの間のスペースを相手に自由に使われ始め、そこを起点にサイドに展開されたりDFラインを破られたりと名古屋DFが侵食され再三ピンチを招く結果に。さらに三菱養和はここぞとばかりに前線からプレッシャーを掛けてくる。名古屋はDFラインですらボールが回せなくなってきた。
 そして悪い流れを断ち切れないままDFラインがついに決壊する。この後半何度目かで裏を取られると、ボールホルダーに対してはなんとか後ろからCBが追いついて対応したものの、横へ横へとつながれ最後は左サイドからシュートを決められてしまった。
 いい流れの中で同点に追いつき押せ押せの三菱養和・・・それに比べれば名古屋は圧倒的に形勢不利で、このままでは危うい・・・と、即座にベンチから交代の指示が出る。唐沢アウトで花井イン。おそらくはDFラインと中盤の間のスペースを埋めつつ、中盤でボールを落ち着かせてパスを捌く役割。

       酒井

 福島   新川   上村

         青山
     花井  
清水  吉田  三宅  根津

       長谷川

 しかし失点直後に、この交代の効果が表れるまでもなく、「エース」が大きな仕事をやってのける。新川だ。左サイドの高い位置でキープし、相手に囲まれながらも絶妙なターンとフェイントを駆使しながらこれを突破。そして中をよく見ながらGKの前のスペースにシュート性のボールを入れると、そこに飛び込んできた酒井がGKと交錯しながら先にボールに触り再び三菱養和を突き放した。この絶対的ピンチとも言える厳しい状況で・・・やられたらやり返すとばかりに即座に得点に絡む決定的な仕事をする新川、スゲーよ。。
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 その後自陣で根津と相手9番がもつれて根津が覆い被さるように倒れ、そこで何かあったのかは分からないが、起き上がり間際にその9番が後ろ足で根津にカンガルーキック!を振り回し一発退場。なんていうか、上でも書いたように試合が主審の判定を発端として前半から荒れる要素があったことと、三菱養和の「クラブチームらしさ」が引き起こした退場劇だったように俺は思う。主審の判定に関しては上で書いたけど、もうひとつの「クラブチームらしさ」ってのは、良い意味では個々の選手のテクニックが高いってことで、悪い意味では高校のサッカー部とかではあんまりないような「奔放な」メンタル。具体的に言うと、三菱養和の選手達は、前半に名古屋の選手がファールで止めた時にも主審に向って「退場させろよ!」とか怒鳴ってたし、挙句名古屋の応援してる父母(?)に向って「うるせー、ババア」とか言ってるし。(苦笑) もうこれはサッカー以前の問題かなと俺は思う。「クラブチーム」が教えるのはサッカーだけでいいって感じなのかな。Jクラブの下部組織でも(例えお題目であっても)例外なく「(サッカーを通した)人間形成」を謳ってると言うのに。まあ最終的にはサッカーにおいてもセルフコントロールできなきゃ一流選手にはなれないし、そういうの含めたメンタル面を教えていく必要があると俺は思うけど。

 再びリードしたこと、相手が一人減ったことで、名古屋は随分カウンターを繰り出せる機会が増えた。特に新川はもうファールじゃなきゃ止められない感じ。前半はもう少し戻って守備を助けてあげて欲しいと思うシーンも多々あったが、こういう場面では彼のテクニックが本当に頼りになる。
 それでも全体的に見れば、試合が大幅に楽になったかと言えば、決してそうでもなくて、さっきも書いたみたいに三菱養和の選手達には個々に高いテクニックがあるからなかなかボールを取られないし、むしろ名古屋の選手が取りに行けば上手く入れ替わられたりして前を向かせてしまう。こうなると人数の少なさは感じさせないものだ。
 しかしそこに立ちはだかったのが新川と同じく2年生の元U-16日本代表GK長谷川。ハイボールに強く、飛び出しも度胸がある、それにシュートに対する反応も良くファインセーブを連発して三菱養和の攻撃をことごとくブロックした。この大会ではライバルの権田(FC東京)も復帰して来てるし、長谷川もそろそろ全開モードか?

 この後足を攣っていた清水に代わり久保投入。酒井が左SBへ。

       久保

 福島   新川   上村

         青山
     花井  
酒井  吉田  三宅  根津

       長谷川

 そして名古屋は冷静にカウンターを狙い、福島が左サイドを持って上がると、密集の中央をオトリにファーへクロス。これを受けた上村が中へ切り返して左足でゴール。3-1。これで勝負あった。
 まあこの後に相手CKのこぼれ球が久保に渡って自陣から独走したシーン(状況的にはニ対一)でシュートまで行けなかったのはご愛嬌と言うことで・・・。(笑)
 そのまま3-1で試合終了。

 苦しい試合ながらも強い気持ちで戦った選手達はなんとか勝利を収め、いよいよ次は横浜との一戦。関東のプリンスの結果見ててもその強さは本物だし、全国のレベルを知るには一番良い相手と言っていいだろう。見たかったなぁ、この試合。ディドの息子とかも見てみたかったし。もしこの2チームが決勝(土曜日)で再戦するならまた観に行こうかな・・・。
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by tknr0326g8 | 2005-08-02 00:00 | Youth
adidas CUP 2005 日本クラブユース選手権(U-18) ゲームレヴュー1
グループリーグ<グループF>1日目
対安芸FC @ピッチ1
8-0 (得点:酒井×3、中田健、福島、久保、市川、上村)
公式記録に基づき「速報」の得点者を訂正しました。

 名古屋のディフェンスは根津、三宅、吉田の3バックで、前線は酒井の1トップに新川と中田健が2シャドーのような形で後ろに付いている。すなわちこんな↓感じ。

       酒井
   中田     新川

市川  花井  青山  上村

  吉田  三宅  根津

       長谷川

 試合は、名古屋が前半慎重な試合の入り方をしたのと、安芸FCが1トップを残して引いて守るやり方をしてきた(前から取りに来ない)事で、名古屋のDFラインで左右に大きくボールが動くだけでなかなか上手く前にボールが出ない展開でスタート。
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 しかし名古屋は花井、中田を中心とした左サイドでのパス回しを中心に徐々にリズムをつかみ始める。特に花井は、この試合最後まで中盤でのボールの収まりどころとして絶大な存在感を発揮し、ボールを持つ姿勢、視野の広さ、パスセンスといったものをいかんなく発揮していた。
 そんな左サイドとは対称的にこれまでやけに大人しい印象なのが右サイドだ・・・「そう言えば、新川ってボール触ったっけ?」と思った矢先、左サイドの低い位置から右に開いた新川に長いサイドチェンジが通った。ボールを受けた新川は目の前の相手と一瞬のコンタクトの後アッという間に入れ替わり、さらに鋭いフェイントでカバーに来たDFを置き去りにするという、「二人抜き」を見せると、落ち着いて中にセンタリングを送り込んだ。そしてこれを中央で酒井が合わせて先制。

 この先制点をキッカケに試合は完全な名古屋ペースとなり、ここから怒涛のゴールラッシュが始まる。
 今度は左サイド。花井からのスルーパスに抜け出した中田がGKとの1対1から冷静にゴールに沈め2-0。この試合中田もキュンキュンにキレている。中田はプリンス(中京大中京戦)で見た時は中盤(左サイド)をやってたけど、この新フォーメーションで一列上がった(FWに近くなった)ことで、ボールコントロールの技術を筆頭に彼本来の良さがより発揮できるようになったように思えた。テクニシャンの新川ともセンス溢れる花井とも違う独特なオーラを中田もまた放っている。
 そして次は新川と中田のコンビ。先制点以後右へ左へと縦横無尽なスペースへの進出を見せるようになった新川がラインの裏へ抜け出しボールキープ。このひとつ前のシーンでは左サイドに流れて、相手に囲まれた状態からドリブルで抜け出すプレーを見せたが、ここでは後ろから走り込んで来た中田にピタリとパスを戻す。スピードに乗った中田はこのボールをキレイにコントロールし、そして左足一閃!強烈なシュートは・・・惜しくもバーを叩いたが、ここで思いもよらぬアクシデントが起こる。ボールがバーを叩いた衝撃音の余韻が残るピッチにそのまま倒れ込む中田。そして出される「×」のサイン。左足首を負傷した中田はそのまま負傷退場となってしまった。大事に至らなければいいが・・・。(※ちなみに今日見たら左足首をテーピングで固定して松葉杖ついてました) それにしてもこのコンビもう少し見てみたかった。

 その後DFラインでボールを回しながら、ゆっくりと時間を掛けてメンバー交代を行い、中田に代わって福島が出場する。ちなみに、この選手交代に随分時間がかかったが、もしこの時間がなければもっと点数が入っていたかもしれない。

 そして中田と同じポジションに福島が入った後チームとして再びペースを上げると、花井のスルーパスに酒井(と思ったら公式記録は福島だった)が抜け出し右足でキーパーの脇を抜いて3-0。その後も左サイド福島のファーへのクロスに新川が合わせたりするシーンがあったが、追加点は奪えぬまま前半終了。
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 で、後半。新川と前半やや動きの重かった青山が下がり、唐沢と森本が頭から投入される。この真夏という悪コンディションも考えての次節以降を見据えた戦い方(ローテーション)ということか。フォーメーション的には、新川の位置に花井が入り、DFラインから吉田が一列上がってボランチに移動した。

       酒井
   福島     花井

市川  唐沢  吉田  上村

  森本  三宅  根津

       長谷川

 後半になると戦術的にも大きな変化が見られ始める。青山、新川、中田といった中央寄りでボールを受けられる選手が次々といなくなったことによる必然的な結果なのか、それともコーチの指示なのかは分からないが、前半と比べると俄然サイドにボールが回り始めサイドアタックが冴えを見せ始めた。右サイドでは上村が何度も突破を試み敵陣右サイドでのセットプレーが激増、同時に相手が1トップということもあって3バックの一角の根津がどんどん押し上げて厚みのある攻撃を繰り出せている。左サイドでも市川が果敢なチャレンジから何度もクロスを供給する。当然後半も名古屋ペースだ。

 後半最初の得点はカウンター。中盤で奪ったボールを吉田がそのまま前線にスルーパス、これに反応した酒井が左サイドに流れつつも右足に持ち替えて逆サイドのサイドネットに豪快に決めて4-0。
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 そして満を持して?久保登場。(吉田out)
 
       久保
   酒井     福島

市川  唐沢  花井  上村

  森本  三宅  根津

       長谷川

 久保というターゲットが入ったプラスの影響もあってか、相変らず冴えまくるサイドアタック。上村のクロスをファーサイドで待ち構えた酒井が胸トラップからシュート・・・これは枠の外に外れたが、今度は市川が左サイドをエグって相手を振り切りクロス、これに真ん中で頭で合わせたのは久保だ。5-0。またまた右サイド、カウンターから前へのロングボールに走り込んだ上村がクロス、今度は酒井がヘディングを決めて6-0。

 こうなるとイケイケ。187cmの三宅を前に上げて酒井がストッパーに。

     久保  三宅

       福島

市川  唐沢  花井  上村

  酒井  森本  根津

       長谷川

 そして三宅の高い位置でのインターセプトからカウンター、三宅がズンズン持ち込んで右に流れると、真ん中の久保をオトリに飛ばして左サイドを上がってきた市川へ。市川は久保、三宅というツインタワーに合わせるのかと思いきや、切り返して右足で豪快なシュート。7-0。

 こうなると見たいのは三宅のゴールだったが、左からのクロスをヘデイングしたシュートを1本キーパーにブロックされてしまった。しかしその後には、右サイド深い位置で相手に囲まれながらも頑張ってボールをキープし上がってくる上村にラストパス、これを上村がしっかり決めてアシストを記録した。
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 終わってみれば8-0の完勝。
 それなりにメンバーもローテーションしながら試合に慣らし、第一戦としてはいいスタートが切れたんじゃないかと思う。
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by tknr0326g8 | 2005-08-01 00:41 | Youth